075 中級ダンジョン探索中の休暇4
帰国したニナルゥは、早速、エンシェントワンのエルフ族 族長の家を訪ねていた。
族長は数年前から体調を崩しており、手足に力が入らないなどの症状に見舞わられていた。
そのため、外に出て具体的な族長としての役割は族長代理のニナルゥがしていた。
全ては世界樹の変調が原因だった。
エンシェント大陸の土地自体の生命力が下がっているのだろう。
世界樹が枯れ始めて、内蔵魔力量が少ない者は特に障害が出ているようだった。
子供は魔力量の発散が多いエリアに早めに避難させていたため、無事だったが、違うエリア、エンシェントブァイブなどでは子供も犠牲になっているらしい。
早く何とかせねばならないとニナルゥは思っているが、現状、このエリア、エンシェントワンを維持するのもやっとだった。
しかし、リュージのおかげでこのエンシェントワンはもちろん、ツー、スリー、フォー、ファイブまでもしかしたら、当座は凌げそうな精霊石を得た。
ただし、根本的な解決ではない。
精霊石は地中や然るべき装置に設置すると世界樹とのパスが繋がり、その土地が呼吸を始めるらしい。
精霊石は周りの魔力やエネルギーを循環させる。
そうすることで、世界樹も維持される。
それが、いつのまにか、自然にあったものが、無くなっており施設に設置されていた精霊石が辛うじて運用されていた。
ニナルゥは各地の調査結果きら、魔族が目撃されているという情報を得ている。
これがもし、魔族がしている仕業であれば恐ろしい事である。
魔族は魔王が統べるカーディナル大陸におり、このエンシェント大陸とは異なるとはいえ、エンシェント大陸がこのような状況であれば、魔族の侵略があるかもしれない。
いや、間違いなくあるだろう。
「早く、なんとかせねば。今、ダンジョンにいる精鋭部隊だけでは、魔族の進行は止めることはできない。ヒト族のリュージ様との友好はそのためには必須だ。族長を必ず説得せねばならない。」
ニナルゥはその整った顔立ちを若干歪めながら、呟いた。
コンコン。
「入れ。」
「失礼します。ルーベン族長、ニナルゥです。」
「挨拶はいい。精霊石を大量に持ち帰ってくれたようじゃのう。ご苦労じゃった。さすがはニナルゥじゃと、話していたところじゃ。」
観ると、ルーベンス族長以外にもエンシェントツーの族長 ルース、エンシェントフォーの族長 フィッチェンもいた。
昨晩の内に連絡を入れたので、精霊石が手に入ったのを聞きつけてやってきたのだろう。
やましいとは思わない。
各族長とも民を守ることに必死なのだ。
「その件でご報告があります。」
「構わない。話しなさい。」
「はい、実は今回手に入れた精霊石は一人の人族がもたらせたものです。そのものは人族のみならず、獣人族、鬼人族を従え、時空間魔法を使いこなす超人でした。私の調べによるとワールドワンと呼ばれる自ら作り出したディメンションワールドをいくつも持ち、そこのいくつかに配下の獣人族などを住まわせているようです。また、精霊石は今回もたらせた120個のもののみならず、まだ多く持っているとのことでした。」
「何と、精霊石を120個とな。そんな数を一体どうやって? 」
「ダンジョンからのものらしいです。」
「ヒト族のダンジョンにはそんなにも精霊石があるものなのか?」
「あまり出回らないものです。出回っていても高価で取引されています。」
「なぜ、そのような貴重品をその男が持っていると言うのだ。まさか、そのものこそ、魔王ではないのか? このエンシェント大陸から精霊石を持っていき、それを持っているのでは?」
「いえ、実はこれは大変いいにくいことなのですが、その男は足りなければもっと出してもいいと言いました。言い方が、今はないが作ると言った意味でのもっと出すと言ったのです。しかも、これを見てください。」
ニナルゥはリュージからもらったアイテム袋を族長に渡す。
「それはアイテム袋ですが、30畳ぐらいの大きさがあり、中の空間は時間が止まっています。」
「何と!!そんなことがありえるのか。」
「しかも、その場で一瞬にして作り上げたのです。ちなみにそのアイテム袋を剣で切っても全く傷がつきません。火で燃やしても、焦げ目すら付きません。そのようなレベルのアイテムを一瞬で作り、会って5分のこの私に土産といっていともあっさりとくれたのです。」
「うむむっっ…、たしかに超人。しかもスーパーもつく超人じゃのう。」
「今回、持ち帰ってきた精霊石も全てタダでもらっています。仮に彼が魔王ならとっくにこのエンシェント大陸は制覇されているでしょう。」
「そして、今回、私が族長に申し上げることは、この男、リュージ様と友好を結ぶことです。彼の望みはこのエンシェント大陸の観光だそうです。」
「よし、わかった。結ぼう。ニナルゥに命じる。直ちにこの人族のリュージと友好をむすぶのじゃー!!」
エンシェントワンの族長 ルーペンスは久々に立ち上がり、宣言した。




