第16章:闘技場の大戦
サンライズ帝国への入城
広大な草原を、三日間かけて歩いた。
そして、ついに――
サンライズ帝国の都、旭京の城門前に到着した。
旭京の城門
高さ:約30メートル
巨大な木造の門。
朱色に塗られ、金の装飾が施されている。
門の上部には、巨大な漢字が刻まれている。
「旭」
太陽の国の象徴。
門の両脇には、二人の武士が立っていた。
門番の武士
完全武装。
黒と赤の鎧。
腰には、二振りの刀――大刀と小刀。
顔には、厳しい表情。
「止まれ!」
武士の一人が、槍を横に構えた。
「何者だ?」
「旭京への入城目的を述べよ」
私は一歩前に出た。
冒険者カードを取り出す。
「我々は、冒険者です」
「ランクC」
「帝国内での仕事を探しに来ました」
武士がカードを受け取り、注意深く調べた。
ルーン文字を確認し、偽造でないか検証している。
「...ふむ」
彼はカードを返した。
「確かに、正規のカードだ」
「入城を許可する」
「だが――」
彼の目が鋭くなった。
「帝国内で問題を起こせば、即座に牢に入れるぞ」
「いいな?」
私は頷いた。
「承知しました」
門が、ゆっくりと開いた。
ギギギギ...
重厚な音を立てて、巨大な門が左右に開いていく。
そして――
私たちは、サンライズ帝国の首都に足を踏み入れた。
旭京の街並み
門をくぐった瞬間――
私たちは、息を呑んだ。
旭京の光景
街全体が、和風建築で統一されていた。
木造の家々。
二階建て、三階建ての町家が並んでいる。
屋根は、黒い瓦。
壁は、白漆喰と木の格子。
赤い鳥居が、あちこちに立っている。
神社への入り口。
石畳の道。
綺麗に整備されている。
両脇には、用水路が流れている。
美しい庭園が、至る所にある。
松の木、桜の木、竹林――
緑が豊かだ。
そして、街には多くの人々がいた。
武士たち。
刀を腰に差し、威厳を持って歩いている。
商人たち。
様々な商品を売っている。
刀、鎧、絹の着物、陶器――
一般市民たち。
着物を着て、日常生活を送っている。
シロが、目を輝かせた。
「わあ...!」
「すごい!こんな街、初めて見た!」
彼女が嬉しそうに飛び跳ねる。
セレスティアが、優しく注意した。
「シロ、落ち着いて」
「目立ってはダメよ」
ルナも周囲をキョロキョロ見ている。
「でも、本当に綺麗...」
美味しそうな匂い
私たちは、街を歩き始めた。
市場を通り過ぎ、武家屋敷の前を通り、神社の脇を抜ける。
その時――
美味しそうな匂いが漂ってきた。
「う...」
ルナのお腹が鳴った。
グゥゥゥ...
