11話 修練
今話も少し挿入したかった話を書きました、よろしくお願いします。
「ミスティのバカぁぁぁぁ!!!」
そう言いながらフレイヤが部屋から飛び出していった。
時は深夜、状態は泥酔、一つ明かりが灯る部屋の中には私とネルトゥス、そして撃沈したウルのみ。
何を言ってフレイヤを怒らせてしまったのかすら覚えていない...本当に何を言ったんだっけ?
「フレイヤちゃんのこと、怒らせちゃったなぁ...」
「大丈夫よ、あの子は強いもの、それに姉妹喧嘩を見てるみたいで楽しかったわ」
飛び出していった娘のことなど露知らず、ネルトゥスはトクトクと酒を注いでいた。
「ねぇ、ミスティちゃん」
「なんですか?」
「アーサーの...彼の前世のご両親って、どんな人たちなの?」
アーサーの...天照朝人のご両親、やはり気になるのだろう。
それもそうだ、自身の子供に前世の記憶がある、私が親の目線になってみれば卒倒ものだ。
でも、オアシス、ネルトゥスの二人は違った、20年という歳月をかけて積み重ねてきた信頼があるのだろう、彼が自身の正体を明かしても、何一つ変わらなかった。
「彼のご両親は...お母さまの方が、アーサーの幼少期に亡くなられていたんです」
「それは...」
「アーサーを産んだ直後に、癌と呼ばれる病気になって...彼が幼い頃に亡くなられて、それからはお父様が一人でお世話されてたんです」
「そうなの...だからあの子は...」
「アーサーは必死に生きようとしてました、亡くなったお母様と、治療費を稼ぐために毎日必死に働くお父様のためにも...まぁ、私と同じく、子供の時に亡くなっちゃったんですけどね、あはは...」
その時、ネルトゥスに抱きしめられた。
20年間感じていなかった感覚に、心が締め付けられる。
母に抱きしめられた回数は、記憶の中では二回だけ、前世での今際の際、そして今世での誕生の瞬間。
前世の母は厳しかった、私が難病になったとしても、決して日々の努力を怠るなと言い聞かせていた。
絶対に治るから、治った後の事を考えておくように...そうも言われた、結局無理だったが。
母は難病者支援のために各地を飛び回っていた、私のためだというのは分かっている、けど私はずっと傍に居て欲しかった、甘えたかった。
薄情者だとさえ思っていた、だけど、最後に目を瞑る瞬間、母は泣きながら私を抱いていた。
『行かないで!まだ美夜とやりたいことがたくさんあるの!お願いだから!神様ぁ!!!』
その最後の言葉が、今も脳内にこびりついている、そして時々、母の真意を見抜けなかった後悔が押し寄せてくる。
二度目はこの世界に生まれた際、私を抱き上げてくれた人、母のマーキュリーだ。
正直言って印象はあまりない、だがその後息を引き取った彼女の周りで父と兄姉、そして部屋に居る従者全員が泣いていた、母は皆に愛されていた。
『強く、強く生きるのよ、私の可愛いミスティ...私の分まで愛されてね』
私は二人の母の意思を継いで生きている、母とやれなかったことはアーサーと、彼と共に強く生きていくのだと。
「私はあの子を産んだ時にね...子供が作れない体になっちゃったの、悲しかったなぁ...。でもね、あの子ったら毎日寝言で『お母さん、産んでくれてありがとう』って言ってくれるの」
「『僕が戦争を終わらせるから!』って言ってくれるんだけど、やっぱり子供だから、私の前でだけ弱音を吐いてくれるの、他の人には内緒にしてねって...」
「だから私もね、泣いても良いのよ、ただし、お母さんの前でだけね、って言うとぽろぽろ涙を零しちゃって」
「......こんなことを言うとね、他の子が嫉妬しちゃうかもだけど...あの子が...アーサーが一番可愛いの、大切なの、前世の記憶があるだとかそんなことはどうでもいいわ、大切な...大切な宝物なの」
アーサーの事を語る彼女は、饒舌だった。
子供に対する思いは、たとえ口下手だろうと、とどまることを知らない。
「私の宝物を...よろしくね、ミスティちゃん」
「......はい!」
私には母親という立場が分からない、でもその根底にあるものは子を愛するという気持ちなのだろう。
子供が自身より早く亡くなるとしても、子供の成長を見れないとしても、前世の記憶を持っていようとも、全てを受け入れ、愛することだと。
抱擁が終わり、またトクトクと酒を注ぎ始めるネルトゥス、私もついでにお酌をしてもらう。
「っふぅ...それにしても、アーサーの結婚相手はハルちゃんになると思ってたのに、アーサーったら、悪い子ね」
「...そうなんですか?私、ハルって子...アーサーの力が目当てなんじゃないかなぁと思っていたんですけど...」
