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10話 余話

この話を入れたいなぁと考えつつも、文字数が多くなりすぎるために泣く泣くカットした部分を書き出しました。時系列はバラバラですのでご容赦下さい。

ハル姫の帰宅後、父の宣言通りに酒解禁を喜ぶ兄姉達、開戦1ヵ月前から酒断ちをしていたため、久々の美酒に酔いしれている。

ウル姉、トール兄、フレ姉は酒好きだ、週1の飲酒を楽しむために日々の特訓や仕事に勤しんでいる。

アーサー兄は酒があまり好きではない、何故かと言うと体質の所為で酔わないからだ、だけど酒宴の雰囲気は好きで、酒のつまみを作っては楽しんでいる皆を見てにこやかに笑っている。

僕?僕は...嫌いだ、というか飲めない、一度だけ挑戦した際、ひと舐めして泥酔、挙句加護の力を使おうとしてアーサー兄に止められた。

それからは僕だけ酒禁止令を出された、だから酒を楽しそうに飲んでいる人たちが羨ましい。

そして今、追加でもう一人酒飲みが増えた。


「っぷはぁ~~!!......麦酒って初めて飲んだけど美味しい〜!!それに料理も!たまんなーい!!」


酒とつまみをモリモリと嗜む女性……いやこの人お姫様なんだよね?イメージと違う…いや、ハル姫もこんな感じか、勉強になる。

ハル姫もお酒を飲むが、あの人もアーサー兄と同じで酔わないからいつもつまらなそうにしている、料理はとんでもなく食べるが…一体あの体のどこに入ってるんだ?


「ミスティもいける口か、人間国の酒が口に合ってなによりだ」

「最高ですウル姉さん!魔王国は蒸留酒しかなくて....このしゅわしゅわが堪りませんね!」

「いやあのミスティ姫...もう樽が一つ無くなったのですが...」

「......嘘でしょ?私まだ2杯しか...」

「ミ、ミスティ?流石にちょっと...ね?飲み過ぎると体に良くないから...」

「アーサー安心して!まだまだいけるわ!それに、こんなこともあろうかと...」


そう言うとミスティは大量の酒をテーブルに取りだした。

開けた瞬間、匂いで分かる。この酒は...とんでもなく強い酒だ、人間国の物とは比にならないほどのアルコール臭が漂っている。


「うっ......アルコール臭い...気分悪くなってきた......外の空気吸ってくる...」

「ロキ、大丈夫か?まぁ...早めに切り上げられるよう俺も頑張るよ...」


アーサー兄の顔には諦めが見えていた、何故ならば母も酒を飲みだしてしまったからである。

ネルトゥスは普段は飲まない、だが飲みだすと止まらなくなる、それに...触り魔と化す。

耐えかねたアーサーが酔いを醒まそうと加護の力を使った際、本気で怒り本気で拗ねるのだ、非常に面倒くさい。

そのせいで母が飲みだすとアーサー兄も諦めモードになるのだ。

頼みの父も、酔うと母にべったりになり愛の言葉を囁き続けるため使い物にならない......この家本当に大丈夫なのだろうか......。

みんな二日酔いの心配などしていない、何故ならばアーサー兄が治してくれるから。

その都度『僕の力は二日酔いを治すものじゃないのに...』と嘆いている、可愛そうだ。



「なんでこう、酒飲みは面倒くさいのか...そうだ!今度の題材はお酒で失敗する話にしよう!そうしたら酒を飲む人が減るだろう、百害あって一利無しだもんな、うん!」


外に出てようやく気分が優れてきた、草木の揺れる音と虫たちの鳴き声が僕の心を癒してくれる。


『シュボッ!』


煙草に火を点ける、煙草は良い、心を落ち着かせてくれる。

酒を飲めない僕が、少しでも大人ぶるために吸い始めた。

初めはこんなもの吸って何の意味があるんだと思っていたが、慣れてくればリラックスするようになっていた。


「ふぅ~~美味い...みんなも吸えばいいのに」


兵士たちには必需品だ、緊張を解し、血流の勢いを弱め流血を抑える、利点しかない。

それにテュール団長も言っていた『煙草は男の香水だ』と。

因みにウル姉、フレ姉は嫌煙家だ、毛嫌いしている、吸い終わると臭いだ臭いがうつるだなんだと毎回暴言を吐かれるくらいには。

だから吸うときは屋外で吸えと決まりが作られた...それにスィーゼンの街中でも路上で喫煙しようもんなら罰金を取られる、昔は違ったそうだが、時代の流れってやつは残酷だ。


