第十四頁 それはどこから?
大変お待たせしましたすみません……。
また更新ペース落ちるかもしれませんが、リハビリ程度に書きましたので是非見てくださると嬉しいです……
帰ってきた時に携帯を見ると、LINEの不在着信が一つあった。
それは後輩の真琴君から。滅多に連絡してこないあの子が何故? と思いながらも、私は『明城真琴』のメッセージタグをタップして電話をかける。
三コール程して、『もしもし、橘陬先輩?』と、テナーボイスの男の子の声が端末越しに聞こえてきた。
「どうしたのよまこちゃん、電話なんて寄越してきて」
『急にすみません。大したことじゃないんですがね』
電話の主の男の子、明城真琴は歴史の先生を目指していた。
うちの大学は教育大学だから、それぞれ五教科とか体育だとかの単位を取らないと卒業はできないのだけれど。私、社会や歴史、日本史が滅法ダメな人でして。二つ下の真琴に教えて貰いながら、今はなんとか単位を取れている状況。
『先輩は、小説家がどこから小説家って言えるか分かります? 俺には分からなくて』
小説家。
その言葉が頭に響いて離れなかった。
「私には分からないなぁ。だって、私は速読家だもの。そういうのは、私の幼なじみに聞かなきゃね」
『幼なじみ? どなたなんですか、それ』
「霙よ、霙。私あの子の幼なじみだから、一回聞いてみるわね。回答はLINEで伝えるわ」
『あぁ、あの小説家の。分かりました! 待ってますね!』
調子の良い奴だ。
そんなことを思いながら、軽く返事をして電話を切る。どこからが小説家、か……。
真琴にも言った通り私には分からないし、こういうのは霙や他の小説家の方に聞いてみないと、その答えは導き出せない。
一先ずは霙に連絡かな。
『霙』と書かれたメッセージタグをタップして、霙とのトーク画面を開く。
『霙先生、うちの後輩からの質問! 霙はどこからが小説家って言えるか分かる?』
おふざけ半分の文章も交えて送信をする。
この時間帯、霙は執筆してる時かなぁ……なんて思いながら、私はソファに座ってテレビを見る。
アメリカの大統領が変わる。そんなニュースが流れていた。
え、また変わるの? 何年か前に変わったばっかりじゃなかったっけか。
「また変わるんだね、大統領」
隣にいた和子が不思議そうに口にする。この現代日本って、元は戦争もあったし、戦闘機が作られたりとかもあったりしたしで、色々と物騒な国ではあったと思う。特に『平成』なんかが特に物騒だったんじゃなかったっけか。私も私で平成生まれだし、その物騒なことに巻き込まれながら暮らしてきたけどね。
なんて思いながら端末を見ると、いつの間にか霙から返信が来ていた。気づかなかった。通知オフにしていたのすっかり忘れていた。LINEから霙のトーク画面を開くと、そこにはかなり長い長文が書かれていた。どうやら一分前に送ってきていた様子。テレビに聞き入りつつも、私はその文章を目で追った。
『霙は好き好んで小説家になったわけじゃないよ。霙はただ、自分で体験したことを文字に書き示しただけの、ただのかっこつけの小説家なの。だから、どこからが小説家って言うのは、無いんじゃないかな?』
かっこつけの小説家。
確かにそうかもしれない。速読の大会で優勝したって言われても、ただのかっこつけだとしか思えない。スコンッと心地よい音とともに、またメッセージが受信された。
『エッセイでも、ノンフィクションでも、ラノベでも、ファンタジーでも、たとえ目に見えないところで書いていたとして、たとえその小説が誰にも見られなかったとしても。どこからが小説家って言うのはないんだよ。文字を一つ書いた時点で、皆小説家なんだよ』
文字を一つ書いた時点で、皆小説家?
書籍化をしていなくとも、原稿用紙に、端末に、紙切れに、一つ文字を書いたら皆小説家。そういう解釈でいったら良いのかもしれない。納得のある文章をもらった。それは速読にも言えることだから。
「……なるほどね」
お礼を送信してスクショをし、真琴のトーク画面を開く。スクショしたものを選択し、『うちの幼なじみの回答だよ』と一言添えて送信した。
ふう、と息をつく。外ではうるさく蝉が鳴いている。夕方になれば、この蝉の合唱はひぐらしの合唱へと形を変える。蝉自体は嫌いだが、その変わりようが私は好きだった。和子は和子で虫が平気だから、小さな頃から木の棒で死骸をつんつんしていたり、カブトムシなんかを捕まえて「見てみてー!」なんて言いながら私の元に持ってきたり。
気弱そうに見えて、誰よりも勇敢で乙女な妹だ。まるで野生人かと思えるようなサバイバー。サバゲー広場に放り投げたら生還しそう。あくまで私の意見だけど。
「あ、レポート」
「あ! レポート!」
和子と同時に声を上げてしまい、顔を見合わせる。
「……まぁ、後でいっか」
「……まぁ、後でいいよね」
家の中に笑いが巻き起こった。
こんな感じで、私と和子は言うことがかなり似ている。性格は真反対と言えど、姉妹だから当たり前といえば当たり前なのだけれども。
元からこういうことが多くて、よくお母さんに「やっぱゆず達は似とるね!」と笑いながら母に言われることがしばしばある。
まさにそうと言えるかもしれない。
そんなこんなで、今日は一日ゆっくりと過ごすことにした。
レポートは夏休み中のどこかで大丈夫と、二人で言ってくすくす笑った。
御一読お疲れ様でした!!
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とうとう四万字ですね……まだまだ頑張りますゆえ、これからもあのしおをよろしくお願いします!!!