「んふふ、ハルちゃんったらね、私に料理を教えてください!って言ってきて、それもアーサーの好きな料理を、それに誕生日に渡すプレゼントは何が良いんだろうって毎年こっそり聞いてきたり...どこにでもいる普通の女の子よ...」
「へぇ......」
ハル...見かけや言動に寄らず、意外と乙女チックじゃないか...付き合いの時間は私よりも長いだろう、ちょっとだけ申し訳なくなる...ちょっとだけ。
「お母さま、もう少しハルのお話を...」
そう振り返るとネルトゥスは寝息を立てていた。
ハルに関してはまだまだ聞きたいことがある、だが夜も更けてきた。
彼女の事をもっと知りたくなってきた...彼女の本音を知りたいな。
■
窓から差し込んでくる日差しが暖かい、気持ちの良い朝だ。
「......どこ、ここ...」
瞼を空けて見えた景色、知らない天井だ。
起き上がろうとする...しかし違和感がある、右腕と尻尾に何かが巻き付いている感触が。
「ネルトゥスさんと...ウル姉さん...そうだ、寝室で語り明かしてたんだっけ」
どんちゃん騒ぎは夜更けまで続いた、それはもうアーサーが途中で介護をほっぽり出してしまうほどに。
ネルトゥスが部屋に女衆を呼びつけて結婚とは、恋愛とはの指南を始めて盛り上がった...そこまでは記憶がある、そこからは...不明だ、いつの間にか寝ていた。
まだ早朝、二度寝をしたい気持ちがある、だが!
(アーサーの寝顔を見に行こう!)
前世では彼の寝顔など見慣れた光景だが、この世界ではどうなのか、見たい。
(なんとか起こさないよう腕と尻尾を引き抜き...って力つっよ!?)
「んぁぁ...あと5時間...」
ウル姉さんがとんでもない二度寝を要求してくる、この人本当に騎士なの?それに狩人ってこんなにずぼらでいいのだろうか。
格闘すること10分、なんとか引き抜きそろりそろりとベッドから抜け出す。
ここは...よく見るとウルさんの部屋だろうか、狩った獲物の角や毛皮がコレクションされている。
すごいな、一つ一つ日付と場所、獲物の個体名のようなものも書いてある、狩人としての誇りや矜持なのだろうか、すごく丁寧だ。
だがしかし、床には脱ぎ散らかされた服が落ちている……親近感が湧いてくる。
廊下へ出て左右を見渡す、魔王城とは違う一般家屋の光景がすごく懐かしく感じる、前世での家に雰囲気が似ているからだろうか。
アーサーの部屋は直ぐに判明した、ウルの部屋の二つ隣、扉にはアーサーの文字、ここだ。
「おじゃましまーす...」
アーサーの部屋、内装はどうかというと...正直言って面白みがない。
男の子の部屋といえば好きな歌手やアイドルのポスターだったり、マンガやゲームが置いてあるはずなのに無い!......そういえばこの世界には無いんだった、忘れてた。
でもそんな事すら些末に思える程、彼の部屋には人々の思いが詰まっていた。
「アーサー、お礼の手紙も全部丁寧に保存してる...すごい、こんなに...」
勇者として活躍した功績が多すぎて、壁一面を埋め尽くしている。
未練たらたらで助けられてばかりの人生を送り、『来世では人のためになることをしたい!』そう言い合っていたが...彼はそれを成し遂げていた。
改めてアーサーに惚れ直している、かっこいいなぁ。
「それじゃあ、アーサーの寝顔はどうかなっと...」
アーサーへの尊敬の思いとは裏腹に、私の欲望は浅ましかった、だって仕方ない、見たいんだもん。
随分と大きいベッドだ、私の物よりも小さいが大人が三人くらいなら余裕で......ん?
おかしい、アーサーの両脇が不自然に膨らんでいる、おいおいおい、一体誰が寝ているんだ?
まさか知らない女と一緒に!?恐る恐る布団をめくるとそこには...。
「ロキくんとフレイヤちゃん......!?」
やられたっ!私が目を離した隙に!!恐ろしい子達...ッ!!!
「んん...あれ?ミスティもう起きたの?早起きだね」
寝ぼけ眼で起き上がるアーサーの姿に、私の中の母性がキュンとしている...どうしようか、今この場で襲っても大丈夫かな?大丈夫だよね?いっきまーーーす!!
「...ミスティ?目が怖いよ?兄弟だからね?一緒に寝ても問題ない筈だよね?ね?ね?」
「......あぁごめんなさい、別にそんな意味で睨んでたりしたわけじゃないから」
彼の言葉で我に返ることが出来た、危ない危ない、にしても。
「こう...子供の時なら分かるんだけど、皆大人じゃない?それって普通なの?」
「え?兄弟だったら普通だよ?ミスティもそうだったんじゃないの?」
「いや、私は別にお兄様達と一緒に寝たりは...」
普通なのかな?この世界だと...というよりも人間国では普通なのかも...?