「酒かぁ...飲めるようになりたいなぁ...」


酒宴のたびに毎度毎度蚊帳の外は流石につまらない。

飲んでいけば少しずつでも耐性がついて飲めるようになるらしいが...。

アーサー兄には無理して飲めるようにならなくても良いと言われたけど、やっぱり飲めるようになりたい、舐めただけで酔っぱらっちゃうけど。


「なーっはっはっはっは!!!私の勝ちぃ!!」


バァン!と勇ましく音を立てながら扉から出てきた人物はミスティだった。

顔は赤く染まり、口角は上がり目じりは下がっている...上機嫌そうだ。


「あっ、ロキくん!こんな所で煙草なんか吸っちゃってぇ、お酒飲まないのぉ?」

「いやぼ...私はお酒が飲めないので...申し訳ありません」


深淵の姫ミスティ...正直言って苦手だ、どのような接し方をすれば良いのかが分からない。

義理の姉として接するべきなのか...お姫様として接するべきなのか。

ハル姫は何故か『ハルお姉ちゃんと呼んでね?』なんて姉面してくるからなぁ、恐れ多いので無理ですと

断ったが...この人はどうなんだろう。


「そうなんだぁ、可哀想...」

「姫様はお強いようで、羨ましいです」

「そりゃあもう!フレイヤちゃんが飲み比べ勝負仕掛けてきたから潰しちゃった、てへ」

「フレ姉を潰したんですか...」


酔わないアーサー兄を除くと一番酒に強いのがフレ姉だ、そのフレ姉を潰し尚且つピンピンしている目の前の姫は化け物だ。


「そうだ、もし良かったらさ、魔王国で作られたお酒飲んでみない?」

「え、いや、あんな強いお酒、匂いだけで...」

「お酒に弱い人向けにも作られた物なんだけど、どうかな?」


そういいつつ、彼女はコップと酒を取り出した。

注がれて渡されたコップを恐る恐る嗅いでみる...甘い香りだ、アルコール特有の不快になるような感じではなく、爽やかなものだ。


「ありがとうございます...あの、もし私が酔ったらすぐさまアーサー兄を呼んでくださいね!」


注意喚起しつつ、恐る恐るコップに口をつけ飲んでみる......。


「美味しい...ジュースみたいだ...」


果実由来の甘さと優しい飲み心地、それでいてほんのりとだがアルコールの感覚もある。

体の火照りと心の高揚感も共に来るが、ちゃんと理性を保っていられる...すごい、これが酔っている感覚なのか...気持ち良い。


「やっぱり、お酒は皆で楽しまなくちゃ、自分だけが出来ない、飲めないって、不幸じゃない?」

「そんな人でも楽しめるよう作られたのがこのお酒!魔王国ではあまり人気が無いけど、人間国ではお酒に弱い人もたくさんいるって聞いたからね、高評価で嬉しいな、えへへ」

「はい、ありがとうございます、ミスティ様」


感謝の言葉を述べるも、何故だかミスティの顔は不機嫌そうだ。

何故だろう、まずいことでも言ってしまっただろうか。


「いつまでそんなに他人行儀でいるのかなぁ...私はアーサーのお嫁さん!つまりあなたの義理の姉!敬語も様付けもやめて、『ミスティお姉ちゃん』って呼んで欲しいな!」


この人もハル姫と同じタイプだったかぁ...まぁでもこの人は義姉だからな...。


「わ、分かったよ...ミスティ...お姉ちゃん...」


反応を伺う...身悶えしている。

やっぱりこの人もアーサー兄と同じタイプだ、そんなに弟や妹が欲しいのだろうか?僕は甘えるのが好きだが甘えられるのはちょっと苦手なんだよな。


「ぬふふふふ、フレイヤちゃんにもいずれお姉ちゃんって呼ばせるんだぁ、今日は断られちゃったけど、私は諦めないからね!!」


フレ姉は頑固だからそれは無理そうな気がするが、それもこの人だったら強引に乗り越えそうだ。


「ねぇねぇ、そういえばロキ君は絵本作家のロッキー・ドーワさんなんでしょ?」

「うっ!まぁ、そうだけど...」


身内以外に...いや、この人ももう身内か、なら知られても良いや。

