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032 初級ダンジョン クリア

リュージたちは早朝、朝食を食べ、身支度を整えて、集合した。

ボス部屋にはすぐに到着した。

砂漠の中にポツンとある地味な、砂漠と同じ色をした建物。


冒険者ギルドの低級ダンジョン、モンスター情報によると30階層のボスモンスターは

[ビッグ サンド キャメル]らしい。


「ボスモンスターは[ビッグ サンド キャメル]という、ラクダのような形をしたモンスターだ。状態異常攻撃と酸を吐く攻撃があるらしい。通常の物理攻撃と突進、踏み潰しと言ったスキルもあるらしい。普通に考えたら、楽勝だが、時々、入ってきたやつのレベルに応じてレベルが変わるらしいから気をつけろ」


「ヘイ!わかりやした。」「わかりました。」×4


扉を開く。

ボスモンスターはすぐに視認できた。

かなり大きい。

全長20メートルぐらい?

建物はゆっくり下り坂になっており、実際の建物の地下にモンスターは存在していた。

扉が勝手に閉まった。


「ガギャガギャギーガギャガガガ!!」

「ベーーーーーボーーーーワーーー!!」

「ヴェーーーーボォーーーーー!!」

「ヴェーーボォゥゥゥゥー!」

「ウクックックックッゥクゥーー!!」


「リュージさん、ラクダって首、5つもありましたっけ?」


「いや、ないな。今、鑑定したら、名前が違う。[ヒドラ サンド キャメル]と出ている。別物だな。大当たり引いたらしいな。」


「取り敢えず、打ち合わせ通り、ヒットアンドアウェイで様子を見てから、やるぞ。」


リュージたちは半円形になり、半包囲する形でモンスターに迫った。

[ヒドラサンドキャメル]は同じような鳴き声を発しながら、リュージたちを睨む。

そして、それそれの首が、凶悪な状態異常攻撃をしてきた。


1つ目の首は[重毒ガス]だった。

2つ目の首からは重麻痺液が発射された。

3つ目は重幻惑攻撃。

4つ目は重酸液を散布。

5つ目は重音波攻撃。


どれも強烈な攻撃だったが、リュージたちにとって警戒すべきは4つ目と5つ目だった。

酸液は一応想定内だった。


「酸液は回避、音波攻撃は耳栓しておけ」


リュージは1回目の音波攻撃の直撃を受けたが、体に貼った、[エアープロテクション]を形状変化させて、対応した。

ただ、最初のゼロコンマ数秒は受けたので、耳がキーンとしている。


ジローは最初の音波攻撃で、鼓膜が破れた。

耳が聞こえなくなった。

鬼人族4人はリュージのプロテクションの形状変化によってほぼ無傷だ。


6人はそれぞれ、勇敢にもヒドラサンドキャメルに向かって攻撃する。

ヒットアンドアウェイだ。

首5つに対して、こっちは6人。

1人多い勘定だ。

ジローは背後に回り、牽制する。

スコップを持ちながら、ストーンウォールを唱える。

スコップは今や魔力増幅媒体の杖のような存在になっている。

ヒドラサンドキャメルのバランスを崩しにかかる。

5つの首は5人に対しているため、ジローには注意がいかない。

注意しようとすると、目の前の人間が攻撃してくるからだ。


リュージは予め、5人にこの連携は言っていた。

ジローのストーンウォールは連射ができて強力だ。

今回のような下が砂地なら、魔力も通りやすい。

ましてや、スコップを地面に刺しながら、唱えられるので、低魔力量で高出力。

バランスを崩すだけで、かなりのアドバンテージが得られる。


そして、リュージがもう一つ指示していたのか、急所を突くことである。


動物や人間は急所がある。

少なくとも、弱点は必ずある。

人間を簡単に弱体化するには、顔を攻撃することである。

特に目をやられると、余程のことがない限り、無力化もしくは弱体化する。

目から情報を得ている生き物は、ほとんどアウトだ。

蛇や蝙蝠のように、目以外の器官が発達した動物はその難を逃れられるだろう。

そして、この[ヒドラサンドキャメル]は5つの首にそのどれもに目があった。


鬼人族の4人は、[ヒドラサンドキャメル]がバランスを崩すたびに、目を狙う。


最初に毒首が悲鳴をあげ上げた。


「ヴェーーーィオーーーゥ!!」


目が剣により突かれて、血が流れている。

片目だけだ。

麻痺首は両目を薄くやられた。


「ヴェヴェヴェーーァァァァァー!」