「まぁ久々だからちょっと驚いちゃったけどさ、ロキは脱稿すると売れるか不安で精神が安定しなくなるんだよね、フレイヤは...」
『お兄ちゃぁぁぁぁぁぁん!!!!ミスティに虐められたぁぁぁ!!びえぇぇぇぇん!!!!』
「って感じで泣きついてきちゃってさぁ、昔から虐められたりしたらこうで...もう大人なんだけど、やっぱり僕から見たら弟妹なのには変わりないから...ね?」
むぅ...そこまで言われたら何も言えなくなってしまう、兄弟仲が良好で羨ましい。
私も兄弟仲が悪い訳ではない、でも年齢が離れすぎていて子供のように接されていた。
もっと近い世代であれば一緒に遊んだりしたのだろうが...。
「...じゃあ、わたしにとっても、二人は大事な弟妹よね?」
「ま、まぁそうだね、それが?」
そう答えられた瞬間、大の字にベッドへと飛び込んでいた。
「「「ぐえっ!?」」」
被害者三名の呻き声と共にベッドでじたばたする...楽しい、楽しい楽しい楽しい!
「あははは!!...んんーーっ!えへへへぇ~~」
「ちょっとミスティ!何し...ぐえっ!?」
「ミスティ姉さん!?ちょっと!苦しい!苦しい!」
「んあぁ!!ミスティさん!何邪魔しに来てるんですか!今は私の時間です!!」
下敷きになっている三人が喚いているがそんなことは気にしない、だって楽しいもん。
「んぇへへへ~私も混ぜて~~んふふ...楽しい、楽しいなぁ...みんな、これからよろしくね...」
「はいはい、ずーっとずーっと、よろしくね...」
「むぅ.....よろしく...」
「......ってちょっと!この人寝息立ててません!?この状況で!?」
私にできた新しい家族、血縁なんて関係ないことを彼らが証明してくれた。
だったら私も彼らの家族に、心から繋がれる家族になろう...。
三つの抱き枕を抱えたまま、ミスティは眠りに落ちて行った。
なお、この後お気に入りの抱き枕(ミスティの尻尾)を探しに夢遊状態でウルが乱入し、馬の世話を終えたトールが皆を起こしに来るも
『みんなずるい!俺も混ぜてよ!』
とベッドに飛び込み、アーサーのベッドが破壊され持ち主の悲鳴と説教が家に響いたのだった。
■
「...っし!...っし!...っし!...よっと」
「準備出来ました、今日はよろしくお願いしますね」
修練場にてアップを終えたハル、目の前には3人の女性が立っている。
「姫様とスパーさせてもらえるなんて光栄っス!」
「...よろしくおねがいしますぅ...」
「姫様姫様!約束の品、忘れてないですよね!?」
ヒルド、オルトリンデ、スルーズの三名、いずれもレスリング女子部門の強者だ。
「おいスルーズ!姫様に失礼だろ!」
「別に構いませんよ、バンビのドーナツならちゃんとありますから、修練後、皆で食べましょう」
「わーい!やったー!」
「ありがとうございますぅ...」
人間国ではレスリングが人気だ、護身にもなりトレーニングにもなる。
そして何より、始めるのに必要なものが少ないという参入の容易さが好まれている。
始まりはアーサーの提案からだった、レスリングと名付けられた競技は兵士たちの間で話題となった。
9×9mの円の中、己の体のみで敵を組み伏せる、至ってシンプルだ。
全身を攻撃範囲とし、スピードとテクニックで魅せる『不知火』型、上半身のみへの攻撃を許され、豪快な投げ技を主体とする『雲竜』型の二種類が存在する。
3分×2ラウンド、点差を10点つければTF、相手の両肩を1秒以上マットへと付ければF勝ちとなる。
相手を円の外へ押し出す、二度の警告を相手が受けた場合1点。
相手の背後を取り、両手両膝、頭部のいずれか3点をマットに付かせるテイクダウンと呼ばれる状態、寝技で90度以上相手の体を返せば2点。
タックルや投げで背中からマットへと倒せば4点。
そして打撃や髪を掴む行為は反則となる。
白いハンカチの携帯もルールの中に入っている、流血した際の応急処置にも使うが、フェアプレーを宣誓するために必要なんだとアーサーは言っていた。
......やることはシンプルなのにルールが複雑だ、とはオーディンの言葉だ。
「それでは、誰からやりますか?」
「はい!はい!私がやるっス!」
いの一番に返事をしたのはヒルド、昨年行われた女子の大会において4位になった実力者だ。
アーサー曰く、本来であれば体格などを考慮し、体重別に区分けするのが必要とのことだったが。
『実戦を想定しての競技であれば、体重による区分けなど不要だ』、オーディンの言葉により全階級混合の無差別級となった。
ヒルドの体格は決して恵まれたものではない、人間国女性の平均よりも少し上程度、だが技術で体格差をカバーした。立ち技、寝技、二つが高水準に位置する『立って良し、寝て良し』のオールラウンダーだ。
ヒルドより上位の選手は人外染みた実力を持っているため、人としての最高到達点となっている、というか一人は魔族の血が混ざっているが。
『ピィー!!』
ホイッスルが鳴り、スパーリングが開始した。
中腰で構える両者、レスリングの構えは攻防一体だ。
前傾姿勢で重心を低くし、腰の位置を遠ざけ、相手にタックルを入りづらくさせる。またつま先に重心を乗せ相手の攻撃を防ぐ、隙を見せた瞬間に攻撃する、この構えがレスリングをレスリングたらしめている。
また、前に出た片足の左右で構えが決まる、ハルは左足を前に出した左構え、ヒルドは右足を出した右構え、喧嘩四つと呼ばれる状態だ。両者が同じ構えであれば相四つとなる。
(へぇ...姫様、左構えなんスね...だったら!)
