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身長48メートルの巨大少女ですけど普通のJKさせてもらっても良いんですか!?  作者: 穂鈴 えい
Ⅰ 入学

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詩葉と元クラスメイトたち 3

外出申請を出した翌日の放課後、詩葉が海岸に来た時には、すでに小さな人間たちが集まっていた。遠くから見たら無数の小さな粒みたいに見えて気持ち悪い。


けれど、その一人一人が認識できるくらい近づいたら、詩葉はさらに嫌悪感を抱いてしまった。一人一人が認識できると酷く気分が悪くなってくる。それでも、そんな感情を隠すみたいにして、わざと楽しそうな声を出す。


「ずいぶん早いじゃん。やる気満々だねぇ」

自分から呼びつけたのだけれど、まるで彼らが自主的にやってきたみたいな言い方にした。意地悪なのは自覚している。でも、彼女たちのほうがもっと意地悪だったから。


(巨大少女にならなかったらきっと卒業までにわたしがこの世からいなくなってたから……。だから、悪いのはこいつらなんだ)

そう思って、罪悪感を意識しないようにした。そして、その罪悪感は絶対に彼らの前で出す気もない。


「で、ちゃんと全員揃ってるわけ?」

ジロッと上から見下ろす。腕を組んで、50メートル弱の視点から、できるだけ威圧的に。みんなそれぞれお互いの顔を見合わせているから、何かを隠していることは明白だった。


「ねえ、揃ってるわけ?」

もう一度圧をかけるように尋ねるたけれど、何も答えないから、一度しゃがんで、適当にクラスの中心人物だった男子を摘む。着ていた彼の高校の制服の首元を爪先だけで摘む。あえて不安定な持ち方をして、いつ誤って落下させてもおかしくないような持ち方にして、瞳の前に持っていった。そのまま立ち上がれば、彼は首元を爪先で摘まれたような体勢で地上50メートル近い場所に吊るされる。


持ち上げられた時点で、すでに男子は震え上がっていた。中学時代にクラスの端っこにいた冴えないいじめられっ子に怯えさせられているのはさぞかし屈辱的だろう。本来の大きさなら、詩葉が運動神経の良い男子を怖がらせることなんてできないだろうし。


「ねー、揃ってるか答えてくれなぁい?」

ゆらゆらと爪先を揺らしてみると、小さな悲鳴が聞こえる。


「ふーん。怖いんだ」

ケラケラと小バカにするように笑ったけれど、地上50メートル近い場所で命綱もない、安全の保証されていない状態で宙ぶらりんになるなんて怖くないわけないよね、というのは詩葉もわかっていた。泣き出さないだけ彼はかなり強いんだろうな。わたしが同じ目に遭わされたら絶対泣いてただろうから。


そう思ったらちょっとムカついた。チビ人間のことを自分よりも強いと意識させられることが詩葉には許せなかった。フッと吐息を吹きつけてみた。それだけで、さらに悲鳴は大きくなる。


「ねー、早く答えてくれなぁい? あたし暇じゃないんですけどぉ?」

さらに激しく揺らすと、ようやく観念して答える。


「ひ、一人いません!!」

彼が必死に声を出していた。やっぱりそうだよね。数合わなかったもん。呆れる。こんなサイズ差でも舐められてるんだ。どんだけ人のことコケにしたら気が済むんだろう。なんてことを思って詩葉は苛立った。


詩葉はしゃがんでから、男子のことを解放してあげた。この人だけ責めても仕方ないし。むしろ、わたしがキレるべきはそんなモブじゃない。キッと睨みつけた先にはクラスの目立っていた女子グループの子達がいた。


「ねえ、どういうつもり?」

指先で詩葉のことを虐めていたグループの子を4人まとめて押さえつける。


「ご、ごめんなさい。ごめんなさい。連絡先突然変えられてて。昨日知って、間に合わなくて」

「許して。次は絶対に見つけてくるから」

別に力も入れてないのに、勝手に怖がって必死に謝ってくれた。無様な姿を見て、ほんの少しだけ溜飲が下がった。


大きいって楽でいいな。元のサイズの時には、詩葉が必死にやめてって言っても虐めをやめてくれなかった子たちが、簡単に言うことを聞いてくれていた。


あの頃もこのくらいすぐに言うこと聞いてくれたら良かったのに。そしたら誰も不幸になんてならなかったのに。


「ほんと、ムカつくな……」

ボソッと呟いた声にすら、クラス全員が震えていた。今この場ではみんなが詩葉の機嫌に神経を集中させている。普通サイズの時には、いないものとして無視してきていたくせに。


「まあ、いいや」

立ち上がって、クラス全員を詩葉の影の下にした。夕日で伸びる巨大な影は海岸全体を覆ってしまえそうなくらい大きくなっていた。巨大な詩葉を目の前にして元クラスメイトたちはすっかり怯え切っていた。


「じゃ、今日のお仕事頼もっかなぁ」

ケラケラと笑いながら、詩葉がローファーとハイソックスを脱いで、素足になった。適当に地面に投げ捨てたハイソックスが大きな音と砂埃を立てる。


「足、掃除してよ」

巨大な詩葉からの命令は、彼らにとってどのくらいの恐怖なのだろうか。知ったことではないけれど、怖いことは怖いだろうな。だから、きっと断ることなんてできないのだと思う。


一日中ハイソックス履いたあとの足とか絶対臭い酷いと思うし、自分なら絶対に嫌だと詩葉は思った。まあ、彼らにとっても嫌だろうな。全長6メートルもの巨足の掃除なんて。


それでも、だからこそ、命令しがいのあるでもあった。

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