第12章:永遠世界の発見
奇妙な予兆
大闘技祭から、数日が経過した。
王国は、祭りの余韻に浸っていた。
住民たちは、戦いを語り合い、勝者たちを称えている。
だが――
私は、奇妙な感覚を覚えていた。
その日の午後。
私は、城の最上階にある自室で、瞑想をしていた。
目を閉じ、深く呼吸する。
体の中の魔力を感じる。
だが――
その時、何かが違った。
心臓の奥深くから、何かが脈動している。
それは――温かく、だが、同時に――未知だった。
『何だ...これは...?』
私は集中した。
その感覚を辿る。
そして――
心の奥底に、扉があることに気づいた。
いや、扉ではない。
門だ。
巨大な、光り輝く門。
それは――今まで閉ざされていた。
だが、今――
僅かに、開きかけている。
私の右手の絆の紋章が、突然輝き始めた。
ピカッ!
いつもの金色ではない。
今回は――
金色、紫色、白色――三つの光が混ざり合っている。
「これは...!?」
【世界の声】:『新能力覚醒:永遠世界接続(Eternal World Access)。ポータル開放許可。』
『警告:この能力は、至高竜の血を引く者のみが使用可能です。』
『永遠世界――それは、あなたの内なる次元。力の源泉。』
『入りますか?』
私は躊躇した。
「永遠世界...?」
「それは、何だ...?」
だが――
好奇心が勝った。
「はい。入る」
門の出現
瞬間――
私の目の前の空間が、歪み始めた。
ビリビリビリ...
空気が震える。
そして――
巨大な門が、出現した。
永遠世界への門
高さ:約10メートル
幅:約5メートル
門は、純金で作られているように見える。
だが、その表面には――
無数の古代ルーン文字が刻まれている。
それらの文字は、金色、紫色、白色に輝き、脈動している。
門の中央には――
三つの樹の紋章。
それぞれが異なる色で輝いている。
金色、青白色、紫黒色。
門が、ゆっくりと開き始めた。
ゴゴゴゴゴ...
重厚な音が響く。
門の向こうから――
まばゆい光が溢れ出してきた。
私は深呼吸をした。
「行こう」
そして――
門の中へと、飛び込んだ。
永遠世界
WHOOSH!
光が全身を包み込む。
浮遊感。
時間の感覚が失われる。
そして――
光が消えた。
私は、ゆっくりと目を開けた。
「ここは...」
永遠世界の光景
空は――
黄金と橙色が混ざり合った色。
まるで、永遠の夕暮れ。
太陽は見えないが、空全体が柔らかく輝いている。
地面は――
白とピンクが混ざったクリスタルで出来ている。
それは透明で、光を反射し、虹色に煌めいている。
一歩踏み出すと、足元からキラキラと光の粒子が舞い上がる。
空気は――
魔力そのもの。
濃密で、吸い込むだけで体が満たされる。
そして――
私は、目の前の光景に――
息を呑んだ。
剣の海
地平線まで、どこまでも――
剣が、突き刺さっていた。
何千。
何万。
何十万。
いや――
何百万本もの剣が、大地に突き刺さっている。
それは、まるで剣の森。
剣の海。
それぞれの剣が、異なる輝きを放っている。
炎を纏う剣。
赤く燃え上がり、周囲の空気を歪ませている。
氷を纏う剣。
青白く輝き、冷気を放っている。
雷を纏う剣。
電光が走り、バチバチと音を立てている。
光を纏う剣。
神聖な白い光を放っている。
闇を纏う剣。
紫黒の闇を纏い、不気味に脈動している。
そして、私は気づいた。
これらの剣は――全て、私に語りかけている。
『主よ...』
『遂に...お越しになられた...』
『我らは...お待ちしておりました...』
無数の声が、テレパシーで響く。
剣たちの声だ。
「君たちは...何者だ...?」
私は尋ねた。
『我らは、永遠の剣』
『至高竜の血を引く者にのみ仕える、不滅の武器』
『我らは――あなたの力の一部です』
【世界の声】:『永遠世界の剣:総数10,246,583本。全て、主の召喚に応じます。』
「10,246,583本...!?」
私は驚愕した。
1000万本以上の剣。
それも、全てが魔法の剣。
私は、最も近くにある剣に近づいた。
それは、炎を纏った大剣。
刃渡り150cm。
真紅の刀身が、メラメラと燃えている。
私がそれに触れた瞬間――
剣が、激しく輝いた。
【世界の声】:『永遠の炎剣(Sword of Eternal Flames)認識。能力:無限耐久、決して錆びず、自動修復、炎属性攻撃+500%。主を認識。使用許可。』
「無限耐久...自動修復...」
私は呟いた。
「つまり、この剣は――壊れない?」
『その通りです、主よ』
剣が答えた。
『我らは永遠です』
『どれだけ使っても、摩耗しません』
『砕けても、瞬時に再生します』
『そして――』
剣が誇らしげに言った。
『我らは、主とその配下にのみ、使用を許可します』
私は別の剣に触れた。
今度は、氷の剣。
