第149章:十万の魂が動いた日 - それでも王は一人で行きたかった
【お知らせ】キャラクターカード集、X(旧Twitter)に移転しました
皆さん、こんにちは!
「ダークコンチネント:生きる大陸と至高の支配者」の作者です。
これまで、
キャラクターカード集を
Googleドライブの
リンクでご紹介して
きましたが——
ご覧いただきにくい、
不安に感じる、
というお声を
いただきました。
そこで——
より安心して
見ていただける形で、
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お楽しみに!
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序章 - 王の退屈という名の渇望
王が退屈することがある。
退屈は弱さではない。
王の退屈は。
渇望だ。
もっと見たい。
もっと知りたい。
もっと感じたい。
その渇望が。
ある日。
限界に達する。
その日が。
今日だった。
しかし。
王には。
十万の者が。
繋がっていた。
十万が。
同じ方向を向いていた。
王の方向を。
その方向が動こうとした時。
十万が同時に言った。
「私たちも行く。」
と。
第一章:大集会の招集
ドラゴンハート王国 大広間 - 朝
招集状を出した。
全員に。
人間の形を与えた者全員に。
今朝。
大広間に来るようにと。
問題ではなかった。
反乱でもなかった。
緊急事態でもなかった。
ただ。
話したいことがあると。
それだけを書いた。
しかし。
招集状が届いた瞬間から。
王国の空気が変わった。
廊下で誰かが言った。
「何かあったの?」
「わからない。」
「全員が呼ばれた?」
「全員だって。」
声が広がった。
波紋のように。
大広間に向かう足音が。
王国中に響いた。
私は大広間の壇上に立った。
入ってきた。
次々と。
止まらずに。
精霊が来た。
龍が来た。
悪魔が来た。
鬼が来た。
蜘蛛が来た。
蛇が来た。
様々な者が。
様々な形で。
しかし全員が。
人間の姿で。
大広間を満たした。
広い大広間が。
人で溢れた。
立つ場所も。
少なくなるほど。
「...多いな。」
私は内心で思った。
(数えたことがなかった。)
(こんなに多かったのか。)
全員が揃った。
大広間が静かになった。
全員が私を見た。
リスカレスが横に立っていた。
いつも通りに。
ハナが前の方にいた。
翅を畳んで。
アクアが端の方にいた。
静かに。
朱鷺白が至高の精霊たちと共にいた。
全員が私を見ていた。
「始める。」
私は言った。
第二章:王の言葉
全員が静かになった。
「今日全員を呼んだのは。」
私は言った。
「話したいことがあるからだ。」
「長い話ではない。」
私は続けた。
「短い話だ。」
全員が待っていた。
「私はドラゴンハート王国を作った。」
私は言った。
「みんなが来てくれた。」
「王国が大きくなった。」
「今では多くの者が安心して暮らせている。」
「それは良かった。」
私は言った。
「しかし。」
広間が動いた。
しかしの後を待っていた。
「私は。」
私は言った。
「少し飽きた。」
広間が静まった。
完全に。
「王国を治めることに。」
私は言った。
「飽きたわけではない。」
「大切な場所だ。」
「お前たちがいる場所だ。」
「しかし。」
「世界がある。」
「永遠の海が三億六千万先にある。」
私は言った。
「暗黒大陸の向こうに何があるかわからない。」
「大陸の東に知らない文明がある。」
「谷に読めない文字が彫られている。」
「霧の中に歌を歌う者がいる。」
「全部見たい。」
私は言った。
「全部知りたい。」
「全部感じたい。」
広間が。
揺れた。
「だから。」
私は言った。
「旅に出る。」
「一人で。」
静けさが来た。
一秒。
二秒。
三秒。
それで終わった。
第三章:十万の声
最初に声を上げたのは。
誰だったか。
わからなかった。
「私も行く!」
それが来た瞬間。
「私も!」