突き出した手による牽制の最中、ヒルドがタックルに入った。
片足タックル、自身の利き手側に近い方へと入るタックル。両足を取るタックルに比べて入りやすい、だが倒すのは数倍難しい。
レスラーにとっては片足を取られたところで絶対に倒れない、そこからの対処次第で点が取れるか取れないかが変わってくる。
(取った!起点にしてもう片足を刈り取る!)
体格差など問答無用でダウンを取り、寝技に持ち込む、ヒルドの必勝パターンだ。
だがヒルドには誤算があった、体格ではなく、身体的なスペックに大きな差があったことを。
『バァン!!!!』
ハルがタックルを防いでいた、切ると呼ばれるこの動作は瞬時にタックルに入られた足を後ろに下げ、腰で相手の頭部を押さえつける、そして後ろに下がり自身の胸部で相手の頭部を押さえつける。
そのまま相手の頭部と脇を摑まえ、相手が起き上がらぬよう肩で抑え込むがぶりと呼ばれる体勢は、がぶる側にとってはチャンス、がぶられた側にはピンチだ。
がぶられた場合、片足立で相手の動きに合わせて対処しなければならない。
このがぶりの体勢からの攻防もレスリングの魅力の一つだが...。
(おっっっっっっっも!なんスかこれ!体格差はない筈なのに!今までに感じたことのない圧を感じる!)
(まずい...左手を取られた...でも、耐えればスタンドに戻せる、今はバックを取られないよう...)
寝技及びがぶりの状態で一定時間動きが無い場合、強制的にスタンド状態に戻される。
首の根元にハルの肩が重くのしかかる、地獄のような時間だ。
ハルから感じられる圧に気圧されてしまいディフェンスに回った瞬間だった。
(......え?)
頭部をマットへ引き落とされ、いつの間にか腹ばいになり、目の前にはハルが居なかった。
自身の背に回ったハル、そしていつの間にか腹部へと腕が回されている、ここから発生する現象は一つだ。
(ぐっ!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!)
ローリングと呼ばれるレスリングの寝技の基本、相手の胴に手を回し、ひっくり返す、至ってシンプル。
ローリングの対処は前提として腕を胴に回させないこと、だが回されてしまった場合、ポイントを取られないためにどうするのか......ひたすら相手に返されないよう腕で突っ張る、それだけだ。
ローリングをかける方も突っ張っている腕を潰すために体重をかける...のだが。
『バァン!』
マットへと叩きつけられる音、ヒルド自身寝技の防御には自信があった。
公式戦ではローリングで返されたことなどまず無い、だが、ハルのかけるものは違った。
肋骨に走る尋常ではない痛み、的確に下部の肋骨を締め上げてくる。
それに規格外の膂力が加われば、耐えられる者は存在しなかった。
『バァン!!』『バァン!!!』『バァン!!!!』
テイクダウンの2点、ローリング×4による8点。合計10点TFだ。
「ひゃ...ひゃぁ...」
「ヒルちゃんがあんなに簡単に...」
公式戦におけるヒルドの敗北は点差による判定負けかフォール負けのみだった、フォール負けであれば紛れの場合も無くは無い。
しかしTFによる負け、それは絶対的な差による敗北、完敗だ。
「ブハァッ!!!うっ!...うぐぅ......」
「ヒルド、大丈夫ですか?ごめんなさい、加減はしたつもりだったんですけれど...」
(加減!?あれで!?絶対肋骨にヒビ入ってるっス...流石、1回大会で出禁になった伝説っス...)
