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漢のロマンと欲望と

翌朝、何故か理不尽な起こされ方をされた。前にもディナと寝た時にユートとユーカに似たような起こされ方をされた記憶がある…胸に顔を埋めてたとかで。


俺の所為かとも思うが、何も言うまい。というか、夜通し説教してた方が嫌だわ。









「……………」



右頬に3発、左頬に2発、鳩尾に1発…それと顔面に引っ掻き傷。誰がやったかは想像に任せるが、手痛い攻撃を受けた。別に胸の順番とかで指輪を渡しているわけではないのに…まあ、ファルよりはマシな攻撃で済んだからいいや。



「……先輩、自己治癒とかしないんですか?」


「そのうちな…」



あまりに不憫な状況に手を差し伸べて脱出させてくれたのは元男のシュウとフレアとウィンディアだった。あのままだと俺も揉まれていたと思う…いや、揉まされていたか。


3人と一緒に【小型魔空戦艦】で館を脱出して、レベル上げのために渓谷へ向かっていた。若干、人気の無い所で3人に襲われる展開もありそうだが、ドラゴン居るから何とかなるだろうと思い込んでいる。



「まあ、兄貴がモテるのは前からだったけどさ。さすがに殴られるのは始めて見た気がする…灯里さんを狙う奴との喧嘩でも無敗だったし」


「まあ、そんな事もあったな…」



別に格闘技習っていたわけでもなく、サッカーで鍛えさせられたフットワーク…というか足癖の悪さでどうにかしてただけだが。色んな意味で手癖悪くなったな、俺…



「女っていうのは、胸の悩みを持ってるんだよな。大なり小なり…」



人生の先輩…というより、墓場体験者が何やら遠い目でぶつくさ言ってた。お前も今は女だろと言ってやるべきだろうか?



「でも、まあ…先輩にもそういう下心とかあったんだなと思って安心はしてるんですよ、これでも」


「あー…確かに。兄貴ってシスコンだから多少敬遠されてたけど、人気あったのは間違いないし」



そんな事は無いと思うが。少なくとも、高校に入って告白してくれたのは2人しか居ないし…まあ、それに近いものは2人からされたが。考えてみれば、それにようやく応じたわけだ。


というか、誰がシスコンだ。



「人気なぁ…その割には葬儀に参加してくれた同級生は数える程だったが」



むしろ、灯里の人徳で後輩の方が多かった気もする。先輩も何人か居たが義理みたいだったし…まあ、そういう意味では義理とか同情でなく俺の死を嘆き悲しんでくれた男って親族とご近所さん除けばこいつらだけだったなんて思い出す。他に居たかもしれないが。


変な拘りというか、固定観念というか…性別とか考えなければ大切なのは確かなわけで指輪だって用意してる。というか、男って思い続けていたら用意してるわけが無い…



「…先輩って好かれてなかったですからね。同級生や3年の先輩には」


「年下には好かれてただろ…まあ、俺たち限定だけど」



まあ、灯里たちや北里たちと遊んでたのは確かだし嫌われているとは思ってなかった。先輩には部活の事とかで揉めたりしたし、同級生には嫉妬されてる自覚はあったが。とはいえ、同性に好かれていたという事実は変な意味ではなく純粋に嬉しいものだった。


気付けば、3人の頭を撫でていた。絶対に俺が知ってる北里たちにはやらない行為だ。中身はどうであれ、この少女たちが大切だと思っている。いるからこそ…



「先輩、このまま何処かでしませんか?」


「兄貴、オレはいつでも構わないです」


「お手柔らかに…」



男だった事が余計な言動…あかりん菌亜種の感染をしているとしか思えない。男だったからこそ、男である俺に喜んでもらおうと色々しているし、それがダイレクトに俺の何かを揺さぶってる気がする。露骨なあかりん菌感染者とは違う乙女らしさとでもいうべき言動で。


