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016 初めてのダンジョン

倉庫後にしたリュージたちは、西門を出て初級ダンジョンのサイムダンジョンへ向った。

ギルドの資料と地図によると、サイムダンジョンは西門を出て1時間しない場所にあるらしい。

リュージは予め、ギルドの地図を確認していたので、迷いなく歩を進める。


「たぶん、あれだな。見た目、でっかい洞窟だな。中はかなり奥深そうだ。入り口は大きいが、中は狭そうだ。」


リュージたちはダンジョンの入り口に立っていた。

[サイムのダンジョン]と、立て看板があるので、ここで間違いないだろう。

門番や監視役などはいない。

一応、立札があり、簡単な説明が書いてある。

特に気にする事柄もなかった。


「じゃ、入るか。」


「ヘイ、参りましょう。」


2人は普通にダンジョンへ入っていった。

不思議なことに、ダンジョン内は真っ暗かと思われたが、薄暗い感じだった。

ダンジョン内の壁がどう言う理屈かわからないが、発光しているとしか考えられない。

空気も循環しているのか、特に息苦しいとか、生暖かいとか言ったこともなかった。


「ふーん、何か不思議な洞窟って感じだな。1Fから3Fまでは、グレーラットとブルーラット、その上位種のブラックラットなどが出てくるらしいぞ。」


「早速出ました。デカイっす。猫ぐらいありますね。ストーンウォール!」


ジローはグレーラットを包み込むように、ストーンウォールを展開した。

その後、ストーンウォールの厚みを増していった。


「やっぱ、ダメっすね。囲ったら窒息するかと思ったけど、耐久力ありますね。リュージさん、アイテムボックス刀で、やっちゃって下さい。」


「わかった。」


リュージは短く言うと、アイテムボックス刀を出して、ストーンウォールごと真っ二つにした。

すると、グレーラットは


「キャウー」


と短く叫び絶命した。

しばらくすると、絶命したグレーラットは魔石とラット肉と言う不思議なアイテムに変わった。


ダンジョンではキラーエイブみたいに死体は残らない。

どう言う仕組みかわからないが、魔石やアイテムに変わる。

中にはレア素材と言うものもあり、何千匹に1匹と言った確率で、ドロップするものもあるらしい。


「魔石に変わりましたね。これ、きっと置いていたら、その内ダンジョンに吸収されると思います。リュージさん、早めにアイテムと魔石をアイテムボックスに回収して下さい。」


