065 中級ダンジョン探索23階層
昨日は22階層をクリアして、23階層に降りた時点で、タイムアップだった。
今日は23階層の最初からスタートとなった。
23階層は山と渓谷と荒野といったロケーションだった。
遠く離れた山向こうに次の階層の降りる階段があるようだったので、久しぶりにエアーブリッジ移動をすることにした。
モコートとトコートも今日もついてきている。
「モコートさん、トコートさん、二人とも仕事は大丈夫なの?」
「リュージ様のおかげで、人材を確保することができました。王都からエロイム、サトゥへの移動は以前はたいへんでしたが、今はパーソナルゲートができましたから。」
「モコートさん、そのパーソナルゲートってもしかして?」
「はい、リュージ様のワールドワン経由での移動のことですよ。言いにくいので、パーソナルゲートと言う名称になりました。王族や有名貴族、お金持ちの商人などはゲートを使って都市間移動をする方はいます。ただ、魔力消費が非常に多いので、大量の魔石が必要になったり、ゲートが開くのに時間が掛かったりするので、気楽には利用できません。でも、一応ゲートというスキルは存在しているのです。また、そのゲートを使った魔道具も存在しています。かなり古くからのものなので、解析や複製などもできていないようです。劣化した小さな小物を送れるスモールゲートと呼ばれているものは各ギルドで実際利用されています。劣化版といっても大量の魔力消費はするので、おいそれとは使えません。」
モコートは一気にそこまで言うと、潤んだ目でリュージを見てきた。
「だから、リュージ様は素晴らしいと思います。古えの技術の上位互換を個人のレベルで実現しているのですから。」
モコートは更にウルウルした目でリュージを見てきた。
リュージはワールドワン経由で各都市間を移動できるようにしたが、ワールドワン自体の機密性は保ちたかったので、商会で利用したい話ができた際に、制限を設けた。それは、秘密が厳守できる人限定。
必ずモコートさんとトコートさんが認めた人といった誓約をしてもらった。
モコートが書面化を商会から取り付けたらしく、真面目にサインをすることになった。
そして、商会だけは別ラインでゲート?を構成した。
ワールドワンではあるが機密空間を設けて商会専用の移動空間としたのだ。
これにより、モコートさんトコートさんの一族の商会は商機を逃すことなく発展していくこととなった。
モコートがリュージを神の如く思うのは仕方がないことでもあった。
「話は戻りますが、人材の確保ができて、育成も同時にしています。それでリュージさんのダンジョン探索にも同行できています。正直、リュージさんがダンジョン探索で得たドロップに商機が見出せそうなので、今日も、ワクワクしながらきました。」
「へー、商会も発展できそうで何よりだ。」
実はエアーブリッジは作ったはいいが、話すのが止まらないモコートのためにリュージは[エアーフライングバイク]を出した。
当然、トコートにも出した。
2人だけ[エアーフライングバイク]を出したら、
「あら、リュージ君、随分じゃない?あたしたちには出してくれないのぉーん?」
とシズカがなよなよっと色気を込めて言ってきたので、結局全員出すことにした。
エアーフライングバイクは地面スレスレに走る必要はない。
地上10メートル以上でも大丈夫だし、1000メートル以上超えても大丈夫である。
ただ、あまりに空中だと、高さがあり、怖いと思う者もいる。
結果どうなったかというと、アスファルト道路に似せたエアーブリッジを作成、その上をエアーフライングバイクが疾走する。
そんな感じになりました。
総勢11名がバイクに跨り、ダンジョンにあるアスファルト道路を走る姿はまるで高速道路を走る暴走族のようだった。
「リュージさん、いいんですか?モンスター倒さないっすか?」
「うーん、実はエアーサーチで確認したんだけど、ここの階層も[グレーレッサーフェンリル]のようなんだ。登山がたいへんだからの配慮かもしれないが、なんかもう…なぁ…」
リュージは[グレーレッサーフェンリル]を倒すのはお腹いっぱいの様子だった。
「わかりやした、リュージさん。リュージさんは退屈になってしまったのですね。このまま行きやしょう。遭遇したら倒す、で。」
リュージたちは23階層ではほとんどモンスターを倒すことなく、24階層に進んだ。
24階層に進む前に休憩をすることにした。
24階層に降りる階段の裏手にスペースがあったので、そこにジローが11名分が座れる椅子と机を作成した。
土魔法は便利である。
紅茶と蜂蜜で作ったお菓子を出す。
これはかつてリュージが初級ダンジョンで[ジャイアントビー]を倒した時にドロップしたハチミツを使ってモコートさんに作ってもらったお菓子なのである。
レモンサワーケーキのホールを切り分けたものである。
ハチミツの甘さとレモンサワーの仄かに香る苦さ、サワーな感じが相まってサイコーだ。
紅茶にもよく合う。
「リュージ様、お話しいいですか?」
「ん?何?トコートさん。」
「実は、うちらの商会は獣人が多く働いているんだけど、商会の連中は獣人の郷からきているんだ。ただ最近、天災があって里の半分以上が土砂で埋まってしまったんだ。幸い、人的被害は殆どなかったんだけど、復旧しようにも家が無いからなかなか進まないんだ。半分と言ったけど、残りの半分も土砂を被っていて、不衛生極まりない状態で病人も出ている。リュージ様にお願いがあってね。このワールドワンの土地の一部を貸して欲しいんだ。しばらくの間でもいいんで。」
「おっけー。貸すよ。でも、どうせなら専用のディメンションワールドを作っちゃおうか。その方が遠慮しなくていいよね。」
「ありがとうございます。リュージ様。リュージ様がそう言ってくれると思って、実はすでに郷にはディメンションの入り口は持って行ってるんだ。」
「それはいいけど、トコートさん様って何?これまで通りでいいよ。」
「まぉ、頼みごとだからね。リュージさんがいいなら戻すね。」
「そうしてくれ。じゃあ、獣人の郷にいっちょ行ってみますか。
「私からもお願いします。」
モコートさんが笑っていた。




