2人目の駄女神降臨
「というわけで、溜まりに溜まった有休とサービス残業や休日出勤に過労致死間際のストレス諸々で無期限の休暇と賠償品を貰ってこの世界にやってきたわけだよ」
奏多、なんか強くなったなと…皆に武器が必要だろうからと偉い神様のところから今までの押し付けられた雑用を盾に奪ってきたらしいし。
ここは普通感動の再会ってシーンじゃないのか?
「ファルちゃんには間引きした世界樹から作ったシールド、イリーナちゃんにはありとあらゆる世界から集めた魔法を記した超禁断の書、ミケちゃんにはありとあらゆる世界の魔物を呼べる幻の笛、アリエルアちゃんにはどんな魔法も防げる白マント。で、リーゼアリアちゃんには神の世界のスイーツ詰め合わせね」
「私のお土産が雑すぎるっ!?」
「で、北里くんにはこれを返すね」
「あ…【風の聖剣】」
リーゼアリアが自棄食いしている横で皆が奏多の贈った武器や防具を確かめている…それに夢中な間に聞いておかねばならない事が山ほど増えたわけだから聞いておかないと。
「奏多、もう向こうでの用事は済んだのか?」
「うん…向こうではね。後はこっちでの仕事…というか後始末かな。別の世界で悪い事をした連中がかなりこの世界に流れ込んでるし」
なんか、とんでもない事を言い出した。奏多も駄女神化してるな、これは…
「どういう事だよ…」
「あー…うん。休暇前の大掃除って事でマナの供給削減とか悪政してる世界の神の大量処分とか色々やったんだけど反発も多くて…この世界に処分から逃げてる神や王が沢山。それで、この世界がそいつらの管理する世界と融合して世界面積広がってたり…」
「なんか、ほんととんでもない事を言い出した…」
「あ、大丈夫だよ。アレクの世界以外はそいつら殺せば融合解除されるし」
さりげなくアレクの世界は解除出来ないと言い切りやがった。
「それで良いのか、マナの女神…」
「所詮使い捨ての派遣みたいなものだし。それに、やろうと思えばお兄と皆で独立して世界を管理出来るんだよ。お兄が持ってた【七大罪処刑】って元々は創造神の能力を奪った剣で、それを取り込んじゃったお兄は創造神すら超えちゃったんだから。子作りしちゃうだけで相手も神格化させられるチート神なんだよ、今のお兄は」
「なんか、聞きたくなかった色々」
「あ、誤解しないでね。あたしはまだそういう経験ないよ。だから派遣なんだし」
奏多が必死にそう言ってくるが、統括マネージャーのマナの女神が創造神のハーレム要員とか知りたくもない情報なんて聞きたくもない。しかも、女神と言いつつ男も居て創造神が両刀とかそんな情報要らん。
◇
「かなちゃん、かなちゃん…私には神具って本当にないの?」
皆が武器や防具にうっとりしてるのに私だけ仲間外れは辛い。スイーツ詰め合わせは美味しかったけど。というわけで、お兄ちゃんから離れたかなちゃんに改めて聞いてみる事にした。
「あるにはあるけど…今のリーゼアリアちゃんには使えないかな。きちんと割り切れてないよね。イリーナちゃんみたいに前世の中身のまま転生したわけでもないのに、灯里ちゃん…ううん。リーゼアリアちゃん自身は全てを灯里ちゃんに渡しちゃってる。それで神具使うと灯里ちゃんが消滅するだけなんだよ」
「…私が割り切れてない?」
「アリエルアちゃんみたいにきちんと混ざり合うか、ミケちゃんやファルちゃんみたいに過去として向き合うか。今の灯里ちゃんはリーゼアリアちゃんの体に取り憑いてるのと同じなんだよ」
人を怨霊みたいに言わないで欲しいなぁ…でも、リーゼアリアとしての知識や思い出はあるけど、実感はあまりないんだよね。この体があの国王の血から出来ているかもと考えたリーゼアリアは自分を捨てたかった。奴隷になって何も考えられないほどメチャクチャにされたかった。でも、私の記憶が蘇って…
「…きちんと向き合わないといけないか。今の私と…でも、出来るかな?」
「向き合わないと消えちゃうんだからしないと。他の灯里ちゃんたちには出来たんだから、心配しなくても大丈夫だよ」
「………たち?」
「……たち?」
いや、首を傾げて聞き返されても。言ったのかなちゃんだし…でもまあ、私も皆みたいに割り切って前に進みたいって思う。神具は欲しいけど、それ以上に私の一部分でもお兄ちゃんを受け入れてないのは何か許せない。そりゃあ、お兄ちゃんにメチャクチャにされたいけど…
いや、そういう本心はさて置き自分を好きじゃない自分をどう好きにさせるかだよね。
「いざとなったら、お兄の【混沌】で強制ミキシングすれば大丈夫だよ」
「かなちゃん、それ良い展開になる気がしないよ…」
「色んな意味でお兄に、メチャクチャにされるのは変わらないよ?」
「そういう方向は期待してないよ」
下手すれば、邪神スライムにされちゃいそうで、何か嫌だ。