「私も行きます!」
「待ってください!」
「一緒に行きます!」
声が来た。
波のように。
一人の声が。
十人になり。
百人になり。
千人になり。
十万の声が。
大広間を満たした。
「一人で行くと言った。」
私は言った。
聞こえなかった。
声が大きすぎて。
「静かにしてくれ。」
私は言った。
今度は聞こえた。
静かになった。
「一人で行く。」
私は言った。
もう一度。
「なぜですか。」
リスカレスが言った。
横から。
静かに。
「冒険は一人でするものだ。」
私は言った。
「そんなことはありません。」
リスカレスは言った。
「ある。」
「ありません。」
リスカレスは言った。
今日のリスカレスは引かなかった。
「マスター。」
ハナが前に来た。
「お前は来るな。」
私は言った。
「王国に残れ。」
「なぜですか!」
ハナは言った。
「私だけ残れなんて。」
「ひどいです!」
「お前が残らないと。」
私は言った。
「お茶が二十七杯来る。」
「...。」
ハナは止まった。
「それは。」
ハナは言った。
「確かに問題ですが。」
「でも!」
「でも?」
「私も行きたいです!」
ハナは言った。
アクアが前に来た。
「マスター。」
アクアは言った。
「アクア。」
私は言った。
「お前は三万年ここにいた。」
「一人でいたこともある。」
「少しの間王国を守れるだろう。」
アクアは少し間を置いた。
「三万年。」
アクアは言った。
「そうだ。」
「三万年。」
アクアはもう一度言った。
「待ちました。」
「誰かに届けるために。」
「料理を覚えました。」
「その誰かがマスターでした。」
「だから。」
「だから?」
「今度は一緒に行かせてください。」
アクアは言った。
「三万年の後に来た機会を。」
「逃したくないです。」
「...。」
私は黙った。
(アクアがそういうことを言うか。)
私は内心で思った。
「マスター。」
朱鷺白が来た。
「朱鷺白。」
私は言った。
「私たちも行きます。」
朱鷺白は言った。
「十一人全員で。」
「十一人が来たら。」
私は言った。
「誰が王国を守る。」
「マコト様がいます。」
朱鷺白は言った。
「マコトは一人だ。」
「首席裁判官の力は。」
朱鷺白は言った。
「十分です。」
「マコト様ならできます。」
「...。」
「マスター。」
メイが来た。
「メイ。」
「私は何も言いません。」
メイは言った。
「ただ。」
「ただ?」
「マスターが行く場所に。」
メイは言った。
「私もいます。」
「お前は今何を言っている。」
私は言った。
「マスターが行く場所に私もいます。」
メイはもう一度言った。
同じ顔で。
同じ声で。
「...そういうことか。」
私は言った。
「一つだけ聞く。」
私は広間全体に向かって言った。
全員が向いた。
「ここには今。」
私は言った。
「何人いる。」
「十万以上です。」
リスカレスが答えた。
「十万以上だ。」
私は言った。
「全員で行けば。」
「誰が王国を守る。」
「王国に残った市民は。」
「誰が守る。」
「マコトだけではない。」
「外部からの脅威が来た時に。」
「どうする。」
広間が静かになった。
全員が考えた。
「...。」
誰も答えなかった。
しばらく。
「それでも行きたいか。」
私は言った。
沈黙が続いた。
そして。
「行きたいです。」
一つの声が言った。
「行きたいです。」
また声が言った。
「行きたいです。」
「行きたいです。」
「行きたいです。」
十万の声が来た。
また。
前より静かに。
しかし前より確かに。
「行きたいです。」
私は少し黙った。
(困った。)
私は内心で思った。
(これほどとは思わなかった。)
少し笑った。
小さく。
「ならばそうしよう。」
私は言った。
広間が止まった。
「全員で行く。」
私は言った。
「ただし。」
全員が待った。
「順番に。」
私は言った。
広間が動いた。
ざわめいた。
「順番とはどういうことですか。」
リスカレスが言った。
「全員で動けば。」
私は言った。