「何でダンジョンだけ、ドロップが変わるんだろうな?どう言う理屈なんだろうな? 」


「ドロップ品がしばらくしたら、ダンジョンに吸収されるのなら、ダンジョン外から持ってきたこのトンファーも吸収されるのか? 人間のような生き物は吸収されるのか?」


この問いに対する答えは、今のところ不明だ。

実際にやったやつに聞いたり、自身が実際にやるしかない。


「先に進むぞ。」


リュージたちは先に進んだ。

1Fはそんなにラットの数がいなかったため、順調に進んだ。

やがて2Fの階段を見つける。

2Fはラットの数が多くなった感じだった。

グレーラットは魔石とラット肉を時々ドロップした。

ブルーラットは魔石はあまりドロップしなかったが、[ブルーライト]と言う鉱石をドロップした。

まぁ、何か必要になるかもしれないので、アイテムボックスに回収した。


結構な数が出てくるため、ジローのストーンウォールで覆えないケースも出てきた。

大概、覆う済んでのタイミングで、ラットがすり抜けてくるだためだ。


溢れてきたラットはリュージのアイテムボックス刀の餌食だ。

ストーンウォールの覆う箇所は下から上にせり上がり、最後に上部が合わさるため、上に逃れるラット。

それをリュージがアイテムボックス刀で、まるで船のスクリューのように回転させながら次々と倒していく。

ストーンウォールで覆った箇所も切り刻む。


「初級ダンジョンなのに、モンスター多いな。まぁ、でもだいぶ出てこなくなったから、少なくなったとみていいな。」


リュージたちは知らなかったが、ラットゲンと言うラット系魔物避けのアイテムがあり、それを携帯していると、ラット系魔物は近寄ってこないらしい。

普通はそのラットゲンを使用して、適度に散らすのが、このダンジョンの低層での要領良いやり方らしい。


しかし、リュージらは、正直に討伐しながら進んだため、かなりの数のラットが死滅した。


「あれが、3Fの階段だな。ジロー、降りるぞ。」


「ヘイ… 。 リュージさん、何か自分、体から力が溢れてくる感じがあります。ストーンウォール以外のこともできる気がします。」


「ん?レベル上がったかな? できることが増えたなら、喜ばしいことだ。使いこなせるようにドンドン使え。」


2人は会話しながら3Fへ降りていく。

本当にダンジョンて不思議だ。

こんな広い空間が幾重にも重なっているのにもかかわらず、息苦しくもなく、寒くもなく、暗くもない。


まぁ、ここのダンジョンがそうだと言われればその通りなのだろうが、元いた世界では考えられない。


3Fは3種類のラットが複合して、攻撃してきた。 上位種のブラックラットは2まわり程大きい。

リュージたちはストーンウォールである程度、足止めしながら、リュージのアイテムボックス刀で、同じように殲滅していった。

極たまに、擦り抜けてきたやつは、リュージがアイテムボックスをオープンにして、半身が入ったタイミングで、シャットアウトして、2つに分断した。


既に相当量の魔石とアイテムが貯まった。

特に魔石は1000以上既にリュージのイベントリにある。

イベントリはリスト表示され、数も自動で計算されアイテム名の横に何個あるかの数を表示してくれている。


「ジロー、おめーが言っていた、ストーンウォール以外にも出来そうなものってなんだ?」


リュージはブラックラットを倒しながらジローに聞く。


「えっとですね。ラノベ的な展開でいうと、ストーンクリエイトとかですかねー。」


「ウォールは壁で比較的イメージが簡単で、周りの土を使って盛り上げるだけなので、土魔法使いは比較的初期で身につけます。」


「ストーンクリエイトは壁以外のものを作り上げるスキルです。これも周りにある土を使うので、イメージさえできれば作れるとされています。」


「ひと段落ついたようだ。しばらくは出てこないだろう。ジロー、おめーが言うストーンクリエイト、やってみな。」


「ヘイ。やってみます。ストーンクリエイト!!」


すると、土が盛り上がり、2つの円錐形の物体を作りあげた。


「ほほぅ…。椅子か。 なかなかいいな。地べたに座るのは抵抗あったから、椅子があったら便利だな。 ジロー! スゲーぜ。」


「ありがとうございます。机も作ってみます。ストーンクリエイト!!」


すると、椅子と椅子の間が盛り上がり、長方体の机が出現した。


「うーむ。まぁまぁだな。椅子と机の間が狭い。椅子と机は移動できないから、最初から椅子と机をイメージして作った方がいいかもな。」


「作り直します。ストーンクリエイト!!」


今度は一気に机と椅子が同時に地面から盛り上がり、出現する。

しかも、今度の机は長方体ではなく、脚があった。


「ほぉー、ジロー、なかなかやるな。 これなら多少狭くても、足が入るな。いいぜ。」


「リュージさんのアドバイスのお陰です。」


ジローは照れながら、笑った。


「あとはセキュリティハウスの実験か。ジロー、まだ行けそうか?」


「たぶん、まだ、楽勝っす。ダンジョンの行き止まりを利用して、その反対側を塞いで仕舞えば、セキュリティハウスの完成っす。」


「リュージさんと自分の2人分のスペースなら比較的簡単にできると思います。リュージさん、こっちに寄って下さい。」


言われて、リュージはジローの方に寄る。


「ストーンウォール!!」


ジローはダンジョンの行き止まりの反対側をストーンウォールで塞ぐ。

壁はかなりの高さだ。ダンジョンの天井まで届いている。

広さはかなりあるため、息苦しくはない。


「秘密基地みあたいですね。このスペースで安全にくつろぐことができたら、セキュリティハウスとして仕上がりですね。」


「まぁ、ダンジョンの仕組みに慣れないと、そこんとこはわからないな。比較的安全な低層で、試してみるしかないな。囲ったはいいが、このスペースの床はダンジョンの床だから、モンスターが出てこないとも限らないからな。」


「リュージさん、自分の腹時計によると、もうすぐ夕方です。いったん、街に帰りませんか?」


「ジロー、おめーの腹時計はわからないが、俺も動いて腹も減ってきている。まだ、我慢できる範囲だが、そのうち腹も鳴るだろう。夕飯になるものは持ってきていないし、今日のところは戻ろう。イベントリが修得できたし、次からは弁当を準備しよう。冒険者ギルドへの清算もあるな。」


そう言って2人はダンジョンを出て、街へと帰還した。


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