「あ...」
ルナが顔を赤くした。
「ごめんなさい...」
イグニソールが笑った。
「確かに、腹が減ったな」
「何か食べよう」
匂いの元を辿ると――
大きな料理屋があった。
桜亭
二階建ての立派な料理屋。
入り口には、大きな提灯が吊るされている。
「桜亭」
と、筆で書かれている。
店の外には、看板が立っていた。
「帝国一の拉麺と天麩羅!」
「ラーメン...?」
シロが首を傾げた。
「それ、美味しいの?」
ラーヴァンが微笑んだ。
「入ってみよう」
桜亭の中
店の中は、美しかった。
木の床。
磨き上げられ、ピカピカに光っている。
畳の座敷。
いくつもの個室がある。
提灯の明かり。
温かい光が、店内を照らしている。
「いらっしゃいませ!」
元気な声が響いた。
店主が出てきた。
店主 - 太郎
年齢:50代
太った体格。
だが、その顔は優しく、笑顔が絶えない。
白い料理服を着ている。
頭には、白い手拭い。
「ようこそ、桜亭へ!」
太郎が満面の笑みで言った。
「何名様ですか?」
「七名です」
私が答えた。
「かしこまりました!こちらへどうぞ!」
太郎が、大きな座敷に案内してくれた。
注文
私たちは、座敷に座った。
太郎が、メニューを持ってきた。
「当店のおすすめは――」
「醤油ラーメン、味噌ラーメン、塩ラーメン」
「そして、海老天丼です!」
私は、醤油ラーメンを一杯注文した。
だが――
ラーヴァンが言った。
「私は、醤油ラーメン三杯」
イグニソールが言った。
「私は、味噌ラーメン二杯」
セレスティア、ルナ、アラネ、シロも――
それぞれ一杯ずつ注文した。
合計:八杯。
太郎が目を丸くした。
「は、八杯...!?」
「お、多いですね...」
ラーヴァンが笑った。
「問題ないだろう?」
「あ、はい!もちろんです!」
太郎が慌てて厨房へ駆けていった。
食事の始まり
20分後――
料理が運ばれてきた。
ラーメン
大きな丼。
中には、黄金色のスープ。
その上に――
太い麺。
チャーシュー。
煮卵。
メンマ。
ネギ。
美味しそうな湯気が立ち上っている。
私は、箸を手に取り――
一口、麺をすすった。
「...!」
美味い。
スープの味が濃厚で、麺がもっちりしている。
チャーシューは柔らかく、煮卵は完璧に半熟。
「これは...素晴らしい」
私は感動した。
だが――
他の者たちは、もっと凄かった。
食べる竜たち
ラーヴァンが、三杯を次々と平らげていった。
ズルズル!ズルズル!
一杯目、5分で完食。
二杯目、3分で完食。
三杯目、2分で完食。
イグニソールも、負けていなかった。
ガツガツガツ!
二杯を、あっという間に食べ終えた。
そして――
「おかわり!」
さらに二杯追加注文した。
セレスティアとルナも、意外と食べる。
それぞれ一杯では足りず――
「もう一杯ください」
アラネも、静かに二杯目を注文した。
シロは、小さな体で頑張っていた。
「う...お腹いっぱい...」
だが、彼女も一杯半は食べた。
そして――
最終的な杯数。
私:一杯
ラーヴァン:三杯
イグニソール:四杯
セレスティア:二杯
ルナ:二杯
アラネ:二杯
シロ:一杯半
合計:十五杯半。
請求書の衝撃
食事が終わった後――
太郎が、請求書を持ってきた。
その顔には、複雑な表情。
「お、お会計です...」
彼が震える手で、紙を差し出した。
私は、紙を見た。
そして――
「!?」
【請求額:5,000ゴールド】
「ご、5000...!?」
私は驚愕した。
一杯のラーメンが、300〜400ゴールドだった。
そして、十五杯以上――
私は、慌ててポケットを探った。
だが――
空っぽ。
「あの...」
私は冷や汗を流しながら言った。
「実は...お金が...ありません...」
沈黙。
太郎の顔が――
真っ赤になった。
「な...!?」
「金がない!?」
「どういうことだ!?」
解決策の提案
私は、必死に説明した。
「申し訳ありません!」
「私たち、新米冒険者で...」
「こんなに食べるとは思わなくて...」
