第13章:熔岩竜と力の拡張
赤い空
永遠世界の発見から、数日が経過した。
私は、新しく得た力の使い方を学んでいた。
時間操作、転移魔法、現実改変――
どれも、信じられないほど強力だった。
ある午後。
私は、城の最上階のバルコニーに立っていた。
王国を見渡しながら、考え事をしている。
「この力を...どう使うべきか...」
その時だった。
空が、突然赤く染まった。
「え...!?」
私は空を見上げた。
太陽が――いや、太陽ではない。
巨大な黒い影が、太陽を覆い隠していた。
ROOOOOAAAAAARRRRR!!!
耳を劈くような咆哮が、天から響いた。
城が揺れる。
木々が揺れる。
王国中の住民が、一斉に空を見上げた。
私は、その咆哮を――
知っていた。
「父さん...!」
至高竜の帰還
巨大な竜が、空から降下してきた。
至高竜ラーヴァン
体長:約80メートル
全身が、黒と深紅の鱗で覆われている。
その鱗は、まるで宇宙を映し出しているかのよう。
無数の星が、鱗の表面で輝いている。
翼を広げれば、150メートル以上。
その翼は、闇そのもので出来ているかのよう。
頭部には、七本の角。
それぞれが異なる色で輝いている。
金、銀、赤、青、緑、紫、黒――
瞳は――
深い紫色。
その奥には、宇宙が広がっているように見える。
ラーヴァンが、城の前庭にゆっくりと着地した。
ドシン!
衝撃で、地面が揺れる。
だが、城は無傷だ。
ラーヴァンが力を制御しているからだ。
そして――
光が、ラーヴァンを包み込んだ。
巨大な竜の姿が、人間の姿へと変わっていく。
光が消えた時――
そこには、一人の男性が立っていた。
ラーヴァン(人間形態)
身長:約190cm
長い黒髪が腰まで伸びている。
髪には、僅かに紫色の光沢がある。
瞳は深い紫色。
その目には、深い知恵と、強大な力が宿っている。
顔立ちは、私に似ている。
だが、より成熟していて、威厳に満ちている。
服装は、黒と深紅の長衣。
古代の紋様が刺繍されている。
ラーヴァンが、私を見て微笑んだ。
「久しぶりだな、息子よ」
私は駆け寄った。
「父さん!」
私は父を抱きしめた。
ラーヴァンも、優しく私を抱きしめた。
「よく育ったな、ヴィカース」
「立派な王国を築いた」
私は父の顔を見上げた。
「父さん...大丈夫なんですか?」
「神々と戦ったって...」
ラーヴァンが笑った。
「心配するな」
「神々には、私が誰なのか思い出させてやった」
「もう、しばらくは私に手出しはしないだろう」
新たな旅へ
ラーヴァンが私の手を掴んだ。
「さあ、来い」
「お前に会わせたい者がいる」
「会わせたい...?誰を...?」
ラーヴァンが微笑んだ。
「古い友人だ」
「お前も気に入るだろう」
ラーヴァンが手を上げた。
「転移魔法(Teleportation)!」
瞬間――
光が私たちを包み込んだ。
火山深淵
FLASH!
光が消えた時――
私は、全く別の場所に立っていた。
「ここは...!?」
火山深淵の光景
周囲一面が、溶岩だった。
溶岩の川が流れている。
溶岩の滝が、崖から落ちている。
溶岩の湖が、広がっている。
空気は、灼熱。
普通の人間なら、一瞬で焼け死ぬだろう。
だが、私は平気だった。
至高竜の血が、私を守っている。
天井は――
岩盤。
ここは、地下深くだ。
恐らく、地表から数千メートル下。
「ここは、火山深淵(Volcanic Abyss)」
ラーヴァンが説明した。
「ダーク・フォレストの地下、5000メートルの深さにある」
「ここには――」
ラーヴァンが溶岩の海を指差した。
「古い友人が住んでいる」
熔岩竜の出現
ゴゴゴゴゴ...
