033 ディメンションワールド開拓1
リュージたちは、地上へと帰還した。
打ち合わせ通り、ジローが先頭だ。
ジローはエアーバイクに跨ったまま、周りにいる人を確認する。
ジローはきょどった。
ダンジョンから地上に戻る際の帰還場所には、数名の冒険者がいた。
冒険者のどれもが、ジローを見て怪しいやつと思った。
ジローはその視線を見て、更に挙動不審になる。
後ろから、リュージたちの気配がする。
ジローのバイクは動き出した。
周りにいた冒険者3人がジローの後を追ってくる。
残りは4名が待機したままだった。
リュージたちは地上に戻ったら、バイク2台を同時に動かす。
真っ黒のバイクだったので、不思議な魔導具に見えた。
「ちょっと待った!!」
冒険者のリーダー格と思しき男から、待ったがかかった。
待つ言われはないのだが、リュージの方のバイクは残った。
カミーユのバイクは先行させた。
リュージは
「何か用か?」
と不機嫌そうに顔を向ける。
しかしながら、リュージの今の顔は美しい中性的なエルフだ。
声色も高い。
「あぁぁ、呼び止めてすまない。俺たちはB級冒険者だ。 ダンジョンで人探しをしている。4名の鬼人族の女だ。見かけなかったか? 鬼人族だから、角が生えているはずなんだが。」
「知らないな。ダンジョンで探すのなら、ここで待っていても見つからないことないか?」
「あぁ、別パーティーが探しに潜っている。」
「用がないなら、行っていいか?先を急いでいる。」
「あぁ、呼び止めてすまない。」
リュージはバイクを走らせる。
途中、カミーユのバイクと合流する。
そのまま、街に向かって走らせる。
走らせる途中で、ジローの乗っていたバイクからジローの気配が消えたので、ジローのバイクを消滅させる。
リュージはエアーサーチを発動させる。
ジローの気配が薄く感じられた。
どうやら、地面にストーンクリエイトで隠れているようだ。
少し遠いが、先程消滅させて、アイテムボックスの入り口だけになっているものを再びエアースキャホルド化する。
ジローを掘り出して、ジローの足をエアースキャホルドで覆う。
そして、空中高く持ち上げる。
上空高く持ち上げた後、最高スピードでリュージたちの方面に向かわせる。
ジローが戻ってきた。
ジローは途中で変身仮面を脱いだっぽぃ。
目から涙をめっちゃ流していた。
「リュージさんひどいっす。急に空飛ばさんといて下さい。びっくりします。しかもスピード早すぎっす。涙が止まりません。」
「ジロー、すまんかったな。泣くな。今度カッコいいグラサン探してやるから。しかも、俺のとおそろを認めてやろう。どーだ?」
「リュージさんと一緒のグラサンっすか?兄弟みたいですね。マジっすか。めちゃくちゃ嬉しいっす。マジ嬉しいっす。」
ジローは機嫌を直したようだ。
その後、鬼人族4人と合流して、エロイムの街へ向った。
リュージのエアーバイクは数分でエロイムの街についた。
街に入る前にリュージはエアーサーチを発動させる。
すると、普段は2人ぐらいしかいない門番が、門番近くに10人近くいることに気付く。
普段ないことなので、リュージは警戒した。西門ではなく南へ向かおう。
リュージは街道を外れて、エアーバイクを走らせる。
エアーバイクのいいところは路面関係なく走ることだ。
リュージは西門からいきなり南門から出てしばらく行ったところの、南の森に向った。
普通科は街中を通って行くものだが、リュージのエアーバイクは関係ない。
悪路も谷も川も岡も森の間をすり抜けて、移動した。
「よし、ここで一旦、止まるぞ。」
リュージがいうと、鬼人族のカミーユの乗ったエアーバイクも止まった。
まぁリュージが操作しているから当たり前だった。
「リュージさん、こんな森の中でどうしたんすか?こんなところは、誰もこないっすよ。南の森には近いですね。南西の森と言うべきですかね?」
「ジロー、どうやら鬼人族の皆んなをつけていた冒険者連中の仲間か何かが、西門にいた。しばらく、隠れられる隠れ家が必要だ。昨日の夜のことは覚えているか?」
「勿論ですよー。リュージさん。リュージさんが世界を作った夜ですから。昨晩は自分も頑張らせて貰いました。」
