第50話:とうとう要さんのご両親と会う日がやってきた!
このお話は主人公目線で語り口のように綴っております。
そしてあっという間に要さんの両親に会う日になった。
私は清楚にベージュのニットにAラインのベージュに黒のチェックスカートを合わせていた。アウターにはミドル丈のファーコート。足元はローヒールにした。ご両親に会ったあとは要さんとクリスマスデートで少し歩くとも聞いているからだ。
「おお、いつもは可愛い感じなのに今日は綺麗だね。」
要さんは私を見て一番にそう言った。これはご両親にもいい反応をもらえるかな?
「そ、そう?よかった。」
私は緊張していた。
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。会長の顔は知ってるんだから…。」
要さんはそう言ってくれるけど、顔を知っていても話なんてしたことないんだもの。そりゃ緊張するよ~~~。
「別に結婚の挨拶をしに行くわけでもないんだからさ。」
そう励ましてくれるけど、そういう問題でもない。緊張とは意識しなくても勝手にしちゃうんだから…。
「さあ、行こうか。」
そう言って彼は車の扉を開けてくれて私はそっと乗り込んだ。
要さんが運転するセダンが街中を走る。夜になるときっとこの辺り、イルミネーションが凄いんだろうな…。私はちょっとでも緊張をほぐそうと外を眺めることにした。今日はクリスマスイブだ。夜はいつものフレンチ店を予約してくれている。そのあとはクリスマスイルミネーションの綺麗なところまで行くことにしているのだ。出来るだけ楽しみを想像してこのドキドキを少しでも治まるようにと思った。
────だめだ。どんなにその後の楽しみを想像したって、やっぱり緊張するぅ~~~~!
私がそう思っていると
「着いたよ。」
あぁ…、着いてしまった…。
車を降りて家の玄関前に立つ…。
〝お…。大きい。立派。やっぱり会社の社長や会長の家って感じで貫禄というか威厳というか、家にある!〟
私は立派な家造りを目前にして緊張がピークに達していた。要さんの家は平屋だが、敷地を囲んでいる塀がグルリと長く、その広さを安易に想像出来た。
〝こんな大きな、お邸のような家の方と私ってつり合いが取れるのだろうか…。あまりにも差があり過ぎて交際を反対されるかも…。どうしよう…。〟
私がそう戸惑っていると玄関が開き、ご両親揃って出迎えてくれた。私は何だか申し訳ない気持ちになってしまった。でもここで怯むわけにはいかず、頑張って挨拶をした。
「要さんとお付き合いさせて頂いております、春川奈々と申します。本日はお時間をお取り頂きましてありがとうございます。こちら良かったらどうぞ…。」
そう言って手土産を渡した。
私が緊張しているのが伝わったのだろうか…。
「要の父です。どうかリラックスして下さい。沢山お話を聞きたい。」
「要の母です。お土産ありがとう。さあ、どうぞ上がってくださいね。」
そして促されるまま家に上がることに…。
そのまま応接室へと通してくれた。
〝ここが要さんの生家…。〟
私は廊下を歩いている時、小さい要さんもここを走り回ってたりしたのかな、とか想像していた。応接室へと向かうまでの間、私はこの家に要さんの原点を感じていた。何て言えばいいのかな、とても懐かしいような親しみを感じるようなそんな家の雰囲気だ。
応接室に着いてからは着席を促されたので「失礼します。」と言って席に着いた。
応接室からは庭が見える。とてもよく手入れされているようだ。ん??あれは鯉でも飼っているのだろうか…?池?灯篭が見える…。うわ!流石会長宅だわ!
私が驚きながら外を見ていると
「ははは、あとで庭を案内してもらいなさい。我が家の庭は見応えがあるよ。」
そう言って会長は笑ってくれた。
会長は顔を見た事があるだけで今日が初めて言葉を交わすのだ。夫人も時々話かけてくれて会話は途切れる事がなかったのがせめてもの救いだった。
「それでどっちから交際を申し込んだんだ?」
「と…、父さん!」
会長の前であたふたしている要さんが何だかとても新鮮だった。いつも私の前でも金山さんの前でも余裕がある顔しか見せないからだ。
「あら。そんなの要からに決まってるでしょ?あなた。」
「ほほぉ。そうなのか?要?」
「ええ、そうですよ。俺からです。」
「奈々さん、要は会社では公私混同しないようにちゃんとしてるかい?」
「────え。ええ、ちゃんと弁えております。」
「奈々?今、ちょっと間があったよね?大丈夫?俺、弁えてるよ?」
「ふふふ…。」
この人たちに囲まれているとあれだけ緊張していたのにいつの間にか私まで笑顔になっていました。
ご覧下さりありがとうございます。とうとう要の両親と会う日がやってきて奈々の緊張はピークに!




