067 中級ダンジョン探索25ー27階層
リュージたちは25階層から、探索を再開した。
今回の探索から、獣人族の戦士が10名加わった。
モコートさんに言わせれると、獣人族の中でも指折りの戦士たちらしい。
レベルは100オーバーの者たちらしいので、中級ダンジョンであっても、踏破の実力があるぐらいだそうだ。
加えて獣人族はヒト族と比較しても、ベースの身体能力が非常に高いため、同じレベルであってもヒト族と比較にならないくらい強いらしい。
リュージはパーティー人数が増えて俄然やる気が出てきた。
初級ダンジョンを攻略した時と比べてペースが分からず、遅々として進まないことに少しストレスを感じていたためだ。
まずはリュージは踏破を目的としたプランニングをした。
その後、獣人族の戦士たちに実力を見せてもらうために、25階層を任せてみた。
すると獣人族の戦士は確かな実力を持っていることがわかった。
25階層のモンスター
・ファイヤーフェンリル
・スモークフェンリル
・キラースパイクフェンリル
ファイヤーフェンリルはなんとブレスではないようだが、口から炎を吐くフェンリルだった。
素早い動きから広範囲の炎を吐くため、こちらもそれに対応した動きと攻撃が必要だった。
獣人族の戦士たちはファイヤーフェンリル以上の動きををして、竜の骨を加工したと言うソードを使ってファイヤーフェンリルを切り裂いた。
また、スモークフェンリルは闇属性のスモークの魔法を使い、辺り一帯をスモークで覆ってしまった。
スモークの魔法はパーティーに暗闇と混乱のバッドステータスを与える。
更にスモークフェンリルはハイドの魔法を使って、リュージたちに近寄り、倍バイトを使って噛み付こうとした。
倍バイトは噛みつき力を倍にするスキルだ。
喉を、噛まれたらひとたまりもない。
獣人族の戦士はこれまた連携がすごかった。
スモークの中、スキルを理解した戦士は数人がスモークの効果範囲外へ一瞬にして移動した。
残りの数人は同士討ちを避けるため、お互いの気配察知を使って、いつでも攻撃を出せるように待機している。
スモークの範囲外に出たメンバーが風魔法を使ってスモークを吹き飛ばす。
スモークが吹き飛んだと見るやいなや、待機していたメンバーが素早くスモークフェンリルを片付けた。
統制の取れたメンバーたちだ。
そしてキラースパイクフェンリルを倒した時は圧巻だった。
キラースパイクフェンリルはスパイクの魔法を使ってくるフェンリルだった。
鋭い牙のようなトゲを飛ばしてくるのだ。
しかも、連続して大量に飛ばしてくる。
数匹の群れで行動していたにもかかわらず、その全ての攻撃を10人はそれぞれ避けたり跳ね除けたり、耐えたりした。
キラースパイクフェンリルは最初の攻撃だけは成功したが、あとは獣人の戦士が間近に迫りドラゴンソードで切り刻まれた。
中級ダンジョンの中層のモンスターがあっさり倒されたのだった。
『鬼人族と個人レベルじゃタメはるかもな。』
鬼人族も今じゃレベルは100を超えている。
しかも、リュージの渡した便利な装備やアイテムもある。
リュージはパーティーメンバーに死んでは欲しくなかったので、鬼人族にもリュージと同じような革ジャンを準備させた。
今、鬼人族が使っているのは軽鎧だ。
いくら軽鎧といっても金属なので重いし動きに制限がつく。
なのでリュージは用意させた革ジャンにエアープロテクションをリュージの革ジャン並みに付与して丈夫にした。
ある一定の大きさまでは縮まるがそれ以上は縮まらない。
動きが阻害されることはないが、致命傷には至らないといった革ジャンだ。
もちろん、ズボンも大きさを変えて同じような仕様にした。
頭部の防御だけは今のところいいアイデアがないため、未だリュージのエアープロテクションを毎回かけている。
鬼人族の4人もその方が嬉しいようだ。
特にルイーズは『リュージ様の優しさを感じます。』と毎回のように言っている。
リュージのパーティーメンバーは転移組のジロー、ミカ、シズカ、ゴローと鬼人族のルイーズ、カミーユ、エマ。
なぜか既にレギュラー入りした獣人族のモコートとトコート。
同じく、獣人族の戦士10名の総計21名となった。
獣人族の戦士の代表者はガブリエルと言う。
あとの9名は
1ライアン
2ヤニス
3マテオ
4アドン
5ルベン
6ルイ
7ポール
8イスマエル
9エリオット
という名前らしいのだが、ジローなどは顔と名前が一致していないらしく、よく間違える。
この獣人族の戦士は以前は冒険者として活躍していたが、獣人族が故に迫害があり家族を守るために故郷に帰っていたらしい。
「リュージ様のお陰で、家族に安住の地を与えることができました。我々一同はリュージ様に感謝してもしきれません。」
代表のガブリエルが獣人族の戦士の生い立ちを語り始めたので、リュージはそれはおいおいお願いといってダンジョン探索に戻った。
感謝されるのはいいんだがこそばゆい。
