第14章:大竜闘技祭
剣の修練
熔岩竜たちが王国に加わってから、数日が経過した。
私は、城の訓練室で、剣の稽古をしていた。
シュン!
私が召喚したのは――
永遠世界の剣の一つ。
無限刃の剣(Blade of Infinite Edge)
刃渡り:120cm
刀身は、純銀色。
だが、その刃は――
見えないほど薄く、鋭い。
刃が光を反射し、虹色に輝いている。
柄は黒曜石で作られており、手に完璧にフィットする。
能力:
無限の切れ味(何でも切断可能)
自動修復
所有者の意思に反応
私は、剣を振った。
SWOOSH!
空気が切り裂かれる音。
SWOOSH! SWOOSH!
私の動きは、日に日に速くなっている。
永遠世界の古代知識の書から学んだ剣技――
それが、体に染み込んできている。
「いいぞ、息子よ」
扉の所から、声がした。
振り返ると――
ラーヴァンが、腕を組んで立っていた。
「だが、まだまだ学ぶべきことは多い」
彼が微笑んだ。
「剣は、単なる武器ではない」
「剣は――心だ」
その時だった。
ビリビリビリ...
私は、突然の魔力の波を感じた。
巨大な魔力。
圧倒的な魔力。
それは――王国の中心、闘技場の方向から来ていた。
「これは...!?」
私は驚いた。
ラーヴァンが笑った。
「ふふ...始まったようだな」
「行ってみよう」
闘技場の熱狂
私とラーヴァンが闘技場に到着すると――
そこには、信じられない光景が広がっていた。
闘技場の様子
観客席が、完全に埋まっていた。
いや、埋まっているどころか――
溢れかえっていた。
50,000名以上の住民が、闘技場に集まっていた。
オーガ、狐族、蜘蛛族、狼族、熊族、鳥族、エルフ、ドライアド――
全ての種族が、ここに集結していた。
そして、闘技場の中央には――
巨大な魔法障壁が張られていた。
直径300メートルの青白い球体。
それは、強力な防御魔法陣だった。
「何が起きているんだ...!?」
私は驚いて尋ねた。
ヒマリが駆け寄ってきた。
「ヴィカース様!」
彼女は興奮した様子だった。
「大変なことになっています!」
「ラーヴァン様とイグニソール様が――」
「大竜闘技祭を開催されました!」
「大竜闘技祭...!?」
ユキが説明した。
「両竜が、友好的な戦いを行います」
「これは――伝説級の戦いです」
「至高竜 vs 熔岩竜」
「誰もが、この戦いを見たいと集まってきました」
レンが付け加えた。
「しかも、皆が賭けをしています」
「どちらが勝つか、です」
私は周囲を見渡した。
確かに――
あちこちで、賭けが行われていた。
「俺はラーヴァン様に賭ける!」
巨大なオーガが叫んだ。
「いや、イグニソール様の熔岩の力は無敵だ!」
別のオーガが反論した。
「ラーヴァン様は至高竜だぞ!」
「でもイグニソール様はSS級だ!」
グロマシュが私の隣に来た。
「ヴィカース様、これは歴史的瞬間です」
「至高竜の戦いを、生で見られるなど――」
「何千年に一度の機会です」
第一試合:至高竜 vs 熔岩竜
ゴゴゴゴゴ...
闘技場が揺れ始めた。
障壁の中で――
二頭の巨大な竜が、対峙していた。
至高竜ラーヴァン(完全体)
体長:約60メートル
全身が黒と深紅の鱗で覆われている。
その鱗には、宇宙が映し出されている。
無数の星が、鱗の表面で輝いている。
翼を広げれば、120メートル以上。
翼からは、紫色の雷が走っている。
七本の角が、それぞれ異なる色で輝いている。
金、銀、赤、青、緑、紫、黒――
周囲には、虚無のエネルギーが渦巻いている。
熔岩竜イグニソール(完全体)
体長:約60メートル
全身が溶岩で出来ている。
赤と橙の溶岩が、常に流動している。
翼からは、溶岩が滴り落ちる。
地面に落ちた溶岩が、ジュウジュウと音を立てる。
二本の黒曜石の角が、炎を纏っている。
周囲の空気が、歪むほどの熱。
二頭の竜が、互いを見つめ合った。
「準備はいいか、友よ?」
ラーヴァンが低く唸った。
「いつでも来い、至高竜よ!」
イグニソールが吠えた。
ユキが、魔法で声を増幅し、宣言した。
「それでは――」
「大竜闘技祭、第一試合!」
「至高竜ラーヴァン vs 熔岩竜イグニソール!」
「試合開始!」
三日間の大戦
第一日:力の激突
ROOOAAARRR!!
