↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/38

21話 ツンデレかよ!

翌朝。


朝食を終えた頃、エリーが一通の手紙を持ってきた。


⸻


「ノア様からです」


⸻


「ノア?」


⸻


封を開く。


⸻


そこには短い文章。


⸻


『部屋に来て』


⸻


以上。


⸻


「短っ」


⸻


思わず声が出た。


⸻


だが少し笑ってしまう。


⸻


昨日の様子を思い出す。


⸻


「午後に行きますって返事お願い」


⸻


「かしこまりました」


⸻


◇◇◇


⸻


午後。


⸻


琴葉はノアの部屋を訪れた。


⸻


ノックをすると、


⸻


「入って」


⸻


中から声がする。


⸻


部屋に入ると。


⸻


ノアはソファに座って本を読んでいた。


⸻


「こんにちは」


⸻


「……ん」


⸻


相変わらず愛想はない。


⸻


だがちゃんと返事はする。


⸻


少し成長している。


⸻


「座って」


⸻


言われて向かいのソファへ向かう。


⸻


すると。


⸻


「そっちじゃない」


⸻


「え?」


⸻


ノアが隣を指差した。


⸻


「こっち」


⸻


「え?」


⸻


「こっち」


⸻


二回言われた。


⸻


琴葉は素直に隣へ座る。


⸻


肩が少し近い。


⸻


(近くない?)


⸻


とは思ったが、本人は気にしていないらしい。


⸻


◇◇◇


⸻


しばらく沈黙。


⸻


ノアは本を読む。


⸻


琴葉はお茶を飲む。


⸻


従者は見守る。


⸻


不思議な空間だった。


⸻


ふと。


⸻


琴葉はノアの本を覗き込んだ。


⸻


「騎士の本?」


⸻


ノアが小さく頷く。


⸻


「騎士が好きなの?」


⸻


「……好きだけど」


⸻


少しだけ照れたような返事。


⸻


かわいい。


⸻


「剣も好き?」


⸻


「まあ」


⸻


「部屋にも置いてあるもんね」


⸻


壁際の剣を見る。


⸻


「ノアも剣の練習してるの?」


⸻


「……王子もできないとだから」


⸻


「へー!」


⸻


琴葉は素直に感心した。


⸻


「すごいじゃん!」


⸻


ノアはそっぽを向く。


⸻


だが耳が少し赤い。


⸻


褒められるのは嫌いじゃないらしい。


⸻


◇◇◇


⸻


しばらくして。


⸻


「……読みたいなら」


⸻


ノアが本を少し傾けた。


⸻


「え?」


⸻


「見てもいい」


⸻


琴葉は目を輝かせた。


⸻


「いいの!?」


⸻


ノアが頷く。


⸻


二人で本を覗き込む。


⸻


騎士の伝記だった。


⸻


「この人強そう!」


⸻


「強い」


⸻


「この人絶対途中で死ぬでしょ」


⸻


「死ぬ」


⸻


「やっぱり!」


⸻


そんな会話を繰り返しながらページをめくる。


⸻


いつの間にか肩が触れていた。


⸻


どちらも気づいていない。


⸻


ただ一人を除いて。


⸻


後ろで護衛をしている騎士だけが。


⸻


静かにその様子を見つめていた。


⸻


◇◇◇


⸻


帰る頃。


⸻


「そういえば明日、剣の稽古の日」


⸻


ノアがぽつりと言った。


⸻


「そうなの?」


⸻


「うん」


⸻


「へぇ!」


⸻


琴葉の目が輝く。


⸻


「見に行きたい!」


⸻


ノアが少し驚いた顔をした。


⸻


数秒後。


⸻


「……来たいなら来れば」


⸻


ぶっきらぼうに言う。


⸻


だが。


⸻


どこか嬉しそうだった。


⸻


◇◇◇


⸻


翌日。


⸻


訓練場。


⸻


木剣を握るノアがいた。


⸻


額に汗を浮かべながら何度も剣を振っている。


⸻


「ノアー!」


⸻


琴葉が手を振る。


⸻


ノアが振り返る。


⸻


少しだけ嬉しそうな顔。


⸻


「頑張って!」


⸻


「……うん」


⸻


そして再び剣を振る。


⸻


「わあ……」


⸻


琴葉は感心した。


⸻


「ノアかっこいいね!」


⸻


その言葉に。


⸻


ノアの剣が少しだけ速くなった。


⸻


そして。


⸻


少し離れた場所で。


⸻


黒髪の騎士が無表情でそれを見ていた。


⸻


面白くなさそうに。


⸻


とても面白くなさそうに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。