手探りで始まった第1回大会において、対戦相手を全員病院送りにし、無敗且つ1ポイントも取らせぬまま優勝したのがハルだった。
ハル自身、レスリングのルールを全て網羅しているわけではない。
相手を掴んで倒す、投げる、回す、抑え込む、それをレフェリーが笛を鳴らし止めるまで、ひたすら続ける。
案の定、女子部門では危険と判断され、殿堂入りという名目で出禁となった。
ちなみにアーサーも第3回大会まで全勝優勝し、同じく殿堂入りの出禁になった。
「それじゃあ次は...オルトリンデ、お願いします」
「は、はいぃぃぃ...」
圧倒的な体躯、それがオルトリンデの最大の武器だ。
深淵の姫ミスティには劣るものの、人間国の女性としては最大、恵まれに恵まれた体をフルに活用し相手を擦り潰す。
昨年の大会では惜しくも三位、彼女も人外にあたる人物の一人だ。
「オルトリンデ...聞きたかったんですけれど...あなた、雲竜の方が得意ですわよね?」
「んぇっ!?...そう、です......」
不知火型と雲竜型、二つのスタイルがあるものの、両方を採用しているのは男子のみ、女子は不知火のみだ。
「それでは、雲竜でやりましょうか、ね?」
「いいんですかぁ!やったぁ!」
ヒルドとスルーズに緊張が走った、大会で採用はされていないものの、訓練で行うことは度々あった。
その時のオルトリンデの強さは...怪物。持ち前のスタミナとパワーですり潰し、スパーリング相手を壊してしまう。
その対象に姫様がなるのではないか、と。
『ピィー!!』
再び開始の合図が鳴らされた、雲竜型、グレコローマンにおける戦いは力と力のぶつかり合いだ。
上体のみを攻撃範囲とし、技をかけるまでに相手の体をコントロールしなければならない。
それ故に、両者の力が拮抗していた場合、試合が動かなくなる、そのため審判が消極的な選手に警告を行う。二回警告を受けた選手は相手に1点を取られ、寝技のポジションから試合を再開することになる。
「っはぁ!...はぁ...はぁ...」
試合が開始して数十秒が経過していた、内容は歴然、あのオルトリンデが遊ばれていた。
身長2mのオルトリンデの攻撃を、身長160cmのハルが真っ向から受けた上で。
差し合い、相手の脇に腕を差し込み、優位な体勢を作るレスリングの基本技術。
オルトリンデがリーチを活かし差そうとするもすぐさま差し返されてしまう。
オルトリンデが差して体勢を崩そうとするも崩せない、しかし、返しの差しで大きく体勢をグラつかされていた。
(あのオーちゃんが...ハル姫って...やばい?)
(やばいなんてもんじゃない!...化け物だよ...)
ハルがマットから身を引いて5年以上になる、ブランクというものを一切感じさせない程の内容に二人は驚愕していた。
誘いは突然だった、深夜に城を抜け出し帰って来たかと思えば、急にレスリングの練習に付き合ってほしいと懇願してきた。理由は、深淵の姫と試合を行うため。
試合はレスリングではないが、感覚を戻すためだと言っていた。
単身でトレーニングを行っているとは聞いていたが、ここまでだとは思っていなかった。
そして、あの姫様を本気にさせた深淵の姫も同等の化物だと恐怖した。
(まずい...押し切られる...こうなったら...)
防戦一方のオルトリンデに動きがあった。
ハルの首を引き落とし、上体を落とさせた。すぐさま反射的に上体を引き起こそうとするコンマ数秒に、チャンスを見出した。
長い手を活かした胴体へのタックル、相手の両腕ごと刈り取り、そのまま持ち上げ投げを狙う...筈だった。
(んなっ!?)
クラッチは確かに両腕の上から組まれていた、クラッチの位置は肘関節の上、一番力の入りづらい箇所にも拘らず...切られていた。
次の瞬間、がら空きになった両脇にハルの腕が差し込まれていた。
そこからは早かった、すぐさま左肩まで脇に差し込み、腰を落として上体で持ち上げ、後方へと反り投げる。
反り投げと呼ばれる投げ技は雲竜型における花形だ、しかしここまでの体格差で投げれる選手はまずいない。
ハルのブリッジは驚異的だ、ブリッジの体勢のまま、優に300kgを越える重りをキープできる。
鍛え抜かれた体から描かれる放物線は芸術に近しいものがある。
『バァァァァン!!!』
この日一番の衝撃と音が修練場に響いた、5点の大技だ。しかし、オルトリンデも諦めてはいなかった。
反り投げは勢いがつきすぎるとそのまま返され、逆にフォールのピンチになりうる。
投げられた直後、勢いを利用し返そうとする...しかし、ビクともしなかった。
左の腕を固められ、首の下に腕を差し込まれ、抑え込まれた。
袈裟固めの体勢、この体勢から逃れるには一つ、ブリッジをし相手を返す他なかった。
しかしブリッジの体勢に必要な首を抱き起され、それすらさせてもらえなかった、フォール負けだ。
「はぁ...やっぱりオルトリンデでも軽いですね...」
「やっぱり、あなたにしか出来ませんか、スルーズ」
「は、はい!頑張ります!」
『変貌』の加護、スルーズが持つ力。姿形を他者に変貌させる至ってシンプルな力。
敵国へのスパイ、影武者、他者への罪の擦り付け、使い方次第では国すら傾かせる力を巨大な陰謀に......使うことなど無かった、もっぱらハルがお忍びで出かける際の影武者役にしかならない。
理由は単純、スルーズが純朴すぎるために、陰謀など一切加担させられることは無かった。
他者評価は嘘偽りのない良い子...それがスルーズだ。
「んっ...と、これでいいかな......姫様、準備万端です!さぁ、いつでも...」
模倣した姿はミスティ、オルトリンデなど比にならない程の巨躯へと変貌した。
オルトリンデが構えた瞬間...ハルが突っ込んできた、先ほどまでの試合内容がまるで遊びだとでも言わんばかりに。
(いぃっ!?やばい!死ぬっ!?)