絵本作家という職業...正直言ってあまり公には言いたくない、だって僕のイメージに合わないと色んな人に言われた。

立派な職業だとは思っている、子供に夢を見せる仕事だとしても...馬鹿にされると落ち込む。

でも家族の皆は褒めてくれる、好きだと言ってくれる、そのお陰で続けられている。

まぁ小説家の部分はひた隠しにしてるけど。

この人はどんな反応を見せるのだろうか、魔王国の人は芸術の知識に優れている、幼稚だ似合ってないだと馬鹿にしてくるのだろうか。


「ロッキー先生の作品、私大好きなの!描画にしても色使いにしても、お話の内容も凝ってて大人も子供も楽しめる。私も芸術を齧っているから多少分かるんだけど、すごいなぁって思うな!」

「うぇっ!?あっ....うぅ....あ、ありがとう......」


裏の無い真っすぐな褒め言葉を受けると体が痒くなる。

それとなんだか安心した、アーサー兄の隣に立つ人が良い人で、人を馬鹿にしたり貶めたりするような人物ではないことが分かって。


「もし良かったらなんだけどさ...サイン貰えないかな?」

「サイン!?」


初めてサインを求められてしまった...なんだか自分が人気作家になった気分だ。

ま、まぁ?もしもの時のために?毎日サインの練習してたけどね?

いよぅし!練りに練った僕のサインのお披露目だ!と思い描こうとした。


「......あれ?この本は...」


目の前に差し出された一冊の本、見覚えがある。


「やっぱり、知ってるんだ...『ハーメルンの魔笛』昔魔王国で売れた人気絵本...絵のタッチや文章の癖でもしかしたらって思ってたんだけど」


僕が描いた作品第一号、だが人間国のどこを探しても痕跡一つ見つからなかった。


「僕は魔王国に引き取られてたのか...一体誰が...?」


長年の疑問が解決した、だがどうして魔王国へ引き取られていたんだ?何故なんだ?


「名義は『ラルカン』魔王国でも高位の魔族、自身の孤児院で人材を育成し、魔王国の要職に出身者を就かせているの。皆優秀でね『ラルカンチルドレン』そう呼ばれているわ』

「人間国でもここ数年で優秀な人材が突如現れたんじゃない?恐らく彼らもよ」


心当たりがある、スルーズ、ヒルド、オルトリンデ......みなここ数年で突如現れた優秀な人物達。

高度な教育を受けた者、騎士に匹敵する武力の持ち主、彼らのお陰で人間国の国力は飛躍した。

彼らの出身地が魔王国だったということは判明した、だが不明な部分がある。


「じゃあ、なんで人間国に育てた人材を戻したんですか?なんで僕を引き取って...途中で捨てたんですか...?なんで?なんで......?」


僕が未熟だったから?求めるレベルに達したから?なんで?何故?どうして?


「ごめんなさい、それは分からないわ...真意を聞こうと思ったんだけど、終戦直後に消息不明になっててね」

「そう...ですか...」

「でも...今ロキ君は幸せ?」

「それは...はい」

「だったらそれで良いじゃない、今が一番大事よ、過去の事なんて忘れて、今を楽しみなさい」


それも...そうだ、あの時アーサー兄に出会わなければどんな人生を送っていたのだろう。

きっと自分の力で愚かな行為を続けていただろう、人生の分岐点で僕は良い方向へと進んだのだ、きっとそうだ。


「そう...だね、ミスティお姉ちゃん」

「んふふ、笑ってる方が似合ってるよ『ーーー・ーーーー』くん」


そうだ、人間は笑顔でいる方が良い、笑っている方が......ん?


「!?!?!?!!!?!?!?」


嘘だろ!?どうしてその名を......僕の...小説家としての名を知っている!?


「その反応はアタリかぁ、良いわねぇ...男同士の愛、私は理解あるからね、うん、良いと思うよ...んふふ」


まずいまずいまずいまずい、バレた、よりにもよってミスティに。

あれをバラされたら僕はどこかへと旅立ってしまう自信がある...文章の癖?それとも自分の経歴に似せすぎた?

