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059 中級ダンジョン 20階層2

リュージたちは20階層のボスと戦っている。

イリスはドラゴンの翼を切った。

正確にはドラゴンの翼を支えて羽ばたく骨の一方を切った。

そのことにより、ドラゴンは飛び立とうとしていたのだが、飛び立てなくなった。

リュージも背中に乗って、もう一方の翼の骨を切った。大きな骨で、その骨以外は魚の中骨のようになっていて、翼の端にいけばいくほど、細くなっていた。

ドラゴンは魔力で飛んでいるとばかり思っていたが、この翼の構造だと魔力を込めて羽ばたきつつ、浮力を得ている感じだ。

ドラゴンの大きな体躯を支えて羽ばたく骨だから、太く硬いのに、リュージとイリスはその骨を切ったのである。

リュージはともかく、イリスもレベルアップしているってところだろう。


ファイヤードラゴンは、飛べなくなった。

ファイヤードラゴンは直立して、今度は鋭い前脚の爪でルイーズ、エマ、カミーユに襲いかかってきた。後ろ脚はドラゴンの体重を支えているだけあって、非常に巨大で、爪も鋭い。前足はその後ろ脚よりは小さいが、振り回す速さが半端なく早い。

自分より小さな動物に翻弄されて、ファイヤードラゴンはイラついていた。

ものすごい速さで、前脚を振り回し、避けたら追い討ちで、ブレスを吐いていた。


一方で、翼を切ったリュージとイリスはドラゴンが直立してしまったため、背中から振り落とされてしまった。

そして、ドラゴンの背面にいるのだが、ドラゴンの大きな尻尾がランダムに振られるため、切りつけるタイミングを逸していた。

イリスはドラゴンの尻尾に向けてフリージングを唱えた。

範囲を狭く絞った密度の濃いフリージングだ。

リュージもそれに習った。

二人してフリージングを唱えたため、あっと言う間に尾尻か凍り、さらに尾尻の周りに分厚い氷の塊が出来上がった。


「ギヴェギャャャギャヴェャヴェャャャャヴォォゥゥヴォォゥゥヴェォォォギギギャャォォヴェォォォーーーヴェ!!」

(音声読み上げ機能でお楽しみ下さい。)


