第17章:新たな絆と王国への招待
帝国の探索
大闘技場での圧倒的な勝利から、一夜が明けた。
朝日が、旭京の街を照らしている。
私たちは、桜亭を出て――
帝国の街を、探索することにした。
太郎が、私たちを見送ってくれた。
「どうぞ、ゆっくり街をお楽しみください」
「戻られたら、またご馳走しますよ!」
彼は、完全に私たちの味方になっていた。
昨夜の賭けで、彼は10,000,000ゴールドを手に入れた。
人生が変わるほどの大金だ。
私たちは、街を歩き始めた。
侍訓練場(Samurai Training Grounds)
最初に訪れたのは――
帝国の侍訓練場。
広大な敷地。
木造の建物が並んでいる。
中央には、広い訓練用の広場。
そこでは、何十人もの若い侍たちが訓練していた。
「せいや!」
「とう!」
刀を振る音が響く。
カン!カン!カン!
木刀同士がぶつかり合う。
シロが、目を輝かせた。
「わあ...!」
「みんな、すごく真剣...」
ルナが頷いた。
「鍛錬を怠らない...」
「立派だね」
ラーヴァンが、腕を組んで見ていた。
「ふむ...」
「基礎はしっかりしているな」
「だが――」
彼が微笑んだ。
「まだまだ、甘い」
桜花庭園(Cherry Blossom Gardens)
次に訪れたのは――
帝国で最も美しいと言われる庭園。
満開の桜が、庭園全体を覆っていた。
ピンク色の花びらが、風に舞っている。
まるで、ピンクの雪が降っているかのよう。
小川が流れている。
透明な水。
鯉が泳いでいる。
石橋が架かっている。
朱色に塗られた、美しい橋。
茶室が、静かに佇んでいる。
セレスティアが、深く息を吸った。
「美しい...」
「この静けさ...」
「心が落ち着きます」
アラネも、珍しく感動していた。
「人間の美意識...」
「侮れませんね」
寺院地区(Temple District)
午後、私たちは寺院地区を訪れた。
巨大な寺院が、いくつも並んでいる。
金色の屋根。
朱色の柱。
巨大な鐘楼。
多くの人々が、祈りを捧げていた。
線香の煙が立ち上る。
鐘の音が響く。
僧侶たちが、経を唱えている。
イグニソールが、興味深そうに見ていた。
「信仰か...」
「人間の心を、一つにする力だな」
市場通り(Market Streets)
夕方、私たちは市場を訪れた。
活気に溢れていた。
「新鮮な魚だよ!」
「美味しい野菜!」
「最高の刀を売ってるよ!」
商人たちの声が響く。
様々な品物が売られていた。
食料(魚、肉、野菜、果物)
武器(刀、槍、弓矢)
防具(鎧、兜、盾)
衣類(着物、帯、草履)
工芸品(陶器、絵画、彫刻)
シロが、あちこち走り回っている。
「これ何!?」
「あれは!?」
「全部見たい!」
ルナが、優しく引き留めた。
「シロ、落ち着いて」
「迷子になるよ」
桜亭への帰還
夕方、私たちは桜亭に戻った。
すると――
店の前に、長い行列ができていた。
「え...!?」
シロが驚いた。
行列の人々が、口々に言っている。
「昨日の戦士が来た店だろ?」
「四守護神様を倒した...!」
「絶対に美味しいはずだ!」
太郎が、店の前で大忙しだった。
私たちを見つけると――
「ああ!ヴィカース様!」
彼が駆け寄ってきた。
「おかげさまで、大繁盛です!」
「昨夜の戦いの噂が広まって...」
「皆、この店に来たがっているんです!」
私は微笑んだ。
「それは良かった」
太郎が、私たちを店の奥へと案内した。
特別な個室。
そこには、一人の少女がいた。
愛子- 太郎の娘
年齢:16歳
髪:桃色の長髪
腰まで伸びている。
ふわふわとしていて、柔らかそう。
瞳:紫色
大きく、優しい目。
服装:メイド服
黒と白のクラシックなメイド服。
エプロンには、桜の刺繍が施されている。
性格:
内気で恥ずかしがり屋。
だが、心は優しく、真面目。
愛子が、私たちに深々と頭を下げた。
「い、いらっしゃいませ...」
小さな、震える声。
太郎が笑った。
「娘の愛子です」
「恥ずかしがり屋でして...」
シロが、愛子に近づいた。
「わあ!可愛い!」
「髪の色、綺麗!」
愛子が、顔を真っ赤にした。
「あ、ありがとう...ございます...」
食事
私たちは、再び食事を楽しんだ。
今回は――
完全に無料。
太郎が、感謝の意を込めて、最高の料理を出してくれた。
ラーメン、天丼、寿司、天ぷら――
様々な料理が並ぶ。
そして、ラーヴァンが――
また、大量に食べた。
「美味い!」
五杯目のラーメンをすすっている。
太郎が、苦笑いしていた。
「本当に...よく食べますね...」
提案
食事が終わった後――
私は、太郎に話しかけた。
「太郎さん」
「はい?」
太郎が答えた。
「あなたに、提案があります」
私は、真剣な表情で言った。
「ダーク・フォレストに来ませんか?」
「!?」
ガシャン!