ばかやろう僕...もっとぼかして書いていれば...。


「......バラすの?」

「え?何で?そんなことする筈ないじゃん」

「そうだよね.......え?」

「でもでも、これだけは言っておくね、アーサーは渡さないから、んっふふーん」


胸を張り見下ろしてくる、目の前の壁は遥かに高くそびえ立っていた。

僕は、この壁を越えるか並ばなくてはいけないのか......。


「張り合う事で人は成長するの、頑張ってねぇ~ん」


そう言いつつ踵を返し中へと帰って行った、中からはフレイヤの『もっかい!!もっかい勝負だ!』という叫び声が聞こえてきた、夜はまだまだ続きそうだ。


火照る体で煙草に火を点ける......普段よりも体に染みる気がする。


「......っぷはぁ...どうすりゃ良いんだろうなぁ」


分からない、酔っているせいだろうか思考が追い付かない。

優しいアーサー兄のことだから一緒に居たいと言えば居させてくれるだろう...でもそれじゃ駄目だ。

アーサー兄に認められて、ミスティに認められて...それでようやく僕はスタートラインに立てる。


ケースの中には最後の1本...よし決めた、交流の日まで禁煙だ。

特に何かをやる訳でもない、だがこれは僕の固い意志だ。


『シュボッ!』


アーサーとミスティ、僕は二人の物語の端役だ。

主役の二人に付き纏うお邪魔虫、一歩間違えれば作品が駄作に成り下がる。

でも......端役が出しゃばったって良いじゃないか、端役にも端役の物語があるんだ。

僕の物語は僕が決める、足掻いて藻掻いて、二人の物語に衝撃を与えてやる。


吸い終わり、喧騒の待つ家へと戻った......待っていたのは死体のようなオアシス、ウル、トール、フレイヤの四名、和やかにネルトゥスと談笑しているミスティ、頭を抱えているアーサーの姿だった。



