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076 中級ダンジョン探索中の休暇5

リュージはエンシェント大陸のエンシェントワン 族長代理の二ナルゥと会ってから、モコートやトコートにこの世界について教えて貰っていた。

・エンシェント大陸はトレパージ山脈と呼ばれる非常に高い山々を隔てた向こう側にあり、空でも飛ばなければとても行けない遠い場所にあるとのこと。

・更にそのエンシェント大陸の向こう側には海を隔てて[魔大陸]と呼ばれるカーディナル大陸があるとのこと。

・そのカーディナル大陸には魔王と呼ばれる存在がいて魔族を率いているとのこと。

・今、リュージたちがいるここはユーミンシア大陸といい、ワッサム帝国、神聖イリーマ王国、スーリャマ合衆国などが主だった国としてある。

・その三大国の合間に亜人の住む小国などがあるとのこと。

・ユーミシア大陸の南方にはツヴェーラ諸国と呼ばれる大小様々な島があり、その諸国は独自の文化を築いているとのことだった。


リュージはレベルもそこそこ上がり、鬼人族の4人もヒト族の貴族がどうこうできるレベルではなくなっている。

鬼人族と揉めた貴族のことはもう、無視してもよい。


『そろそろ、冒険してもいいかな。」


リュージは声にこそ出さなかったが、この時、ハッキリと自覚した。


ダンジョン探索はレベルを上げて、役立つスキルを取得し、この世界で生き抜く力をつけるためだ。

まだまだ、ダンジョンの秘密はあり、モンスターも手強いと思うものもたくさんいるので、興味はもちろんある。

そもそも、中級ダンジョンの途中だし、上級ダンジョンには入ってもいない。


しかし、この異世界で、少なくともこの土地で生き抜くだけの力はつけたはずだ。

また、この土地だけではリュージの好奇心は満たせなくなってきている。

ダンジョンは確かに刺激的だ。

とても楽しいし強敵もいる。

しかし、だんだんとダンジョン攻略することが今のリュージにとって仕事のようになってきている。

かつて、リュージはバイク便の仕事をしており、あまりの熱意さでハマりすぎて、社畜のようになっていた。

でも、途中で抜け出せたのは、リュージの性格である一定の時間が経過すると、興味を失うというあまり良くない症状が出たためだ。


『まぁ、このことはしばらく置いておこう。少なくとも最下層まではクリアしよう。それまではやり遂げる意思を持つとしよう。』


リュージはそのことについては一旦思考を止めた。


リュージはモコート、トコートから商会のことも聞いていた。

商会がおこなっているアイテム袋の配布は順調に進んでいるとのことだった。

また、商会が運搬している各街へのワールドワン カードも順調に回っているらしい。

まだ見ない土地へ向けて、カードが回っていくことは、リュージにとっても嬉しい。


そこで、リュージはト モコート、トコートに言って、商会が運搬したワールドワン カードの設置された街の名前を聞き出した。

ワッサム帝国にはちょうど12の領地がある。


1 ブリストー

2 ヘリファスト

3 マリドール

4 ザリツブリフ

5 ストラスパーリ

6 インターラーリェン

7 プリェツゥン

8 ババルダイト

9 ザグレズ

10 ミルーマ

11 ザキカトペテルプ

12 ベオラード


この領地にある商会の店に設置したとのことだったので、早速モコートとトコートを従えてその12の領地を回ることにした。

リュージは12の領地をまわり、エアースコープをつけて、12の領地の空中に飛ばした。

これで、リュージがワッサム帝国の領地巡りをしたいと思ったら、すぐにできるようになったわけである。


そうこうしているうちに夜になった。

夜になったら、鬼人族のエマとイリスが一旦、ワールドワンに戻ってきた。

一応、鬼人族の郷には帰省できたそうだ。

ルイーズとカミーユは鬼人族の族長たちと話しをしているらしく、今晩は戻らないかもしれないと言うことだった。


すると、突然、カミーユがワールドワン カードを使ってワールドワンに戻ってきた。


「リュージ様、ルイーズが鬼人族の部族長たちと揉めており、できればリュージ様にお越し頂きたいと言っております。予め、今、打ち明けておきますと、ルイーズば鬼人族の総族長の娘でございます。」


「わかった。すぐ行こう。開くよ。」


リュージはワールドワン カードを開き、その向こうにあるであろう鬼人族の郷の穴をくぐった。

くぐった先には、鬼人族の戦士の死屍累々の山があった。

いや、死んではいなかった。

実際は鬼人族の戦士たちが、戦い意識を失い、その失った者たちがあちこちに散乱していたのだった。

唯一、立って辺りを見回していたのはリュージもよく知るルイーズだった。


「ルイーズ、これはどうしたんだ?オメーが呼んでいるからと言ってカミーユが戻ってきたから、こっちにきたのに、穏やかじゃないな。」


「リュージ様、すみません。少しだけ、説明はお待ち下さい。」


と少し声を潜めてリュージに応える。


「私の実力は示した。かつての歴戦の強者も今の私の実力であれば、瞬殺なのがわかったであろう。ましてや、こちらにいらっしゃるリュージ様は私の実力の100倍以上の実力の持ち主である。私が100人いても勝てない方なのだ。私はここに宣言する。我々鬼人族はワールドワン盟主、リュージ様に帰依するべきだと!!」


