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026 初級ダンジョン攻略 6

リュージたちが朝起きると、何やら外が騒がしい。

セイフティハウスはジローのストーンウォールで森の外れに作ったので、冒険者にも、モンスターにも、邪魔になっていないはず。

そもそも、モンスターはこれでもかと言うくらい、根こそぎ始末したので、近所にはモンスターはいない。

そのはずだった。

リュージたちは装備を整えるとプロテクションを一部解除して、外に出た。


リュージたちが外に出てきたら、大柄な女が4人、モンスターと戦っていた。

全長3メートルはあろうかという[タイラントブラックグリズリー]だった。

しかも、群れている。

あちこちに黒い影がチラチラと見えている。


リュージはとっさにプロテクションを周囲一帯にドーム状に張った。

リュージのプロテクションはレベルも上がったので、大型魔獣ぐらいではビクともしない。

半径10メートルぐらいにドーム状に張ったものを、30メートルぐらいに強制的に広げて、[タイラントブラックグリズリー]を周囲へ排除する。

今の今まで戦っていた目の前の[タイラントブラックグリズリー]が一瞬で、遠くに排除されたので、女たちは驚く。


大柄な女4人は、[タイラントブラックグリズリー]を遠目に見つつ、リュージたちに向き直る。

突如現れた、リュージたちに警戒しつつ、4人はリュージを見て、非常に驚きの表情をした。


『大きい。我らも大きいが、彼は更に大きい。そして、美しい。あぁ、鼓動が止まらない。胸が熱い……。』


『なんてことなの。ダンジョンのこんなところで、神に会うなんて。涙が止まらない。跪いて祈りたい。』


『あぁぁぁ、なんてことなの。私の理想が今ここに!! 彼は同族かしら? 同族でなくてもいい! 』


『奇跡よ。まさに奇跡体験をしているわ。故郷を出てはや、数年。彼が私達の目的地よ。違いないわ。』



「とりあえず、排除する。」


リュージは言った後、[タイラントブラックグリズリー]を片付ける。

プロテクションはそのままにして、アイテムボックス刀をその外で振り回す。

[タイラントブラックグリズリー]はそのまま寸断される。

リュージは何の躊躇もない。

人間を襲った獣は、人間を襲った記憶を持ち、次に人間を見た際にも襲うようになる。

元いた世界のことだが、異世界ならもちろんだし、何せここはダンジョンだ。

ほぼ例外なく、ここに現れるモンスターはこちらを襲ってくる。


十数匹はいたであろう[タイラントブラックグリズリー]は、あっと言う間に片付けられた。


リュージがこれで4人も安心して話ができるだろうと、4人の方へ向く。

すると、4人が4人とも全員が跪いて祈っていた。

まるで神様にあったような祈りの格好だ。

リュージはどうしたもんかと、頭ポリポリだ。


「面をあげぃ!!」


ジローが言った。


『えっ、ジロー君、時代劇? お代官様?』


リュージは思ったが、4人はその声にピクンと反応し、やがておずおずと顔を上げた。

4人はびっくりするほど、惚けた表情で、リュージを上目遣いで見た。


「お前達はどうしてこんなところに来たんだ?」


リュージは聞きたいことをシンプルに聞いた。


「はい、我々は鬼人族です。このダンジョンには追っ手を避けるために来ました。」


鬼人族と言うことを話ししたものが、この中の代表者だろう。


「不慣れなダンジョンのため、いろいろと不覚をとりました。」


よく見ると、4人は非常に整った顔立ちをしているが、あちこち傷を負っており、汚れていた。


「ジロー、セイフティハウスに案内してやれ。」


言われてジローは女たち4人を出てきたセイフティハウスに案内する。

建坪30坪はあるセイフティハウスだが、6人入ったら、狭く感じた。


リュージはジローに別にセイフティハウスを増築するよう言った。

すると、ジローは

「わかりやしたーー!!任せてください!!」


声もものすごくはりきって、

「ストーンクリエイトーーー!!」


あっと言う間に、4人が入って有り余るような大きさの、セイフティハウスを作り上げる。

今の3倍くらいの大きさだ。

しかも、最初からバス、トイレ、キッチン付き。

部屋もかなり大きめの4LDKといった感じだ。

排水設備は床下を作り、ダンジョン地面に落としている。


