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あの日、私はあなたの栞だった。  作者: 甘夏
一章 始まりは一つの小説で
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第十二頁 不思議な朝

お久しぶりです!!

やっと更新出来ました……!!

今回はあの夢のシーンから物語に入ります!!

 気がつけばそこにいた。


 ひまわり畑に一本道。入道雲が伸びる手前に山々が見え、けたたましいセミの音は、今日は空気を読んでいるのか鳴いていなく、辺りは静寂に包まれていた。

 またあの夢だ。私と霙に度々見せるこの夢は、一体何が言いたいのか見当もつかない。


「ゆずー! ゆーずちゃん‼」


 ふと、奥から声が聞こえた。

 それは私の正面。そこには霙がいるのだ。

 笑顔で手を振っている。夏休み前は姿がぼんやりとしか見えなかったが、今日の夢でははっきり見えている。


「……霙!」


 歩を進めて駆け寄ってみる。

 あの時のように姿が遠のくことは無く、逆に霙に近づいていっていた。


「話しかけられた! やっぱり話せるんだね‼」

「そうみたい……私はここが何処かは分からないんだけど、霙は知ってる?」


 私がそう聞くと、霙はふるふると首を左右に振り「ううん、霙も知らない……」と声のトーンを落として呟いた。

 辺りを見渡す。私達二人以外に人はいなく、人の話し声も一切聞こえない。

 まるで何も無い空間に、私と霙だけいるような感覚であった。


「そういえば霙、あの小説読んでるよ。すごい面白いね」

「えっほんと!? ゆずちゃん速読で読んでるんでしょ!?」

「いいや、今回は普通にゆっくり読んでるの。なんだか速読しようにもできなくて」

「えぇーっ! あんなに読むの早かったゆずちゃんが珍しい……」


 度肝を抜かれたような顔をしていた。

 とはいえ、本当のことだ。電車内でも何とか速読しようと試みたのだが、気がつけば読むスピードが落ちている。

 あの本は『速読ができない』のだ。それほど惹かれる内容ばかり書いているのだから。


「あ、ねぇゆずちゃん、あの栞使ってくれてる?」

「え? あの栞って、小さい頃に霙がくれた栞?」

「そうそう! 使ってるの?」

「まぁね。お母さんが掘り起こしてくれて、今は霙の小説に挟んで使ってるよ」

「掘り起こして……凄いなぁ」


 と、段々と目が霞んできた。それは霙も同じなようで「あ、起きる時間なのかも」と苦笑気味に言っていた。


「まぁ、また夢で会えるから大丈夫だよね」

「うん! 霙、またここでずっと待ってるから‼」


 霙の可愛い笑顔を矢先、私はとあることを伝えようとした……が、その前に意識の方が先にログアウトしてしまった。


***


「あ、朝だ」

 和子がスヤスヤと寝ている隣で、私は目を覚ました。

 朝八時三十分。少しだけ遅く起きてしまった。

 今日は両親が店を休みにしてくれているらしい。珍しいことだ。何処かに行くつもりなんだろうか。

「目が覚めてしまった。小説の続き読もうかな」


 和子を起こさないようにそっと布団から脱出して、タンスから自分の服を引っ張り出す。

 ……Tシャツでいいかな。今日も暑いし。

 袖を通してTシャツを着る。背が伸びたからか、少しだけ小さく思えた。

「よしっと」

 夢で話せるなんて、何処かの魔法みたい。前にもそんなことを思っていた気がする。

 私達が住んでいる世界とは異なり、世間では『魔法界』なんて呼ばれる所があると噂されているくらいだ。本当なのかは分からないが、もし実在する世界なのであれば、行ってみたいとも思う。

 なんせ私は人外やら地球外生命体やら、そういう系統の事には興味があるものでして。葉っぱさん……だっけ。あの人のことはもう少し聞いておくべきだったかな。

「さて」

『見えない世界の裏側に』

 そんなタイトルが書かれた本を捲り、栞を引いて本の続きを読み始めた。

『「そういえば、星狸にも幼馴染みの女の子がいるんだけど……」

「へぇ、名前なんて言うんや?」

「それは教えられないよー。プライバシーだよ?」

「っはは、確かにそうやな」

 なんて言いながら、あき姉と私は奥へと進んでいく。

 手に持つ日記は誰の物なのだろうか。あれから考えては見たものの、霙には到底分からなくて。フィオナさんは、この館の主の物なんじゃないかって言っていたけど、私はどうも違う気がしてならないんだ。

 まるで鏡に騙されているかのようだ。少しだけ嫌気がさした。』


 遠回しに私が出演していたことに少しだけ驚いた。

 凄いなぁ、よく私のこと覚えていたよね。

 あき姉、フィオナさんというのは、この物語で『星狸()』が序盤で出会った仲間のことだろう。

 関西弁でノリのいい『あき姉』と、イタリア人の『フィオナさん』。

 あともう一人出てくるはずだが、それは『フィオナさん』と二人で行動しているのだろう。

「ここら辺はやっぱり、霙……というか、星狸の気持ちの描写が多いなぁ。確かに、歩いているだけだもんね。廊下の描写もあったら良かったけど……ふふっ、これは霙の好みだね」

 まるでファンタジーの世界に引き込まれたかのような、不思議な体験をした彼女は今、こうして夢でも現実でも会話が出来る。

 連絡も取れるし、会おうと思えば夏休み中にもう一度くらい会えるだろうか。

 そんなことを思いながら小説を読み進めていくと、あっという間に時間が過ぎ、十時半を知らせる時計のチャイムが部屋中に響き渡る。

「……あ、もう十時半」

 どうして十時半かと言うと、普段お店が開く時間が十時半だから。

 区別が付きやすいように、わざわざ十時半にチャイムがなるように母が設定したのだ。

 逆に九時半とかにすればいいのに……なんて、私は思っているが、そもそもお店を手伝う訳でもないので提案するのも気が引けてしまう。

「そろそろ下降りなきゃっと。って和子、まだ寝てるし。ほら起きて、あんまり寝てると怒られるよ」

「んぇぇ……お姉ちゃん今何時……?」

「お店が開く時間だよ」

「わっ、もうそんな時間! お店手伝わなきゃ!」

 あ、慌ててる。

 和子も和子でせっかちだなぁ、なんて思いながら、準備するように和子に言って私は階段を降りてリビングへと向かっていった。


***


「おはようゆず! 朝ごはん出来とうよ!」

「おはようお母さん、ありがとう」

 既に起きていた母に挨拶をして、私は椅子に座る。

 トーストに、卵焼きに、トマトに野菜。いつもと変わらない我が家の朝食。バランスがいいのかはよく分からないが、うちの家ではこの朝食が毎朝だ。

「お母さん、今日お店休みにしてるけど、どこか行くの?」

「んー? たまにゃみんなで海にでも行こうって話になっとるけど」

「海!」

 実は私、海好きなのです。

 だから小さな頃の夏休みはきまって、家族で海に出かけているからね。

 あ、もちろん北九州市の海だよ。どこかは皆さんのご想像におまかせしますけども。

「ゆず、和子は?」

「多分今起きてくると思うよ」

「あの子もお寝坊さんやなぁ」

「どうせまた『ひぇ……寝すぎた……』なんて言って起きてくるんでしょーよ」

 クスクスと笑いながら母と話していると「ひぇ……寝すぎた……」とまんま同じ言葉を言いながら和子が急ぎ足で起きてくる。

 その事に思わず母と一緒に笑ってしまい、降りてきた和子が困惑した表情を浮かばせていたところから、今日の朝は始まった。

御一読お疲れ様でした!!

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