血が流れ、目が真っ赤になっている。

ジローがまた、[ヒドラサンドキャメル]のバランスを崩す。

今度は酸液首が悲鳴をあげた。


「ヴェーーガガガグァグァグァーー」


顔全体を潰されたかんじだ。

状態異常にならなければ、なんてことはない。

最後はリュージが音波首を切断した。

リュージはいつでもできたのだが、せっかくなので、タイミングを合わす。

リュージの切断を契機に、各自が受け持った首の目を潰す。

リュージが跡追いで、首と頭をアイテムボックス刀で両断する。

[ヒドラサンドキャメル]は倒された。

5種のそのどれもが重状態異常を同時に引き起こす、凶悪なモンスターだったが、リュージたちは五体満足でボスモンスターを倒すことができた。


ドロップは[上級状態異常回復ポーション]と[上級傷軟膏]だった。


イベントリ鑑定


[上級状態異常回復ポーション]:ほとんどの状態異常を回復することができるポーション。簡単な病気や怪我も回復できる。


[上級傷軟膏]:ほとんどの傷やダメージを回復することができる軟膏。即効性はないが、時間が経過した傷も回復させることができる。


「ほぉー、なかなかなドロップだな。コピーしておこう。」

「ジロー、ちょっとこっち来てくれ。」


ジローは立ったまま、辺りを眺めている。


「あぁ、そうだったな。鼓膜やられたみたいだったな。耳から血が出ているから、きっとそうだろう。」


リュージはジローのそばに寄って、ゼスチャーで[上級状態異常回復ポーション]を飲むように勧める。

ジローは疑いもせず、ゴキュゴキュと半分ほど飲む。


「うぉー、何コレーーー!気分爽快!!、体のおかしかったところや気怠さが、スッキリしました。気分爽快、元気溌剌!! マズイっす、空飛べるかも知れません。 マジかー、ヤバいっす。ヤバいっす!!ヤバいっす、ヤバヤバヤバいっすぅーーヤバヤバ!」


「やかましーーゎ!!」


リュージはトンファーで、まぁまぁ強めに叩く。

ジローの頭にチョッピリギズがいく。

リュージは[上級傷軟膏]をジローの頭に塗る。

傷が治る。

なんと、昔からあった10円禿げまで治った。


『即効性はないということだが、浅いものはすぐ治るのな。』


リュージは怪我の功名?、思わぬところでドロップの効能が確かめられた。


リュージたちはいったん集合して、昨晩ミーティングした、今後の身の振り方を確認する。

リュージはまず、鬼人族に変身するように指示する。

鬼人族は[子熊変身]スキルボールで取得した変身スキルで変身する。

「変身ー!」


すると、鬼人族4人は[人族]に変身する。


時間は遡る。

リュージは[子熊変身]のスキルボールを手に入れた後、スキルの考察をしていた。

[子熊変身]スキルボールもイベントリのコピーで複数個所持していた。

寧ろ、スキルボールをコピーし過ぎていた感もある。

そして、ジローがインストールした[臭い息]が進化して[ファイヤーブレス]になったのを見て、確信した。

[子熊変身]も進化すると。


[子熊変身]スキルボール

:かわいい熊に10秒間だけ変身できる。

(複製可)

特記事項【進化の可能性有】


特記事項にあると言うことは、きっと進化するのである。

リュージは思った。


『ジローの時はあまり間をおかず、一気にインストールした。もしかしたら、あまり間を置かない方がいいかもしれない。なら、今ある手持ちを1つ残して一気にインストールするか』


リュージは今ある手持ちの[子熊変身]のスキルボールを一気にインストールした。


その時にスキルをチェックしたのがこれだ。


子熊変身(レベル10で1分)

➡︎進化

大熊変身(レベル10で10分)

➡︎進化

ハーフヒューマン(レベル10で1時間)

➡︎進化

人族変身(レベル10で24時間)

➡︎進化

想像の姿(レベル10で10日間)

➡︎進化

ハーフゴッド(レベル10で1ヶ月)


合計60個ぐらいあったようだ。


『それにしても、ハーフゴッドってなんだよ。半分神さま? まぁ見かけだけだろうが、もう一段階進化していたら、ゴッド?見かけが神さまになっていたのかな? それはそれで見て見たかったが、やり過ぎてたら、危なかったな。神さまの姿なんて想像できない。自重しよう。まぁ、きっと、姿だけならどっちにしろ、いいだろう。』