太郎が持っていた湯呑みを落とした。
「だ、ダーク・フォレスト!?」
彼が驚愕した。
「あの...危険な...!?」
「はい」
私は頷いた。
「ですが、そこには王国があります」
「ドラゴンハート王国」
「そして――」
私は微笑んだ。
「私が、その王です」
沈黙。
太郎が、口をパクパクさせている。
言葉が出ない。
愛子も、目を丸くしている。
「お、王...!?」
太郎がようやく声を絞り出した。
「あ、あなたが...!?」
「そうです」
私は説明し始めた。
「ダーク・フォレストには、47,826名の住民がいます」
「皆、私の配下です」
「そして――」
「その王国に、あなたの料理店を開いてほしいんです」
「りょ、料理店を...!?」
「はい」
私は続けた。
「建物は、私が用意します」
「最高の場所、最高の設備」
「材料も、スタッフも、全て提供します」
「あなたは――」
「ただ、料理を作るだけでいい」
太郎が、混乱した表情で言った。
「で、ですが...」
「ダーク・フォレストは...危険では...」
ラーヴァンが、笑いながら言った。
「心配無用だ」
「私の息子が王だ」
「誰も、お前たちに手出しはできない」
愛子が、父に囁いた。
「父さん...」
「これは、良い機会かもしれない...」
「ここは、競争が激しいけど...」
「新しい場所なら...」
太郎が、深く考え込んだ。
そして――
ゆっくりと、頷いた。
「...分かりました」
「行きます」
「ですが――」
彼が私を見つめた。
「娘の安全だけは...」
「必ず、保証してください」
私は、真剣に答えた。
「誓います」
「愛子さんの安全は、私が責任を持ちます」
瞬間転移
「では――」
私が立ち上がった。
「いつ出発しますか?」
太郎が答えた。
「え...準備が必要なので...」
「一週間ほど...」
私は首を横に振った。
「その必要はありません」
「今すぐ、行きましょう」
「え!?」
私は、両手を広げた。
「集団転移魔法(Mass Teleportation)!」
瞬間――
金色の光が、部屋全体を包み込んだ。
「きゃあ!?」
愛子が驚いて叫んだ。
FLASH!
