第44話:元カノの言い分、彼の真実
このお話は主人公目線で語り口のように綴っております。
さっきの事を要さんに言うべきかどうか、私は社長室に戻ってから悩んでいた。そんな私の気持ちや考えが態度に出ていたのだろう、要さんから「何かあったのか?」と聞かれた。
私は誤魔化そうかとも思ったけど、きっとバレるだろうし要さんに話をする事にした。
買ってきたコーヒーにクッキーを添えて要さんに出したあと
「要さん……………。さっき出てすぐになんですが、ある女性に呼び止められたんです。」
「────ん?ある女性?」
私は静かに頷いた。
「その女性は要さんの婚約者だと名乗りました。」
「────は?!……………真理か…!?」
再び私は頷いて
「先日の休日に要さんとお見合いをしたと言ってました。」
「………………。ああ、父に言われて仕方なく行った。もちろんすぐさま断ったさ。」
────ああ、やっぱり。要さんは断るつもりで会ったんだわ。
「彼女、要さんが少し考えたい、身辺整理をするのでは?と言ってました。もちろん、私は信じていません。」
「ああ、信じなくていい。俺は会って断った。それが事実だ。父にももう二度とこんな事をしないように頼んできたくらいだ。」
「そうですよね、要さんはそんな中途半端な態度を取るような人じゃありませんもの。」
「アイツは奈々に何嘘を吹き込んでるんだ!一体何がしたいんだ!?」
目の前で要さんは元カノに対して怒っている。私が信じた通りで間違ってない。私は再び要さんを信頼してよかったと思った。だけど、彼女は一体何をしたいんだろう……………。こんなデタラメな事をしたら余計に要さんに嫌われるってわかってるのに……………。
「彼女、どう足掻いても結果は同じって言葉を言ってました。」
「多分、ただの強がりだろうな。」
私はそれだけが不安でした。会社同士でお見合いをセッティングする場合は何かお互いに利益が見込まれる場合だ。そのためなら政略結婚をするところも珍しくはないからだ。要さんも会社の存続危機になったら自分の気持ちだけで決められないかもしれない……………。
そうなった時は私が身を引かなくてはいけないの?それは嫌だ。せっかく要さんのこと、こんなにも好きになったんだもの。お互い両想いなのに諦めるだなんて…。会社を守るって事が私達の恋を守るってことに繋がるのね……………。
「要さん……………。わが社の業績は危ないのですか?」
「は?」
「だって…。そうでなければお見合いなんて話出てこないですよ……………。」
「業績が悪いわけではない。ただ、今後の見込みが大きくなるってだけだ。だから大丈夫だ。」
「そうですか…。」
「とにかく、もしまた真理が近付いてきても無視してくれ。」
「はい、わかりました。」
「奈々……………。」
私の名前を呼んで要さんは私に手を伸ばしてきた。私は要さんのそばに行くと
グィッ!
「キャッ。」
要さんに引っ張られて彼の膝の上に座らされた。
「もうっ、要さん!びっくりするじゃないですか!」
「ハハハ!もう辛気臭い話は終わりだ。俺たちの大切な時間を邪魔されたくない。」
「それはわかりますけど…。」
私が恥ずかしさで顔を赤らめていると
「奈々の手でクッキー食べさせてくれ。」
────!?
この至近距離…。めちゃくちゃ心臓に悪いんですけど…。
私の鼓動がいつもよりも駆け足で鳴っていた。
ご覧下さりありがとうございます。奈々は思い切って要に元カノと会った事を話ました。そして要も心配をかけるからと言わないでいた事実を素直に奈々に話ます。