ガブリエルは獣人族の戦士10名の生い立ちをリュージに語り、今まではこうだったが、リュージによりその全てが解消され、リュージに非常に感謝しているということを3日以上かけて語ろうと思っていたのだった。
ガブリエルは獣人族の戦士なのに語り出すと長いようである。
しかも、リュージに対して敬愛の念を持っており、一生リュージの側にいるということをどう伝えようかと思っている。
獣人族の戦士のほかの9名もそうで、強いもの、力のあるものに対する尊敬の念は獣人族には絶対的なものらしい。
一旦、慕われると一生ついて行くといった感情になるのは獣人族には至極当然のことだというのだ。
獣人族の戦士は全て男性だったので、男女比率が一気に逆転した。
『おいおい、まさかBL的なことにはならないよな?』
リュージはノーマルを少しアピールするために、殊更モコートやトコートと話していた。
すると、獣人族の戦士の間では
「リュージ様は獣人族が大好きらしい。噂によると毛深いのが好みらしい。BLといって男もいける口らしく、我々獣人族の戦士も好きらしいが遠慮しているらしいぞ。」
「マジか。でも俺、リュージ様なら抱かれてもいい。あれだけ整った顔立ちで迫られたら、絶対断れない。」
「マジ?実は俺もそう思っていたんだが、意識してしまうとどうしても緊張してしまって、リュージ様の前に行くと顔が赤くなってしまうんだ。」
「うそうそ、お前もそうなのか。俺なんかリュージ様から万一、お声がかかったらいつでもいけるようにウォッシュの魔法を1時間に1回はかけるようにしている。」
「マジマジっ、リュージ様は獣人族の毛並みが大好きらしい。俺なんかブラッシングを休憩時間のたびにしているわ。」
そんな話が横行していた。
こんな噂が勝手に横行するわけはなく、シズカが面白がってBLの話をして、モコートとトコートにばかり話しかけるリュージに嫉妬してミカが
「リュージ様は毛深いのが好みなのーーー?」
といったからであった。
ジローは自分の好みで、
「もふもふこそ至高である!」
と言い出したのもその理由の一つでもあった。
リュージの企みは全く逆効果だったようだ。
そのため、しばらくの間、リュージは自分の側によってきては顔を赤らめてモジモジする獣人族の戦士を眺める羽目になったのだった。
25階層のドロップ
[ファイヤーフェンリル]
・火種
・フェンリルの尾
・フェンリルの毛皮
・中級魔石4
[スモークフェンリル]
・スモークチップ
・フェンリルの耳
・フェンリルの肉球
・中級魔石4
[キラースパイクフェンリル]
・スパイク
・フェンリルの鼻
・フェンリルの牙
・中級魔石4
イベントリ鑑定
[火種]
・燃え尽きることのない火種。常に小さな火種がついている。取り扱い注意。
[フェンリルの尾]
・もふもふ感がたまらないフェンリルの尾。どハマり注意。
[フェンリルの毛皮]
・非常に丈夫で気持ちのいい毛皮。
[スモークチップ]
・燻製ができるチップ。非常に良い燻製を作ることができる。
[フェンリルの耳]
・つけると非常にかわいいフェンリルになれる耳。時々動くらしい。
[フェンリルの肉球]
・ぷにぷにとした気持ちのいい肉球。
どハマり注意。
[フェンリルの鼻]
・つけると遠くにあるものでも匂いを嗅ぐことができる。激レア。
[フェンリルの牙]
・非常に鋭い牙。加工して装飾品などに使われる。
ドロップはリュージが適当に分配している。
リュージのイベントリに入ったものはコピーができるので、ほぼ全員に平等に分配されている筈だ。
コピー能力を知らないものにとっては自分たちにたくさん配分されていると思っているかもしれない。
リュージたちは25階層を早々にクリアし、26階層へと降りて全員で27階層を目指す。
リュージはイベントリから21名分のエアーフライングバイクを出して26階層を移動することにした。
その動きは壮観である。
3列に並んだエアーフライングバイクが7台連なる。
音こそしないが、まるで暴走族である。
手にはドラゴンソードや先ほど手に入れたスパイク、トンファー、乗り手はゴツイ体格をした獣人男が10人、背の高いリュージ、グラマラスな鬼人族。
これが元の世界ならどういう集団か理解できず、混乱してしまうかもしれない。
出てきたモンスターも26階層とほぼ同じモンスターだったが、エアーフライングバイクの集団の圧倒的な雰囲気に逃げ出すものもいた。
襲ってきたモンスターはきっちり倒しましたよ。
そんなこんなでリュージのパーティーは増えて、楽しい雰囲気になってきた。
夕方には28階層に到着したので、解散した。
解散すると獣人族の戦士はリュージが渡したディメンションワールドスリーのカードを使って獣人族の郷に戻っていった。
一応、リュージも開くことはできるが、獣人族の戦士の代表者だけは必要だろうということで、ワールドスリーの召喚カードみたいなことができるカードとして渡しておいた。




