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第15章:外界への旅立ち

静かな決意

大竜闘技祭から、一夜が明けた。

王国は、祭りの余韻に包まれていた。

住民たちは、まだ興奮冷めやらぬ様子で、竜たちの戦いを語り合っている。

だが、私は――

城の自室で、一人静かに考えていた。

窓の外には、満天の星空が広がっている。

「外の世界...」

私は呟いた。

「一度、見てみたい」

ドラゴンハート王国は、素晴らしい。

だが――

「ここだけでは、世界のことは分からない」

五大国がどんな場所なのか。

人々はどう生きているのか。

外の世界は、どんな問題を抱えているのか。

「知らなければ...何も変えられない」

だが、問題があった。

「僕の力は...強すぎる」

私の魔力は、エンシェント・レベルを遥かに超えている。

もし、他の王国に行けば――

即座に感知される。

そして――

恐怖されるか、敵視されるか。

どちらにしても、平和的な交流は不可能だろう。

「どうすれば...力を隠せる...?」

その時――

私は思い出した。

「古代知識の書...!」

あの本なら、何か方法を知っているかもしれない。

永遠世界への再訪

私は、永遠世界への門を開いた。

WHOOSH!

光に包まれ――

永遠世界へと転移した。

剣の海を抜け、三つの古代樹の元へ。

そこに浮かぶ、金色の本。

古代知識の書。

私は本に触れた。

本が、ゆっくりと開く。

「教えてくれ」

私は尋ねた。

「自分の力を、完全に隠す方法を」

ページが、高速でめくられ始めた。

パラパラパラパラ...

そして――

特定のページで止まった。

力の隠蔽(Power Concealment)