ファイヤードラゴンは奇声をあげた。

リュージとイリスは顔を見合わせて、頷いた。

リュージとイリスはドラゴンの尾尻の付け根に向かって切りつけた。

驚くほど簡単に、ドラゴンの尾尻は付け根から切り落とせた。


ドラゴンは直立姿勢で、急に尾尻が固まったので、動かそうともがいていた。

そんな時に激しい痛みとともに、尾尻が切れたため、前傾姿勢のまま、前に向かって倒れ込んだ。

余りの勢いのため、正面にいたジローが巻き込まれた。

ジローは自身のファイヤーブレスを吐いていたが、急に目の前にファイヤードラゴンが高速で迫ったため、慌てた。咄嗟にできたのは、ストーンウォールだった。

ジローはファイヤードラゴンの目の前でストーンウォールを展開したが、それでもファイヤードラゴンの勢いは止まらなかった。


「ドゴォォォォーーーーーン、ザラザラザラザラパラパラパラパラッッッッッッ……。」


ジローとファイヤードラゴンの頭部はストーンウォールの塹壕に埋まった。

ファイヤードラゴンはジローの作り出した硬いセラミック並みのストーンウォールに直撃し、埋まったが、ものの数秒もしたら動き出した。

ただ、その数秒をリュージたちが逃すわけもなく、ジローの作ったこのチャンスを生かそうと動いた。

カミーユとエマはドラゴンの首の付け根を狙った。ちょうどドラゴンが埋まっている辺りだ。

リュージとイリスは切った尾尻のところから更に斬りつける。

ルイーズは背中の翼の骨が折れたところを更に狙った。


「ゴォォォォォォォォーーーーー!!!!、ブバハァァァァァォァーーーー!!!」


斬り付けはしたが、全てを打ち消すようにファイヤードラゴンは全身から炎を噴き出した。

炎は急に吹き出したため、周りの空気が熱せられ、当然ながら熱膨張で、空気ぐ爆発した。

リュージたちは全員、吹っ飛ばされた。


「ムゥー、さすがドラゴン、タフだなぁ。」


観見ると、リュージたちが散々斬り付けた傷が徐々に回復している。


「マジかー。ドラゴン回復しているぜ。さすがに切り取った尾尻はまだだが、内臓されている魔力量が多いんだろうな。タフすぎる。」


リュージは正直、アイテムボックス刀を使ってしまえば楽だと思ったが、ここで使ったら、ここまで使わなかったことが無駄になると思い直して我慢した。

へんな理屈だが、まだ全く追い込まれてはいないのだ。

追い込んでいるのはこっちだ。


リュージはジローの作ったセラミック刀に魔力を込めて、ファイヤードラゴンの腹を狙って切り裂いた。

腹は背中側と違って、柔らかい。

まだ、マシといった程度だが。


リュージはセラミック刀を一旦、イベントリにしまうと、今度は大きさを3倍ぐらいにして取り出した。

リュージのステータスなら、これでも楽々振るえる。

リュージはファイヤードラゴンの腹部を突き刺した。

突き刺さったセラミック刀は3メートルぐらい、ドラゴンの腹を切り裂き、抜けてしまった。


すると、ドラゴンが急に苦しみ出した。


「ウゲウゲウゲゥゲガガガッガガガガゲカゲゲゲゥゥゥ…。」


ドラゴンの腹の中から、何か肉の塊が落ちてきた。

セラミックの刀みたいなものも同時にガラガラと十数本落ちてきた。


「出産?」


リュージの隣にいたイリスは呟く。

リュージにはわかっていた。

しかし、ちょっとグロいため、その肉塊がジローだと言うことに躊躇いがある。

そう、ジローはドラゴンに食われていた。

正確には飲み込まれていた。

ドラゴンの体内では魔法が効かないとされている。

そのため、ジローはなすすべがなかったのだが、リュージが腹を切り裂いたので、その一瞬を使って、ストーンクリエイトで、セラミック刀を十数本作ったのだった。

ジローはドラゴンの胃液でドロドロだった。

リュージはジローにプチファイヤーで温水化した、プチウォーターをかけてやった。


リュージは空間把握で、ジローの気配が消えたので、まさかと思って切り裂きはしたが、そのまさかが当たってビックリしていた。


ルイーズ、カミーユ、エマ、イリスは瀕死のファイヤードラゴンの急所を突いて、トドメを刺していた。

急所は頭部に集中している。

目、内耳、脳、首などは正確に付けさえすれば、必殺の一撃となる。

特に内耳は脳と繋がるため、よく暗殺をするアニメキャラでもそういったシーンを見かける。

古くは必殺の時代劇でもそんな役柄を演じる有名人もいた。


ダンジョンモンスターは致命のダメージを受けてしばらく経つと、ドロップに変わる。

全くもってダンジョンの不思議だ。


ファイヤードラゴンは倒れた。

しばらく経つとドロップ品になった。


ファイヤードラゴンのドロップ

・ドラゴンの牙

・ドラゴンの鱗

・ドラゴンの爪

・ドラゴンの尾尻

・ドラゴン肉

・ドラゴンの目玉

・ドラゴンの宝玉


イベントリ鑑定

[ドラゴンの牙]

・ドラゴンの強さを秘めた牙。加工して刃物を作ることができる。加工にはドラゴン加工のスキルが必要。


[ドラゴンの鱗]

・ドラゴンの強さを秘めた鱗。加工して防具を作ることができる。加工にはドラゴン加工のスキルが必要。


[ドラゴンの爪]

・ドラゴンの強さを秘めた爪。加工して刃物を作ることができる。加工にはドラゴン加工のスキルが必要。


[ドラゴンの尾尻]

・ドラゴンの強さを秘めた尾尻。加工して薬物を作ることができる。加工にはドラゴン製薬のスキルが必要。


[ドラゴンの肉]

・ドラゴンの強さを秘めた肉。調理して食すことができる。食することで体から力が湧いてくる。加工技術が拙いと毒となる。


[ドラゴンの目玉]

・ドラゴンの強さを秘めた目玉。加工して薬物を作ることができる。加工にはドラゴン製薬のスキルが必要。


[ドラゴンの宝玉]

・そのドラゴンが生まれた際に持って生まれたとされる宝玉。生まれてしばらくすると飲み込まれてなくなると言われているため、天然では手に入らないとされている。非常に貴重で、かつ美しいとされるので、高価。魔力を使う際に補助となる媒体としても人気。


『うーん、どれも珍しいのだろうが、俺たちにはドラゴン加工やドラゴン製薬は無理だな。ドラゴン肉はモコートさんとかに聞いて調理した方がいいな。宝玉は高く売れるようだし、また、何か買うとき必要となるだろう。それぞれの都市に、拠点となる家が欲しいな。出ていきなり人とバッタリしなくていいし、拠点があった方が安心だ。』


そこまでリュージが考えた時点で、ジローが復活した。


「ジュージザん、うべうぶうべべっ。」


リュージには何を言っているか、よくわからなかったが、多分流れから礼を言っているようだったので、


「気にするな。ジローのおかげで、ドラゴン倒せた。」


すると、ジローはもっとわからない言葉で


「ヂュージーざん、じびん、ガビバッダズ。ヴルジーでず。ズージュルジュル。」


ボス部屋の奥に行くと、下に降りる階段と右手奥に地上に上がる扉があった。


勿論、リュージたちは階段を降りたが、降りたところで、その日は夕方近くになったので、今後のことも考えて、一旦、ワールドワンに戻った。

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