溶岩の海が、揺れ始めた。
大きな泡が浮かび上がる。
そして――
溶岩の海から、巨大な影が立ち上がった。
イグニソール - 熔岩竜
体長:約60メートル
全身が――溶岩で出来ていた。
鱗ではなく、溶岩そのもの。
その体は、赤と橙色に輝き、常に流動している。
翼からは、溶岩が滴り落ちる。
地面に落ちた溶岩が、ジュウジュウと音を立てる。
頭部には、二本の巨大な角。
それは黒曜石で出来ており、炎を纏っている。
瞳は――
黄金色の炎。
まるで、二つの太陽のよう。
【世界の声】:『警告!神話級生物検出:イグニソール、熔岩竜。脅威ランク:SS級。』
SS級。
それは、国家を一つ滅ぼせるレベルの脅威。
だが――
その竜は、私たちを攻撃しなかった。
むしろ――
「ラーヴァン!」
竜が、嬉しそうに吠えた。
「2000年ぶりだな、友よ!」
古き友
ラーヴァンが笑った。
「ああ、イグニソール。久しぶりだ」
イグニソールが私を見下ろした。
「これが...お前の息子か?」
「そうだ」
ラーヴァンが私の肩に手を置いた。
「私の息子、ヴィカースだ」
イグニソールが、私を注意深く見つめた。
「なるほど...お前の力を感じる...」
「だが、それだけではない...」
イグニソールの目が輝いた。
「この子は...お前を超える可能性を秘めている...」
ラーヴァンが私に言った。
「ヴィカース」
「イグニソールにも、人間の姿を与えてやってくれ」
「彼は良き友人だ」
私は頷いた。
「分かりました」
私は両手を広げた。
「神聖変身(Divine Transformation)!」
金色の光が、イグニソールを包み込んだ。
60メートルの巨体が、縮小していく。
溶岩が固まり、肌に変わる。
翼が折りたたまれ、背中に融合する。
光が消えた時――
イグニソール(人間形態)
身長:約200cm
非常に大柄で、筋骨隆々。
髪は金茶色。
まるで溶岩が固まったかのような質感。
髪の先端は、僅かに赤く輝いている。
瞳は黄金色。
まるで炎のように輝いている。
肌は健康的な褐色。
だが、よく見ると――
肌の表面に、赤い紋様が走っている。
まるで、溶岩の流れのような模様。
服装は、赤と黒の重装鎧。
胸当てには、炎の紋章が刻まれている。
肩当ては巨大で、黒曜石で出来ている。
全身から、熱気が立ち上っている。
近づくだけで、灼熱を感じる。
イグニソールが、自分の手を見つめた。
「これが...人間の体...」
彼は手を握りしめ、開き、また握る。
「何千年も...竜の姿に閉じ込められていた...」
「だが今――」
イグニソールが私を見つめた。
その目には、深い感謝が宿っていた。
「ありがとう、ヴィカース」
二人の子供たち
イグニソールが、溶岩の海に向かって呼びかけた。
「イグニア!ブレイズ!出てこい!」
溶岩の海が、再び揺れた。
そして――
二頭の小さな熔岩竜が、浮かび上がってきた。
イグニア - 熔岩竜の娘
体長:約15メートル
まだ若い竜。
全身が赤と橙の溶岩で出来ている。
瞳は金色で、好奇心に満ちている。
ブレイズ - 熔岩竜の息子
体長:約18メートル
姉よりも大きく、より力強い。
全身が深紅の溶岩で覆われている。
瞳は黄金と赤が混ざった色。
「父上!」
二頭が、イグニソールに駆け寄った。
「人間の姿に...!?」
イグニソールが微笑んだ。
「そうだ。そして、お前たちも――」
彼は私を指差した。
「この方が、人間の姿を与えてくださる」
二頭の若い竜が、私を見つめた。
「本当ですか...!?」
私は頷いた。
「もちろん」
私は再び、両手を広げた。
「神聖変身!」
二つの光が、二頭の竜を包み込んだ。
イグニア(人間形態)
身長:約170cm
外見年齢は16〜17歳ほど。
赤と橙が混ざった髪。
髪は、まるで炎のように揺らめいている。
瞳は金色。
活発で、好奇心に満ちている。
服装は、赤い軽装鎧。
動きやすく、戦闘に適している。
腰には、二振りの炎の剣。
それぞれ、短剣サイズ。
性格:
活発で、好戦的。
だが、心は優しい。
ブレイズ(人間形態)
身長:約185cm
外見年齢は18〜19歳ほど。
金茶色の髪。
短く切り揃えられている。
瞳は黄金と赤が混ざった色。
冷静で、知的。
服装は、黒と赤の重装鎧。
重厚で、防御力が高そう。
背中には、巨大な戦斧。
刃渡り1メートル以上。
性格:
冷静で、戦略的。
だが、家族思い。
二人が、自分の体を確認した後――
三人揃って、私の前に跪いた。
「ヴィカース様」
イグニソールが頭を下げた。
「我ら三名、今日よりあなた様の配下となります」
イグニアが続けた。
「私たちの炎、全てあなた様のために!」
ブレイズが力強く言った。
「我らは、あなた様を守ります」
【世界の声】:『新たな配下獲得:熔岩竜3名。イグニソール(SS級)、イグニア(S級)、ブレイズ(S級)。忠誠度:100%。』
王国への帰還
ラーヴァンが手を上げた。
「さあ、王国へ戻ろう」
「転移魔法!」
FLASH!