スルーズ自身は小柄な体格故、大会成績は芳しくない。だが持ち得るセンスは抜群。
それにどのようなサイズに変化したとしても、自身の運動センスを十二分に発揮できる...だが。
ハルが入ってきたのは両足を刈り取るタックル、防ぐためには両足を下げ、腰を落とすしかない...だが、それすらさせてもらえなかった。
ハルの勢いは止まらなかった、そのまま両足を担ぎ上げ、スルーズの体ごと持ち上げた。
そしてそのままマットへ叩きつけ......ることはなく、優しくマットへ落とし、優しくフォールしたのであった。
■
「良いですか?皆さんに足りない物...それは食事です!揃いも揃って軽すぎます!強くなるために食べるんです、分かりましたか?」
「「はい...」」
「はーい!」
目の前では大鍋をで調理を行うハルの姿、そして正座で待つ三人。
時間にして2時間の練習を行った、ハル一人に三人がかりで代わる代わる挑んだ。
だが、ハルの額に汗は見えても息は一切上がっていなかった。
練習後にはバンビのドーナツで優雅なお茶会の筈だった...ハルの気が変わりお手製料理の食事トレーニングに様変わりしていた。
ハルの作る料理は非常に美味しい、スノトラやネルトゥスや城の調理師にも弟子入りしているため、家庭料理から宮廷料理までほぼマスターしている。
しかしハルの作る料理にはある特徴があった...量がとてつもなく多い。
人間国での災害の際には居の一番に食材と調理器具を背負い、炊き出しを行うのだが、その癖でいつも作り過ぎてしまう。
アーサーやトールなどの大食漢がいるならばさほど問題ないのだが、三人の中で一番食べるのはオルトリンデだけ、それも体のサイズが大きいからであって、至って普通の範囲。
目の前の寸胴には並々と食材が入った豚汁とよばれるスープ、そして横には人一人が入れるんじゃないかと言わんばかりの土鍋で米が炊かれている。
姫の作った手料理を残すなどと言う不敬を働いた日には、城には居られなくなる。
姫様が料理を作ってくれる、その意味をヒルドとオルトリンデは理解していた。
スルーズは姫様の手料理だ!やったー!と無邪気に喜んでいるが。
「みなさん、喉は乾いていませんか?今飲み物を作りますね」
「そ、それは!?」
「ゴイスタイカカイタメロンだ!!!」
「姫様...それを一体どうされるんですかぁ...?」
特別な栽培方法を持ち、ゴイス、タイカ、カイタの三兄弟が作っていることで有名なゴイスタイカカイタメロン。
頑強な表皮の中には甘美な果肉が詰まっており、これを食べてしまうと他のメロンが食べられなくなってしまうと言われる代物。
だが、非常に硬い、専用の器具を使わなければその頑強な表皮に阻まれて折れてしまう。
そのメロンをハルは両手で掴んでいた。
「どうっ...て」
『バキッ!』
「こうして...!」
『ブシャァァァァ!!!』
「......完成です、搾りたてのメロンジュースですよ」
ハニカミながらメロンジュースが入ったコップを渡してくるハル。
しかし、彼女の顔に撥ねた果肉が返り血のようにも見えた。
下手なこと言えば...次にああなるのは自分たちの頭部だというハルからのメッセージにしか見えない。
「姫様!とっても美味しいです!ありがとうございます!」
贅沢な楽しみ方をしているにも関わらず、ヒルドとオルトリンデの両名は一切、味を楽しむことも喉の渇きが潤う事も無かった。
「いいですか?ヒルドは決定力がありません、土壇場で出す力こそが実力なのです。1位さんとの試合でもそうでしたが、満遍なく出来るあなたは様々な手段を用いて攻撃しますが、全部捌かれた際の対処がなっていません。一つでもいいので他者には負けない絶対な武器を持つこと」
「ウッス......ぅっぷ......」
「オルトリンデはスタミナがありません!1R目は前へ前へと圧をかけていけるのに、2R目になると腰が浮いてきてタックルに入られるのです、フレイヤちゃんの試合がそうだったでしょう?下半身のトレーニングはレスリングにおいて一番重要なのですよ?」
「はぃぃ...うっ...うぅ......」
「スルーズは...まぁ、頑張りなさい。たくさん食べてくださいね」
「はい!姫様の手料理とっても美味しいです!!」
