108 中級ダンジョン42階層1
リュージはジローと交代せずに、そのままチームJ、本来ジローがいたチームと合流した。
本来はジローがいるチームなので、一応、リュージはジローに渡した簡易版の通信機で連絡をしたら、あっさり了承していた。
その方がいいそうだ。
この簡易版通信機は以前に作ったものの改良版で、ジローが作り出したファインセラミック製の板にリュージがエアースコープを付与したものである。
エアースコープと言っても、レンズがあるものではなく、5ミリメートル程度の穴が空いているだけである。
その5ミリメートルの穴を押すと、穴が開いて相手の声が聞こえてくるのである。
向こうかこっちが押せば開く仕組みだ。
今のところ、この新しい通信機の穴は20個ほど開けてある。
つまり20個通信機があり、20人と会話ができるようになっているわけである。
しかも、これはリュージの空間魔法なので、携帯電話のように電波塔も必要ないし、地下だからといって通話がしにくいといったこともない。
欠点としては人数制限があることぐらいか。
開けた穴だけしか通話はできないのだ。
リュージの場合は穴の大きさも自由自在なので、その気になれば持っている相手の元に行くこともできるが今のところ、そこまでの緊急性があったことはない。
まだまだ、トライアル版なので身内しか渡していない。
以前の劣化版は各部族に1つずつは渡してある。
穴は1つしか空いておらず、リュージとだけは通話ができるようにはなっているが、なぜが不人気で使われた形跡がない。
どうやら板状の穴に向かって話しかけることに抵抗があるようなのだ。
『まぁ、それなら、拡大レンズでもつけてTV電話にでもするかな。そこまでするのなら、ゲートくぐって直接会った方が良いのか。こんな発想するのはやっぱり俺が21世紀の人間だからかな。まぁ、その内、慣れるか新たなアイデアが浮かぶかするだろう。』
リュージはイマイチ腑に落ちないでいたが無理矢理 落とした。
42階層は41階層とはうって変わって、半分くらいが湖といったロケーションだった。
「これは面倒なことななりそうだな。」
リュージは思わず口に出して言ってしまった。
一応、全員がグリフォンのお守りをつけているため、普通にしていれば、宙に浮き続けることは可能である。
体重の重い者でもグリフォンのお守りは身につけていれば浮力を上げてくれるので、3つも身につけていれば、充分に浮くことはできる。
リュージが面倒なことになりそうだと言ったのは、別の理由が会った。
リュージは新しい階層に来た時はエアーサーチを実行して、次の階層の入り口がどこにあるか確認している。
そのエアーサーチの結果が告げている。
『この湖に大量のモンスターがいる』
「湖に大量のモンスターがいるけど、どーする?避けて通るか?倒すか?」
「リュージ様の好きなようでいいのでは?」
トコートが言ったが、リュージはグループJの顔を見回した。
皆の顔はリュージを真っ直ぐに見て、ニコニコして楽しそうだったので、宣言した。
「湖を縦走しよう。足場は作るから、遭遇したらエアーフライングバイクで走り周ってもよし、足場=エアーブリッジをもとに戦ってもよしでよろしく。」
そう言うと、リュージはエアーブリッジを展開した。
以前と違って、魔力量も格段に上がったので、一気に終点までのブリッジをかけることができた。
いざとなれば、エアーフライングバイクにまたがったまま、エアーブリッジを通って超高速で走ればあっと言う間に次の階層だ。
まぁ、流石にそれではあまり面白味に欠けるので、やらない。
ダンジョン探索は元々は鬼神族のルイーズ、カミーユ、エマ、イリスのレベルアップのためであったが、彼女ら4人もすでにレベル150オーバーの強者になっている。
人族の貴族がいくら高ランク冒険者を雇って狙わせたとしても、弾き返せる実力はもう充分にある。
なので最近のダンジョン探索は自分たちの今後に役立つドロップアイテムを獲得したり、必要なスキルを身につけたりするのが主目的になっている。
また、付いてきている獣人族や鬼神族の仲間たちはダンジョンドロップを売却してその売却益で収入を得ている。
最初は、リュージが提供してくれたディメンションワールドの実りある土地に対しての感謝のつもりだったが、リュージがドロップのほとんどを渡していたので、結果、収入となったのだ。
というわけで、リュージたちはエアーブリッジの上を走り出した。
走り出してすぐに、モンスターの気配がしたと思うと、エアーブリッジの上に湖から上がってきたモンスターが次から次へと登場した。
モンスターは人型で、青っぽい魚のような顔をしていた。
全身はトゲトゲした鱗のような表皮に覆われ、手足には水かきがあり、鋭い爪が付いていた。
鑑定
サハギン:水棲モンスター。鋭い爪と鱗が特徴。大型でパワーもあるため、爪などに引っかかれると大ダメージを負う。
「サハギンです。爪に注意です。」
トコートに言われるまでもなく、見るからに凶悪そうなで、特に中でもサハギンの爪の1本だけ一番長く鋭い。
サハギンは次々と水からでてきて、リュージが作ったエアーブリッジの上に上がってきた。
その数はすでに200を超える勢いだ。
リュージ+チームJと大量のサハギンとの戦いが始まった。




