語られた過去とその矛盾
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シュウの話に奏多から聞いた話、それぞれが覚えている話を統合した結果…
「お前か、お前が俺を神に仕立てあげたのか…」
「だって、俺たちにとって先輩は神じゃないですか。沖田だってそう思ってましたよ」
頭痛くなるわ…百万歩譲っても納得出来ない。俺がこの世界の信仰対象なのは奏多から何となく聞いていたが、そう仕向けたのが目の前に居るんだから尚更だ。
「はぁ…後、リーゼアリアとアリエルア。お前ら前世の記憶、ところどころ抜けてるな」
「それは…」
アリエルアがスライムに会った時に語ったのと事実には差異があった。別に前世の全てをなんて言わないが、3号以降が存在する可能性あるな、これは…
「それより、300年前に沖田くんが巻き込まれたという事件はどうなったんですか。史実にそのような事は無かったはずです」
「うん。俺もその時には目覚めて対処に当たろうとした。でも、その頃には魔物はある程度統制して、強くて大きなのは精霊の管理してた…今で言うとナシビトの森に押し込めたし、精霊自体がその時までに殆ど居なくなってたから、結果として起こらなかったんだよね」
「まあ、それも当然だろ…奏多が言っていた。全部の俺は救えなかったってな…小難しい話してたな。世界の分岐がどうのこうので、邪神の影響の因果律が集約して処理しきれなかった分が俺に押し寄せて救えなかったとか」
「言ってる事がよく分かりません、お兄様」
「俺も分からん。ただ、別の俺たちが居て、あの事件が起こらず普通に暮らせていたり、また別の俺は亀裂に飲み込まれて400年前に飛ばされて後でお前らと合流するようになっていたり、また別の俺はドラゴン倒してそのドラゴンが人になって嫁宣言してきたらしい…そんな目で見るな。全部奏多の言った事だ」
全員が全員冷めた目で俺を見ていた。とはいえ、奏多は確かに言ったのだ。平和なまま生きる俺が約63%、先にこの世界へ来て先輩勇者として活躍する俺が約26%、ドラゴンな女の子を加えてドタバタハーレムな俺が約10%…で、最後の1%にも満たないのが今の俺だと。
奏多はヒビ割れを防いだり、ドラゴンの召喚を防いだり、ドラゴンを倒す力を俺に貸してくれたり対策はした。だが、本来救えなかった命を捻じ曲げて救うリスクがここに居る俺自身にのし掛かってきたとか言っていた。
◇
「つまり、この世界に今存在するお兄は並行世界のお兄じゃなくて、まごう事なきオリジンお兄なんだよ。マナの女神を倒して400年経ってもその影響力を捻じ曲げる事だけは出来なかった。だから、アレクに転生させて因果が切れて死の間際この世界に転移させるつもりが、君のせいでややこしくなったの」
「そんな事、統括マネージャーのマナの女神であるお主の通達ミスではないか。わらわは世界を救う勇者が来たと思って救ったに過ぎぬわ」
いつの間にか私の説明を補足するために現れたかなちゃんがセーラちゃんと口喧嘩し出した。
まあ、それは良いんだけどね…統括マネージャーって。
「とりあえず、これからどうするかですよね…お兄ちゃんと合流するためにやりたくもない事をさせられているんですし」
「ん…」
「大丈夫だよ。ラピス…琉璃ちゃんを救う方法が1つある。でも、そのためには近江くんに泣いてもらう事になるけどね…」
かなちゃんがそう言って別の女の子の方を見た。かなちゃんが連れてきたフレアと呼ばれた少女だ。
「まあ、それはまだインテリジェンス化してないから救いようはあるんだろうけど…そんな事してマナの女神としては良いの?」
「きちんと溜まりに溜まった有休を根こそぎもらってきたし、お兄に頼めば創造神なんて瞬殺だよ。2つの世界の神…フランチャイズの店長ってお兄を思っちゃダメだよ。お兄は創造神すらも凌駕する最強なんだから」
「あー…うん。知ってる…」
こうなったかなちゃんはダメだと。
「お兄ちゃん…近江くんを助ける…琉璃ちゃんも起きる。アレクくんが喜ぶ」
「ついでにあれの魂を創造神に渡せばわたくしの復帰も…」
「アース、それは無いよ。オレたち物だし…先輩に土下座して謝らないとへし折られておしまいだし」
それぞれ好き勝手言ってるなぁ…まあ、私も好き勝手するわけだけど。
「まあ、やりますか。カティナとしても私としてもおにいちゃんたちには幸せになって欲しいし」
「と言いつつも、ここから動けないアクアであった」
「かなちゃん、茶化さないでっ!」
まあ、事実なんだけどさ…
◇
「まあ、俺の事はどうでもいいだろ。もしかしたら、お前らの望む藤島燈真とは別の藤島燈真かもしれないが…」
「そこは結構重要なような…」
「でも、ウチたちだってそれは同じだよ。トウマさんの知ってる姉小路沙耶でもディナでもないファルって存在。皆だって大なり小なり見た目や中身だって違ってるわけだし…何より、記憶だけで今のこの気持ちがあるわけじゃないでしょ?」
「さすが姐御にゃん。良い事言うにゃん」
今のこの気持ちか…まあ、外見はともかくそれだけはあんまり変わってないつもりなんだけどな。
「で、何か他に聞きたい事はないのか?」
「そりゃあ色々あるけど、お兄ちゃんには過去の事よりこれからの事を聞きたいよ。赤ちゃんは何人欲しい?」
「黙れ、残念王女」
こんなのが灯里の本性だと知れたら世界が邪神だらけになりそうだ。
「そうだよ、リーゼアリア灯里ちゃん。まずはお兄の気持ちを優先しないと。キスはともかくお兄はまだ子作りやった事ないんだから誰からやりたいのか聞かないと」
なんか、残念になった駄女神が現れた。なんだこれ…




