第43話:私のことを知っている私の知らない女性の正体!
このお話は主人公目線で語り口のように綴っております。
私の顔と名前を知る、私の知らない女性…。
私は彼女の方を振り向いて問う。
「あ…の…。私をご存知なのですか?」
すると彼女はニコっと笑って
「ええ、よく存じ上げておりましてよ。私の婚約者の恋人だもの。」
「────婚約者?」
私はハッとした。────思い出した!この女性、この前のお詫び出張で出会った要さんの元カノだわ。
あの時は質素な服装で何だかボロボロ感があったけど、今日の彼女は見違えるほど綺麗に着飾って髪まで整えていたからすぐにはわからなかった。
「あ…。あなたは真理さん……………?」
彼女は私が気付いた事でふっと小さく笑って
「ええ、そうよ。あの時はどうも…。要には門前払いされてしまったけど、この度私の父から要の父へ婚約の取次をしてもらっているの。悪いけど、諦めて下さる?」
そう冷たく言い放った。
外は雪が降り出していた。そのせいで冷たい空気が更に冷たく感じた。彼女の言葉で私の指先が更に冷たくなっていく……………。
〝父同士の話、要さんは知っているのだろうか…。〟
私は真っ先にそれを考えていた。
「先日の休日も私達会いまして、要は少し待って欲しいと言ってましたわ。あなたに近々お話されると思うから心の準備をしておいてもらおうと思って今日ここまで来たのよ。」
「………………。先日の休日に…ですか?」
その日は確か昼過ぎに要さんが家にやってきたあの夜景デートの日だ。つまり、私の家に来る前に会っていたというのかしら…。要さんは何も言っていなかったわ。私は要さんを信じてる。
そしてギュッツと震える指先を隠すように手を握った。
「そうよ。朝からお見合いをしたの。要ったら照れてしまってすぐに帰っちゃったけど、きっと身辺整理をしたかったのでしょうね。」
「………………。要さんは……………、私達は順調です。私は要さんを信じます。」
「ふふっ、どう足掻いても結果は同じよ?」
「いいえ、あなたの言葉は信じません。……………失礼します!」
私はそう言って強制的に彼女の言葉を遮ってその場を離れた。当初の予定通りにコーヒーショップへと向かった。
要さんを信じてる…。だけど、彼女が現れたってことは何かを企んでるってことかもしれない。彼女があの大手企業の令嬢だとしたら私なんてとても敵わない…!それが不安の波になって私に押し寄せてくる。
外の気温が低いお陰で泣きそうな顔は誤魔化せたようで店に着いても誰にも何も言われずに済んだ。
「いつものセットだね。おまけにクッキーを少し入れておくよ。彼によろしく。」
店主はそう言って少しおまけをしてくれた。以前からよく利用している所に最近は頻繁に利用するようになったからだ。また、休日にはこっそり二人揃ってここに訪れたりしたもので、店主にも顔を覚えられたようだ。
「………………ありがとうございます。」
私はお礼を言って店を出た。さっきよりも雪が沢山降ってきた。
〝きっともう彼女はあの場所にいないだろうな…。〟
私はふとそう思った。だけど、前にホテルで彼女は私達のことを待ち伏せしていたことがあったから油断は出来ない。私は緊張しながら会社へ戻るために一歩一歩と、歩みを進めた。会社の前の道路が見えて来た。
「………………。よかった。いないわ。」
私はホッとしてそのまま社長室まで戻った。
ご覧下さりありがとうございます。要の元カノが奈々の前に再登場です。彼女の言葉は事実が少しであとは作り話です。そうまでして要を手に入れたいようです。




