035 ディメンションワールド開拓3
リュージたちは、モコートさんのスキルボール屋を出ると、道具屋に向かった。
生活道具を取り揃えるためだ。
道具屋に入る直前に、リュージたちは呼び止められた。
「リュージさん、こんにちはー。」
見ると、スキルボール屋の店員、モコートさんのいとこのトコートさんだった。
「トコートさん、こんにちは。」
「道具屋の前でどうしたの?」
「あぁ、拠点が見つかったから、生活道具を一式、揃えようかと思って、来たんだ。」
「たくさん買うの?変わったものとか探している?高くても買う?」
「何それ、トコートさん俺たちが道具屋でものを買うのを妨害している?」
「いや、そうじゃないですよ。たくさんのものを安く買うのなら、いいところありますよ。」
「へー、じゃぁ、そこまで連れて行ってよ。」
「いいわよ。ついて来て。」
トコートが案内したのは、北区にある商業ギルドに隣接している卸販売店だった。
「リュージさん、ここって。」
「あぁ、配達クエストで来たところだな。ベッドを買ったところだ。」
「あら、リュージさん、ここ知っていたの?案内しがいがないわねー。」
「以前、ここに配達にきたことがあったんだ。」
「なら、大丈夫ね。じゃ、私はこれで!」
「あぁ、ちょっとだけ待ってくれ。トコートさんの意見を参考にして買いたい。一緒に見てくれないか?」
「あら、何かしら。女性のセンスを求められている気がするわ。 いいわよ。付き合うわ。」
「よろしく頼む。」
リュージたちは卸販売店に入り、家具を購入した。
その際、トコートさんの意見を聞きながら、購入した。
鬼人族の女性4人がいるため、なるべく、女性の意見を聞いた方がいいとの、考えからだ。
魔道具も購入した。
トイレの魔道具、チルドの魔法がかかった保存庫の魔道具、衣類を綺麗にしてくれる魔道具、コンロの魔道具、暖かい風を出してくれる魔道具、逆に冷たい風を出してくれる魔道具、などなど、様々なものを購入した。
全てリュージのアイテムボックス➡︎イベントリに保存された。
「トコートさん、ありがとう。いいものが買えたよ。」
「さすが、リュージさんね。高価な魔道具をポンポンと、買っていたね。」
「まぁ、ダンジョンでのドロップがたくさんあったからねー。」
「あぁ、そうだ。トコートさんにも変身のスキルボールを渡しとくね。ちょっとそこの路地に入ってくれる?」
「何々、リュージさん、スキルボールくれるの?まぁ、スキルはあって困らないけど。」
「手を出して。変身のスキルボールだよ。40個あるから、落とさないでね。」
リュージはトコートに[子熊変身]のスキルボールをイベントリから取り出して渡す。
トコートは鑑定大で[子熊変身]のスキルボールだと分かると、少しリュージの方を見て、ニコッとした。
『リュージさんたらかわいい。私に子熊に変身して欲しいのかしら。まぁリュージさんの頼みは断れないわ。かわいいリュージさんのためなら、子熊に少し変身する程度、なんてことないわ。』
そんなことを思いながら、トコートは[子熊変身]のスキルボールがインストールされていくのを見届ける。
40個全てインストールされたのを見て、リュージは声をかけた。
「モコートさんにリクエストされて、モコートさんもすでにインストールしてるよ。[子熊変身]のスキルボール、40個全てインストールされたから、進化して、人族に変身できるから、やってみて。これ、魔力回復ポーション、魔力が不足するから、これも変身したら飲んでね。」
「なっなっなっなっ、リュージさん、それって人族に変身できるってことですか?マジー!?ウソーー!?、本当にぃーー!?」
「今、そう言ったつもり。マジだ。ウソじゃない。本当だ。やってみて。」
「うん。変身ーー!!」
トコートは唱えた。
トコートは人族に変身した。
かわいいケモノ耳のない人族が出現した。
ジローがトリップした。
『人族に変身したトコートさん、かわいいーーぃ!!!!!かぁわぁいぃーぃ!!』
「リュージさん、私、人族に見えますか?」
リュージは魔道具屋で買った姿見をイベントリから出す。
これはリュージには思い浮かばなかった家具だ。
トコートが絶対いると言って購入したものだ。
