生徒会長は巨大少女たちが嫌いみたい 8
「で、結局これは何の集まりなんですか?」
指先で摘ままれている生徒会長と、メイド服を着た器用な先輩と、白衣の天才科学者の先輩。明らかに怪しい集まりだよね。
聞くと、白嶺先輩がコホンと小さく咳ばらいをする。
「巨大少女を学校から追い出すための会、とでもいえば良いかな」
先ほど白嶺先輩が言っていた通りの話だ。
「やっぱりそれが目的だったんですね!」
グッと小波先輩の指先に摘ままれている白嶺先輩に顔を近づければ、それだけで、白嶺先輩は一瞬身体を震わせた。
わざと近づいて大きめに呼吸をしたら、それだけで白嶺先輩が慌て出す。
「な、なあ。このサイズ差でそういうことするのはフェアじゃないと思うんだが」
「なんとでも言ってください。わたしは月乃様が追い出されるなんて許せませんから!」
そう言ってふと思いつく。
「そうだ!! その薬! 縮小薬を飲んでもらえば良いじゃないですか!」
我ながらなんたる頭の良い発想だろうか!
月乃様に縮小薬を飲んでもらえばちょうど30分の1サイズ。わたしたちと同じくらいのサイズになれるではないか。そしたら同じ教室で勉強することもできるかも!
そう考えたらワクワクしてきた。けれど、小波先輩が首を横に振る。
「残念だけど。それは無理なんだよね」
「え?」
「この薬最大72時間しか持たないし、連続使用はできないから、どこかで絶対に元のサイズに戻っちゃう」
「えー……」
なんとかならないかな。そう思ったけれど、追い打ちをかけるように続けられる。
「それに、この薬作るのに結構高いから大量生産できないし」
「そんなぁ……」
月乃様と一緒のクラスで勉強する夢はあっという間に潰えてしまった。
「せっかく月乃様と一緒に学校に通えると思ったのにぃ」
大きくため息をついたら、また白嶺先輩が揺れた。一応、今度はわざとじゃない。
「あ、ごめんなさい」
「お前良い加減にしてくれないとそろそろ怒るぞ……?」
「わ、わざとじゃないですから」
そう言われて、わたしは姿勢を正す。さっきからサイズ差を良いことに好き勝手遊んでいたけれど、元のサイズに戻ったらみんなから慕われる生徒会長だもんね。薬はそのうち効き目が切れるらいからあまり変な真似はしないでおこう。
「あんまり可愛い後輩ちゃん虐めたら24時間の薬飲ませてたっぷり実験に使ってあげるけど良いのかなぁ?」
小波先輩は一切気にせず指先を小刻みに揺らして、白嶺先輩の身体を振っていた。
「お、お前はもっと先輩を労ってくれ!!」
どうやら、小波先輩の方が生徒会長よりも強いみたいだ。
「じゃあ、3人とも巨大少女を追い出すために活動しているってわけですね」
だとしたら、ここにいる人たちは月乃様を追い出すのに加担している敵である。わたしが睨みながら尋ねると、小波先輩と佐野先輩が顔を見合わせた。
「んーっと、全然違うよぉ」
「わたしたちは別にあの子たちの子と興味ないですし」
小波先輩の答えを聞いて、佐野先輩もめんどくさそうに続けた。なんだか思っていた感じの熱量と全く違うんだけど……
「えー、わたしは興味しかないよぉ。データ取らせてほしいし、身体に登って検査とかさせて欲しいもん」
「変態じゃないですか」
どうやら、追い出す気はないどころか、小波先輩に至っては巨大少女たちに興味津々の様子だった。
「じゃあ、その巨大少女を追い出す会みたいなやつに入ってるの白嶺先輩だけってことですか?」
「わたしたちも入ってはいるよねぇ」
「はい」
どういうことだろうか。
「巨大少女はどうでも良いけど、縮小薬とか巨大化薬の作成に協力してもらうために巨大少女ちゃんたちと会いたいもん。そのためには学校の許可がいるから、会長に取り入っておこうかなぁって」
「わたしは元々沙織さんが好きなので。あと、小さな沙織さんとその沙織さんのために生活用品を作るのも好きですので、沙織さんにお近づきになれるならなんでもするつもりですよ。沙織さんが巨大娘を追い出すというのならわたしも協力しますけど、諦めてくれたらわたしも追い出そうとするのはやめます」
「えっと……」
2人の答えを聞いて今度はわたしが困った。なんだか思っていたより適当な集まりみたいだ……




