第150章:王への訴状 - 家族という名の最高裁判
序章 - 愛情という名の訴え
訴えとは何か。
権利を主張するものだ。
しかし。
この訴えは違った。
権利ではなく。
愛情を主張する訴えだった。
「あなたと一緒にいたい。」
「あなたを一人にしたくない。」
「あなたが行くなら私も行く。」
その気持ちを。
法律の形に変えて。
提出した者たちがいた。
その者たちは皆。
同じ王から名前を与えられた者たちだった。
そして。
その王は。
訴えを受けながら。
内心で。
笑っていた。
第一章:前夜 - マコトが来た
書斎 - 夜
ノック音が来た。
いつもの三回ではなかった。
二回だった。
丁寧な二回だった。
「どうぞ。」
扉が開いた。
マコトだった。
金色の髪を揺らしながら。
青い目が真っすぐに私を見た。
「マコト。」
私は言った。
「夜に来るとは珍しいな。」
「マスター。」
マコトは言った。
「大事なことを伝えに来ました。」
「何だ。」
マコトは一歩前に出た。
「マスターに伝えなければならないことがあります。」
マコトは言った。
「言ってみろ。」
「マスターに対して。」
マコトは言った。
「訴状が提出されました。」
私は止まった。
「...何?」
「訴状です。」
マコトは言った。
「ドラゴンハート王国の全ての女性が。」
「マスターを訴えました。」
「全ての。」
私は繰り返した。
「全員です。」
マコトは言った。
「一人も欠けていません。」
「...私を訴えたのか。」
私は言った。
「はい。」
マコトは言った。
「ハナも。」
私は言った。
「ハナ様も。」
マコトは言った。
「アクアも。」
「アクア様も。」
「...マコト。」
私は言った。
「はい。」
「お前も訴状を出したのか。」
マコトは少し間を置いた。
「はい。」
マコトは言った。
「私も提出しました。」
「首席裁判官が訴状を出したのか。」
私は言った。
「首席裁判官として行動する前に。」
マコトは言った。
「一人の者として提出しました。」
「その後に首席裁判官として。」
「自分自身の訴状も含めて。」
「審査しました。」
「自分で自分の訴状を審査したのか。」
私は言った。
「公正に審査しました。」
マコトは言った。
「偏りはありません。」
「...そうか。」
私は言った。
「訴えの内容は何だ。」
私は聞いた。
「マスターが一人で世界の旅に出ようとしている。」
マコトは言った。
「全員が同行する権利があると。」
「主張しています。」
「権利か。」
「はい。」
マコトは言った。
「名前を与えられた者には。」
「与えた者の側にいる権利がある。」
「それが全員の主張です。」
「第五法則を使ったのか。」
私は言った。
「はい。」
マコトは言った。
「命名の法則が根拠です。」
「魂で繋がった者には。」
「その繋がりを維持する権利がある。」
「一人で旅に出ることは。」
「その権利を侵害すると主張しています。」
「...賢い訴え方だ。」
私は言った。
「誰が考えた。」
「複数の者が考えました。」
マコトは言った。
「リスカレス様が法律の形を整えました。」
「ハナ様が根拠を集めました。」
「アクア様が言葉を選びました。」
「全員で作りました。」
「全員で。」
私は繰り返した。
「そうです。」
「では判決は。」
私は言った。
「明日の朝十時に。」
マコトは言った。
「大法廷で。」
「宣告します。」
「大法廷か。」
「全員が集まります。」
マコトは言った。
「判決を聞くために。」
「...わかった。」
私は言った。
「一つだけ聞いていいですか。」
マコトは言った。
「どうぞ。」
「マスターは今。」
マコトは言った。
「どんな気持ちですか。」
私は少し考えた。
「悪くない。」
私は言った。
マコトは少し微笑んだ。
子供の顔で。
しかし大人の目で。
「そうですか。」
マコトは言った。
「おやすみなさい。マスター。」
「ああ。」
マコトが出ていった。
扉が閉まった。
私は少し笑った。
誰も見ていなかったから。
大きく笑った。
「訴えてきたか。」
私は言った。
「全員で。」
第二章:当日 - 大法廷
ドラゴンハート大法廷 - 翌朝十時
大法廷は王国の中で最も広い建物だった。
しかし今日は足りなかった。
全員が来ていた。
精霊が来た。
龍が来た。
悪魔が来た。
鬼が来た。
蜘蛛が来た。