「リュージさん、私、人族になりました。商売の時、変な目で見られなくなります。獣人族としての誇りは捨てませんが、このスキルは嬉しいです。リュージさん本当にありがとうございます。」
「モコートさんも嬉しがっていたし、トコートさんもあったら嬉しがるのかなと思っていた。嬉しく思ってくれて、こっちも嬉しいよ。」
「いざという時に、こう言ったスキルがあるのは、強みです。要らぬトラブルを回避できたり、時には命を助けます。」
トコートはモコートと違って、魔力量が多いようだ。
魔力枯渇は見て取れない。
「それじゃ、トコートさん、俺たちは食材を買い出しに行ってくるから、これで。」
「はぃ、リュージさん、お気をつけて。私は店に帰ります。」
リュージとトコートは道を別れた。
リュージはその後、食堂のおばちゃんズたちに美味しい弁当を、大量オーダーした。
おばちゃんズはまた、リュージたちがダンジョンに潜るのだろうという思って、張り切って作ってくれる約束をしてくれた。
その後、リュージたちが向かったのは、マスバックルの親父の倉庫だった。
「マスバックルの親父ー、いるかー?」
「いるぞー、15番あたりだー。」
倉庫の奥から、声が聞こえてくる。
「15番はあっちだな。ジロー行くぞ。」
「ヘイ、親父は何してんすかね。」
「分からん。また、荷物の下敷になっていないことを祈る。」
「って、マスバックルの親父、何してんだ?」
「あぁ、荷物を持っているだよ。」
「どー見ても、床と荷物の間にサンドイッチされているようにしか見えん。持ちすぎだ。あー、少し持とう。」
少しと言いつつ、リュージはマスバックルが、持とうとしていた8割ぐらいをヒョィッと持つ。
「リュージ、オメーがここにきたってことは、また食料か?」
「あぁ、まぁそうだ。今回は色々な種類が欲しい。あと、食材の苗木を販売している店を紹介して欲しい。」
「アァン? なんダァ?農家にでもなる気かぁ?」
「いや、できれば、自給自足の生活ができればと考えている。」
「ふん、おめーらが自給自足の生活ができるとは思えんがな。まぁ、いい。食料と言ってもここは、保存の利く食料しか置いてないからな。小麦やトウモロコシ、雑穀類がメインだ。他は150番あたりに[リーズィ]とか言って、東の国からの輸入された新しい穀物があって、人気らしい。 あとは豆類かな。豆類は種類がたくさんあるぞ。赤豆、白豆、緑豆とかな。まぁ、おめーらのことは信用しているから、事務所まで持ってきたら、目分量で売ってやろう。あと、苗木は、オメーらが行っていたフェルメ農場の農場長が一番相談にのってくれると思うぞ。」
「ほぉ、そうか。じゃジロー、手分けして持ってこよう。エアースキャホルドのフロートを渡しとくけら、適当に持ってきてくれ。俺は150番を見てくる。 親父は農場のおっさんを知っているのか?」
「知ってるも何も、そこの農場と取引している。エロイム付近にある農場とは少なからず、取引している。ウチが最大手だ。他も言えばウチの暖簾分け的な存在だ。ここの倉庫がやられたら、エロイムの食料事情は終わるぞ。マジで!」
「おー、親父は大変な立場だったんだなぁ。すげーじゃん。ただの荷物の隙間に入って遊ぶのが趣味の親父じゃなかったんだなぁ。」
「いや、そんな趣味は存在しないし。なんだよ、荷物の隙間って、。そんな隙間に入る趣味とか聞いたことないわ。」
「倉庫、見てくる。」
リュージは親父のツッコミを心地よく感じながら、荷物を置き、150番を見に行くことにした。
150番にあった[リーズィ]と呼ばれる穀物は日本語で言うところの[コメ]だった。
「こいつぁー、コメじゃねーか。この異世界にもあったんだなぁ。見かけないから無いかと思った。コメがあるのなら、食事のバリエーションが広がるな。ありがてぇ。マスバックルの親父、グッジョブ!!」
リュージは東方から仕入れたとされるコメを買うことに決めた。
何故、コメだけコメと翻訳されないか不明だ。
他にも適当に見繕う。
リュージが戻ってきた頃には、ジローも戻って来ていた。
ジローはいろいろな種類の穀物をフロートに乗せて来ていた。
「リュージさん、いろいろ仕入れてきました。あとでチェックして下さい。」
