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目覚め→リアル

物語ってなんだろう

生きるってなんだろう

人生とは?

人の物語の終着点は何処にあるのか

人の始まりは何処からなのか

それはきっと”誰にも分からない”

けれども、常に始まりと終着点はあるのだけは何処かで理解しているのだろう


****


20XX年──某都内のオフィスの一画


『また──無理な要求か。いや、無謀というのか?』

見た目、よわい20代後半だろうか?

口からも、その疲れ切った背中からも絶望に近い言葉を吐き出しては見せている男が居た。


『本当──運が無いというか、ままならないものだな』

男の机だろうか──その上には未だに処理中だろう仕事と新たに生まれた仕事を示すように仕事の山が築かれていた。


(どこで間違ったんだろうな?)

いや、間違いとは言い切れない自分も居る。

見合った給金、困らない生活──望む人が見れば羨む環境でもあるのだろう。

けれども今、この男にとっては自由の無い生活は過ちに似たような苦しい状況でもあるのだろう。


(結構頑張っているんだけれどもなぁ……)

そう思考も筋肉も弛緩しつつ男は視界を未だに深夜を回っても明るく照らす照明へと移す。


『いや、本当に上手く──頑張って来てたのかな?』

そして、いつもと同じように自問自答に陥っていく。


(はぁ──どうして、毎回毎回飽きもせずに悩んじゃうのかね)

自分自身の思考回路のくせにいちゃもんを付けつつ、男は自分にとっての都合の良い答えを当てはめては感情を落ち着かせて行くのだった。


…………

……

『あぁ──でも、やっぱりダメだ』

男は自身の頭を振っては、取り留めのない思考に埋もれていく。


(どうして、こうなんだろうな?)

(本当は──どうなりたかったのだろうか)

何度も繰り返されてる自問自答──そして、いつも通りに男は過去を振り返り始めるのだった。


****


現実は夢のようだと

いや、夢は現実のようだと

そういえば──人が起きている時の脳の動きの方が異常だったのだっけ?

そんな取り留めの無い事を考えつつ、男は過去を振り返る。


一番最初に思い出せるのは──幼少期の記憶だ。


男は人見知りだったのだろうか?

少なからず周りからは大人しい子だとは言われていたように思える。

精神年齢が少し幼少の頃は高く見られていたように思える。

ただ、少なからず成長が早く見えるように映ったのは良い事だけではなくて、どこか忌み嫌われていたようにも思える。


だけれども、そんな時にでも自分に優しくしてくれる両親や友達が居たのも確かだった。

そして、その暖かさに触れ敢えて来た事は男にとっては一番の幸せだったのだと思う。


そんな幼少期もある程度、育って来たらてっきり鳴りを潜めてしまったのか──悲しきかな、立派に今を生きる競争社会へと揉まれていく事になるのだけれども、男にとっては幼少期の頃も大切な記憶でもあった。


(でも、なんだろうな──)

ある程度成長したら男自身も気にならなくなってはいたのだけれども、だけれども確かに幼少の頃は自身の成長が幾分か進んでいたように思えたのだった。

けれども、自分は自分だよな? そう思う事によって小さな疑問はそっと心の内に閉まって生きて来たのだった。


(まぁ、そうだよな──色々とあったけれども、運が良かったのか進学も就職も困る事なく今まで来たんだ。頑張ろう……頑張るしかないものな)

自己暗示──と言ってしまえば悲しいが、そういつも通りに男は結論を出して意識を覚醒していくのだった。


****


閉じた目を──思考の海から浮上するのを合わせるように開く。


(まぁ、何も変わらないわな)

アニメやドラマならここで何か起こるのは定番なんだろうけれども──っと、思考の片隅で考えつつ男は相も変らぬオフィスの絶望を彩る風景を視界に入れるのだった。


『それにしても、改めて気持ちを入れ替えたけれども──いつまでこんなデスマーチを続けないといけないんだろうな?』

まぁ、誰もその問い掛けに応える者は居ないだろう。

男しか居ないオフィスにて愚痴はやはり零しつつ、書類を流し目で見ては整理をしていく。


『くぁー……っと──』

ある程度整理しつつ、耳に聞こえる時計の針の音が気になったところで男は時計を視界におさめると時計の針は”1:11”を指し示していた。


『腹減ったなぁ──』

最初の一瞬だけ時刻が揃っていた事に小さな喜びを感じた男だったが時間を徐々に認識しては都合の良いお腹なのだろうか──空腹を感じるのだった。


(あー……でも、しっかり消化されるかな?)

疲れ切った自分の体調に不安を感じる自分も居たが──。

(まぁ、終わんないもんな──休憩も必要だよ、な?)

視界を改めて机に向けて終わらない仕事量を見て、階下のコンビニに向けて行くためにため息を1つ吐きつつ重い腰を男はあげるのだった。


****


『……おっと』

男はビクッと身体を震わせる。

どうやら睡眠不足のせいか、階下に降りるエレベーターを待つ間にぼんやりとしてしまったようだ。


(それにしても──)

男はぼんやりとエレベーターの案内表示を見ながら考える。

こんなぼんやりとしてしまう位疲れていたのだろうかと。

環境というのは自分で変えていけるものか、はたまたこれが夢だというのならば──いつか覚めるのだろうかと。


(なんてな……)

最近、流行っている異世界ものの影響か──そんなものは現実は無いはずだと、それにああいう手合いは自分で目覚めるのではなくて、目覚めさせる存在が居るのが定番だろうと男は思考していると”ピンポーン”とエレベーターの到着の音が鳴り一気に現実に思考がまた戻されるのだった。


『おっと──また、ぼんやりとしてしまったか。それにしても寒いな……1枚羽織ってくれば良かったかな』

エレベーターの案内表示の下には現在の気温”5℃”を指していた。

冬と言われるこの季節にしては少しは暖かくも感じる……はずもない気温だった。


(ッ──!!)

一瞬、瞬間的な頭痛が走り──男は頭を手で押さえる。


『またか……』

最近、頻繁に頭痛が起きるようになって来ていた。

男自身もその感覚が短くなって来ているのが気になり、先日企業内の診療所には診て貰ったのだが原因は不明だった。

一応、軽い頭痛薬を処方して貰っただけだったが──日に日に起こる頭痛は男の生活の悩みの1つにはなって来ていた。


(とりあえず、軽く食べたら──頭痛薬飲まないとな)

そう決心しつつ、男は寒さからも逃げるようにエレベーターに乗り込むのだった。

※20XX年→2000年代前半

※オフィスビルの1画

※季節は春に向かう冬

※こことは似ている、そんな時代背景──。

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