【世界の声】:『永遠の氷結剣(Blade of Frozen Eternity)認識。能力:無限耐久、絶対零度、氷結効果、範囲攻撃可能。』
次々と、私は剣に触れていった。
雷の剣。
光の剣。
闇の剣。
風の剣。
大地の剣。
全てが、無限の力を持っていた。
全てが、私を主と認めた。
「これは...信じられない...」
私は呟いた。
「これだけの武器があれば...」
「僕の軍勢は――」
「無敵だ」
三つの古代樹
剣の海を進んでいくと――
遠くに、三つの巨大な影が見えた。
樹だ。
だが、普通の樹ではない。
天にまで届くような、巨大な樹。
私は、その樹々へと向かった。
歩くほどに、樹は大きくなっていく。
近づけば近づくほど、その圧倒的な存在感に圧倒される。
そして、私は三つの樹の前に到着した。
第一の樹:共有力の樹(Tree of Shared Power)
高さ:測定不能(雲の遥か上まで伸びている)
幹の直径:約100メートル
全体が、金色に輝いている。
樹皮は、まるで黄金で出来ているかのよう。
葉は、一枚一枚が金色の光を放っている。
そして、樹の周りには――
金色のエネルギーが、渦巻いている。
それは、まるで川のように流れ、天へと昇っていく。
『主よ』
樹が語りかけてきた。
『私は、共有力の樹』
『あなたの力を、配下と共有する能力の源です』
『絆の紋章――それは、私の力によって生まれました』
私は驚いた。
「絆の紋章が...この樹から...!?」
『そうです』
樹が答えた。
『あなたが最初の配下を得た時、私は目覚めました』
『そして、あなたと配下を繋ぐ絆を作りました』
『この樹がある限り――』
『あなたと配下の絆は、永遠に続きます』
第二の樹:無限活力の樹(Tree of Infinite Energy)
高さ:第一の樹と同じ
幹の直径:約120メートル
全体が、青白く輝いている。
まるで、巨大な光の柱。
樹の周りには、無数のエネルギーの波が脈動している。
バチバチバチ...
電気のような音が響く。
『主よ』
第二の樹が語りかけてきた。
『私は、無限活力の樹』
『あなたと配下に、無限のエネルギーを供給します』
『この樹がある限り――』
『あなたたちは、決して疲れることはありません』
『魔力が尽きることもありません』
『永遠に、戦い続けることができます』
私は息を呑んだ。
「無限のエネルギー...」
第三の樹:主権の樹(Tree of Master's Authority)
高さ:他の二本よりも高い
幹の直径:約150メートル
全体が、紫黒色に輝いている。
だが、その輝きは不気味ではない。
むしろ――威厳に満ちている。
樹の周りには、紫黒の炎のようなエネルギーが揺らめいている。
『主よ』
第三の樹が語りかけてきた。
その声は、他の二本よりも重く、威厳に満ちていた。
『私は、主権の樹』
『あなた個人の力の源です』
『この樹から、あなたの全ての能力が生まれます』
『そして――』
樹が力強く宣言した。
『この樹は、使えば使うほど成長します』
『あなたが強くなれば、私も強くなる』
『私が強くなれば、あなたも強くなる』
『これは――永遠の成長です』
『限界は、ありません』
【世界の声】:『三つの古代樹、完全起動。主の能力:真に無限となりました。』
私は、三つの樹を見上げた。
「これが...僕の力の源...」
「永遠世界...」
古代知識の書
三つの樹の中央――
そこに、巨大な石の祭壇があった。
直径10メートルの円形祭壇。
その表面には、無数のルーン文字が刻まれている。
そして、祭壇の中央には――
一冊の本が、浮いていた。
古代知識の書(Ancient Book of Wisdom)
大きさ:縦50cm、横30cm、厚さ20cm
表紙は、純金で出来ている。
その表面には、宝石が埋め込まれている。
ルビー、サファイア、エメラルド、ダイヤモンド――
それらが複雑な模様を描いている。
そして、表紙の中央には――
古代文字で、題名が刻まれていた。
『全ての知識』
本が、ゆっくりと私の元へと浮いてきた。
私は両手で受け取った。
重い。
物理的な重さではなく――
知識の重さ。
私は、本を開いた。
ページが、無限にあった。
ページをめくっても、めくっても――
新しいページが現れる。
終わりがない。
そして、そのページに書かれていたのは――
全ての魔法。
炎、氷、雷、風、大地、光、闇――
基礎魔法から、神話級の魔法まで。
全てが、詳細に記されている。
戦術と戦略。
古代の戦争の記録。
英雄たちの戦い方。
軍を率いる方法。
種族の知識。
ドラゴン、神々、悪魔、天使――
全ての種族の歴史、能力、弱点。
建築技術。
城、要塞、橋、武器、防具――
全ての作り方が記されている。
治癒と呪い。
あらゆる病気の治療法。
あらゆる呪いの解き方。
そして――