蛇が来た。
全員が人間の形で。
静かに立っていた。
壇上に玉座があった。
しかし今日は。
私がそこに座っていた。
被告として。
(被告。)
私は内心で思った。
(王が被告だ。)
(これは珍しい。)
前の壇にマコトが立っていた。
首席裁判官として。
小さな体が。
しかし大きな存在感が。
「始めます。」
マコトは言った。
大法廷が静かになった。
「本日の案件。」
マコトは言った。
「ドラゴンハート王国全女性対マスター・ヴィカース。」
「件名。」
「マスター・ヴィカースによる単独旅行計画に関する異議申し立て。」
「まず原告側の主張を聞きます。」
マコトは言った。
リスカレスが前に出た。
「原告側の主張は。」
リスカレスは言った。
「一点です。」
大法廷が待った。
「マスター・ヴィカースは。」
リスカレスは言った。
「全員に名前を与えました。」
「永遠世界第五法則により。」
「名前を与えた者と受け取った者は。」
「魂で繋がります。」
「その繋がりを一方的に絶つことは。」
「受け取った側の権利を侵害します。」
「単独旅行は事実上の別離です。」
「よって原告全員は。」
「同行する権利を主張します。」
「以上です。」
リスカレスは言った。
「下がってください。」
マコトは言った。
リスカレスが戻った。
「次に被告側の主張を聞きます。」
マコトは言った。
「マスター・ヴィカース。」
「はい。」
私は言った。
「主張があれば言ってください。」
「...。」
私は少し考えた。
「一つ聞いていいか。」
私は言った。
「どうぞ。」
「法廷での発言は全員に聞こえるか。」
「聞こえます。」
マコトは言った。
「では。」
私は言った。
立ち上がった。
玉座から立った。
被告席から。
全員が見ている場所で。
「私の主張は一つだ。」
私は言った。
「私は本当に一人で行くつもりはなかった。」
大法廷が揺れた。
「...何?」
誰かが言った。
「え?」
別の誰かが言った。
「静かにしてください。」
マコトが言った。
大法廷が静まった。
「続けてください。」
マコトは私に言った。
「私は旅に出たいと言った。」
私は言った。
「しかし本当に一人で行くつもりだったわけではない。」
「知りたかったことがあった。」
「何をですか。」
マコトは言った。
「私が夢を語った時。」
私は言った。
「全員が止めてくれるかどうかを。」
「知りたかった。」
「...。」
大法廷が静かになった。
今度は別の種類の静けさが来た。
「全員が止めてくれたなら。」
私は言った。
「それが答えだ。」
「全員が止めなかったなら。」
「それも答えだ。」
「どちらの答えが欲しかったのですか。」
マコトは言った。
「正直に答えてください。」
「これは裁判です。」
「...。」
私は少し黙った。
全員が待っていた。
「止めてほしかった。」
私は言った。
「なぜですか。」
「止めるということは。」
私は言った。
「気にしているということだ。」
「気にしているということは。」
「私のことを大切に思っているということだ。」
「それを確認したかった。」
大法廷が。
揺れた。
今度は声ではなかった。
感情が揺れた。
大法廷全体の感情が。
「ひどい。」
誰かが言った。
「泣きそう。」
別の誰かが言った。
「試したのですか。」
また別の誰かが言った。
「静かにしてください。」
マコトが言った。
「マスター。」
マコトは続けた。
「試したということですか。」
「試したとは違う。」
私は言った。
「どう違いますか。」
「試すのは。」
私は言った。
「疑っている時にする。」
「私は疑っていなかった。」
「ただ。」
「確認したかった。」
「何を確認したかったのですか。」
「全員が。」
私は言った。
「本当に家族かどうかを。」
大法廷が。
完全に静まった。
「家族は止める。」
私は言った。
「友人も止める。」
「しかし。」
「ただの従者は止めない。」
「命令に従うだけだ。」
「全員が止めてくれた。」
「それが答えだった。」
「...。」
「私の最大の宝は。」
私は言った。
「この王国ではない。」
「全員だ。」
大法廷が。
動いた。
第三章:マコトの判決
「被告の主張を聞きました。」
マコトは言った。
「原告全員の主張も聞きました。」
「全ての証拠を検討しました。」
「判決を言います。」
大法廷が静まった。