二頭が、同時に咆哮した。
そして――
激突した。
ドガァァァン!!!
衝撃波が広がる。
障壁が激しく揺れる。
観客たちが歓声を上げた。
ラーヴァンが、口を開いた。
喉の奥が、紫黒色に輝く。
「闇炎吐息(Dark Fire Breath)!」
紫黒の炎が、吐き出された。
それは普通の炎ではない。
全てを無に帰す、虚無の炎。
イグニソールが、体を覆った。
「熔岩の盾(Magma Shield)!」
全身が、より濃密な溶岩で覆われる。
闇炎が、溶岩の盾に激突した。
ジュウウウウ...
凄まじい音を立てて、炎と溶岩がぶつかり合う。
そして、イグニソールが反撃した。
「熔岩爆発(Lava Burst)!」
体から、無数の溶岩球が射出された。
まるで火山の噴火のよう。
溶岩球が、ラーヴァンに襲いかかる。
ラーヴァンが、翼を広げた。
「虚無の障壁(Void Barrier)!」
翼から、紫黒の障壁が展開される。
溶岩球が、障壁に触れた瞬間――
消滅した。
虚無に飲み込まれた。
戦いは、激しさを増していく。
炎と溶岩が舞い、空が赤く染まる。
雷と虚無のエネルギーが走り、空間が歪む。
第一日は、引き分けだった。
第二日:戦術の応酬
第二日。
二頭は、戦術を変えてきた。
ラーヴァンが、時間を操作した。
「古代竜魔法:時の遅延(Time Dilation)!」
イグニソールの周りの時間が、ゆっくりになる。
イグニソールの動きが、スローモーションになった。
だが――
イグニソールが笑った。
「甘いぞ、ラーヴァン!」
彼が地面を叩いた。
「火山噴火(Volcanic Eruption)!」
闘技場全体が、溶岩で満たされた。
地面が割れ、無数の溶岩が噴き出す。
まるで、闘技場全体が火山になったかのよう。
ラーヴァンが空高く飛び上がった。
だが、溶岩は彼を追いかける。
「なるほど...やるな」
ラーヴァンが認めた。
第二日も、引き分けだった。
第三日:最終決戦
第三日。
観客席の緊張は、最高潮に達していた。
「今日こそ、決着がつく!」
皆がそう感じていた。
ラーヴァンが、全身に魔力を集中させた。
紫黒のオーラが、彼を包み込む。
それは、まるで小さな星のよう。
「これで終わりだ、友よ」
「至高竜の裁き(Supreme Dragon's Judgment)!」
巨大な紫黒のエネルギー球が形成された。
直径50メートル以上。
その中には、虚無、闇、雷――
全てのエネルギーが凝縮されている。
イグニソールも、全力を出した。
「ならば、これで応える!」
「熔岩核爆発(Magma Core Explosion)!」
イグニソールの体の中心が、激しく輝き始めた。
まるで、彼の心臓が太陽になったかのよう。
赤と橙の光が、溢れ出す。
「行くぞ!」
「来い!」
二つの攻撃が、激突した。
BOOOOOOOOOOM!!!!
爆発が起きた。
それは――
これまでで最大の爆発だった。
障壁が、激しく揺れた。
ヒビが入る。
「まずい!」
ユキが叫んだ。
「障壁が...持たない!」
その瞬間――
私は動いた。
右手を障壁に向けて伸ばす。
「永遠の力よ、流れ込め!」
金色のエネルギーが、私の手から放たれた。
それが障壁に流れ込む。
障壁が、金色に輝き始めた。
そして――
ヒビが、修復された。
障壁は、より強固になった。
爆発が収まった。
煙が晴れていく。
そして――
二頭の竜が、地面に倒れていた。
疲労困憊。
だが――
両方とも、笑っていた。
「いい戦いだった...友よ...」
ラーヴァンが呟いた。
「ああ...お前も...強かった...」
イグニソールが答えた。
ユキが宣言した。
「勝負――引き分け!」
観客席が、爆発的な歓声に包まれた。
「すごい!」
「伝説の戦いだ!」
「両者とも素晴らしい!」
第二試合:白竜姉妹 vs 熔岩竜兄妹
ラーヴァンとイグニソールが人間形態に戻り、休息を取った後――
ユキが次の試合を宣言した。
「第二試合!」
「白竜姉妹 vs 熔岩竜兄妹!」
闘技場に、四頭の若い竜が降り立った。
白竜チーム
セレスティア(姉) - 体長15メートルの白銀竜
ルナ(妹) - 体長10メートルの白銀竜
熔岩竜チーム
イグニア(娘) - 体長15メートルの赤橙竜
ブレイズ(息子) - 体長18メートルの深紅竜
四頭が、互いに向き合った。
セレスティアが静かに言った。
「全力で来なさい」
イグニアが笑った。
「望むところよ!」
「試合開始!」
氷 vs 炎の古典的対決
イグニアが、最初に動いた。
「炎の嵐(Fire Storm)!」
彼女の周りから、炎の竜巻が発生した。
それが、セレスティアとルナに襲いかかる。
セレスティアが、冷静に対処した。
「氷壁(Ice Wall)!」
巨大な氷の壁が、地面から立ち上がった。
厚さ5メートルの透明な氷。
炎の竜巻が、氷壁に激突する。
ジュウウウ...