本が、私に語りかけてきた。
『主よ』
『私は、古代知識の書』
『至高竜ラーヴァンが残した、全ての知識の集積です』
『あなたが知りたいことがあれば――』
『ただ、思うだけで良い』
『知識は、自動的にあなたの心に流れ込みます』
私は試した。
『時間操作魔法について、教えてくれ』
瞬間――
本のページが、高速でめくられ始めた。
そして、特定のページで止まった。
『時間操作魔法(Time Manipulation Magic)』
詳細な解説が記されている。
そして――
知識が、直接私の脳に流れ込んできた。
「っ...!」
私は目を見開いた。
一瞬で、時間操作魔法の全てを理解した。
理論、実践、応用――
全てが、クリアに分かる。
【世界の声】:『新能力習得:時間操作魔法(基礎)。』
私は次々と、知識を求めた。
『転移魔法』
【世界の声】:『新能力習得:転移魔法(上級)。』
『現実改変』
【世界の声】:『新能力習得:現実改変(制限付き)。』
『魂接続』
【世界の声】:『新能力習得:魂接続(完全習得)。』
『竜化』
【世界の声】:『新能力習得:竜化(ラーヴァンより継承)。』
『神聖治癒』
【世界の声】:『新能力習得:神聖治癒(完全習得)。』
『無限武器召喚』
【世界の声】:『新能力習得:無限武器召喚。』
『魔法陣創造』
【世界の声】:『新能力習得:魔法陣創造。』
知識が、洪水のように流れ込んでくる。
だが、不思議と――
混乱しない。
全てが、整理されて脳に刻まれていく。
「これは...」
私は呟いた。
「あまりにも...強大すぎる...」
真実の理解
全ての知識を得た後――
私は、永遠世界の真実を理解した。
『主よ』
三つの樹が、同時に語りかけてきた。
『この永遠世界は――あなたの内なる次元です』
『あなたの魂そのものが、この世界を作り出しています』
『最初の配下を得た時、この世界は目覚めました』
『そして、配下が増えるたびに――』
『この世界も、成長しています』
私は驚いた。
「僕の魂が...この世界を...?」
『そうです』
『そして今、47,823名の配下が、この世界と繋がっています』
『彼らが感じている力――』
『それは、この世界から供給されています』
『共有力の樹が、絆を作り』
『無限活力の樹が、エネルギーを与え』
『主権の樹が、あなた自身を強化する』
『これが――』
『ドラゴンハート王国の真の力です』
私は深呼吸をした。
「つまり...僕の王国は...」
「この永遠世界によって、支えられている...」
帰還
私は、永遠世界から戻ることにした。
「また来る」
私は三つの樹に告げた。
『いつでもお待ちしております、主よ』
私は門をくぐり――
WHOOSH!
現実世界に戻った。
実演
城の自室に戻ると――
ヒマリ、セレスティア、レン、ユキ、アラネたちが、心配そうに待っていた。
「ヴィカース様!」
ヒマリが駆け寄ってきた。
「どこへ行かれていたのですか!?突然消えて...!」
セレスティアも心配そうだった。
「1時間も...連絡が取れませんでした...」
私は微笑んだ。
「ごめん。ちょっと...新しい場所を見つけてね」
「見せたいものがある」
私は窓の外、中庭へと歩いていった。
全員がついてくる。
中庭には、既に多くの住民が集まっていた。
訓練中のオーガたち、散歩中の狐族たち――
私は中庭の中央に立った。
そして――
右手を天に掲げた。
「無限剣召喚(Infinite Blade Summoning)!」
瞬間――
空が、輝いた。
金色の光が、天から降り注ぐ。
そして――
無数の剣が、空中に出現した。
100本。
500本。
1,000本。
5,000本の剣が、空を埋め尽くした。
炎の剣が燃え上がり。
氷の剣が冷気を放ち。
雷の剣が電光を走らせ。
光の剣が神聖な輝きを放ち。
闇の剣が紫黒の闇を纏う。
全員が、呆然と空を見上げた。
「な...何ですか...これは...」
ヒマリが震える声で言った。
私は微笑んだ。
「これが――永遠世界の力だ」
「僕には、1000万本以上の剣がある」
「全て、無限の力を持つ」
「そして――」
私は剣を降ろした。
5,000本の剣が、綺麗に地面に突き刺さる。
「これは、全て君たちのものだ」
グロマシュが、最も近い炎の剣を手に取った。
「これは...!」
彼の目が見開かれた。
「信じられない...この力...!」
「我が今まで持っていた剣の...10倍以上だ...!」
アイラが氷の剣を手に取った。
「冷たい...だが、美しい...」
彼女が剣を振ると、周囲の空気が凍りついた。
全員が、歓声を上げた。
「ヴィカース様万歳!」
「我らの主万歳!」
私は、王国を見渡した。
「ドラゴンハート王国は――」
「今日、真の大国となった」
「誰も――」
私は拳を握りしめた。
「僕たちを止められない」




