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召喚魔王の再英雄譚  作者: 紅満月
間章 400年間の物語
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4つの聖剣と勇者の物語5



沖田くんはどう考えていたのだろう。灯里ちゃんが今居たはずの世界を壊す事を覚悟していたのだろうか…脆すぎる邪神と化した彼はそれでも強かった。


魔物や天使とは違う桁外れの強さ。強いはずのあたしたちの武器は聖剣以外傷を付けられもしなかった。そして、【雷の聖剣】が砕け散った。


リエルくんだけは殺させるわけにはいかない。タマちゃんにあたしたちのような思いはして欲しくなかった。大好きな人が居なくなる辛さはもう要らない。



「北里くん。後はあたしがやるから皆を連れて逃げて」



【風の聖剣】は邪神に突き刺さっている。いつの間にか戻るための亀裂は小さくなりあたしたちの遥か頭上にあった。北里くんが【風魔法】で運ぶしかリエルくんや皆を帰せなかった。だけど、北里くんは戸惑う…



「ここで沖田くんを止めないと…あたしの、あたしたちの大好きな人のために沖田くんが誰かを殺すなんて、お兄が絶対に許さない。あたしはお兄の妹にも弟にもなれなかったけど、お兄の幼なじみだからさ…お兄と同じ事をするよ。だから、北里くんもお兄と同じ事をして。止めるか助けるか…それだけの違いだよ」



言い訳にもならない説得。でも、北里くんは泣きながら納得してくれた。「必ず戻ってくる」って言って皆を連れて亀裂を越えて行った。その直後、亀裂は塞がった。間一髪でタマちゃんは大切な人を失わずに済んだ。


残されたのは水以外の3本の聖剣。【炎の聖剣】は沖田くんが投げ捨てていた…あたしはそれを拾い邪神と戦った。一瞬なんて事はなかった。隠れる場所も無い世界…時間も分からないほど戦った。その中であたしは技を編み出した。その技で全てを終わらせる事が出来た。


その後、あたしは紆余曲折を経て新たなマナの女神になった。でも、結局変えられなかった。全部・・を救う事は出来なかった。









本郷さんを置き去りにして、俺たちは帰ってきてしまった。ヒビ割れは消え去り天使たちは邪神の消失に戸惑い戦意を失ったものたちは自害、そうでないものは戦い切り捨てられていった。


天使との戦いは終わった。でも、虚しさだけが残った。魔物は減る事もなく、帰る事も出来ない。沖田の事は俺たちの胸の内にしまった。でも、魔族たちは責任を感じてしまった。また、天使とは正面から戦ったために種族の数が減りすぎてしまった。魔物を倒しながらも共存していく…【調教師テイマー】だった山根さんが遺してくれた可能性を俺たちは模索していく事になった。


天使の去った集落を俺たちが拠点として使う事になった。また、本郷さんがいつでも戻ってこれるようにと消えた場所にタマたち何人かは集落を作り移り住んでいった。


後年、5人の勇者が邪神と戦い勝ったという作り話が語り継がれる事になる。でも、勝ったわけじゃない。ただ、振り回されただけで勝者なんて居なかった。身勝手な愛に振り回された勇者と巻き込まれた俺たちが居ただけだ。


結局、魔物による被害は多少減ったけど俺たちが…いや、俺たちの子孫になる人間たちが新たな問題を起こしていく事になる。スライムによって捻じ曲げられた欲望に抗えないままに人間は多くの影響をこの世界に与えていく。でも、真実は歪められていく…


守れたのは俺たち勇者が憧れ尊敬していた人が居たという事と、その人が教えてくれた事を守りたかったという事だけだ。沖田だって歪んだわけじゃない。だから、誰かが悪かったわけじゃない。いや、邪神が…マナの女神が悪かったのだと思う。だから、そこだけは間違えないようにしないといけない。繰り返さないといけないためにも…








こことは違う別の世界に1人の若者が居た。


若者は少女を助けるため果敢にも挑み、少女を守って散っていった。


人を彼は勇者だと言った。


幻の勇者、トウマ・フジシマ…彼の勇気は多くの若者に受け継がれた。



この世界を邪神の魔の手から救うためその世界からやってきた4人の勇者と仲間たちもまた彼の勇気を受け継いだものたちだった。


その気持ちはこの世界の勇者たちにも受け継がれた。


邪神との戦いで多くの若者が散っていった。それでも勇気は受け継がれた。


そんな中、水の勇者アカリ・フジシマも亜人の姫を庇い命を落とした。


彼女の死に皆が涙を流し、その勇気はこの世界の生きとし生けるもの全てに受け継がれた。


そして、勇者たちは邪神が挑んだ。


剣が折れ、仲間や勇者たちが次々と倒れる中、地の勇者カナタ・ホンゴウが自らの命と引き替えに邪神を倒した。


こうして世界に平和が訪れた。


だが、邪神の残したものも多い。魔物だけでなく邪悪な心も人々に与えていった。


しかし、人々の心に勇気が受け継がれる限り2度と邪神は現れないであろう。



この世界とは別の世界に幻の勇者が居た。


邪神を倒すために現れた勇者たちは彼をこう讃えた。


彼こそがこの世界の神であったと。

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