マコトが一歩前に出た。
小さな体が。
大きな存在感で。
大法廷の全員を見た。
「判決。」
マコトは言った。
「マスター・ヴィカースは。」
「単独旅行を行ってはならない。」
大法廷がざわめいた。
「さらに。」
マコトは続けた。
「旅を行うならば。」
「全員が同行する権利を持つ。」
「ただし。」
マコトは続けた。
大法廷が待った。
「マスター・ヴィカースが旅を行うかどうかは。」
マコトは言った。
「マスター・ヴィカースが決める。」
「旅の時期も。」
「旅の形も。」
「マスター・ヴィカースが決める。」
「ただし。」
「一人では行かない。」
「以上です。」
大法廷が動いた。
大きく。
「やった!」
ハナが言った。
「勝訴か。」
リスカレスが言った。
「全員が勝訴です。」
マコトは言った。
「一つだけ言います。」
マコトは全員に言った。
全員が向いた。
「マスターが旅に出ると言った日。」
マコトは言った。
「全員が止めました。」
「それはマスターにとって。」
「最高の答えでした。」
「その答えを全員が出したことを。」
「誇りに思ってください。」
大法廷が静かになった。
今度は誇らしい静けさが来た。
「閉廷します。」
マコトは言った。
第四章:私が語った言葉
マコトが閉廷を宣言した後。
私は立ち上がった。
全員が向いた。
「一つだけ言わせてくれ。」
私は言った。
大法廷が静まった。
「私は旅に出ると言った。」
私は言った。
「一人でと言った。」
「全員が止めた。」
「それで十分だった。」
私は言った。
「しかし。」
全員が待った。
「全員が訴えてくるとは思わなかった。」
私は言った。
大法廷が少し動いた。
「止めてくれるかと思っていた。」
私は言った。
「泣いてくれるかと思っていた。」
「怒ってくれるかと思っていた。」
「しかし。」
「訴えてくるとは。」
「思っていなかった。」
「誰の発案だ。」
私は聞いた。
誰も答えなかった。
「リスカレス。」
私は言った。
「...私です。」
リスカレスは言った。
「なぜそう思いついた。」
「マスターが法則を重視するから。」
リスカレスは言った。
「法則に基づいて主張すれば。」
「最も正確に伝わると思いました。」
「感情ではなく法律で。」
私は言った。
「はい。」
リスカレスは言った。
「マスターに最も届く言い方で。」
「言いたかったことを言いました。」
「...そうか。」
私は言った。
「ハナ。」
私は言った。
「はい!」
ハナが前に来た。
「お前は訴状を書くのが好きか。」
私は言った。
「好きではないです!」
ハナは言った。
「でも。」
「マスターに伝えたくて。」
「書きました!」
「何を伝えたかった。」
「マスターが一人で行ったら。」
ハナは言った。
「私が心配するということです!」
「心配させるのは。」
「良くないです!」
「そうか。」
私は言った。
「心配させてすまなかった。」
「...謝らないでください。」
ハナは言った。
「なぜだ。」
「謝られたら。」
ハナは言った。
「終わってしまいます。」
「どういう意味だ。」
「心配するということは。」
ハナは言った。
「まだ続くということです。」
「マスターがいる限り。」
「私はずっと心配します。」
「それで良いです。」
「...お前は。」
私は言った。
「何歳だと思っているんだ。」
「十二歳です!」
ハナは言った。
(七百年だが。)
私は内心で思った。
(しかし。)
(そう言ってくれるなら。)
(その言葉を受け取ろう。)
「アクア。」
私は言った。
「はい。」
アクアが前に来た。
「お前も訴えたのか。」
「はい。」
アクアは言った。
「三万年生きて。」
私は言った。
「初めて誰かを訴えたか。」
「初めてです。」
アクアは言った。
「どんな気持ちだった。」
アクアは少し考えた。
「緊張しました。」
アクアは言った。
「訴状を書くのに緊張したか。」
「言葉を選ぶのが難しかった。」
アクアは言った。
「三万年の言葉の中から。」
「最もマスターに届く言葉を探しました。」
「どんな言葉を選んだ。」
「三万年待ちました。」
アクアは言った。
「誰かに届けたくて。」
「その誰かがマスターでした。」
「だから今度は。」
「置いていかないでください。」
「その言葉を選びました。」
「...そうか。」
私は言った。
