078 中級ダンジョン探索31階層
朝から、鬼人族60名と獣人族40名の顔合わせを済ますと、ダンジョン探索を開始した。
中級ダンジョンを探索するには3パーティー以上が必須、と言われている。
つまり1パーティーMAX10とすると30名ぐらいの構成が想像できる。
中級ダンジョン完全踏破攻略となると実力にもよるが、補給用員も含めて通常はその倍の人数が動員されると言われている。
ただし、それはあくまで1階層から順番に攻略した場合であって、リュージたちのように進んだところまでで止めて、パーソナルゲートを置いてまた戻ってくるなどは、まさにチートな手段なのである。
中級ダンジョンの31階層で100名を超える人数での攻略は過剰戦力である。
すすむにしても、大勢過ぎてかえって進みにくい。
そこで、リュージは考えた末、2交代制にした。
一方がダンジョンを進んでいるときはもう一方は休むといった感じである。
休んでいる間は補給や食事、ミーティングなどをして過ごす。
鬼人族と獣人族のバランスもとって、それぞれ、半分ずつ、別れてもらった。
引き継ぎの時間を不要にするために、1階層ごとに交代するごとにした。
するとこの日1日で36階層まですすむことができた。
31階層の主なモンスター
・クレイゴーレム ヒト型
・ストーンゴーレム ヒト型
・クレイゴーレム イヌ型
・ストーンゴーレム イヌ型
クレイゴーレムは粘土でできたゴーレムだった。
そういうと、何だが弱そうだが、レベルが高かったため、粘土素材ゴーレムといえど普通の人間のような動きをして攻撃してきた。
獣人族は前例にいるものが素早い動きで囮となり誘導して、武器を重い槌に替えた者達が隙をついて攻撃した。
同じくストーンゴーレムは石でできたゴーレムだった。
2足歩行のヒト型ゴーレムに比べて4足歩行のイヌ型ゴーレムの方が動きは倍ぐらい早かった。
その分、小さかったため、攻撃はしやすかった。
重い槌を振り上げて振りきるのも大変なのだ。
鬼人族と獣人族が最初は多かったために、リュージなどはそのモンスターの影も形も見ることはできなかった。
それほど、素早く処理されたのだった。
31階層のドロップ
・クレイゴーレムの魔核
・錬成クレイ
・ストーンゴーレムの魔核
・錬成ストーン
どうやら、ゴーレムは魔核により動いているようだ。
鑑定大/イベントリ鑑定
・クレイゴーレムの魔核:魔石を加工して作られている。クレイ素材のゴーレムを形作る際の核となる。
・錬成クレイ:クレイゴーレムを錬成する際に材料として使われる素材。加工には魔力が必要。
鑑定
・ストーンゴーレムの魔核:魔石を加工して作られている。ストーン素材のゴーレムを形作る際の核となる。
・錬成ストーン:ストーンゴーレムを錬成する際に材料として使われる素材。加工には魔力が必要。
ジローが非常に熱心に見ていたため、リュージはイベントリコピーして、ジローだけのために複数個渡しておいた。
ジローなら勝手に研究するだろう。
リュージが休憩に入っている時、少し問題が起きた。
『リュージが鬼人族の4名と付き合うことになって、ルイーズに至ってはすでにリュージと深い関係にある』と言う噂を聞きつけたミカとモコートがリュージの元に怒鳴り込んできたのである。
「リュージ様、ヒドォーーィイ!ミカがいくら付き合ってほしいって言っても付き合ってくれなかったのに、何でよおー、リュージ様ミカのこと好きって言ってくれたよねぇー。ミカとも付き合ってぇー!」
「リュージ様、リュージ様と私は秘密を分かち合う唯一の仲と思っていました。鬼人族の方たちと、その、あのぅ、4名とも付き合っているなんて、ふっふっ、不潔です!! ルイーズさんとはあっ、あのぅ、本当に、えーっ」
「二人とも興奮しすぎだ。落ち着けぇー。ルイーズとの付き合いは前向きに考えるといっただけだ。誰が鬼人族4名と付き合っているとか噂を流したんだ?」
鬼人族の4名の方を見た。
ルイーズはともかく、カミーユとエマは目を合わさない。唯一、イリスだけが、チラチラとこっちを見ている。
「ルイーズ、カミーユ、エマ、イリス、鬼人族4名こっちにこぉーい!!」
リュージは少しの威圧を込めて呼んだ。
鬼人族4名が慌てて小走りでリュージの元にやってきた。
「ルイーズ、説明できるか?」
「はい、リュージ様。 できます。えーっと、でも、何というか、ここでは言いにくいというか、恥ずかしいというか、えーっと。」
「いいから、怒らないから言ってみな。」
「えっと、今朝、リュージ様は私との仲を前向きに検討するとおっしゃいました。シズカさんの話だと、ヒト族の間では前向きイコールOKと言うことであるとお聞きしました。なので今晩にでも忍んでいこうかと思っていたところ、カミーユとエマも行きたいと言い出して、そのあとイリスも…」
ルイーズの話の途中でイリスが口を挟んだ。
「ガルーダ総族長は仰りました。『その長年の習慣が抜けるよう鬼人族4名で努力させて頂きます。』と言うことを。『鬼人族4名で努力させて頂きます。』と言うことは私を含め4名でリュージ様の長年の習慣が抜けるように努力をすると言うことです。それに対して特にリュージ様は否定も肯定もされませんでした。」
リュージは右手で額の辺りを抑えた。
『全く、鬼人族の連中ときたら、やたらと人の言質を逆手に取る。今回は何も言っていないのに言っていないのを肯定ととると言うことか。』
「俺は4名と付き合うと言ったつもりはない。ガルーダ総族長の言った4名が努力すると言うのは確かに聞いたが、それに対して肯定も否定もしなかったのは、努力する内容がわからなかったからだ。イリスが言うようにそれが夜に忍んでくることとは想像できなかった。俺の腹のうちには言った。」
「では、リュージ様、わたしと付き合うというのは?」
「変に誤解の無いように言っておくが、付きあいを前向きに検討すると言うのは、恋人として付き合うと言うことを前提に話をしたり、考えると言う意味だ。だいたい、ルイーズがガルーダ総族長の娘だと言うのも昨日知ったばかりだし、俺のこともルイーズは知らないだろう?」
「リュージ様のおっしゃりたいことはわかりました。では私との話す時間を取って下さいませ。」
「わかった。時間を取ろう。よし、他のものは一旦、保留させてくれ。そして影で面白がって見ているやつをシメる。」
リュージはシズカをエアーサーチで探し出し、鬼人族の前で謝らせた。
前向きに検討の言葉の捉え方は難しいとやたらと言い訳していたが、面白がっていったのは間違いなかった。
休み時間を終えたリュージたちは再びダンジョンに戻っていった。




