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パジャマパーティーという名の講習会



「というわけで、兄様は悪辣非道な勇者リーシャの魔の手によって世界を追われこの地に降臨なされたというわけです」


「リーシャが悪者、魔族の敵…見損ないましたわっ!」



イリーナちゃんにボクの知らないトウマくんのその後を話して貰った。ボクは軽く聞いてたけど、勇者アレクの物語の続編として書く時にはイリーナちゃんの話がとても参考になる。その分、リーシャちゃんは嫌われそうだけど…実際に何人かが「魔族の敵に制裁を」って枕を投げつけてる。仕方ない…前々世の友人といえど、前世の友人を殺したのだから同情はしない。どうせ枕だし…


それに、意外とトウマくんに対する好感度は高かった。魔族だから男は見下すかなと心配していたけど、ボクのお話とか神話とかで特別視されていた。この前、キャラメルプリンをくれたと嬉しそうに話していたし、餌付けしているらしい。まあ、ボクたちも貰ったけど。



「サレナ姉様。トウマお兄様に好かれるにはどのような事をすればよろしいでしょうか?」



ルフィニがそう聞いてきた。好かれたいらしいけど、ドラゴン系はちょっとスタートから大変そうなのは目に見えてる。被ってるから…師匠と生まれたばかりの竜人ってアドバンテージがある2人に比べるとルフィニは劣る。でも、魔族7人の中でトウマくんが最初に手を出すなら彼女じゃないといけない。積極的に枕を投げているローズリッテやマリーテレズ、それにさっきから始まった元は男たちの寵愛講座を聞き入るラベンナは弄る側、便乗して投げてるディライアとロニカ、それを止めようとしているリーヴァは弄られ側だ。その仲を取り持つ彼女じゃないとパワーバランスが悪くなる。とはいえ、トウマくんが子どもに手を出すとは思えない。思えないから、魔族としてこの子たちは手を出すだろう…


それはこの100年の間に逆転したとはいえ変わらない魔族の風習だった。優秀な男の遺伝子を後世に残す…早い話がハーレムだ。ボクとこの7人はその子ども、つまりは異母姉妹であったりする。それを繰り返そうとしているだけに思う…と割り切れないのがトウマくんへの執着だ。正直、アレクの物語とかを話しすぎた気がする。それにトウマくんが神なのも影響しているはずだ。


それでも、魔族としてだけではなく妹として貞操観念はきっちり持たせるにはそうするしかなかった。



「絶対に初めてをトウマくんに捧げる事。他所の野良犬に捧げて成長しても汚れた女にトウマくんは興味持たない。汚れたら、生まれ変わってやり直すしかなくなる」



そこまではという目でイリーナちゃんが見てくる。でも、そう思い込んでいた2人が目の前に居る。ボクはそれを知ってるし、ボクが死んだ事によって守れなかった責任もある。


魔族の女は経験する事によって急成長する。それは事実だし、大抵がそれ目的で簡単に捨てる。でも、ボクはこの7人にそうしないよう言い聞かせてきた。だから、ちょっと歪んだ考えを持っていたけどトウマくんはそんな事を吹き飛ばすくらい良い男だったらしい。


まあ、まだまだトウマくんを知らないからその程度だけど。








「とりあえず、兄貴の事は神とかじゃなくて1人の男として尊重する事が大切だと思う。あんまり神様神様言ってると嫌われるんじゃないかな」



そんなフレアちゃんの言葉にウチを含めた亜人一同は考えさせられる。亜人の信仰は絶大かつ絶対的なものだ。ましてや実際に救われたなら神様として尊敬するのは確実。さっきの話もそれを助長するだろうし…



「まあ、先輩もこうやって亜人だから偏見とかされないように人化の魔法を使えるアクセサリーを用意してくれてるんだから、きちんと使っておけば良いと思うけど」



ウチやトリンちゃんみたいに人間に近い種族、ミケちゃんやオウギちゃんやルマリちゃんみたいに人間に受け入れられ易い種族はまだ構わない。けど、ルビィちゃんたちのような人間から遠い見た目だと嫌われたりする。だから、人化の魔法をトウマさんが作ってくれたアクセサリーで出来るように配慮してくれている。



「単に人化してた方が子作りしやすいからだと思うにゃん。さすがにご主人様だってヘビやタコやクモとはしたいとは思わないはずにゃん…」



ミケちゃんが容赦無い。ほら、3人が涙目になってるよ…言いたい事は理解出来るけど、トウマさんがはっきりそう言ったわけじゃないのに。



「本格的に人間になるにはどうすればよろしいでしょうか?」


「人魚姫なら声を引き換えにとかだけど…そんな方法あるのか?」


「あったら、魔科学で実用化してるって…」


ルマリちゃんの発言にウィンディアちゃんとシュウちゃんが真面目に悩み出した。現状維持でも十分だと思うけど…まあ、まだ来て数日だし学校で良い人見つける事が出来たらそっちの方へ…



「そんな事はしなくて良いから早く焼いて食わせろにゃん。そこの鳥もにゃん」


「い、嫌だよっ!」


「早く人間になりたいです…」



ああ、そういう理由もあるのかと納得してしまう。でも、亜人を食べて許されるのは魔物だけだよミケちゃん…種族が猫耳族から神猫になったからってそれはいけない。トウマさんがもっと信頼してくれれば皆も神蛇とか神蛸になるんだろうから仲良くしないと。でも、そのためには沢山撫でてもらわないといけないらしいし。ミケちゃんみたいに甘え上手にならないといけないかもしれない。


これは、トウマさんに甘える特訓をしなきゃいけないと思う。トウマさんに好かれるしミケちゃんに対抗出来るようになるなら一石二鳥だと思うし…


とりあえず、シュウちゃんたちにはトウマさんとデートして甘えるような状況をどう作るか考えて…



「…いや、デートしたいのは皆も同じだからさ」


「好かれるのは良いけど、順番待ちになるだろうし…」


「デートくらいでしてくれるなら、兄貴はもう手を出してくれてるって…」



相談してみたら、遠い目をし出した。道のりは険しそうだ。でも、ウチは大森林の仲間としてもこの子達にも幸せになって欲しいと思う。亜人だからといっても恋愛は自由だと思う…約1名、生後まもないから微妙な子も居るけど。

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