「王国が空になる。」
「だから順番に来い。」
「私は先に行く。」
「少しずつ来い。」
「交代で来い。」
「常に半数は王国に残れ。」
「半数が残れば。」
リスカレスは言った。
「問題はありませんか。」
「問題が出たらマコトが解決する。」
私は言った。
「では。」
リスカレスは言った。
「マスターと最初に行く者は。」
「誰が決めますか。」
「マコトが決める。」
私は言った。
広間が動いた。
今度は別の種類の動き方で。
「マコト様が決める。」
誰かが言った。
「公正に決めてくれる。」
別の誰かが言った。
「ならば良い。」
また別の誰かが言った。
賛成の声が広がった。
不満の声はなかった。
マコトへの信頼が。
すでにあった。
「ではそういうことだ。」
私は言った。
「解散する。」
「マスター。」
ハナが言った。
「何だ。」
「最初の組に私を入れてください。」
「マコトに言え。」
私は言った。
「でも!」
「マコトに言え。」
私は言った。
もう一度。
「...わかりました。」
ハナは言った。
私は壇を降りた。
大広間を出た。
第四章:去った後の大広間
大広間 - 私が出た後
扉が閉まった。
大広間が動いた。
一斉に。
「マスターが行ってしまった。」
誰かが言った。
「何も言わずに。」
別の誰かが言った。
「怒っているのですか。」
また別の誰かが言った。
「違う。」
ハナが言った。
「マスターは私たちに怒ったことがない。」
「怒るとしたら。」
「家族に関することだけだ。」
「では。」
アクアが言った。
「どういう顔で出ていきましたか。」
「...少し笑っていました。」
朱鷺白が言った。
「出る前に。」
「小さく。」
「笑っていた?」
「はい。」
「では良かった。」
アクアは言った。
「マスターが笑った。」
「それが答えです。」
リスカレスが前に来た。
「全員。」
リスカレスは言った。
全員が向いた。
「マスターが一人で行きたかった理由を。」
リスカレスは言った。
「考えたことがあるか。」
広間が静かになった。
「なぜですか。」
ミランが言った。
「私が思うに。」
リスカレスは言った。
「マスターは。」
「誰かを心配させたくなかった。」
「心配させたくない。」
「旅には危険がある。」
リスカレスは言った。
「マスターはそれを知っている。」
「だから一人で行こうとした。」
「私たちに危険な目に合わせたくなかった。」
広間が静かになった。
別の種類の静けさが来た。
「...そうだったのですか。」
ミランは言った。
静かに。
「私はそう思う。」
リスカレスは言った。
「しかし。」
「しかし?」
「マスターは私たちが来ることを。」
リスカレスは言った。
「笑って認めた。」
「なぜか。」
「私たちが行くと言った気持ちが。」
リスカレスは言った。
「正しいことを知っているからだ。」
「正しいこと。」
「危険があっても一緒に行きたいという気持ちは。」
リスカレスは言った。
「本物だ。」
「マスターはそれを知っている。」
「だから笑った。」
「では。」
ハナは言った。
「マスターは私たちに来てほしかったのですか。」
「そうは言わない。」
リスカレスは言った。
「しかし。」
「来ることを喜んでいた。」
「それは同じことではないが。」
「違うことでもない。」
「難しいですね。」
ユイは言った。
カードを一枚回しながら。
「マスターのことは難しい。」
リスカレスは言った。
「しかし。」
「わかる時がある。」
「長くいれば。」
「リスカレスは一番長くいますね。」
ミランは言った。
「そうだ。」
リスカレスは言った。
「では。」
ミランは言った。
「マスターのことを一番知っているのは。」
「リスカレスですか。」
「知っているとは言わない。」
リスカレスは言った。
「では?」
「長く見ているだけだ。」
リスカレスは言った。
その時。
大広間の端から声が来た。
「私はマスターと一緒に行く!」
ロクシーだった。
九尾の狐が。
人の形で言った。
「私も!」