ヒルドとオルトリンデの胃は限界だった、豚汁も米も最高に美味しい、だが限度と言う物がある。
なんとか三人で二種を半分ほどまでには減らしているが、白旗があればとうに振っている、そんなものはないが。
スルーズはというと、猫舌のためにアツアツの料理をふーふーしながら一口食べては「姫様!超美味しいです!」と無邪気な子供のように感想を述べていた。
「姫様のお料理を食べれる将来の旦那さんが羨ましいっス!い、いやぁ、良いお嫁さんになるはずっス!」
「た、たしかに...毎日でも食べたいなぁって...」
なんとかして胃の内容物を消化しなくてはこれ以上は食べきれない、時間稼ぎのためにも苦し紛れに出た言葉だった。
「そ、そうかしら?まぁ?この豚汁もアーサーが好きだってネルトゥスさんに教えて貰ったの、作ってあげたら『美味しい!毎日食べたいよ!』って言ってくれたから...」
「そうなんですね!でもあーくんは深淵の姫に取られちゃったけど、別のいい人が見つかりますよ!」
『ビキッ!!!』
スルーズの無邪気な一言で、ハルが手に持つしゃもじが折れていた。
(スルーズのばか!姫の目の前で深淵の姫の話はNGなのに!!!)
(よりにもよって取られただなんてそんな...終わりですぅ...)
死を覚悟した二人と、『わわ!姫様怪我してませんか?』と気に掛ける恐怖を知らないスルーズ。
怒りだすと思われたその時、姫の目からは涙が零れていた。
「私だってぇ...アーサーに好きになって貰うために色んなこと頑張ったのにぃ...それがぽっと出の変な女に取られて...しかも前世で結婚の約束をしてただの意味不明なことを言ってぇ...うわぁぁぁぁぁ!!」
膝を抱えるように蹲り泣き出すハル、普段の毅然とした姿からは想像もできない、恋する乙女がそこには居た。
「いやいやいや、姫様!まだ正式な婚姻は結んでない筈っス!まだなんとかなるっス!」
「そ、そうですよぉ...だって姫様の方が可愛いし、とってもお綺麗じゃないですかぁ」
「いやでもね!深淵の姫もすんごい美人だったよ!あーくんのあの瞳の中には深淵の姫しか見えてないって感じだったなぁ」
「「スルーズは黙ってて!!」」
「うわぁぁぁぁぁぁん!!!!!アーサーのばかぁぁぁぁぁ!!!!!」
地面に寝そべり手足をバタバタと忙しなく動かす、駄々をこねる少女へと進化...ではなく退化した。
どうすれば目の前の人物を泣き止ませれるのか、狼狽えていた所に救世主達が現れた。
「こんにちは~......何、これ?」
「お、泣き虫ハルか、久しいな」
ウルとフレイヤの登場だ、付き合いの長いこの二人であればこの場を収めてくれるかもしれない。
「アーサーのすけこまし!にぶちん!あほ!ばか!ばかばかばかぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
久しく見ていなかった姫のこの姿、幼少期に兄弟たちで遊んだ際に勝負事で負けるといつもこれだった。
それがどんな勝負であろうとも、大食いでも、じゃんけんでも、たとえお絵描きであっても。
根っからの負けず嫌いがハルだ。
「えっとぉ...これは一体?」
「ハル姫の目の前で、深淵の姫にアーサーさんを取られたって言ってしまって...こうなったっス...」
「なるほどな...まぁでも30分ほどで泣き止むだろう、気長に待てばいいさ」
「それでいいんですかぁ...?」
「あの状態になったらアーサーでも無理だ、諦めろ」
「「そ、そんなぁ...」」
そして待つこと30分、ようやくハルの癇癪が終わりを迎えた。
しかし未だ。体育座りで俯きながら、弱音を垂れ流す少女がそこには居た。
「うぅ...うち...どうすれば...」
こんな時、アーサーだったらどう言うだろうか、フレイヤは考えていた。
慰める?→ただ傷口に塩を塗るだけ。
怒る?→逆効果、無意味だ。
発破をかける?→......これだ。
「姫様!諦めてどうするのですか!私達の姫様はそんなことで挫けたりしないはずです!」
気をつけの姿勢で堂々と、目の前に居る姫は人間国の女王であり、人々が尊敬する方。
たかが一度の失恋でへこたれてもらっては困るのだ。
フレイヤの声が届いたのか、ぼそぼそと呟く声はその瞬間に終わりを迎えた。
「...ちゃん」