「何か仕事をさせてください!」
「絶対に返します!」
太郎が、腕を組んで考え込んだ。
「仕事...?」
「そんな簡単に、5000ゴールド稼げる仕事なんて...」
その時――
太郎の目が、キラリと光った。
「...そうだ」
「一つ、方法がある」
私は前のめりになった。
「本当ですか!?」
太郎が説明し始めた。
「今夜――」
「大闘技場で、格闘大会が開催される」
「優勝賞金は、10,000ゴールド」
「もし、お前たちが優勝すれば――」
「借金は帳消しにしてやる」
「それどころか、5,000ゴールドが残る」
ラーヴァンとイグニソールの目が、同時に輝いた。
「闘技場...!?」
ラーヴァンが興奮した様子で言った。
「戦いか!?」
イグニソールが拳を握りしめた。
「面白い!」
「久々に、体を動かせる!」
私は少し不安だった。
「でも...僕たち、力を封印してるんですが...」
ラーヴァンが笑った。
「心配するな、息子よ」
「力を封印していても――」
「戦闘技術は残っている」
「それだけで、十分だ」
大闘技場へ
夜になった。
私たちは、旭京の中心部にある――
大闘技場へと向かった。
帝国大闘技場
直径:約300メートル
収容人数:50,000名以上
円形の巨大な建造物。
石と木で作られている。
外壁には、無数の松明が灯されている。
闘技場の中央には、戦闘用の舞台。
直径50メートルの円形舞台。
周囲には、青白い魔法障壁が張られている。
そして、闘技場の最上階――
VIPボックスがあった。
豪華な席。
金と赤で装飾されている。
そこに、四人の人物が座っていた。
四守護神
サンライズ帝国を守る、四人の英雄。
【世界の声】:『四守護神検出。』
『カズキ - 剣神』
『ハナ - 炎神』
『リク - 雷神』
『ユミ - 風神』
『全員、半神級(Demigod Level - Low Tier)。』
ラーヴァンが、VIPボックスを見上げた。
そして――
ニヤリと笑った。
「半神か...」
「面白い」
「久々に、楽しめそうだ」
大会開始
大会が始まった。
最初は、小さな戦いから。
Cランク冒険者同士の戦い。
Bランク冒険者同士の戦い。
だが、ラーヴァンとイグニソールが参加すると――
状況は一変した。
ラーヴァンの戦い
第一試合。
相手は、Bランクの大柄な戦士。
巨大な戦斧を持っている。
「かかってこい!」
戦士が斧を振り上げた。
ラーヴァンが、静かに立っている。
手ぶら。
武器なし。
戦士が、斧を振り下ろした。
「砕け!」
ラーヴァンが――
片手で、斧を受け止めた。
「!?」
戦士が驚愕した。
そして、ラーヴァンが――
軽く押した。
戦士が、吹き飛んだ。
ドガァン!
舞台の端まで転がっていった。
「勝者、ラーヴァン!」
観客席が、どよめいた。
「あれは...何だ...!?」
「素手で斧を...!?」
イグニソールの戦い
イグニソールも、圧倒的だった。
相手がどんな武器を持っていようと――
一撃で終わらせた。
パンチ一発。
キック一発。
それだけで、相手は戦闘不能になった。
「これは...モンスターか...!?」
観客たちが叫んだ。
決勝へ
次々と対戦相手を倒し――
ついに、決勝戦となった。
ラーヴァン vs イグニソール。
だが――
その時、VIPボックスから声が響いた。
「待て!」
一人の男が立ち上がった。
カズキ - 剣神
年齢:30代後半
黒い髪を後ろで結んでいる。
鋭い目つき。
腰には、伝説の刀――雷刃。
赤と金の鎧を纏っている。
「私が――」
カズキが舞台に飛び降りた。
「この謎の戦士に挑戦する!」
観客席が、沸き立った。
「剣神様が!?」
「これは...伝説の戦いになる!」
ラーヴァンの宣言
ラーヴァンが、カズキを見た。
そして――
静かに、だが力強く言った。
「一人では、つまらない」
「!?」
カズキが眉をひそめた。
ラーヴァンが、VIPボックスを見上げた。
「四守護神――」
「全員、一度に来い」
「!?」
観客席が、完全に静まり返った。
そして――