シロユキが言った。
「マスターが行くなら私も行く!」
「でなければマスターも行かせない!」
広間が止まった。
「...今何と言った。」
リスカレスが向いた。
「マスターも行かせないと言いました!」
ロクシーは言った。
「一緒じゃないなら行けない!」
「お前たちは。」
ハナが言った。
「間違えている。」
「どこが間違えているの?」
シロユキは言った。
「マスターが旅に出ることを。」
ハナは言った。
「邪魔する権利は誰にもない。」
「でも!」
「でもではない。」
ハナは言った。
「マスターが行くと決めたら。」
「行く。」
「私たちは一緒に行きたいと伝えた。」
「マスターが許可した。」
「それで良かった。」
「マスターを止めることと。」
「一緒に行きたいと言うことは。」
「全く違う。」
ロクシーとシロユキが黙った。
「マスターが知ったら。」
ハナは言った。
「もう話さないかもしれない。」
「二人には。」
「...。」
「すみません。」
ロクシーは言った。
「すみません。」
シロユキも言った。
「リスカレス。」
ハナは言った。
「何だ。」
「二度と繰り返さないようにしてください。」
「わかった。」
リスカレスは言った。
「ロクシー。シロユキ。」
リスカレスは言った。
「はい。」
二人が言った。
「今後繰り返すな。」
リスカレスは言った。
「マスターへの気持ちは本物でも。」
「その表し方が間違えれば。」
「本物が伝わらない。」
「...わかりました。」
ロクシーは言った。
「わかりました。」
シロユキも言った。
大広間に静けさが戻った。
第五章:マコトの決断
首席裁判官の部屋 - 同日
マコトに会いに行った者がいた。
リスカレスだった。
「マコト。」
リスカレスは言った。
「リスカレス様。」
マコトは言った。
「マスターから指示があった。」
リスカレスは言った。
「最初に旅に同行する者を。」
「お前が決めるように。」
「わかりました。」
マコトは言った。
「公正に決めろ。」
リスカレスは言った。
「公正にしか決めません。」
マコトは言った。
「一つだけ条件がある。」
リスカレスは言った。
「何ですか。」
「リスカレスは最初の組に入れ。」
リスカレスは言った。
「それはマスターの指示ですか。」
マコトは言った。
「私の判断だ。」
リスカレスは言った。
「理由は。」
「マスターの側に最も長くいる者が。」
リスカレスは言った。
「最初に行くべきだ。」
「...わかりました。」
マコトは言った。
「では最初の組にリスカレス様を入れます。」
「他の者は公正に決めます。」
「頼んだ。」
リスカレスが出ていった。
マコトは机に向かった。
書き始めた。
名前を。
一人ずつ。
(誰が最も長く待ってきたか。)
マコトは考えながら書いた。
(誰がマスターに最も必要か。)
(誰がマスターのためにできることが最もあるか。)
書く手が止まらなかった。
考えながら。
書き続けた。
窓の外で。
王国が動いていた。
全員が話していた。
誰が最初に行けるかを。
マコトはそれを聞きながら。
書き続けた。
(公正に決める。)
マコトは思った。
(それが私の仕事だ。)
第六章:私の書斎で
書斎 - 同日夕方
書斎に一人でいた。
「...うまくいったかな。」
私は言った。
誰にでもなく。
窓の外を見た。
王国が見えた。
人が動いていた。
いつもより多く動いていた。
「一人で行きたかった。」
私は言った。
「しかし。」
私は続けた。
「全員が来るというなら。」
私は言った。
「止める理由が私にはない。」
ノック音が来た。
三回。
軽い音だった。
「どうぞ。」
扉が開いた。
ハヤミが入ってきた。
「マスター。」
ハヤミは言った。
「ハヤミ。」
「今日は疲れましたか。」
「疲れていない。」
私は言った。
「そうですか。」
ハヤミは言った。
「では。」
「何だ。」
「私は最初の組に入りますか。」
ハヤミは言った。
「マコトが決める。」
私は言った。
