リアル→real?
夢はいつだって唐突に終わるもの
それが”終わり”
現実は唐突に始まるもの
本当の”始まり”
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『ん──?』
最初の違和感は重力だった。
(あれ? 動いているのか?)
男は全く普段感じるエレベーターの浮遊感を感じないのだった。
『指定先の階は……押しているよな?』
違和感を感じつつ階数パネルを見てみるが男の視界には確かに押して指定の階数が光っているパネルがあった。
”押している”
(けれども──動いていない?)
(故障か?)
(何十秒経った──?)
(……何かあったのか?)
男が不安になって緊急連絡先のパネルと押そうと手を伸ばしかけたところで──。
”ピンポーン!!”
っと、唐突に指定階に到達した際に流れる案内音がエレベーター内に響き渡るのだった。
『…………』
(いや、開かないぞ──?)
待てども開かない状況に疑問を改めて感じ始めたところで、男の気付かないところでエレベーター内の階数を示す電光掲示板には異変が生じ始めていた。
『ッ──!!』
先程に続いて、また頭の痛みを感じて男は一瞬身体をふらつかせる。
痛みは一瞬駆け巡って終わったが男は手を頭に添えつつ、かがんでしまった状態を起こしつつ視界を上げるのだった。
『は──?』
そして、男は上げた視界の先で異変を生じ始めていた存在──電光掲示板に気付き目が釘付けになってしまっていた。
その掲示板には一文が──。
【”夢”は楽しかったですか?】
そう表示されていたのだった。
『どうなって……いるんだ?』
階数を指し示す場所は空白に──真っ白になっており、唯一男が分かるようにか一文が浮かび上がり男に対してだろう案内をしているのだった。
ただ、そんな案内をされた男は何も分かるはずがないだろう──常軌を逸した状況に思考は止まりかけになっているが、それでも必死に働きかけては思考をするが、残念かな……何も分かる事はないのだった。
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夢とは1つはまやかし
夢とは幻
そう、それは狐につままれるようなものだと良く分からない本に書いてあった気がするな……。
(そうなると、これは夢か? 現実か?)
思考を投げ出そうとしてしまった手前だろうか──男は首を振って改めて目の前の状況に戻る事にしたようだ。
(そうだ、これは夢──)
夢は覚めるもので覚めない夢なんて存在しない。
どこかで眠ってしまったのだろう、きっとそうだ──起きないと、そう起きるんだ。
そう、男は夢から覚めようと念じ始めるのだった。
(夢だよな? 夢……)
けれども、覚めるような気配も感じない。
(それに、どこか肌寒い……。いや、寒いってなんだ?)
夢ならば寒さなんて感じないはず? 男は混乱しつつ頭で先程の謎の案内があった電光掲示板へと視線を向ける。
そして、新しく更新されたであろう一文を視界におさめて更に混乱への拍車がかかるのだった。
【”夢”は終わります】
そう、一文が新しく表示されていた。
『いや、何を言っているんだ?』
男の呟きに応える者は居るはずはない、エレベーター内には男しか居ないのだから。
(いや、ここは書いているが正しいのか?)
なんとか精神的に落ち着けようと冷静な自分が居たのだろう、だけれども混乱しているのだろう……的外れなセルフ突っ込みを入れてしまっていた。
”人の視界の情報は全てじゃない”
これも確か良く分からない啓発本に書かれていた一文だったと思える。
皆が見ている景色は同じとは限らない
そこから得られる情報も記憶も同じとは言えない
そう、色だって皆の見ている赤色は果たして同じとは限らないのだから……。
『……いや、そうじゃないだろ』
(一周回らなくても、何を言っているんだ自分は──)
既に思考は制御しきれていないのだろう事は明らかで男は大混乱に陥っていたのだった。
そして、男が落ち着くまで誰も止める者も居ない為容易に時間が掛かるのだった。
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『はぁ──』
一息つく、そう男がだ。
やっと、落ち着いた男の視界にはいつの間にか更新された新たな一文が表示されているのだった。
その内容は──。
【行き先ボタンを選んでください】
①やり直す※同じルートを辿ります。
②目を覚ます※夢は終わりです、お疲れ様でした。
③……④……⑤……──選択不可。
『どういう意味なんだろうな……』
その一文と丁寧に備考のように追記された文章を読んで階数パネルを見ると、先程コンビニに行くために押して光っていた階数も光っていないようだった。
(どういう状況なんだ……)
混乱することはない。
もうそういう状況は脱したというよりは、どのくらい経ったのだろうか──受け入れざる得ないと判断する時間はとうに過ぎたと言えた。
神様? それとも悪魔? オカルト?