私たちは、ドラゴンハート王国へと戻った。
城の前庭に到着すると――
既に、多くの住民が集まっていた。
彼らは、ラーヴァンの魔力を感じ取ったのだ。
ヒマリが駆け寄ってきた。
「ヴィカース様!どこへ...」
彼女がラーヴァンを見て、硬直した。
「ラーヴァン様...!?」
「お戻りになられたのですか!?」
全ての住民が、一斉に跪いた。
「至高竜ラーヴァン様!」
「お帰りなさいませ!」
ラーヴァンが優しく笑った。
「皆、顔を上げよ」
「私はもう、主ではない」
彼は私の肩に手を置いた。
「この王国の主は、私の息子――ヴィカースだ」
「私は、ただの一住民として、ここに住まわせてもらう」
私は三人の熔岩竜を紹介した。
「皆、紹介する」
「イグニソール、イグニア、ブレイズ」
「熔岩竜だ」
「今日から、我らの家族の一員だ」
全員が歓声を上げた。
「ようこそ!」
「ドラゴンハート王国へ!」
永遠世界の変化
その夜。
私は再び、永遠世界へと入った。
だが――
何かが、変わっていた。
剣の海が――
より広大になっていた。
以前は、地平線まで剣が広がっていた。
だが今は――
その先も、さらに剣が続いている。
私は、最も近い剣に触れた。
【世界の声】:『永遠世界更新。総剣数:15,246,583本。増加数:+5,000,000本。』
「1500万本...!?」
私は驚愕した。
「どうして、こんなに増えたんだ...!?」
【世界の声】:『説明:新たな配下が追加されました。』
『配下1名につき、1000本の剣が生成されます。』
『現在の総配下数:47,826名。』
『前回確認時からの増加:+3名(イグニソール、イグニア、ブレイズ)。』
『生成された剣:+3,000本。』
『しかし――』
声が、重大な情報を告げた。
『イグニソールはSS級の存在です。』
『彼の加入により、特別ボーナスが発動しました。』
『ボーナス剣生成:+5,000,000本。』
私は息を呑んだ。
「SS級だと...500万本も...!?」
力の成長システム
【世界の声】:『力の成長システムを説明します。』
『あなたの力は、配下の数と質に比例します。』
『配下の数が増えれば、永遠世界も成長します。』
『そして――』
声が、衝撃的な情報を告げた。
『配下1,000,000名到達時:半神級(Demigod Level)』
『配下10,000,000名到達時:下位神級(Lesser God Level)』
『配下100,000,000名到達時:真神級(True God Level)』
私の心臓が、激しく鼓動した。
「つまり...僕は...」
「神に、なれる...!?」
【世界の声】:『はい。理論上、可能です。』
『ですが――』
声が警告した。
『注意:力が増大すれば、責任も増大します。』
『そして――』
『世界の他の強大な存在たちが、あなたに気づくでしょう。』
『神々、古代悪魔、他の至高竜――』
『彼らは、あなたの成長を脅威と見なすかもしれません。』
私は深呼吸をした。
「分かった...」
「気をつける」
新たな決意
永遠世界から戻ると――
私は、城の最上階のバルコニーに立った。
眼下には、王国が広がっている。
無数の灯りが、星のように輝いている。
ラーヴァンが、隣に来た。
「何を考えている、息子よ」
私は空を見上げた。
「父さん...」
「僕は、この世界を変えたいんです」
「でも...どうすれば...」
ラーヴァンが、私の肩に手を置いた。
「焦るな、ヴィカース」
「まずは、足元を固めろ」
「王国を強くし、民を守れ」
「そして――」
ラーヴァンが微笑んだ。
「時が来れば、自然と道は開ける」
私は頷いた。
「はい、父さん」
私は、王国を見渡した。
「いつか...」
「この世界に、真の平和をもたらす」
「力が支配の道具ではなく――」
「守りの盾となる世界を」
遠くで、イグニアとブレイズが訓練している姿が見えた。
炎が舞い上がる。
セレスティアとルナが、空を飛んでいる。
狐族たちが、魔法の練習をしている。
オーガたちが、剣を振るっている。
全員が、生き生きとしている。
全員が、笑顔だ。
「これが...僕の王国だ」
「そして――」
私は拳を握りしめた。
「これは、始まりに過ぎない」
新たな時代が――
今、幕を開けようとしていた。