氷が溶け、水蒸気が上がる。
だが、壁は持ちこたえた。
ブレイズが、戦斧を振り上げた。
「熔岩波(Lava Wave)!」
地面が割れ、溶岩が波のように押し寄せる。
ルナが応戦した。
「凍てつく風(Frozen Wind)!」
彼女の翼から、極寒の風が吹き荒れた。
溶岩の波が、瞬時に冷却され――
固まった。
黒曜石の壁になった。
戦いは、2時間続いた。
両チームとも、互角。
誰も、決定的な一撃を与えられない。
絆の力
その時――
セレスティアが、ルナと目を合わせた。
二人は、無言で頷き合った。
そして――
私の方を見た。
『ヴィカース様』
セレスティアの声が、テレパシーで響いた。
『私たちは、あなた様を信じています』
『どうか――あなた様の力を、お貸しください』
私は、はっとした。
『絆の紋章...!』
私は右手の紋章に触れた。
「力の共有(Power Share)――最大出力!」
瞬間――
セレスティアとルナの全身が、金色の光に包まれた。
いや、金色だけではない。
金色と白が混ざり合った、神聖な光。
二人の魔力が、急激に上昇していく。
2倍。
3倍。
4倍。
【世界の声】:『絆の紋章ブースト:400%。セレスティアとルナ、一時的に神話級(Mythical Level)に到達。』
観客たちが、息を呑んだ。
「あれは...!?」
「なんて力だ...!」
イグニアとブレイズが、警戒した。
「何が...起きている...!?」
セレスティアとルナが、声を揃えた。
「合体技――」
「永久凍結天界(Eternal Frozen Heaven)!」
闘技場全体が、一瞬で凍りついた。
空気そのものが、凍結した。
温度が、一気に絶対零度近くまで下がる。
イグニアとブレイズの炎が――
消えた。
熔岩の体が――
凍結し始めた。
「な...!?」
二人が驚愕する間もなく――
完全に、氷の彫像になった。
「勝負あり!」
ユキが宣言した。
「勝者――白竜姉妹!」
勝利の秘密
氷が溶かされ、イグニアとブレイズが人間形態に戻った。
二人は、呆然としていた。
「どうやって...」
イグニアが尋ねた。
「あなたたち、急にあんなに強くなった...」
セレスティアが、優しく微笑んだ。
「秘密は――絆です」
彼女は私を見た。
「私たちは、ヴィカース様を完全に信じています」
「その信頼が――」
ルナが続けた。
「ヴィカース様の力を、私たちに流してくれるの!」
「絆の紋章の真の力は――」
「信じる心だよ!」
【世界の声】:『正解。絆の紋章の力は、信頼に比例します。』
『100%の信頼 = 400%の力のブースト。』
『50%の信頼 = 150%の力のブースト。』
『信じれば信じるほど、主の力を引き出せます。』
イグニアとブレイズが、私を見つめた。
「そういうことか...」
ブレイズが呟いた。
「力だけじゃない...絆が、重要なんだ...」
父の教え
試合が終わり、観客が帰り始めた後――
ラーヴァンが、私の隣に来た。
「見たか、息子よ」
彼が言った。
「お前の力は、お前一人のものではない」
「それは――」
ラーヴァンが、王国を見渡した。
「全ての者が、お前を信じている」
「その信頼が、お前の力となる」
「そして、お前の力が、彼らの力となる」
私は、周囲を見渡した。
47,826名の住民。
全員が、私を見ている。
その目には――
尊敬、愛情、そして――信頼。
「分かりました、父さん」
私は言った。
「力だけでは、何も成し遂げられない」
「大切なのは――絆だ」
ラーヴァンが微笑んだ。
「そうだ」
「そして、お前には――」
「最強の絆がある」
私は、王国を見つめた。
「ドラゴンハート王国は――」
「ただの国じゃない」
「これは――」
私は微笑んだ。
「家族だ」
そして、その家族の絆こそが――
私の真の力だった。




