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22.大地崩落

空中精霊都市(ティル・ナ・ノーグ)ゼケンは、上空へと達すると、次は俺の指示で敵から距離をとるように後退していく。


後方はマンドールの森である。


ゆえに、森の上に空中精霊都市(ティル・ナ・ノーグ)ゼケンを陣取らせれば、相手は天然の要害に阻まれ攻めづらいはずだ。


「さすが師匠です。これでこの村の防衛は完璧というわけですね!」


「まさか村を空中要塞にするとは。さすがケリー殿です!」


「マジでビビったっす!」


彼女らは口々に言う。


しかし、俺は少し申し訳なさそうに言った。


「いや、実はそれだけじゃないんだ」


「え?」


「俺の力がもっと高ければ、こんな大仰な方法をとらずに済んだ。まったく俺の不徳の致すところだ」


そう言って申し訳なさそうに、眉根をしかめる。


「何を言っておるのじゃ、ケリーは?」


ミヒャドさんがそう言って首を傾げた。


うーん、言うのは恥ずかしいので、行動で示すしかない。


中年にもなると、素直に自分の間違いを口に出せない。妙なプライドができてしまう。


まったくもって、未熟なオッサンだ。


だが、今は戦闘中だ。自分の未熟な戦力で何とかするしかないんだ。


そう言い聞かせて、前を向く。


「空中要塞にしたが、恐らく周囲に浮遊している岩をつたって攻めて来る可能性が高い。そいつらへの対応をみんなには頼みたいんだが……」


「いえ、師匠もちろんですよ。包囲されるところだったのを、浮遊している岩をつたって来る敵を倒すという有利な戦局に変えて頂いたのですから」


「それくらいしないとバチが当たるっす」


 オッサンのミスをフォローしてくれる若者たち。


 なんていい子たちなんだろう。


「それで師匠はどうなさるのですか?」


ミリアリアさんが聞く。


俺はその疑問に応えた。


「もちろん―――」


「っ……」


俺が集中するのと同時に、彼女が息をのんだのが分かった。


俺の周囲だけ空気の流れが止まり、喧騒が遠のく。


聞こえるのは魔力のざわめきだけ。


それは遠くにいる。俺の目的となる人物。敵も同じだった。


「見つけた」


遠い。


だが、


「目が合ったな。モルグル!」


俺がそう言った瞬間――――


ゴオ!


俺の視線の先から巨大な火炎弾が連射されてきた。


全て俺を焼き殺すという殺意をもった熱球だ。


だが。


「ふん!」


俺は魔力を集中した拳で、そのまま火炎弾をつらぬき、雲散霧消させる。


「なんと!」


「あれだけの魔法をただのパンチで防いだっすかあ⁉」


驚愕している仲間たちに、


「防衛は頼んだ!」


俺はそう言いながら、蒸発した火炎弾が巻き上げる煙幕を突っ切るようにして、スキル『疾風LV.9』を使用。


一直線に突進した。


「師匠⁉」


「ミリアリアよ、呆けている場合ではないのじゃ。おいでなすったぞ」


周囲に浮かぶ岩石から岩石へ飛び移りながら、グールたちが空中精霊都市(ティル・ナ・ノーグ)ゼケンへと迫っていた。




「はああああああああああああああ!」


後方でグールたちとの攻防が始まっているのを尻目に、俺は暗黒司祭モルグルへと一瞬にして到達していた。


その勢いのまま、相手に斬りかかる!


ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォン‼


「ぬぐああああああああああああああああああああ‼」


俺の魔力をのせた一撃が、モルグルの張った防御魔法とぶつかり大爆発を巻き起こす。


周囲を守っていたグールたちは爆発に巻き込まれて地面に倒れ伏す。


「観念するがいい。モルグル」


「何を言うか。空へと逃げた臆病風情が!」


「ふむ」


モルグルの外見は体長5メートルを超える巨大なる存在だった。


黒衣で全身を隠しており表情は見えない。


だが、フードに隠された昏い顔の奥には、怪しげな光が二つ炯々としてた。


俺はモルグルの指摘に苦笑を浮かべ訂正する。


「まぁそれも少しあるが、今のを見て分からなかったか?」


「な……に……?」


俺は答えを告げる。


「俺が未熟なせいで、手加減が難しい。威力が高すぎて、お前と戦う際に、周りを巻き込んでしまうかもしれない。今の爆発のようにな」


「な、何を言って……」


モルグルがそう言いかけた時であった。


「ビシ‼」


地面にひびが入った。


そして、ミシミシミシミシミシ‼


大地に大きな亀裂が入る。


「なんだと⁉ こんな馬鹿なことが⁉ これが本当のお前の目的か⁉」


「灌漑工事をしている時に見つけた。この下は空洞だ。地の利がこちらにあることを失念したな、モルグル」


「だとしてもありえぬ!知っていても実現など不可能だ。鋼の大地を一撃でなど⁉」


さあ。


「一緒に落ちようじゃないか。地下でなら俺の未熟な剣でも迷惑はかけまい」


「くそ、おのれええええええええええええええええええええええええ‼」


俺と奴はもみあいながら、崩落する地下へと落ちて行ったのであった。


思い切り戦うために無人の地下へと。

【応援よろしくお願いします!】

 「面白かった!」

 「続きが気になる、読みたい!」

 「この後一体どうなるのっ……!?」


 と思ったら


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