とりあえず、顔を赤らめるのはやめてくれ…まだ灯里に斬り殺されたくはない。








とりあえず、レベル上げの最中に指輪を落としてしまわないようにという事で後回しにはしたが覚悟は決まった。もう、こいつらを男と思う事は無い…とまでは言わないが、あかりん菌亜種感染者として見るようにしようと。


そういうわけで、【風の渓谷】へとやって来た。レベル上げなんてあんまり必要無い…強ければ強いし、それでも死ぬ奴は死ぬ。という俺の考えに囚われた世界理念の所為で最近レベルとかのステータス表示が壊れかけているとイリーナが言ってたからレベルなんてものは無意味になりつつある気もするが、そこはノリと勇者としてのプライドと冒険心なんだろう。


水と地と氷と闇の勇者+αは俺の攻略を狙っているが…



「とりあえず、先輩は見学しててください」


「ああ…」



後衛で魔銃と魔法を使うシュウ、中距離から近距離で神槍を使うウィンディア、接近戦で己の分体の剣を振るフレア。ついで回復薬の俺…回復役ではなく、あくまで戦闘には不参加だ。相手がミケさん所のドラゴンだし。


どうやら、定期的に来すぎて強力かつ、悪い魔物をほぼ殲滅させたらしく相手が居ないとか。まあ、シュウはともかくフレアとウィンディアの強さは桁外れだからな…


それでも折れる程の俺の強度っていったい…少なくとも、目の前で3人と互角に戦うドラゴンよりは上だが、そのドラゴンを蹴り倒したのも居るわけだし…


そういえば顔面の治療しないとな。あいつらもあんな殴ってくる事ないだろうに…だけど、そこに殺意が無い事は知ってる。今、目の前で戦っている3人と1匹もだ。


だからこそ、昨日は言い過ぎたと改めて思うし、よく頑張ったなとも思う。俺は殺意を持って襲ったわけだし…もし、立場が逆転していたら俺は繰り返すだろう。あの時みたいに…



「せ、せんぱいぃ〜…」



情けない声を出して、シュウが近づいてきた。あられもない姿…というか、胸元は大きく裂かれてボロボロになった服装で。やり過ぎだ、ドラゴン…


回復薬だけじゃなく衣装ケースもしなきゃいけないのかよ。フレアとウィンディアはイメージとかで服は元通りに出来る存在だから構わないみたいだが…これ、後がヤバいよな。行きと帰りで服装違ったら疑われる。こんな格好で帰っても疑われる。また殴られるの覚悟しておかないとな…


同じ服を出せば済むという話でもないからな。あいつらの観察眼は恐ろしいし…新品かどうか分かるらしい。まあ、鑑定に特化したメイドが居るからな…なら、してないとまで鑑定してくれと。



「とりあえず、どうして鎧とかじゃなくドレスで来たんだと問いたいが…狙ってやってるんじゃないよな?」



呆れつつもそう言ったら、露骨に目を逸らしやがった。「あははは、な、ナニイッテルンデスカ」なんて反応までご丁寧にしてくれましたよ…この様子だとミケもグルだな。


というか、フレアとウィンディアは真面目に戦っているようで何故か泥塗れになりつつある。一緒に風呂入るとか言ってきそうな構えだぞ、これ。



「………よし。ドラゴンとの稽古はおしまいにして、俺が直々に稽古してやるから3人で掛かって来い」


「「「え゛っ…」」」



俺の言葉に固まるが、知った事ではない。というか、少し離れた2人が反応してる時点で茶番じゃないか、これ。


仮にも炎とか風とか光とかの勇者って言われてたんだからドラゴンくらい3人で倒すのは出来るだろうと。ミケみたいにとまでは言わないが…



「ある程度手加減するし、一撃与えられたら終了だ。そしたら、指輪も渡してやる」


「いやいやいや、無理ですから」


「兄貴の力量、桁外れだし…」


「そもそも、光の勇者って何の実績も無い称号だし…」



いくら体が変わったとか、俺が神だからといっても全力で否定するとか情けなくないか?


昔、サッカーしてた頃は走り込みとか指導してやったら泣いて喜んでたくせに。

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