「あぁ、ジロー昨晩は助かった。ジローのがんばりでわかったんだが、あそこを隠れ家にするためには、もうちょっと手を掛けてやる必要がある。具体的には土地整備だ。ジローにだいぶ土を作って貰ったが、まだまだ足りない。ジロー、オメーのストーンクリエイトでも時間かければ、土地ができるだろうが、今は時間が惜しい。手っ取り早いのは土地を持っていくことだ。」
「ま、まさか、この森を?」
「まさか全部ではない。この森は豊かだ。 魔素が豊富だからだろうな。その分、魔獣も多い。だから、その一部を頂く。具体的にはディメンションワールドにエアースキャホルドに乗せて土地の一部を移動させる。 同じところばかりだと回復が遅くなるかもしれないから、いろいろなところから持っていく。森、湿地、野原、野草の土地、山や丘、などだ。」
「リュージ様、具体的には私たちは何をすればいいのですか?教えて下さい。」
鬼人族の一人が聞いてきた。
「うむ、ますばこれを見てくれる。[ディメンションワールド]」
リュージはそう唱える。
昨晩より、3倍くらい大きな入り口を設定して、ディメンションワールドを展開する。
「リュージ様、こ、こ、これは?」
「ジローが言っていたディメンションワールドといって、俺のアイテムボックスだ。ちょっとでっかいバージョンだ。生命体が入れるのが特徴かな。」
「リュージ様、ちょっととか言うレベルでは無いように思いますが。」
「まぁ、一旦、入ってくれ。閉じて中にいるとどうなるか見てみたい。」
リュージは6人が全員入ったら、外がどうなったかわからなくなるので、鬼人族のエマとジローを残して一旦、入り口を閉じる。
「あぁ、入り口閉じたらわからなくなるね。うっすらこの辺としか認識できない。」
「リュージ様、あそこに見えるのは、セイフティハウスですか?」
「あぁ、そうだ。作りは全く同じだ。食料とか水とかを整えれば、住めるように出来るな。」
「ディメンションワールド オープン!」
わざわざ声に出して言わなくても、開きそうだったが、言った方が雰囲気出るかと思い言った。
開いたら、元の場所だった。
エマもジローもいた。
リュージは密かに不安だったので、ちょっと安心した。
「ジロー、外から見た感じはどうだった?」
「へい、リュージさん、リュージさんから言われて注意してみましたが、閉じたら全く無いのと同じでした。それから、開いているうちに裏手にまわってみましたが、入り口の横にまわった途端に入り口は見えなくなりました。」
リュージは自身でも確認する。
ジローの言ったことは本当だった。
正面から見たら入り口だが、横や裏から見たら全く見えない。
試しに石を裏から投げてみる。
入り口付近の空間から入り口を透過して石は出てきた。
「不思議だなぁー。まぁ、この辺はまた後日検証しよう。」
「皆んな、とりあえず、少し手伝ってくれるか?」
そう言って、リュージは5人に作業のやり方を説明する。
リュージがエアースキャホルドで土地を持ち上げる。
その土地を浮かせるから、それをディメンションワールドに持って行ってもらうのが、ジローと鬼人族の役割だ。
作業を開始した。
作業は思ったほど重労働ではなかったが、エアースキャホルドで持ち上げる土地の範囲が広すぎて、数回で場所を移動する羽目になった。
まだ、途中にモンスターが出てきたため、その対応にも追われた。
エアースキャホルドは小指一本で動かすことができるから、でっかい空中に浮かぶ一輪車のようだった。
リュージはある程度のところで、ストップをかけた。
これ以上、やると森の回復力を損ないそうだったのと、人数人が生活するとしたら、既に十数キロメートルもあるため、充分だと判断したためだ。
「よし、ジロー、一旦、エロイムの街に戻るぞ。 ルイーズ、カミーユ、エマ、イリスは悪いが一旦ここで待機しておいてくれるか?食料と道具類は置いておく。水はタンクを使っておく。ジロー頼む。」
ジローはストーンクリエイトで大きなタンクを作る。
リュージはイベントリから水を出して、タンクに水を満たす。
「リュージ様、私たちは水魔法を使うこともできるので、大丈夫です。食料もこんなにあったら、逆に腐らせてしまいますので、もう少し回収して下さい。」