はたまた……なろう系? 転生もの?
男の頭は常軌を逸脱した思考回路に踊り出す。
(いや、自分でも確かに娯楽の一環で嗜んだりしていて親しみのあるものだ、それでも──)
いつかは電子の世界に入って、遊べる世界が来るのかもとか。
巷では4DXと一体感型の”なんちゃら”もあるのも見聞はあるつもりだ。
けれども、男の知り得る限りでは今現在起こっている事象を簡単に当てはめられる解答は持ち合わせてはいなかった。
(ドッキリ──?)
望み薄な答え合わせに辿り着く男が居た。
『いやでも、こんな深夜に──深夜に?』
ふと、時間というものが頭に浮かぶ。
(いや、時間経過的におかしくはないか?)
リアルだと過程して男は気付く、ここまでトラブルが起きていたら逆に管理センターが気付くだろうと。
けれども何も起きていない事はおかしいことだと。
『嘘……だろ?』
そして取り出したスマートフォンを見て驚いてしまう男が居た。
それもそのはずである──男のスマートフォンに表示されているのは全てが文字化けして時間を含めて全てがエラーを起こしている端末だったのだから。
(……マジか)
男の心情は大きく揺れ動いているのに関わらず、周りの環境は静かなものだった。
謎のアナウンスの書き込みは今現在も変わらない。
そこにあるのはただ──。
【やり直す】か【目を覚ます】
どちらかの選択しかなかったのだった。
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すべての人生とは無数の選択の連続であり
選択とは常に迫られているものである
それを選び取り進むことを運命ともいう──。
とは誰の言葉だったろうか……。
そんな考えが頭にもたげたところで差し迫った今の状況は何も変わる事はないのだが、だがそれを迫られていた男は今は真剣にその2択をその視界に収めては考えているのだった。
『選ぶしかない──ってことか』
何も返答を求めての独り言ではない。
覚悟を決めるために言葉にしただけである。
選択というのは重いものである。
男自身……産まれた頃から、この選択というものには多大に振り回されて来たようなものである。
人付き合い、この競争社会の環境、運命なんて格好いい言葉──とりあえず何でもいい。
常に選択というものは寄り添いあって来たようなものだというのが事実なのである。
そして、全ての選択の結果の先は望もうと望まなかろうと結果が手繰り寄せられるというもの。
そこには後悔は無いが反省は幾らでもする時もあるものである。
『後悔はしてはいけないもので……反省は幾らでもしてもいい──』
(誰の言葉だったっけ、か……)
そんな言葉が不意に心に染み渡る。
(まぁ、いいか──うん、落ち着いて来たよな?)
自分に問いかけては手を軽く握っては開いて見る。
そして、大丈夫そうだと自分自身を判断する。
『選択か──』
”俺にはそれが今でも苦手だよ”っと、言葉にもならない小さな声を続けながら、男はそう締まらない感じで手を伸ばす──【夢から覚める】ためにボタンを押すのだった。
「ピンポーン!!」
軽快な今の状況には相容れない案内音が鳴る。
そして、それに合わせるように電光掲示板の内容も更新されていく──。
【行き先を確認致しました】
【本当にお疲れ様でした】
【以降は私──”ナビ”が※※※様をサポート致しま……】
(ナビ……? そのままの案内の意味か? また安直な──)
けれども、男の思考は最後までは続かなかった。
言いようのない体調の変化だろうか、急激に意識の混濁が始まり案内の言葉も読み取れなくなって来ている。
(本当、締まらないな──)
男が苦笑しようと口を動かそうとしたのだろうか?
けれども実際の男は時既に意識が遠のいていっていたのか崩れ落ちているのだった。
けれども確かに男は苦笑している意識だけは感じていた──そして溶けるように周囲が歪んでるような風景を感じながらも男の意識は……いや、世界は全てを内包するように暗い世界へと移り変わっていくのだった。
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?「さようなら……」
そして
?「はじめまして……」
私も……目覚めないと──。
※男──まだ謎の人
※ナビ──サポートする存在?
※この現実は夢だった?