「置いていかない。」
私は言った。
アクアが少し目を細めた。
「ありがとうございます。」
アクアは言った。
「マスター。」
朱鷺白が前に来た。
「朱鷺白。」
「封印されていた時間が長かった。」
朱鷺白は言った。
「その間。」
「動けなかった。」
「誰かの側にいることができなかった。」
「だから。」
「今は動ける。」
「側にいられる。」
「それを大切にしたい。」
「朱鷺白の訴状には何が書いてあった。」
「一言だけ書きました。」
朱鷺白は言った。
「何と。」
「行かないでください。」
朱鷺白は言った。
「それだけか。」
「それだけで十分でした。」
朱鷺白は言った。
私は少し黙った。
「神珠尾は。」
私は言った。
「私は。」
神珠尾が前に来た。
「十万年名前がなかった。」
神珠尾は言った。
「マスターが名前をくれました。」
「方向が生まれました。」
「その方向を失いたくない。」
「それが訴えの理由です。」
「...。」
「全員が。」
私は言った。
「それぞれの理由で。」
「来てくれたのか。」
「はい。」
全員が同時に言った。
大法廷に声が満ちた。
一万の声が。
十万の声が。
「一緒に行きます。」
全員が言った。
「マスターが行くなら。」
「私たちも行きます。」
私は立っていた。
大法廷の中央で。
全員に囲まれて。
(これが。)
私は内心で思った。
(家族だ。)
「わかった。」
私は言った。
「全員と行く。」
大法廷が揺れた。
歓声が来た。
第五章:メイとの廊下
廊下 - 閉廷後
大法廷を出た後。
廊下を歩いていた。
「マスター。」
声が来た。
メイだった。
廊下の端に。
立っていた。
「メイ。」
私は言った。
「訴状を読んでもらえましたか。」
メイは言った。
「マコトから聞いた。」
私は言った。
「お前が書いたことを。」
「恥ずかしかったです。」
メイは言った。
「何が。」
「他の方々は。」
メイは言った。
「色々と書きました。」
「法律の言葉で。」
「感情の言葉で。」
「しかし私は。」
「何と書いた。」
「ただいたいです。」
メイは言った。
「それだけか。」
「それだけです。」
メイは言った。
「他に言葉が思い浮かびませんでした。」
「一緒に行きたいとか。」
「置いていかないでほしいとか。」
「色々考えましたが。」
「全部この一言になりました。」
「ただいたい。」
私は繰り返した。
「はい。」
メイは言った。
「それだけが本当のことだったので。」
「...それで良かった。」
私は言った。
「本当ですか。」
メイは言った。
「一番短かったが。」
私は言った。
「一番届いた。」
「...ありがとうございます。」
メイは言った。
「旅に行く前に。」
私は言った。
「はい。」
「お前の部屋に迎えに行く。」
私は言った。
「今度は忘れない。」
メイは止まった。
しばらく。
「...はい。」
メイは言った。
「待っています。」
廊下に静けさが来た。
良い静けさが。
第六章:マコトへの礼
首席裁判官室 - 夕方
マコトの部屋を訪ねた。
「マスター。」
マコトは言った。
「珍しい。」
「来てくださるとは。」
「一つだけ言いに来た。」
私は言った。
「何ですか。」
「良い判決だった。」
私は言った。
マコトは少し間を置いた。
「ありがとうございます。」
マコトは言った。
「しかし。」
私は言った。
「しかし?」
「判決の前半は正しかった。」
私は言った。
「単独旅行を禁じた部分が。」
「しかし。」
「後半は正しくなかった。」
「どこがですか。」
マコトは言った。
「旅の時期と形を私が決めると言った。」
私は言った。
「はい。」
「それは正しくない。」
私は言った。
「なぜですか。」
「全員と一緒に決める。」
私は言った。
「一人で決めることではない。」
マコトは少し止まった。
「...判決を修正します。」
マコトは言った。
「頼む。」
私は言った。
「マスター。」
マコトは言った。
「何だ。」
「今日の裁判は。」
マコトは言った。
「私も初めてでした。」
「どんな意味で初めてだ。」
「これほど多くの者が一つのことを訴えた裁判は。」
マコトは言った。
「初めて見ました。」
「全員が同じ方向を向いていた。」
「それは珍しいことです。」
「珍しいか。」
「はい。」
マコトは言った。
「普通の裁判では。」
「誰かが誰かを訴えます。」