「あぁ、過剰だったか。すまねぇ。まぁ、待たせても、数時間だ。安心してくれ。街で不要なものを売って、必要なものを買ったらすぐ戻ってくる。それと、ここの入り口は動物の入ってこれない5メートルぐらいの高さに開けたままにしておくから、万が一があれば、そこに触れてくれ。俺のエアープロテクションはさわれば感知できるから。」
「リュージ様ありがとうございます。リュージ様を信頼しています。リュージ様の早いご帰還をお待ちしています。」
リーダー格のルイーズはしっかりとした口調で言った。
リュージとジローはエアーバイクに乗って南門近くまで行ってそこから徒歩で南門をくぐった。
向かう先は冒険者ギルドの素材受付だ。
リュージは南門をくぐる前に変身は解除していた。
じゃないと、冒険者ギルドでリュージと認識されなくて困るからだ。
「ここは3日ぶりぐらいなのに、随分経った気がするな。」
「リュージさん、自分もです。ダンジョンの中での時間が濃密すぎました。」
リュージはギルドの受付には行かず、裏手の冒険者ギルド倉庫の素材受付にいく。
素材を買い取りしてもらうためだ。
ダンジョンで得たドロップ品をリュージは次々と出していく。
主なドロップ品は
コボルトリーダーの毛皮、ウルフ毛皮、ウルフ肉、ビッグポイズントードの毒液瓶、サンショウの粉、ブス、毒瓶、大毒瓶、猛毒瓶、ハチミツ、涙型した宝石、サンドワーム肉 大、サンドワーム ローション、青い宝石、模造カツラ、カニバサミ、カニ味噌、麻痺液 大、サソリ酒、硬いサソリのプレート
、黒い宝珠、防虫剤、木炭、フェイクシート、ヘッジホッグの麻痺針、たわし、サーペントの麻痺液、サーペントの皮、蛇の宝玉、フェネックのグッドラックチャーム、フェネックの毛皮、モグラの髭、ワーム肉 中、サンド ガゼルの角、魔石各種 などなど。
今回は魔石も売り払った。
スキルボールはモコートさんのスキルボール屋に持っていく予定である。
「リュージ様、今回は初級ダンジョン攻略と伺いましたが、このラインナップを見たら、違うものも混じっていますね。レア食材や未確認ドロップもありますね。量が量なので、今回はわかるものだけ、清算しますね。これがリストです。ほかのものはオークションにかけておきます。あと、未清算だったアイテムの清算ができているので、あとでギルド内の受付でもらって下さい。」
「ありがとう。」
リュージは冒険者ギルド倉庫の横手の勝手口を通って、冒険者ギルド内に移動する。
受付はがら空きだったが、一番近い受付にリュージは並んだ。
「あら、リュージ様、お久しぶりです。初級ダンジョンはいかがでしたか?」
「あぁ、踏破してきたよ。ダンジョン内で3泊したよ。」
「何ですって!3日で踏破なさったんですか。しかも初回で。 もう、リュージさんは計り知れません。想像外です。この分だと、次は中級ダンジョンに行かれるのですか?」
「それはまだ、決めてない。これが清算リストだ。よろしく頼む。」
「すみません。しばらくお待ちください。」
クールビューティー系の受付嬢は清算金を取りに受付奥へと向かった。
「おまたせしました。こちらが清算金となります。金貨が不足しておりましたので、プラチナ貨と金貨でのお支払になりました。プラチナ貨は市井では使い辛い、かも知れませんがご容赦下さい。また、前回の未清算金を別でお持ちしました。お納め下さいませ。」
リュージは中身を確認する。
イベントリに入れれば、合計金額がわかるので、アイテムボックスに入れてから密かにイベントリに移動する。
合計で金貨4550枚。
プラチナ貨45枚と金貨50枚だった。
プラチナ貨1枚は金貨100枚分だったのね。
3日分の稼ぎとしては相当なの金額である。
『まぁ、ドロップ品は一通りコピーしておいてあるから、貴重で二度と手に入らないことにはならない。売却益が高いのは、魔石も今回は入ったからだな。』
「リュージ様、今回も素晴らしい成果でしたね。ジロー様と二人でよくこれだけのものを手に入れられました。Aランク冒険者のパーティーの清算でもこの短期間ではなかなかないです。本当に素晴らしいです。愛しています。」
「ありがとう。清算を早くしてくれてこっちも助かった。受付の方にはいつも優しい言葉をかけてくれて感謝している。」
リュージは冒険者ギルドを出て、今度はモコートさんのスキルボール屋にいく予定である。
サイドストーリーを入れたいのですが、入れるタイミングがわからない。




