083 中級ダンジョン探索35階層
リュージたちは35階層に到着したところで、ジローがいるチームと交代した。
ジローに今回のドロップをコピーして、アイテム袋に入れて渡してやる。
鑑定はトコートがしてくれるだろう。
ジローは嬉しそうにリュージからのアイテム袋を受け取ると、直ぐにトコートに鑑定を依頼して聞いていた。
リュージはワールドワンに戻るとルイーズと話しをする時間を取った。
しかしながら、リュージが話し出そうとしたら、ルイーズはリュージを制した。
そして先ほどリュージのバイクの後部座席で話した内容とは全く別の話をし出した。
どうやら、先ほど油断して自分はまだまだであることを痛感したので、修行して強くなってから堂々とリュージに交際を申し込むとのことだった。
どういう心境の変化かわからないが、ミカやモコートとの三つ巴にならなくてよかったとリュージは感じた。
ミカ はともかく、リュージと付き合うとしたら、元の世界について話さなければならない。
元の世界に関してリュージは全く固執していない。
しかしながら、できれば元の世界に戻る手段は見つけておきたいとは思っている。
リュージは自分はどんな世界でも生き抜く力を持ち、常に強くありたいと思っている。
もちろん、仲間や自分に関わるものたちには優しくしたい。
しかしながら、元の世界でもそうだったが、仲間を守ったり、他人に親切にするためには、自分自身が強くなければならない。
元の世界では身体的に弱くても、他人に優しく親切な人はたくさんいる。
自分自身か貧乏でも他人に施しを与えるものもいる。
精神的に素晴らしくて強い人たちである。
しかしながら、この異世界では身体的な強さも必要である。
元の世界より、文化的に未発達だからだ。
その分、元の世界にはない摩訶不思議な魔力という力がある。人の手で、何も無いところから炎を出したり、雷を落としたりは元の世界では全く無理だし、風魔法で空を飛んだり、土魔法で一瞬にして何かを作ったりはできない。
どっちが良いかと聞かれてもわからない。
魔力を使っての魔法道具なども面白いし、ダンジョン探索も楽しい。
そう考えると、しがらみだらけの現代社会より、シンプルな世界の方がリュージにはあっているのかもしれない。
ルイーズとのことを一旦、リセットできたのはリュージにとってまた、この異世界と元の世界ついて深く考える機会になった。
異世界で、強くありたい。
異世界でも強く生きていきたい。
定命であるが故に、人はいろいろな希望や夢を持つが、リュージは今、そう思っていた。
一方で、ジローは苦戦していた。
35階層のモンスターは予想どうり、ゴーレムだった。
しかしながら、今までと全く勝手が違った。
攻撃が通らないのである。
鑑定大
ラバーゴーレム:スチレンブタジエンゴムでできたゴーレム。摩耗性、弾力性に優れ、強度が非常に高い。
セラミックゴーレム:セラミックでできたゴーレム。耐熱性、耐腐食性、絶縁性をもち非常に硬い。
ファインセラミックゴーレム:ファインセラミックでできたゴーレム。機械的、化学的、電子的、生化学的、電気的、光学的、優れた性質と高度な機能をもつ。
「ジロー、なんかすごいゴーレム出てきたよ。これまでのゴーレムと違って、材質がスチレンブタジエンゴムとセラミックとファインセラミックでできているゴーレムらしいよ。倒せそう?」
トコートは鑑定した結果に不安になり、ジローに聞いた。
「わかんねーっす。なんとかするしかないっす。」
既に交戦中だが、まだ1体も倒せていない。
全部で30体ほどのゴーレムが入り乱れている。
動きはスローだが硬いし魔法も効きにくいようだ。
ファインセラミックゴーレムは1体だけだったが、他は何十体もいる。
戦っている鬼人族や獣人族のものたちはゴーレムに一撃を加えようとしきりに攻撃を繰り替えす。
「キィィィィィィーーーン、カンカンカンカン!!」
「ドスッッッッ、ドドドドッッッッーー!!」
「ブゥゥゥワッッッッッーーーー!!!」
あちこちで、剣と硬質な素材がぶつかる音がした。
スチレンブタジエンゴム素材のゴーレムは切れるが非常に硬い。
そして炎系の魔法で攻撃すると非常に有害そうな臭い匂いがする。
「いっちょー、試してみますか。」
ジローはそういうとファーヤーブレスを吐いた。
そして、すぐに『フリージング」の魔法を唱えた。
すると、今まで全くの無傷だったゴーレムたちが、割れていた。温度差による割だ。
ジローはフリージングを習得していた。
「フリージングのスキルを持つ人は手伝って!」
素早くいうと、ゴーレムに向かってブレスをはきちらす。
すると、獣人族の精鋭のガブリエルたちがフリージングを唱えてダメージを蓄積させていく。
ゴム素材のゴーレムはファイヤーブレスで少しずつ溶けているようだった。
フリージングのないものはウォーターボール等の魔法を使って温度差破壊を作り出していた。
やがてかなりの数のゴーレムを減らすことに成功したが、ファインセラミックゴーレムはそれでも無傷だった。
「ジロー、オレやってもいぃ?」
ゴローがどこにいたかわからないが、突然ジローの元にやってきて聞いてきた。
「ゴローお前にできるのか?」
「たぶん、できる。」
「ふんっ、じゃぁやってみてもいいっす」
ゴローは風魔法で素早くファインセラミックゴーレムの上空に行くと
「竜巻、(風操作)、風切ー!」
ゴローは風魔法で竜巻を起こしてファインセラミックゴーレムを空中に飛ばすと風操作でファインセラミックゴーレムを回転させた。
その回転速度はだんだんと上がっていった。
その回転しているファインセラミックゴーレムは高回転で動くことができず、全くの無抵抗だった。
風切があちこちににあたっている。
回転しているため、少しあたっているだけで回転に合わせた傷がまるっと一周ついていく。
それがあちこちにでき始め、ゴローが得意げにジローを見たときには、ファインセラミックゴーレムは数十個のファインセラミック塊になっていた。
ゴローの風魔法の特性を生かしたファインプレーだった。
しばらくするとドロップになった。
・ラバーゴーレムの魔核:ラバーゴーレムの魔核
・セラミックゴーレムの魔核:セラミックゴーレムの魔核
・ゴーレムのラバー:ラバーゴーレムの材料となる。
・セラミック素材:セラミックゴーレムの材料となる
・ゴーレムの知識本 2:ゴーレムの知識を得られる本。激レア。
「おー、激レアっす。しかもゴーレムの知識が得られるのなら大歓迎っす。」
ジローは満足げな笑顔で鑑定の結果を聞いていた。




