064 中級ダンジョン探索22階層
21階層で出てきた[グレーレッサーフェンリル]は総計20回程、遭遇した。
そのいずれも3匹から6匹の群れで襲ってきた。
フェンリルというので、相当なモンスターかと思ったが、そこまでの脅威は感じていなかった。
結構な数もいるし、レベルも高いが、今のリュージたちはそれでもほぼ瞬殺できていたからだ。
「リュージ様、おそらくレッサーと名前についているからではないかと。本来、フェンリルは神獣とも言われるぐらい、強い獣です。」
モコートさんはそう言っていたが、元よりリュージもそのことはわかっていた。
ただ、21階層が余りにあっけなかったのと、[グレーレッサーフェンリル]しか出てこなかったのが気になったのである。
で、現在は22階層なんだが、リュージのエアーサーチによると、同じく荒野と森林といったマップなのだが、川が流れているのが21階層とは大きく違う。
「ダンジョンで川は初だな。沼や池のような地形はあった。そこに流れ込む小川程度はあったが、本格的に流れる川はここ以外に記憶はないな。」
リュージはサイムのダンジョンとアジンズのダンジョンの2つしかきたことないが、その少ない経験を話した。
「私達もそうね。川は初めてだわ。」
そう言ったのはシズカだ。
シズカ達は踏破はしていないが、初めから中級ダンジョンに挑んだツワモノだ。
冒険者ランクが高くないと中級ダンジョンは本当は入れないのだが、冒険者ギルドの職員がずっと入り口にいてチェックするものがいるわけではないのだ。
職員に見つかったら罰せられるのだ。
シズカ達は何故か商業ギルドのギルドカードを持っていた。
宝石店で売っただけでなく、売ったお金でだいぶ派手に買い物もしたかららしい。
川はなんの変哲のない川に見えた。
「何かいるな。ジロー、頼む。」
「ヘイ、リュージさん。お任せを。」
ジローは川べりに近づいて、流れはゆるやだが深そうな川の中を覗き込んだ。
「バッサーン、ガバガバガバガバガー!!」
何かが一瞬見えたと思ったら、あっという間に、ジローを咥えて川の中に引きずり込んで行った。
「ジローちゃん、引きずりこまれてしまったね。リュージ君、なんだったか見えた?」
シズカは聞いた。
「うーん、アリゲーターのように見えたがな。空気なマスクがあるから、しばらくは大丈夫だとは思うが、あのマスクもいわば透明なマスクと言うだけだから、取れてしまうこともあるしな。外れたら、新鮮な空気が吸えるというメリットが消えちまう。」
「たいへんたいへんー、ジローちゃんヤヴァス。しんぢゃうよー!リュージ様、ジローちゃんを助けてあげてー!」
ミカが叫んでいる。
「落ち着け、ミカ、ジローがこの程度でやられたりはしない。たぶん。どうしたらいいか考える。」
リュージは少し考えてから、徐ろにスタスタとジローと同じように川べりに近寄って行った。
すると、ジローの時と同じように何かが川から出てきてリュージを噛み付こうとした。
リュージはエアープロテクションを30センチ以上太くして、噛みつきを防いだ。
それでも、それはエアープロテクションごとリュージを持って行こうとしたので、リュージは踏ん張って、トンファーでど突いた。
鑑定小
[ブルーレッサーサーペント]
鑑定大
[ブルーレッサーサーペント]
・サーペントの亜種。蛇系の魔物の一種。この種は川に主に生息して、川の近くに寄ってきた動物を咥捕する。川の中に引きずり込み獲物を弱らせて捕食する。大物になると十数メートルになる個体もいる。
鑑定したモコートはリュージに情報を伝える。
まぁ、今更だけどね。
[ブルーレッサーサーペント]はリュージにど突かれ、ピクピクとしていたが、しばらくしたら動かなくなり、ドロップに変わった。
[ブルーレッサーサーペント]のドロップ
・硬いウロコ
・蛇の皮
・蛇の宝玉
・中級魔石2
鑑定大
[硬いウロコ]
・硬い鱗。加工したら装飾品となるウロコ。水に強く防水性に優れる。日光に当たると色味が綺麗。
[蛇の皮]
・防水性のある皮。加工して魔道具などに使われる。柔軟性もあるため加工しやすい。
[蛇の宝玉]
・宝玉の一種。希少性が高い。そのため、高価に取引される。同じ宝玉でも大きさや色味が多少違うため、価値が違う場合もある。
「さすが、鑑定大だな。ドロップも瞬時に鑑定で詳しく出るとはな。」
モコートさんはリュージに言われて嬉しそうだ。
「自分自身で知る知識も加えていくこともできます。鑑定は記憶力の良さも大事です。」
モコートがそう言っていた時だった。
「ズズッズズッズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズァァァアァァァァァアーーーーーーーーンン!!!!」
といった音がした。
見ると、川から水が溢れていた。
川底が一部、持ち上がってきていた。
ストーンピラーで持ち上げたのだろう。
持ち上がったところを見ると、ジローがいた。
ジローの傍には[ブルーレッサーサーペント]が突き刺され、穴だらけになっていた。
「リュージさん、川に入ってヤヴァかったっすけど、なんとか戻れました。川底にはたくさんモンスターいました。やっちいますか?」
「そーだな。川のモンスターにも慣れとこう。」
そう言ってリュージたちは[ブルーレッサーサーペント]を自分たちの経験値稼ぎと、目に見えない経験をアップするために乱獲した。
ドロップは加工しないといけない皮やウロコだったが、宝玉もたまに出た。
宝玉は高く売却できるらしい。
リュージたちは既にダンジョンドロップだけでかなり稼いでいたのだが、高価なドロップがたくさんあるに越したことはない。
リュージのエアープロテクションで川底を持ち上げては、全員で切ったり突いたり切り刻んだりした。
あらかた[ブルーレッサーサーペント]を狩ったあと、お昼にすることにした。
川べりより少し離れた場所の土地を少し慣らした。
川から近いのでマイナスイオンが程よく飛んでいる。
まずはジローが土魔法でテーブルや椅子、竃を作った。
次にリュージが新鮮な食材と昨晩作って残った料理を出していく。
そして料理の得意なモコートさんトコートさん、イリス、シズカが調理にかかる。
ここはダンジョンなので、手の込んだ料理はしないが、暖かい料理は食べたい。
出来上がったばかりの料理は美味しいのだ。
やがて、料理が出来上がる。
新たにできたのは、野菜炒めと天ぷらと唐揚げだった。
唐揚げはホーリースライムからのドロップで[ピュアスライムオイル]があったのでそれを使用した。
唐揚げと天ぷらは適温が違ったため、別々に揚げた。
魔道具の魔道コンロにしろ、ジローが作った竃にしろ、温度調節はできないのだ。
この辺は元の世界の調理器具は優秀だったと言えるだろう。
唐揚げと天ぷらは大好評だった。
この異世界でも天ぷらや唐揚げはあるのだが、薄い油で揚げる程度だったので、今回のようなたくさんの油で揚げることなどこれまでなかったようだ。
そして、ピュアスライムオイルなどと言う貴重な油で揚げたものが不味いわけはない。
ピュアスライムオイルは全く主張せず、食材の美味しさを伝えてくれる油だった。
しかも温度変化が起きにくく、揚げ物には最適だった。
リュージたちは昼飯に結構な時間をかけて食べた。
22階層は同じく[グレーレッサーフェンリル]か出てきたので倒しまくった。
21階層とは違い、10回程度の遭遇戦だった。
23階層に降りたところで、夕方になったので、ワールドワンに戻ってミーティングをして各自の時間になった。