ハルのお世話係を務めているスノトラ。

彼女は不思議な人物だ、ある時こんな質問をしてみた。


「なんで姫様のお世話係をやってるか、ですか?お給金がええからです」


もう少し言葉を濁すか嘘をついて欲しいと率直に思ってしまった。

だが本心の部分はそうではなかった、誘拐騒動終了後にこんな一幕があった。


『パチン!』


見つかったことで安堵していたオーディン王とブラギ兄さんの目の前で、スノトラがハルの頬をはたいたのだ。


「もう二度と金輪際、このようなことはされないでください!」


目元には涙が見えていた、後から聞いた話だがハルの失踪直後に夫のテュールへ頼み込み、即断で兵を動かそうとしたとのこと、王に制止されて未遂に終わったが。


ある時はこんな質問をしてみた。


「テュールとどうして結婚したのかですか?あの人騎士団長やから安泰やろなぁおもてです、それ以外の理由はありません」


建前である、本音はどうなのか調べてみた。

他者の前だと『テュール』と呼び捨てにするそうだが、二人きりの時は『あなた』と呼んでいるそうだ。

それに自分の手料理を団長が美味いと絶賛してくれると周囲に惚気ている。

団長の方はどうかというと、長期の遠征が続く際でも必ず結婚記念日にはプレゼントを贈っている、随分とお似合いだ。

それに生まれる前の話だが、戦場で片目片腕を失った直後、彼が目を覚ますまで三日三晩傍を離れなかったとも聞いた、何がお金目当てだ。


二人には子供もいる、双子の男の子、マグ二とモージだ。


「男の子は手がかかってかないませんわ、女の子が欲しかったわぁ」


友人でもある母のネルトゥスが教えてくれた、言葉の真意。

束の間の休戦期間に生まれた男子達、開戦する頃には立派な兵士となり戦場に出向かなくてはいけない、そのことを憂いていた。

少しでも長く生きてくれるよう毎日夫婦で厳しく躾け、大人である自分たちが戦争を終わらせることが出来なかったことを、毎日のように悔やんでいるそうだ。


「お願いだから、生きて帰ってきてな、戦争を終わらせるのはそのついででええから」


僕が勇者に任命された日に言われた言葉だ。

彼女が語る言葉は全て建前だ、だがこの時初めて、心の内を、本音を漏らしてくれた。


「勿論です!戦争を終わらせて、生きて戻ってきますよ!」


反射的にそう返すと、アーサーにはいらん心配やったな、と苦笑された。


大人とは本音と建前を使い分け社会で生きていかなければならない。

なおさら王女であるハルにもスノトラはそのように教育したのだが。


ある時、ヤダイ地方に突如大量発生した大蜘蛛を駆除する命を受け、現地へ到着すると...。

目の前には積みあがった大蜘蛛の死体、そしてその目の前で腕組み仁王立ちのハルがいた。


「べ、別にアーサーのためにやったわけちゃうからな!?うちがやりたかっただけなんやからな!」


教えられたことを曲解し、ツンデレのようになってしまったのが現在の彼女である。


「「「「殺すッッッッ!!!!」」」」


戦鬼長サクセションの仇を取ろうと4人の戦鬼が仕掛けてきた。


「アタイが動きを止める!いいな!」


グレイの掛け声とともに、包囲陣を敷かける戦鬼達。

彼女の目が赤く光る、戦鬼グレイがもつ催眠術だ、人間国では必ず多対一で攻略するよう言われている。


「今だ!」


彼女の叫びと共に、2つの物体が飛翔してくる。

戦鬼ボウイの戦闘人形たち、人形の両手からは左右一対の剣、攻撃は動けないアーサーの首へと直撃しようとした。


『ガィン!!』


両の籠手で剣を受け止めていた、必殺の連携を防がれたグレイとボウイは困惑の表情を浮かべていた。


「体質なんでね、催眠術は効かないんですよっと!」


人形を弾き飛ばし、一瞬でボウイの懐へと飛び込んだ。

人形を戻す暇はないと悟ったのか、防御の構えを取ろうとした、が。


「あなたの人形、とってもお綺麗ですね!」


魔王国には人形作りの文化がある、煌びやかな装飾に華麗なメイクを施してこその人形だ。

ボウイの人形は戦闘向けに作られたものであり、対人向けに施したもの、それはあまりに機能的過ぎた。

人形師達からは酷評だ、殺す相手に対して失礼だという意見すらある。

機能美を理解する者など一人も居なかった、目の前の勇者以外には。


一瞬の多幸感がボウイの判断を鈍らせた、次の瞬間、深々と拳が鳩尾にめり込んでいた。

後方へと吹き飛ぶボウイを横目に、アーサーは狙いを瞬時に切り替えていた。

剣を構え突進してくるグレイ、振り下ろそうとした手を掴み取り、目の前に立つ魔族の顔を凝視した。

そして、アーサーは問うた。


「お聞きしたいんですけど、やっぱりその...ミスティも貴女に似て美人なんでしょうか!?」


美人、その言葉をグレイは久しくかけられたことが無かった。

魔王国ではお淑やかな女性が好まれる、戦いなど以ての外、家庭的なタイプでなければ結婚など夢のまた夢。

魔王の娘として、高貴な者の使命として、戦いに身を置いてきた...その結果、未だ独身。

全身の傷跡で男には見向きもされず、催眠されることを恐れてグレイの顔を誰も見ようとはしなくなっていた。

だがミスティが生まれた瞬間、潮目が変わった。

女達もミスティに感化され、強くあろうと鍛えだしたのだ。

そして魔王国は絶賛強女モテ時代、グレイに言い寄ってくる者が現れだしたのだが...その悉くを打ち返した。

理由は明白、今更になってすり寄ってくるんじゃねぇ、ボケ。それだけだった。


「ミスティは...アタイよりも美人で、強くて...大事な妹じゃぁぁ!!!」


左の膝でアーサーの腹部を捉えた...だが感触がおかしい、アーサーは人族の中では恵まれた体躯をしている、しかし魔族と比べると大人と子供、なのに大木のようにビクともしない。