爆発的な反応。
「何!?」
「四人同時に!?」
「こいつ、正気か!?」
「自殺行為だ!」
カズキの顔が、怒りで歪んだ。
「貴様...」
「我らを侮辱するか...!」
ラーヴァンが微笑んだ。
「侮辱?」
「いや――」
「これは、賛辞だ」
「お前たち四人なら――」
「少しは楽しめるかもしれない」
VIPボックスから、残りの三人が立ち上がった。
ハナ - 炎神。
赤い髪の女性。炎を纏っている。
リク - 雷神。
青い髪の男性。雷を放っている。
ユミ - 風神。
緑の髪の女性。風を操っている。
四人が、舞台に降り立った。
そして――
ラーヴァンを囲んだ。
賭博開始
観客席で、賭けが始まった。
「四守護神が勝つ!オッズ1:2!」
「謎の戦士が勝つ!オッズ1:100!」
ほぼ全員が、四守護神に賭けた。
だが――
私は、太郎を呼んだ。
「太郎さん」
「な、何だ?」
太郎が緊張した顔で答えた。
「持っているお金、全部賭けてください」
「ラーヴァンに」
「!?」
太郎が驚愕した。
「お、お前...正気か!?」
「四守護神様は半神だぞ!?」
私は微笑んだ。
「信じてください」
「私の父は――」
「勝ちます」
太郎が、私の目を見つめた。
その目には――
絶対的な確信があった。
「...分かった」
太郎が決意した。
「お前を信じる」
彼は、この大会で稼いだ全財産――
100,000ゴールド
を、ラーヴァンに賭けた。
オッズは、1:100。
もし勝てば――
10,000,000ゴールド。
大戦開始
「試合開始!」
審判が叫んだ。
瞬間――
四守護神が、一斉に攻撃を開始した。
カズキが、雷刃を抜いた。
「雷神剣・天雷斬!」
刀から、巨大な雷が放たれた。
ハナが、両手を広げた。
「炎神術・業火竜巻!」
炎の竜巻が発生した。
リクが、拳を天に掲げた。
「雷神拳・落雷撃!」
空から、雷が降り注ぐ。
ユミが、手を振った。
「風神舞・疾風障壁!」
風の障壁が形成された。
四つの攻撃が、ラーヴァンに襲いかかった。
ドガァァァン!!
爆発が起きた。
煙が舞台を覆う。
「やった...!?」
観客たちが息を呑んだ。
だが――
煙が晴れると――
ラーヴァンが、そこに立っていた。
無傷。
服も汚れていない。
まるで、何も起きなかったかのよう。
「...は!?」
カズキが信じられない表情で叫んだ。
ラーヴァンが、静かに言った。
「私の番だ」
圧倒的な実力
ラーヴァンが、動いた。
だが――
誰も、その動きを見ることができなかった。
一瞬後――
バン!
カズキが吹き飛んだ。
ドガッ!
ハナが地面に叩きつけられた。
ガン!
リクが壁に激突した。
シュッ!
ユミが舞台の外に放り出された。
所要時間――
30秒。
四守護神が、全員地面に倒れていた。
意識はある。
だが、体が動かない。
カズキが、震える声で言った。
「な...何者だ...お前は...」
ラーヴァンが、静かに答えた。
「私か?」
「ただの旅人だ」
「だが――」
彼が微笑んだ。
「2000年前、私は37柱の真神と同時に戦った」
「お前たちは――」
「まだ、子供だ」
観客席が、完全に沈黙した。
そして――
ゆっくりと、拍手が始まった。
パチ...パチ...パチ...
それが、波のように広がっていく。
パチパチパチパチ!
そして――
歓声が爆発した。
「チャンピオン!」
「チャンピオン!」
「チャンピオン!」
勝利の報酬
太郎が、私たちの元に駆け寄ってきた。
涙を流している。
「勝った...!」
「勝ったぞ!」
「10,000,000ゴールドだ!」
私は微笑んだ。
「では、借金は...?」
太郎が笑った。
「借金!?」
「そんなもの、もう存在しない!」
「あなた方は――」
「桜亭の永久無料パスだ!」
「いつでも、何でも、好きなだけ食べてくれ!」
ラーヴァンが、私の隣に来た。
「どうだ、息子よ」
「戦闘技術は――」
「いつでも役に立つだろう?」
私は頷いた。
「はい、父さん」
サンライズ帝国での最初の夜――
忘れられない夜となった。




