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038 ギルド嬢の憂鬱2 *番外編 エステル編

エステルは冒険者ギルドの受付嬢だ。

冒険者からはツンデレ系受付嬢として知られている。

彼女には最近、気になる男性ができた。

約1週間前に突然、冒険者ギルドにやってきて、雷に打たれたような衝撃を受け、更には膝が震え、寒気までしたほどだ。


「運命の人来た?」

そんな想像をしてしまったほど、リュージを見て、衝撃を受けた。


「横のチビゴリラは何かしら?ペット?でも人語を話しているわ。人間? それにしては背が低いわね。どうしてあんな素敵な人が、あんなのを連れているのかしら?」


と思ったら、自分の担当する列に並んだ。

彼は冒険者ギルドに登録した。

好きな食べ物は焼肉、休みの日は走るらしい。

連れのチビゴリラは人語を解し、書くこともできていた。

やはり、人間だったようだ。

あまりに驚き、他の受付嬢と人族以外の登録に関して、相談してしまった。


「ペット?」「ゴリラ?」「文字が書ける」


文字が書け、人語が話せれば、OKらしい。


その日の夕方、彼は冒険者ギルドにまたやってきた。

残念ながら、アレッタの列に並んでいた。

どうやらクエストを受注していたようだ。

その日のうちに受けるとは、素晴らしい。

彼のような才気溢れる人物は、ドンドン上へ上がって行くだろう。


彼が冒険者ギルドに来てから、約一週間が経った頃、連日のクエストをこなしている彼を心配して忠告した。


「リュージ様、連日クエストをこなしていますが、そろそろお休みを取った方がいいですよ。」


「あぁ、そうだな。明日は休みにするかな。」


彼は私の言葉を聞いて、どうやら明日は休みにすることにしたらしい。

私はすぐにギルド長に申請して、休みを申請した。

別にリュージ様に合わせて取った訳ではない。

私自身もそう、そろそろ休んだ方がいいのだ。


翌日、朝からリュージ様が常宿としているトワイライトの近くのカフェでお茶を飲んでいた。

リュージ様が本当にちゃんとお休みを取っているか確認する為だ。

連日働いてるギルド登録者が、無理を押して働いていたら注意をしないといけない。

決してリュージ様のオフの日の姿を見てみたいとか、オフの日に偶然出会ってデートに発展するのを期待しているとかは思っていない。

いないのだ。


リュージ様が出てきた。

オフの日のリュージ様も素敵だ。

そんな風に思っていたら、駆け寄る女性の姿が見えた。

あれはアレッタだ。

こけた。

結構、派手にこけた。

でも、何をしにきたのか?

まさか、私と同じ目的?

でも、リュージ様が休みと言う情報は私しかキャッチしていないはず。

まさか、偶然に?

アレッタはラッキーガールと言われている。

ラッキーガールだけど、こけたねー。


そんな風に思っていたら、何とリュージ様が助け起こしている。

やっぱりラッキーガールだ。

いやいや、それでもこんな偶然なんてない。

どこかで聞きつけていたに違いない。


あら、なんかこっちにくる。

隠れなきゃ。

わー、わわーー。


ふぅー、何とかバレずに済んだ。

ここのカフェに来るとは思わなかったわ。

何を話しているのかしら?

ここは席が離れていて、水の流れる音がするから、話し声が全然聞こえないわ。


あぁ、何か貰っている。

アレッタが支払っていたから、お礼かしら?

私もリュージ様から何か頂きたいわ。

そうだ。

リュージ様は焼肉がお好きと聞いたから、焼肉の美味しいところがあるから紹介すると言えば、嬉しがるかも。

でも、どうやって誘えばいいのかしら?

アレッタみたいに派手に転ぶ?

アレッタが一度やっているし、あんな派手にこけるなんて、偶然じゃなければできない。


うーん、あぁ、そうだ。

何かものを落として、それを拾って貰おう。

善は急げだ。


リュージ様がアレッタと別れた。

きっと宿に向かうわ。

先回りするわ。


「あれ、何か落としましたよ。」


「ありがとうございます。あら、リュージ様じゃないですか。」


「君は確か、冒険者ギルドの受付嬢の…」


「はい、エステルです。」


「あぁ、そうですね。エステルさん偶然ですね。」


「はい、偶然です。ピアス拾ってくれてありがとうございます。あぁ、そうだ、リュージ様、焼肉好きだと言っていましたよね。私、今から焼肉のとても美味しいと言われているところに行く予定なんですが、一人で入るのに迷っていて。リュージ様、もし、この後お時間あるようでしたら、ご一緒して頂けませんか?ピアス拾って頂いたお礼もしたいし。」


「ピアスは拾っただけだから、お礼はいいよ。焼肉は好きだけど。」


「なら、最初だけでもお付き合い頂けませんか?私自身、焼肉好きですが、お店に入るのに女性一人だとどうしても入るのに躊躇してしまいます。一緒に入って頂くだけで非常に助かります。」


「そんなにお好きなら付き合いますよ。お昼も近いし、お腹も少し減ってきました。それでエステルさんの役に立つのであれば、一石二鳥ですしね。」


「嬉しいです。」


エステルとリュージは焼肉屋に向かう。

焼肉屋はまだ、開店して間もないのか、人はあまりいなかった。


「いらっしゃいませ。あら、毎度ありがとうございます。」


焼肉屋の女将はエステルを見つけると挨拶した。


「誰かと勘違いしているようね。」

エステルはリュージに言い訳のように呟いた。

焼肉は美味しかった。

リュージ様も大満足だった様子。

先に支払いを済ませておく。


席に戻ると、リュージ様にお礼を言われた。

リュージ様はウルフ肉を持っていると言っていた。

初級ダンジョンの15階層付近に出るモンスターだ。

ウルフ肉は美味しいかな?とか聞いてきたので、焼き方や処理の仕方によっても違いますが、ウルフ肉は非常に美味しいですとお伝えした。

ウルフ肉を持っているのなら、冒険者ギルドの解体受付に是非お願いします。と営業。

仕事のできる女は営業も、忘れない。


ウルフ肉以外にもダンジョンのドロップをいろいろ見せてくれた。

中にクリーム色でとても美しい形をした宝玉があったので、欲しいと冗談ぽく言ったら、もらえた。

高価そうな宝玉を頂けるなんて嬉しい。

きっとリュージ様は私のことを少なからず思ってくれているに違いないと思った。


ますます、リュージ様のことを思うようになってしまった。

リュージ様は焼肉を非常に美味しそう食べていた。

リュージ様はダンジョンで、沢山のモンスターを倒していて、とても強い。

リュージ様は背が高く筋肉も美しく、カッコいい。

きっとリュージ様を思わない日は無いだろう。

リュージ様、リュージ様、リュージ様、リュージ様、リュージ様、リュージ様。

あと1話だけ、番外編続きます。

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