次の瞬間、足と頭をロックされた、そのまま体を丸め込まれ宙へと舞った。

投げ飛ばされながら懐かしい記憶を思い出していた、ミスティにお願いされて戯れに付き合った時の事を。

同じ感覚だ、なおその時は背骨にヒビが入り全治半年の大けがを負った。

地面に突き刺さりながら後悔していた、こんなことなら結婚しておけばよかったと。


「よくもグレイ姉様とボウイ兄様を!!俺の詩を聴けぇぇぇ!!!!!」


ブルーハーツの絶唱が戦場に轟く、聴く者の脳を揺らし、血液を揺らし、たちまち昏倒させてしまうほどの詩を。

詩とは心を揺らすもの、ブルーハーツはそう習った。

だが解釈を誤った、精神的にではなく物理的に揺らすものだと。

散々な評価を受けた、ただの大声、騒音、害鳥退治装置、自動馬鹿発見機、など。

だがそれでも己の詩を貫き続けた、詩で戦争を終わらせると心に誓いながら。


目の前の男は両の耳を抑え、倒れこまないよう必死に耐えている、ブルーハーツには見慣れた光景だ。

だが普段の敵とは違った、にやりと笑い、口元を動かしている。

次の瞬間、男はのけぞり、大きく息を吸い込んだ、両手を口元に揃え、反撃を開始した。


「良い詩ですねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!」


ミサイルのような勇者の咆哮がブルーハーツの詩をかき消した。

一瞬の静寂の後、泡を吹きながらブルーハーツは倒れこんだ。

アーサーが異国の地で学んだ発声法である、なお使用する際は人に向けてやるなと教えられたことを忘れていた。


「別の世界じゃ、あなたみたいな人をロックって言うんですよ」


四人いた戦鬼も残り一人、矢継ぎ早に攻撃されたためミスティの居場所に関して聞き出すタイミングを見計らっていたが、ようやく訪れた。


「ごめんなさい!命までは取っていないのでご安心を!何度もお聞きするのですがミスティは何処に...」


残りの一人、ミッシェルと名乗った戦鬼は本を抱え蹲り、ぶつぶつと呪文を唱えていた。

アーサーには彼が何をしてくるのかが分からない、前回の戦争時には全くの無名、戦場での武功も能力もその一切が謎であった。

質問に答えてもらう前に自身が倒れては全てがおじゃん、警戒を強めていたその時だった。


「.....姉さん、兄さん、仇は取るよ...さぁ、世界の終わりだ......!」


ミッシェルの能力、対象の畏怖するものをこの世に具現化する。

八首のドラゴン、山を食らう大猪、深海の王者クラーケン、地震、噴火、津波、世界の破滅を見せる力。


「......さぁ!お前の恐怖を見せてみろぉ!」


本から黒く蠢く闇が這い出てくる、勇者アーサーの恐怖するもの、それは一体何なのか。

闇が形成したもの......純白の白衣を纏い、手には針が付いた器具を持つ白髪の老人だった。


「・・・・・・え?」


奇怪な格好をした人物だった、だがミッシェルには見覚えがある。

躾けの名目で一度だけミスティに使用した際、同じ人物が出てきた、ミスティは泣き叫びすぐに大人しくなったのだが...正体は不明だった。

なぜそれがアーサーからも出現するのか皆目見当もつかない、何故?なんで?

......思考の最中、ふと前を見た瞬間にはアーサーの拳が迫っていたのだった。


「氷川先生......僕、もう注射は怖くないですよ...泣き喚いて迷惑かけてごめんなさい...元気にしてるかなぁ」


震える手で注射器を持つ姿は恐怖そのものだった......だが今は違う!

数多の訓練、試練を乗り越えた、痛みにも慣れた。

だから今の自分には注射器なんて...注射器なんて怖くない!......はず!