「私に関係なく決まりますか。」
「ハヤミが行きたいなら。」
私は言った。
「マコトに言えばいい。」
「私は言いません。」
ハヤミは言った。
「なぜだ。」
「マコト様が公正に決めます。」
ハヤミは言った。
「私が言えば。」
「公正ではなくなります。」
「ハヤミは賢いな。」
私は言った。
「マスターより年上だからです。」
ハヤミは言った。
「どのくらい年上だ。」
「年齢は時間を超えています。」
ハヤミは言った。
「数えられません。」
「そうか。」
私は言った。
「マスター。」
ハヤミは言った。
「何だ。」
「一人で行きたかったのですね。」
「...。」
「知っています。」
ハヤミは言った。
「なぜわかる。」
「あなたのことはわかります。」
ハヤミは言った。
「ずっと見ているから。」
「しかし皆が来ると言った。」
私は言った。
「そうですね。」
ハヤミは言った。
「それで良かったと思っているか。」
私は聞いた。
「私はどちらでも良いです。」
ハヤミは言った。
「マスターの側にいれば。」
「どこでも良い。」
「旅に出ても。」
私は言った。
「どこでも良いです。」
ハヤミは言った。
「あなたがいれば。」
私は少し黙った。
「ハヤミ。」
私は言った。
「はい。」
「お前は最初の組に入れたい。」
私は言った。
「マコト様に言いますか。」
「言わない。」
私は言った。
「マコトが決める。」
「わかりました。」
ハヤミは言った。
「しかし。」
私は言った。
「しかし?」
「お前が入れなかったとしても。」
私は言った。
「旅の途中で会えるかもしれない。」
「そうですね。」
ハヤミは言った。
「その時は歌ってくれ。」
私は言った。
「はい。」
ハヤミは言った。
「いつでも。」
ハヤミが席を引いた。
私の横に座った。
「今日も眠れそうですか。」
ハヤミは言った。
「眠れる。」
私は言った。
「良かった。」
ハヤミは言った。
窓の外で。
星が出始めていた。
「ハヤミ。」
私は言った。
「はい。」
「旅の先に何があるかわからない。」
私は言った。
「わかりません。」
ハヤミは言った。
「怖くないか。」
「怖くないです。」
ハヤミは言った。
「なぜだ。」
「あなたが行くから。」
ハヤミは言った。
「それだけか。」
「それだけで十分です。」
ハヤミは言った。
「...そうか。」
私は言った。
「マスター。」
ハヤミは言った。
「何だ。」
「眠れますか。」
ハヤミは言った。
「眠れる。」
「では。」
ハヤミの声が来た。
歌のように。
「おやすみなさい。」
ハヤミは言った。
「ああ。」
私は言った。
書斎に静けさが来た。
良い静けさが。
エピローグ - 十万が動いた後の夜
王国の夜が来た。
各所で声がしていた。
「マコト様が決めるまで。」
誰かが言った。
「待ちましょう。」
「待てません。」
別の誰かが言った。
「待てなくても待てるまで待ちます。」
「難しい言葉だ。」
「そういうことです。」
笑い声が来た。
あちこちから。
大広間の明かりが消えていた。
会議は終わった。
しかし。
話し合いは続いていた。
廊下で。
食堂で。
庭で。
「マスターと一緒に行けますか。」
誰かが言った。
「行けます。」
別の誰かが言った。
「マコト様が公正に決めます。」
「マコト様は誰の要求も聞かない。」
「そうです。」
「では公正だ。」
「そうです。」
王国の夜が深まった。
マコトの部屋の明かりだけが。
まだついていた。
書いていた。
考えていた。
决めていた。
十万の名前の中から。
最初の組を。
どの名前が最初に選ばれるかは。
まだわからなかった。
王国の全員が。
それを待っていた。
「誰が選ばれるか。」
誰もが思っていた。
その問いが。
夜の王国に漂っていた。
私は書斎で。
眠っていた。
ハヤミが横にいた。
世界が待っていた。
三億六千万の先に。
全員が来ると言った。
ならばそうしよう。
それが今夜の答えだった。
全員で行こう。
順番に。
交代で。
しかし。
全員で。