「ほぉ、ジロー、なかなかのもんだな。一瞬でよくここまでいけたな。」


「ありがとうございます。細部までイメージができていたので短時間でいけました。はりきりすぎて、魔力枯渇っす。」


そう言うと、ジローは元の部屋に戻って、まだ、残してあったベッドに横になった。

リュージは自分のベッドを一旦イベントリに布団ごと、収納した。

そして、4つ複製して、新しく作ったセイフティハウスの寝室へ出した。

ただ、大きさを2倍に大きくして出した。


リュージも大きいが、鬼人族4人もかなり大きい。

ほぼ、リュージと肩を並べるぐらいの背の高さだ。

リュージは細身のマッチョタイプ。

鬼人族4人は筋肉質でスタイルもいい、いわゆるセクシーマッチョタイプ。

どちらにも共通して言えることは、普通のベッドでは狭いということだ。


昨晩、検証しててわかったことがあった。

一旦、イベントリに入れたものは、状態維持の魔法がかかるのか、暖かいものは暖かいまま、冷たいものは冷たいまま、維持され、取り出した時には入れた時と同じ状態で出されることがわかっている。

それに加え、リフレッシュの機能もついているらしく、例えばベッドにあるシーツや布団も汚れや汗などは分離されるようだ。

そのため、イベントリに入れた衣類や食器などは、汚れが取れて、清潔にキープされる。


よく、ラノベではクリーンの魔法を使うシーンがあるが、あれは発動基準がよくわからない。

汚れを落とすにしても、体のどこまでを落とすのか?

デリケートな部分はどうなのか?

皮膚から1ミリメートルを刮げ落とすのか?

ヒゲや髪の毛はどうなのか?

毛穴や頭皮は?

まぁ、そんなわけで、あまり現実味のない魔法かな?と思ってしまうのである。

突き詰めれば、魔法自体が?って話だが、それは話が進まないので、別の機会に置いておこう。


ジローが寝てしまったようなので、風呂にリュージがプチウォーターとプチファイヤーを使って湯を作る。

湯船は10人が入れそうな大きさだ。

ジローも昨日、リュージに言われたから、考えたようだ。


道具屋で買ったお風呂セットをこれまた、複製して、大きさを2倍ぐらいの大きさに変えて、風呂場に出しておく。


キッチンに戻り、適当に食料をテーブルに出しておく。


ここまで、かかった時間は3分ぐらいか。


鬼人族4人は、家が建ち、部屋が準備され、食事の用意もされたのを、奇跡でも見るような目で見ていた。


「まず、話を聞きたいから、食事にしようか。テーブルに座ってくれ。」


リュージがそう言うと、鬼人族4人は恐る恐るテーブルに座った。


リュージは4人を安心させる為に、まずは自分達のことを話すことにした。


リュージは

・自分達はダンジョンを踏破する為にきており、昨晩はここ25階層に泊まったこと。

・自分とジローは空間魔法と土魔法の使い手で、家は土魔法、道具は空間魔法のイベントリから取り出したこと。

・遠い東の国からきて、そこではまぁまぁの実力者だったこと。

などを話しした。


4人はそれを聞いて、少し安心したのか、今度は自分達のことを話し出した。

4人が順不同で話し出し、話した相手の補足をするように、また別のものが話し出すといった感じだった。

取り止めがない。

リュージは元の世界の女性たちを久しぶりに思い出した。

別に嫌ではないが、今はまだダンジョン攻略の途中だから、のれない。


4人の話をまとめるとこんな感じだ。


・4人はいろいろ訳あって故郷を出た。

・旅の途中で、良からぬ輩に目を付けられて、追われる身になった。

・追っ手を巻くだけのつもりで入ったダンジョンで、思わぬほど深入りしてしまった。

・思わぬ奇襲を受けて、[タイラントブラックグリズリー]をトレインしてしまい、リュージ達に助けられた。


話の流れで、4人はおそらく10代後半ぐらいかなと想像できた。

鬼人族は戦闘民族でもあり、女4人ではあるが、初級ダンジョンをここまで踏破するだけの実力は充分あるようだ。

リュージは悩んだ。

このまま30階層をめざすか、20階層に戻って一旦、地上に戻るか?


とりあえず、鬼人族4人には食事をして、風呂に入り、ベッドに横になってしばらく休む様に指示した。

そうしないと、いつまでも話していそうだったからだ。

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