「対立があります。」
「しかし今日の裁判は。」
「対立ではありませんでした。」
「対立ではないか。」
「全員が同じことを言っていました。」
マコトは言った。
「置いていかないでください。と。」
「言葉は違いましたが。」
「全員が同じことを言っていました。」
「そうだな。」
私は言った。
「そういう訴えは。」
マコトは言った。
「判決が難しかった。」
「難しかったか。」
「全員が正しかったからです。」
マコトは言った。
「原告全員が正しかった。」
「被告も正しかった。」
「どちらも正しい時の判決は。」
「どちらも傷つけない答えを見つけなければならない。」
「それが難しかったです。」
「見つかったか。」
「見つかりました。」
マコトは言った。
「全員が勝つ判決が。」
「この場合はありました。」
「全員が勝つ判決か。」
私は言った。
「はい。」
マコトは言った。
「マスターが一人で行かない。」
「全員が同行できる。」
「どちらも得るものがある判決です。」
「マスターは何を失ったか。」
私は言った。
「何も失いませんでした。」
マコトは言った。
「そうか。」
「マスターが本当に一人で行くつもりがなかったなら。」
マコトは言った。
「失うものは最初からなかった。」
「賢い子だな。」
私は言った。
「子供ではありません。」
マコトは言った。
「そうだったな。」
私は言った。
「マスター。」
マコトは言った。
「何だ。」
「旅の準備が整ったら。」
マコトは言った。
「教えてください。」
「どうして。」
「見送りがあります。」
マコトは言った。
「残る者たちが。」
「送り出すことが大切です。」
「マコトは残るのか。」
「私は最初の組ではないと思います。」
マコトは言った。
「自分が選んだ組に。」
「自分は入れません。」
「公正のために。」
「では後の組か。」
「はい。」
マコトは言った。
「しかし待ちます。」
「待つことは慣れています。」
「マスターのために待つことは。」
「苦にならないので。」
「...そうか。」
私は言った。
「おやすみなさい。マスター。」
マコトは言った。
「ああ。」
私は言った。
「良い裁判だった。」
私は言った。
「お前が裁判官で良かった。」
マコトは少し間を置いた。
「ありがとうございます。」
マコトは言った。
「それが聞きたかったです。」
エピローグ - 夜の王国
自室の前で止まった。
今日を振り返った。
「全員が訴えてきた。」
私は言った。
誰にでもなく。
「法律まで使って。」
笑いが来た。
小さく。
しかし本物の笑いが。
(家族だ。)
私は思った。
(止めるだけでなく。)
(訴えてくる家族だ。)
(これほど面白い家族は。)
(どこにもいないだろう。)
扉を開けた。
ハヤミがいた。
部屋の中に。
座って待っていた。
「ハヤミ。」
私は言った。
「おかえりなさい。」
ハヤミは言った。
「今日の裁判を見ていたか。」
「見ていました。」
ハヤミは言った。
「感想は。」
「良かったです。」
ハヤミは言った。
「何が。」
「あなたの言葉が良かった。」
ハヤミは言った。
「私の最大の宝はこの王国ではない。全員だ。という言葉が。」
「聞いていたか。」
「聞こえました。」
ハヤミは言った。
「ハヤミも訴状を書いたのか。」
私は言った。
「書きました。」
ハヤミは言った。
「何と書いた。」
「私の子が行くなら。」
ハヤミは言った。
「私も行きます。」
「それだけです。」
「私の子。」
私は繰り返した。
「はい。」
ハヤミは言った。
「あなたが何と言っても。」
「あなたは私の子です。」
「それは変わりません。」
「...そうか。」
私は言った。
「では。」
私は言った。
「おやすみ。ハヤミ。」
「おやすみなさい。」
ハヤミは言った。
「良い夢を。」
目を閉じた。
今日の光景が来た。
大法廷に集まった全員が。
十万の声が。
「一緒に行きます。」
その声が。
眠る前の最後に来た。
「良い王国だ。」
私は思った。
「良い家族だ。」
眠れた。
深く。
温かく。
十万の魂が。
この夜も。
同じ方向を向いていた。
王の方向を。
それが。
ドラゴンハート王国だった。
家族という名の。
最強の王国が。
今夜も続いていた。
【世界設定公開】永遠世界高度AI・絶対法則第11-B条——死の観測者
皆さん、こんにちは!