リュージは精算を済ますと、マスバックルの倉庫を後にした。
そして、南門を出て以前、収穫のクエストをこなした農場にやってきた。
農場では相変わらず、ファンキーな農場長が出迎えてくれた。
「おぉー、リュージじゃねーか、どうしたんだ? また、働くか??」
「いや、今日はそうじゃねー。実は自給自足を考えていて、手間かからずに育つ食材の苗木を探している。倉庫番のマスバックルの親父にここがいいと紹介してもらった。」
「おー、マスバックルのか、元気しとるか?そうか。うーん。素人が作れる手間のかからない食材か。たくさんありすぎるな。」
と言いつつ、農場長が紹介してくれた食材は
以下の通り。
野菜系としては
・じゃがいも
・大根
・ニラ
・さつまいも
・玉ねぎ
・トマト
・ハクサイ
・枝豆
・かぼちゃ
・キャベツ
・ピーマン
・ネギ
・ブロッコリー
・サトイモ
・ナス
・インゲンマメ
・エンドウマメ
・キュウリ
・バジル
・カブ
フルーツ系としては
・イチゴ
・カキ
・クリ
・ウメ
・スイカ
・ビワ
・ブドウ
・グミ
「こんな辺りかな。まだまだあるが、うちにあるのはそのあたりだけだ。野菜は苗木としてあるが、フルーツ系のカキ、ウメ、クリ、ビワ、ブドウ、グミは木になるから、金があるなら売ってやるから、いくつかなら、持って行っていいぞ。今言った木は山単位であるからな。がっはっはっぁー。」
「おー、それはいい。サンキュー、農場長。とりあえず今言ったものは全部お願いする。金はこれぐらいで足りるか?」
リュージはプラチナ貨を出す。
「ほぉー、なかなかもってるな。それじゃ余るから、倉庫の中の野菜も適当に持っていけ。」
「うーん、まだ、余るな。ワシが農作物のアドバイザーを1年間してやろう。今言った作物は、手間かからずに育つが、手間をかければ、豊作になる。例えばトマトは放置しておけば、地這いになるが、添え木をしてやると実をもっとつけやすくなり、綺麗なトマトになりやすい。ブドウも勝手に育つが、多く実をつけるには人が受粉させてやる必要があるし、実を大きくみずみずしい感じにするには実に覆いをつけて、カバーしてやると良いとか、いろいろある。農作業は気候や温度、湿度、畑の具合などによっても変わる。ここの農場は気候は一年中安定しているし、周りの土地の質も良いから、畑の具合も良いが、それでもいろいろ手間暇かけている。作物で疑問やアドバイスが欲しい時は聞きにこい。」
「わかった。それでいい。今後もよろしく頼む。」
リュージはそういうと、農場長の案内で、アドバイスを受けながら、苗木とフルーツ系の木を数本ずつ貰っていった。
「うむ。リュージ、やはりオメーはイベントリ持ちだな。収穫作業していた時に空間魔法持ちだとは思っていた。いや、別に言わなくていい。これだけの量を平気な顔して入れれば、わかる。ただ、気をつけろよ。悪意あるものに付け込まれる場合もあるからな。」
「あぁ、気をつける。自分のことは守る。今はそれだけの強さを身につけたと自負している。ジローもいるしな。」
リュージは取り立てて隠してはいないが、一応、隠蔽したり、入れる時はアイテムボックスを利用しているので、一見したらイベントリはわからない。
出す時、イベントリから出すと空中にいきなり出てくるので、注意が必要だ。
リュージは農場長の気持ちに感謝しながら、農場を後にする。
リュージたちはエアーバイクに乗り、南西の森の5メートルぐらいの高さのあるディメンションワールドの入り口に向かった。
入り口についたら、エアーバイクを5メートルの高さまで上げて、中に入った。
入り口付近にはエマが立っていた。
「おぉ、エマ、どうしたんだ?こんなところで。」
「リュージ様がそろそろかと思って、ここで、待っていました。 家の中の整理と土地の整備は終わってしまったので、交代で休みつつ散策をしていたところです。」
「ただいま。いろいろ買ってきたから、セイフティハウスの中に入ろう。」
「おかえりなさいませ。リュージ様。ぽぉっ。」
何故か、頬を赤らめながらエマはセイフティハウスに向かってリュージたちを先導した。
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