ドラゴンハート王国への到着
光が消えた時――
私たちは、王国の中央広場に立っていた。
太郎と愛子が、周囲を見回した。
そして――
完全に硬直した。
王国中央広場の光景
巨大な城が、目の前にそびえ立っていた。
白と金の壁。
高い塔。
無数の旗が、風になびいている。
周囲には、美しい建物が並んでいる。
木造、石造、様々な建築様式。
全てが、調和している。
魔法の灯りが、街を照らしている。
青、緑、金――
様々な色の光が、柔らかく輝いている。
そして――
何千人もの住民が、広場に集まってきた。
「主よ!」
「ヴィカース様!」
「お帰りなさいませ!」
無数の声が響く。
だが――
太郎と愛子は、その住民たちを見て――
恐怖で震えた。
住民たちとの遭遇
広場に集まってきたのは――
人間ではなかった。
オーガたちが、駆け寄ってきた。
2メートル以上の巨体。
角が生えている。
筋骨隆々。
狐族たちが、飛び跳ねてきた。
尻尾が何本も生えている。
耳が尖っている。
蜘蛛族たちが、糸を使って降りてきた。
体に蜘蛛の模様。
蛇族たちが、滑るように近づいてきた。
鱗が生えている。
縦長の瞳。
ドライアドたちが、木の枝のような腕を振っている。
肌が、樹皮のよう。
髪が、葉っぱ。
「ひっ...!」
愛子が、父の後ろに隠れた。
太郎も、震えている。
「こ、これは...」
「モンスター...!?」
紹介
私は、前に出た。
そして――
両手を上げて、静寂を求めた。
「皆、静かに」
瞬時に、広場が静まり返った。
47,826名全員が、私の言葉を待っている。
「紹介します」
私は、太郎と愛子を指差した。
「この方は、太郎さん」
「そして、娘の愛子さんです」
「今日から、我が王国の一員となります」
そして――
私は、非常に厳しい表情で言った。
「太郎さんは、王国に料理店を開きます」
「彼の料理は、この世で最高のものです」
「そして――」
私の目が、鋭くなった。
「太郎さんと愛子さんは、我が大切な客人です」
「誰も――」
「誰一人として――」
「彼らを困らせてはなりません」
私は、全住民を見渡した。
「もし、誰かが彼らに危害を加えれば――」
「私が、直接対処します」
ゴクリ...
住民たちが、唾を飲み込んだ。
私の言葉の重みを理解している。
そして――
私は、太郎に向き直った。
優しい表情で。
「太郎さん、愛子さん」
「この者たちは、私の家族です」
「見た目は違いますが――」
「心は、人間と同じです」
「どうか、恐れないでください」
【世界の声】:『命令発令。全47,826名の配下に通知送信完了。』
全住民が、一斉に頭を下げた。
「はい、ヴィカース様!」
「太郎様、愛子様を、お守りします!」
王国の案内
ヒマリが、優しく前に出た。
「太郎様、愛子様」
「ようこそ、ドラゴンハート王国へ」
「私は、ヒマリと申します」
「九尾狐族の長です」
彼女が微笑んだ。
「王国を、ご案内いたします」
太郎と愛子が、恐る恐る頷いた。
ヒマリが、王国を歩き始めた。
私たちも、ついていく。
「こちらが、中央大通りです」
ヒマリが説明する。
「両脇には、様々な施設があります」
「鍛冶場、工房、訓練場――」
グロマシュが近づいてきた。
「太郎殿!」
彼の大きな体に、太郎が怯える。
だが――
グロマシュが、優しく頭を下げた。
「我が名は、グロマシュ」
「オーガ族の長です」
「もし、何か力仕事が必要なら――」
「いつでもお申し付けください」
アイラが、剣を腰に差したまま近づいた。
「私は、アイラ」
「オーガ族の姫です」
「愛子様の護衛を、させていただきます」
愛子が、小さな声で言った。
「あ...ありがとう...ございます...」
新しい家
ヒマリが、中央広場のすぐ近くにある建物を指差した。
太郎と愛子の新居
二階建ての和風建築。
木造。
黒い瓦屋根。
白い漆喰の壁。
庭園付き。
小さな池。
石灯籠。
桜の木が一本、植えられている。
「こちらが、お二人の新しいお家です」
ヒマリが言った。
太郎が、建物を見上げた。
そして――
涙が、溢れ出した。
「こんな...」
「こんな立派な家...」
「私には...もったいない...」
私は、彼の肩に手を置いた。
「いいえ」
「これは、あなたが当然受けるべきものです」
「そして、明日――」
「あなたの料理店の建設を始めます」
初めての夜
夜になった。
太郎と愛子は、新しい家の中にいた。
愛子が、窓から外を見ていた。
王国の夜景。
無数の魔法の灯りが、星のように輝いている。
遠くには、闘技場が見える。
そこから、竜たちの咆哮が聞こえる。
「父さん...」
愛子が、小さな声で言った。
「ん?」
太郎が答えた。
「私たち...」
「すごい場所に、来たんだね...」
太郎が、娘の隣に来た。
窓の外を見る。
「ああ...」
彼が微笑んだ。
「ここは...特別な場所だ」
「そして――」
「私たちの未来は...」
「きっと、明るい」
愛子が、父の手を握った。
「うん...」
「私も、そう思う」
ドラゴンハート王国に――
新たな家族が加わった。
そして、これは――
まだ始まりに過ぎなかった。