- 神聖なる力を隠す技術 -

私は、そのページを読み始めた。

だが、読む必要はなかった。

知識が、直接脳に流れ込んできた。

【世界の声】:『力の隠蔽技術習得中...』

『この技術により、あなたは自身の力を完全に封印できます。』

『封印された力は、永遠世界に保管されます。』

『外部からは、あなたは普通の人間に見えます。』

『魔力感知、オーラ読取、神聖視――全て無効化されます。』

『発動方法:「完全制御:起動(Full Control: Activate)」と唱えるだけ。』

『解除方法:心の中で望むだけ。力は瞬時に戻ります。』

【世界の声】:『力の隠蔽技術、習得完了。いつでも使用可能です。』

私は微笑んだ。

「完璧だ」

仲間の選定

翌朝。

私は、城の大広間に全配下を集めた。

47,826名全員――とはいかないが、主要な幹部たちは全員集まった。

私は宣言した。

「皆、聞いてくれ」

「私は、外の世界を見に行きたい」

瞬間、ざわめきが広がった。

「外の世界...!?」

「ヴィカース様が...!?」

ヒマリが前に出た。

「ヴィカース様...それは...危険では...?」

私は首を横に振った。

「危険は承知している」

「だが、この王国の外を知らずに――」

「真の王にはなれない」

グロマシュが力強く言った。

「ならば、我らが全軍で同行します!」

「ヴィカース様を守るために!」

だが、私は手を上げて制止した。

「いや」

「大軍で行けば、注目を集める」

「私は――静かに、観察したい」

「だから、少数精鋭で行く」

「6〜7名だけ、連れて行く」

場が、一気に騒然となった。

「私を連れて行ってください!」

「いや、私を!」

「ヴィカース様、私が守ります!」

無数の声が上がった。

私は深呼吸をし、決断した。

選ばれし者たち

「シロ」

私が最初に呼んだ名前。

小さな白い狐少女が、驚いて飛び上がった。

「え...私...!?」

「そうだ」

私は微笑んだ。

「お前は若く、好奇心が強い」

「そして、頭がいい」

「外の世界を見るのに、最適だ」

シロが、涙を浮かべて頷いた。

「は、はい!頑張ります!」

「次に――」

「竜たち全員」

ラーヴァン、セレスティア、ルナ、イグニソールが前に出た。

「四頭の竜が同行する」

ラーヴァンが笑った。

「当然だ。息子の旅に、父が同行しないわけにはいかない」

セレスティアが優雅に頭を下げた。

「護衛させていただきます」

ルナが嬉しそうに飛び跳ねた。

「やった!冒険だ!」

イグニソールが力強く頷いた。

「外の世界、久しぶりだな」

「そして最後――」

「アラネ」

黒蜘蛛女王が、静かに前に出た。

「ヴィカース様...光栄です」

私は説明した。

「お前の隠密能力が必要だ」

「情報収集、偵察――」

「お前以上の適任者はいない」

アラネが深く頭を下げた。

「この命、お使いください」

最終メンバー

ヴィカース(私) - リーダー

シロ - 2尾狐族、好奇心旺盛

ラーヴァン - 至高竜、父

セレスティア - 白竜姉、護衛

ルナ - 白竜妹、護衛

イグニソール - 熔岩竜、戦力

アラネ - 黒蜘蛛女王、諜報

力の封印

「だが、一つ問題がある」

私は言った。

「私たち全員、強すぎる」

「外の世界に行けば、即座に感知される」

「恐怖されるか、敵視されるか――」

「どちらにしても、平和的な観察は不可能だ」

「だから――」

私は古代知識の書から学んだ技術を、全員に教えた。

「力の隠蔽(Power Concealment)」

私は深呼吸をし――

「完全制御:起動(Full Control: Activate)」

瞬間――

私の体から、全ての魔力が消えた。

いや、消えたのではない。

永遠世界に、保管された。

私は自分の体を確認した。

「これは...」

普通の人間のようだ。

魔力が感じられない。

オーラもない。

完全に、普通の青年。

【世界の声】:『力の封印完了。外部感知:ゼロ。あなたは現在、普通の人間と同等に見えます。』

「素晴らしい」

私は微笑んだ。

「皆も、やってくれ」

一人ずつ、同じ言葉を唱えた。

「完全制御:起動」

ラーヴァン――至高竜の圧倒的なオーラが消えた。今は、ただの中年男性に見える。

セレスティア――神聖な竜の気配が消えた。今は、美しい女性に見える。

ルナ――若い竜の活発なエネルギーが消えた。今は、元気な少女に見える。

イグニソール――熔岩の熱気が消えた。今は、屈強な男性に見える。

アラネ――蜘蛛女王の不気味なオーラが消えた。今は、普通の美女に見える。

シロ――狐族の魔力が消えた。今は、可愛い少女に見える。

「完璧だ」

私は言った。

「今の私たちは――」

「完全に、普通の旅人だ」

冒険者カード

ヒマリが前に出た。

「ヴィカース様」

「外の世界では、身分証明が必要です」

「特に、他国を旅する場合――」

その時――

ドワーフ王ドゥリンが進み出た。

「その件は、私が手配しました」

彼は七枚のカードを取り出した。

冒険者カード

大きさ:名刺サイズ

金属製で、表面には複雑なルーン文字が刻まれている。

それぞれのカードには――

名前

ランク

登録番号

冒険者ギルドの紋章

「これは、冒険者ギルドの公式カードです」

ドゥリンが説明した。

「私の人脈を使い、正式に登録しました」

「あなた方は今――」

「Cランク冒険者です」

「Cランク...?」

ルナが尋ねた。

ドゥリンが説明した。

「冒険者のランクは、こうです:」

Fランク - 初心者、ゴブリン退治など

Eランク - 駆け出し、オーク退治など

Dランク - 一人前、トロール退治など

Cランク - 熟練者、オーガ退治など

Bランク - 上級者、ドラゴン退治など

Aランク - 英雄級、古代モンスター退治

Sランク - 伝説級、国家級脅威対応

SSランク - 神話級、災厄級脅威対応

SSSランク - 至高級、世界級脅威対応

「Cランクは、初心者としては十分に立派です」

「注目を集めすぎず、かといって舐められることもない」

「完璧な偽装です」

私は頷いた。

「ありがとう、ドゥリン王」

目的地の決定

「では――」

私は、ユキが用意してくれた地図を広げた。

「どこへ行くか」

地図には、ダーク・フォレストを中心に、五大国が描かれていた。

東:サンライズ帝国

北:フロスト王国

南:フレイム大陸

西:エルフの森国家

中央東:聖教国

「最も近いのは――」

私は東を指差した。

「サンライズ帝国」

「太陽神を崇拝する、武士の国」

ラーヴァンが興味深そうに言った。

「サムライか」

「面白い。彼らの剣技を見てみたい」

「では、決定だ」

私は宣言した。

「最初の目的地――サンライズ帝国」

別れの時

出発の朝。

王国の門前には、無数の住民が集まっていた。

皆、私たちを見送りに来てくれた。

ヒマリが、涙を堪えながら言った。

「ヴィカース様...」

「どうか...ご無事で...」

グロマシュが拳を胸に当てた。

「我らは、ここで王国を守ります」

「安心して、旅をしてきてください」

アイラが剣を掲げた。

「お帰りを、お待ちしております」

他の皆も――

クレナイ、シラヌイ、ナギニ、シロナ、イグニア、ブレイズ――

全員が、別れを惜しんでいた。

私は、右手の絆の紋章に触れた。

そして――

全47,826名の配下に、テレパシーを送った。

『皆、聞いてくれ』

『私は、外の世界を見に行く』

『だが――私は常に、お前たちと繋がっている』

『何か問題があれば、即座に知らせてくれ』

『必要なら、一瞬で戻る』

『そして――』

私は王国を見渡した。

『この王国を、頼む』

47,826の声が、一斉に答えた。

『はい、ヴィカース様!』

『お任せください!』

『ご無事で!』

旅の始まり

私たち七人――

今や、普通の旅人の姿をした七人――

ダーク・フォレストの境界へと歩き出した。

シロが、嬉しそうに飛び跳ねている。

「わあ!初めて外に出る!」

「どんな世界なんだろう!?」

ルナが優しく注意した。

「シロ、落ち着いて」

「私たちは目立たないようにしなきゃ」

アラネが、静かに周囲を警戒している。

「ヴィカース様...」

彼女が小声で言った。

「誰かに、見られている気がします」

私も感じていた。

森の影が、微かに動いている。

ラーヴァンが囁いた。

「偵察兵だ」

「サンライズ帝国の」

「彼らは、常に森の境界を監視している」

「分かった」

私は言った。

「警戒を怠らずに」

私たちは、慎重に前進した。

ダーク・フォレストの深い緑が、徐々に薄くなっていく。

木々の密度が減り、空が広く見えるようになる。

そして――

森の境界線を越えた。

目の前には――

広大な草原が広がっていた。

緑の絨毯が、地平線まで続いている。

風が吹き、草が波のように揺れる。

そして、遠くには――

山々が見えた。

雪を頂いた、壮大な山脈。

その向こうに――

サンライズ帝国。

太陽の光を浴びて、金色に輝く都市が――

遥か彼方に見えた。

シロが目を輝かせた。

「あれが...帝国...!?」

セレスティアが微笑んだ。

「美しいですね」

イグニソールが腕を組んだ。

「さあ...どんな国か、見てみよう」

私は深呼吸をした。

「行こう」

「新しい世界へ」

七人の旅人が――

広大な草原を、歩き始めた。

新たな冒険が――

今、始まった。

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