捻りだすようなか細い声、その声は確実に助けを求めている声であった。
「......なんでしょうか?」
ここの返答次第でフレイヤの今後が変わってくる、ミスティの暗殺、並びに二人の関係を悪化させる手伝いをしてくれ、なんて言われた日にはお終いだ。
だが帰ってきた返答は物騒なものではなかった。
「お姉ちゃんって呼んで...」
誘拐未遂事件後、二人の関係は姉妹同然となっていた、というかハルが一方的にお姉ちゃんと呼ぶように命令しただけだが。
公私で分けてはいるが、ここは城の修練場である、姫をお姉ちゃん呼びなどしているのがバレたら怒られるに決まっている。
「そ、それはプライベートの時だけで...」
「今はプライベート...」
「うっ!」
呼ぶしか無くなってしまった、周囲を見渡し兵たちが居ないのを確認して耳元で呟いた。
とびっきり甘えた声で。
「ハ......ハルお姉ちゃんのそんな姿、見たくないなぁ...」
フレイヤにお姉ちゃんと呼ばれた瞬間、ハルは即座に立ち上がり胸を張っていた。
「しょうがないなぁ!分かったわ!お姉ちゃん頑張るで!あんな女にアーサーは渡さへんから!!」
姉とは下の者に弱い部分を見せないのだ。
「...な?大丈夫だっただろう?」
(切り替えはやっ!?流石の付き合いの歴が長いお二人っス!)
(姫様が西部訛りになってますぅ...やるきですぅ...)
「ハルお姉ちゃんかっこいいー!!」
「うちのことをお姉ちゃん呼びしてええのはフレイヤとロキだけや!スルーズでもあかん!」
「しょぼぼん...」
元気を取り戻したハルだったが、二人が突如やってきたことを不思議に思っていた。
フレイヤは今日は非番、ウルは...これ以上は言うまい。
「そういえば二人はなんで来たん?もしかしてうちの練習に付き合うてくれるとか?」
「それもあるんですが...これを」
「ん?手紙?誰から......」
フレイヤが手渡してきた手紙を受け取ったハル、しかし差出人の名前を見た瞬間、顔が曇った。
「ミスティ......うちに何の用や」
「深淵の姫がこれを渡してほしいって言ってきて...」
「ふぅ~ん...まぁええわ」
丁寧に封蝋を施された手紙をナイフで切り、中身を確認する。
直後、書かれていた内容に顔が引き攣っていた。
『ごきげんよう、ハル王女。つい先日アーサーと共に熱い夜を過ごしました、彼ったら寝かせてくれないんですよ?赤ちゃんみたいでとても可愛かったです。試合の準備は万全でしょうか?勝負にも負けてしまったら貴女は人間国では生きていけなくなると思います、お料理が上手だと伺いましたので、我が家でシェフとして雇いましょうか?貴女が作った料理を、私がアーサーに食べさせてあげる姿を想像したら嬉しいですよね?』
『ブチィッ!!!!』
ハルの血管と手紙が千切れる音が全員の耳に届いてしまった、鼻息が荒くなり全身から蒸気が噴き出ている。
「殺す!!!殺すコロスころす!!!!!確実に息の根止めたる!!!!!!」
「っふうぅ~~~..........フレイヤちゃん、ウルさん、練習の付き合い、お願いしますね?」
本気でキレたハルは突如として冷静になる、こうなった彼女は確実に人間を破壊してくる。
フレイヤが過去に虐められた際、一度だけ本気でキレた事があった。
主犯の男子3人、及びその取り巻き7人の計10人をアーサー、ウル、トールに止められながら半殺しにした。
「わ、分かりました...その、加減はお願いしますね?」
「ははっ、遺言を書くから少し待ってくれ」
「あの女からアーサーを取り戻したら、みんなで仲良く暮らしましょうね」
張り付いたような笑顔を見せたのち、後ろで正座している3人に目を向ける。
「あなた達もそれを食べ終えたら再度練習に付き合って下さいね」
「え!?いやもう体と胃が限界で....」
「ね?」
「......っス......」
その後、死体同然となった3人の姿が修練場にあるのを巡回中の兵士が見つけたのだった。
最後まで読んで下さり、ありがとうございます。
レスリングの駄目なところにルール変更の高頻度があります、現役時代と変わりすぎてて現行ルールの確認を行ったのですが、どうせまた数年すれば変わるのでしょうね...。
投稿頻度上げれるよう頑張ります。