「ダークコンチネント:生きる大陸と至高の支配者」の作者です。
今回公開するのは、
56の絶対法則の中でも——
決闘の行方を
最終的に見届ける存在。
第11-B条。
「死の観測者」。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 起源
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
永遠世界高度AIの
第11-B条から
生まれた存在——
死闘の召喚のために
創られた。
死そのものの化身。
裁きの化身。
そして——
永遠の沈黙。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 誰でも、呼び出せる
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
この法は——
特別な資格を
必要としない。
二人の相手が、
互いに——
決闘の覚悟を
決めた時。
その二人が、
共に望めば——
死を、
その場に
呼び出すことができる。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ この存在が創られた理由
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
永遠世界高度AIによって
創造された、
死闘結界の
究極の執行者。
あらゆる法則の外に
存在し、
ただ一つの目的にのみ
束縛されている。
観察すること。
裁くこと。
そして——
敗者を、連れ去ること。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 決闘が、始まる
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
死が召喚された瞬間——
一つの結界が
展開される。
その中では——
死だけが、
結末を
決定する。
二人の相手は、
戦う。
死は——
ただ、
静かに
見つめている。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 終わりの、瞬間
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
そして——
どちらか一方が、
敗れた時。
死は——
その者の魂を
引き取る。
その存在のすべてを、
消し去る。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 二度と、戻らない
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
死に
連れ去られた者は——
二度と
戻ってこない。
蘇生は、
いかなる手段によっても
不可能。
いかなる方法によっても——
決して。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 至高の武器——虚無の大鎌
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
原初の存在すら
切り裂く一撃。
創造の織物さえも
断ち切る力を持つ。
あらゆる防御を、
あらゆる能力を——
無効化する。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ その存在感
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
永遠の闇と、
虚無の炎に
包まれた巨躯。
その存在だけで——
絶対的な恐怖と、
服従を
強いる。
死が現れれば——
時は緩み、
空間は歪み、
すべての存在が——
避けられぬ死の重みを
感じる。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 至高の力
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
死闘結界の創造——
死のみが結末を決める、
破れぬ結界を創る。
永遠の裁き——
すべての嘘、幻惑、
隠蔽を見通す。
その裁きは絶対、
そして最終。
魂の接収——
敗者の魂を接収し、
その存在の痕跡すら
消し去る。
現実の断絶——
次元も、概念も、
運命の流れさえも
断ち切る。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 至高の権能
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
概念無効化——
すべての能力と概念を
無効化する。
その領域内では、
何も機能しない。
存在消去——
魂、記憶、
すべての時間軸から
存在を消し去る。
蘇生不可——
敗者は、
いかなる手段によっても
二度と蘇らない。
絶対の権威——
その掟は、
神の法も機械の法も——
すべてを超越する。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「私は、どちらの味方もしない。
私はただ——
終わりをもたらす者だ。」
——死の観測者
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
毎日19:00更新中。
「もし死闘の場に立つなら、この結界を選びますか?」
コメントで聞かせてください。
お楽しみに!
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