そう思いながら、自分自身でスキルを試した。

この結果によると、リュージはハーフゴッドまでは変身できるが、それは自重した。

代わりに想像した人物にいろいろなってみた。

坂本龍馬、聖徳太子、伊達政宗、から始まってガリレオ、アインシュタイン、シェイクスピア、ダ・ヴィンチ、に続き、エルフ、妖精、ドワーフ、など一通り試してみた。

試して気付いたのは、

1、体格はあまり変化がない。

2、自分が想像できるものに限る。

3、変身した際に非常に魔力を消費する。進化後は更に消費魔力が多い。


の3点だ。

特に、3は魔力の多いリュージは大丈夫だが、そうじゃないものにとっては、そうそうポンポンと変身はできない。


そんな検証をリュージはしたため、鬼人族に対して、提案したのである。

[変身]スキルを使えば、ダンジョンを出た時にも、そして、その後も姿形は誤魔化せると。

また、リュージはこのダンジョンで得たアイテムで、使い道がわからないと思っていたあるアイテムの意外な使い方に気付く。

そのアイテムとはフェイクエビルトレントがドロップした[フェイクシート]だった。


体の任意の場所に貼って、イメージしたスキンに変更できる。変更時間は約24時間。


体格があまり変わらないので、この[フェイクシート]で、傷や黒子、火傷痕、イボ、などをつけることにより、万一の発覚を避ける。

地上で見張っているパーティーの中で鑑定持ちがいたら、名前で露見してしまう可能性もあるためだ。


更に、馬が本当は良かったのだが、今はないので、リュージは自分の[エアーバイク]をイベントリから取り出す。

リュージの大型バイクはシートが大きいので、頑張れば3人ずつ乗れる。

それを少し大型にして、1台をリュージがもう1台をジローが乗り、それぞれの後ろに変身した鬼人族に乗ってもらう。


ここで、問題が発生した。

ジロー、バイクに足が届かない。

もともと大型バイクのため、フットペダルまでは遠かったのだが、大きくしてしまった。

ジローの背も以前より小さい。

リュージの操作で動くので、届いていなくても良いのだが、不自然だ。

もともと、不自然な乗り物で、不自然だと不自然極まりないので、運転シートは鬼人族のカミーユにチェンジした。

カミーユなら万一があっても、闇魔法のグラビティで操作できる。


てなわけで、変身+傷跡?+エアーバイクといった3段構えで準備する。


鬼人族はフェイクシートがなぜかお気に入りで、『きゃっきゃ、きゃっきゃ』言いながら顔や手足に目立つように、貼っていく。


「うむ、これで24時間は安心だな。」


「じゃぁ、ジローはこれを被ろうか?」


と言ってリュージがジローに渡したものは[変身仮面]だった。


「リュージさん、自分も変身しなきゃいけませんか? 」


「まぁ、別にいいとは思うが、みんな変身しているのに、ジローだけ変身していないのは、寂しかろうと思ったまでだ。」


「えっ、リュージさんだって変身していないじゃないですか?」


「変身ー!」


リュージはそう唱えると顔はリュージぽぃが、耳がエルフ、全体の感じもエルフっぽくなった。


「なっなっなんでっすか。リュージさんズルいっす。自分も変身したいっす。自分もエルフしたいっす。」


「すまんな、ジロー、今、スキルボールの在庫がないんだわ。今インストールすると、子熊変身はできるけど、それだとわけわからなくなるしな。」


「わかりました。リュージさん、自分はこの変身仮面で変身します。」


「1度変身したら、結構魔力使うから、ちゃんとイメージしてからするんだ。間違っても変身だからと言ってバッタや昆虫を模した姿になったりしたらダメだからな。」


リュージの言葉を聞いたのかわからないタイミングでジローは変身した。


「変身ーー!!」


ジローは変身した。

昆虫っぽいエルフに。


「おおぃ、ジロー、何か混じっているぞ。緑色の小さなずんぐりしたエルフだけど、顔、昆虫ぽぃぞ。」


「うわーわーーーーわーわーーーーん。リュージさん、リュージさんの声が聞こえてしまいましたよー。何かへんな種族になった気がします。しかも、何か声も変です。すごく、ジャンプしたいです。落ち着かないっす!」


「ジロー、おめーは絶対遊んでいるだろう。笑わせてくれるぜ。やっぱジローは最高だ。」


「いや、リュージさん、言っていり意味がわかりません。どうしたらいいですか?」


「ウーーン、どうするかな。ジローのインパクトありすぎだな。あぁ、じゃこうしよう。ジロー用のバイクを思いついた。ちょっと待て。」


リュージはそういうと、[エアースキャホルド]で、ジロー用のバイクを作る。

ジロー用のバイクはジローが乗れるように小さめだが、フルカウルで迷彩塗装、マフラーも斜め45度にあげた。

昔の暴走族が好んだ痛ーいバイクをリュージはハングアップさせた。


「じゃ、ジロー、これで先に出て、街と反対側に向かって走らせるから、折を見て、飛び降りて隠れろ。追ってくるかどうかはわからないがな。」


よし、じゃー、地上に戻るぞ。

リュージたちは地上に戻る扉を開けて、地上へと転移した。

iPhoneの読み上げ機能で、チェックしています。

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