ダンッダンッダダダンッ、ダンッダンッダンッダンッダンッダンッダンッダンダンッダンッダンッダンッダンッダンッダンッダンダンッダンッダンッダンッダンッダンッダンッダンダンッダンッダンッダンッダンッダンッダンッダンダンッダンッダンッダンッダンッダンッダンッダンダンッ


大勢の鬼人族が膝打ちを繰り返していた。

リュージとルイーズの周りにはかなり遠かったが、鬼人族の人々がいた。

ここはどうやら闘技場のようになっており、グルリと囲まれた高いところが観客席のようになっており、大きさは東京ドームの半分くらいはあるような感じだ。


「ルイーズは実力を示した。ルイーズは強い。ではリュージはどうだ?強者のルイーズの言によるとルイーズの100倍は強いというが本当か?」


「やれー!」「戦えー!」「示せー!」「剣を交えろー!」「ステゴロファイトだー!」「ルイーズとやらせればいいーー!」


あちこちから野次のような声が飛び交う。


リュージはこういう雰囲気は大好きだ。

しかし、こういう場所での最適解も知っている。


「やかましーー!!」


リュージは死なない程度に抑えた威圧を闘技場全体に放った。

すると、さっきまで飛び交っていた野次は全く聞こえなくなった。

辺りは全く声は聞こえなくなり、数千人はいたであろう鬼人族の戦士たちが、いなくなった。

いや、正確にはほぼ全員が膝が折れて、ガクガクになり、地面に崩れ落ちていた。

8割近くの戦士が失神しており、残りの2割も地面に突っ伏した形で完全に戦意喪失していた。

唯一、立っていられたのは、ルイーズぐらいのものだった。

やり過ぎにならないよう注意したつもりだったが、少しまずい状況になりそうでリュージは困った顔をしてルイーズの方を見た。

ルイーズはあらあらといった表情でリュージの方を見ていた。


「リュージ様、突然のお呼び出しをしてしまい申し訳ありませんでした。実は鬼人族は何か意見が分かれたり、揉め事が起こると戦いで決着をつけます。常に強者が正しいという理論です。強者が皆を導くということです。強者は正しくなければいけません。強者は鬼人族を守る実力も備えなければなりません。そういった強者が皆に認められると強者の意見は尊重されます。今、私とリュージ様は強さを示しました。辛うじて意識のある者たちがリュージ様の強さを伝えるでしょう。」


「うーむ、なんかオレの預かり知らぬところで、何か勝手に進んでいる気がするな。まぁ、いい。ルイーズ、俺がやるべきことは何だ?」


「あっはい、さすがはリュージ様、察しがいいですね。えー、実は言いにくいのですが、リュージ様には鬼人族の盟主になってほしいのです。つまり……。」


「つまりなんだ?盟主というと王様か?それは無理だぞ。オレはこれからあちこち行く予定だし、王様みたいなことはできないぞ。断る!!」


「えー、リュージさまぁー、お願いですぅー、どうぞお願いしますぅー。」


「いや、ムリよりのムリだから。いや、ムリムリのムリだ。絶対断る。」


「お願いします。何でもしますから。リュージ様のことをお慕い申し上げます。私の全てを貰って下さいませ。」


「オィ、ちょっとルイーズおかしくなっているぞ。しっかりしろ。あぁー、もぅー。」


リュージはルイーズといろいろ話した結果、取り敢えずかたちだけの象徴盟主となることになった。

そして、獣人族の時と同じく、3層のディメンションワールドを作った。このディメンションワールドはディメンションワールド シックス、セブン、エイトとなった。

リュージは数時間でこの作業をやりこなした。

鬼人族は2万人程の規模の集落であったが土地が狭く、やせ細っていたため、常に食糧難で、人口が多くなると独り立ちできるものはこの土地から出たりして調節をはかっていたらしい。

獣人族のディメンションワールドスリーをほぼコピーして、リュージはディメンションワールドシックス、セブン、エイトを準備したので、土地は豊かだ。

鬼人族の者たちは、この土地を数時間で作り出したリュージを盟主どころか神と崇めた。

リュージはやり過ぎたと思ったが後の祭りだった。

威圧であまりに鬼人族をやってしまったために、ひ弱感が強すぎて、守ってあげなければ?といった気持ちが先行してしまったのだろう。

まぁ、ここにいなくてもいいらしいから、ここを去れば、面倒なことにならないだろう とリュージは思っていた。


しかし、それは甘かったとリュージは朝になり、思うことになった。


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