「それにしても...まぁ、なんとかなるかぁ」


戦鬼長サクセションに尋ねる→返答はなく返刀は来た。

戦鬼四名に尋ねる→殺意で返された。

ならば残る道はただ一つ。


「殺せ!絶対に殺せ!」「本国へ伝令を急げ!防衛線を強化し死守しろ!」「勇者死すべし!勇者殺すべし!」「命捨てがまるは今ぞ!」


目の前で物騒なワードを叫び続ける兵士達、その全員を虱潰しに当たればいい。

戦力差、1対1万......いや、それ以上だろう。

目的は目の前に、約束はもう目の前に来ている、ここが正念場だ。


「我が名は『勇者』アーサー!!!問おう、深淵の姫!いや、ミスティは何処だぁぁぁぁ!!!」


「「「「「「潰せぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」」」」」」


返答は地響きのような怒声、ヴァルハラ戦史に残り続け、語り継がれる大立ち回りの始まりだった。



「いやぁ、にしてもアーサーくんの一撃は堪えたなぁ、強すぎだよぉ」

「なんなんだよ催眠術が効かない体質って!!そんな奴見たこと...いや、ミスティが居たわね...」

「お前の叫び、魂に響いたぜ!今度俺とデュエットしよう!いや、今やろう!」

「......なんなんだよあの老人は...あの姿のどこが恐ろしいんだ...」


酔っぱらい×4に絡まれる若者の図、これが所謂アルハラというものなのか...!

飲み会における最年少の立ち回り、それはお酌と相槌を打つこと。

グラスが空いたら直ぐに酒を作る、もしくは注ぐ。

武勇伝を語られたら「流石です」「知らなかったです」「すごいです」「センスが良いですね」「そうなんですか~」とすかさず返す、御船さんと呼ばれるお姉さんに教えて貰った。


『いい?坊や。酒は飲んでも飲まれるな、お酒は人の本性を曝け出すの、飲み過ぎには気を付けてね。飲める歳になったら私のお店に来なさい、サービスしてあげる』


お見舞いに来る人達がやたらと強面の人ばかりだったのが気になるところだが...一体何のお店だったのか。

みーちゃんに尋ねたら『知らない!そんな所に行くんならあっくんのこと嫌いになるから!』と怒られてしまった...謎は深まるばかりだ。


「ええい!貴様ら纏わりつくな!アーサーが困っているだろう!」


長兄のサクセションだけは酔っているようには見えない、かぱかぱとグラスを空けているにも関わらず。

それに時折酔っぱらいの対処もしてくれる、流石はお兄様だ。


「あはは、ありがとうございます、サクセション様」

「様はよせ様は、お前は飲まんのか?秘蔵のコレクションも持ってきたのだが」

「分かりましたサクセション兄さん!それとすみません、酔えない体質でして、酒がその...苦手で」

「そうか、それは可哀想に。ならば我の話に付き合え、今まで刃を交わした勇者についてだ」


歴戦の勇士であるサクセションの語り、気になる!すごく気になるが...。


「兄様が独り占めしたいだけじゃないか!ずるいぞ!」

「「「そーだ!そーだ!」」」

「あん!?」


ブーイングに対して一睨みで黙らせるサクセション、長兄という兄弟内ヒエラルキーの最頂点の為せる業だ。


「まずはそうだな、100年前に戦った勇者ホドだ、加護の力は『傲慢』、とにかく他者を見下し尊大に振舞うことで力を発揮したのだ。嫌われ者だったと思うぞ奴は、なんせ味方の兵士や騎士にすら平気で暴言を吐くからな、戦場において孤立することは死そのものだ、阿保だと思っていたさ」

「だが奴の最期...我が軍が包囲し兵力差は2000対100の絶望的な状況を作った時、こう言い放ちやがった、『雑魚共は足手纏いなんだよ!俺様が突破口を開く!援軍の部隊を要請してこい!遅れたら殺す!』とな」

「流石の勇者も絶望的な戦力差だ、討ち取る事には成功した、だが奴1人だけだった、それ以外には逃げられてしまった、『仲間は逃げれたか?......ならいい、皆が無事で安心した...あのひよっこ共は希望だからな、今度あいつらに会ったら手加減してくれよ?』それが最期の言葉だ、敵でなければ酒を酌み交わしたいと思ったぞ」


勇者ホド、歴代勇者きっての嫌われ者、それが生前の評価だ。

しかしホドの死後、その評価は一変した、自宅に書き溜められていた大量の手紙、罵倒した者や関りを持った兵士騎士全てに宛てた物だった。

その全てに後悔と謝罪、そして感謝の言葉が添えられていた。

力を発揮するためには傲慢でなくてはならない、傲慢であればあり続ける程強くなる、気を抜いた瞬間に力の全てが効力を失うため横柄で尊大で不遜であり続けた。

力の真相を知る者は王とグルヴェイグのみ、強さのために孤独であり続けた男、それがホドだ。


「次は...ブリュンヒルデだな、お前が現れるまで最速を誇った勇者だ」

「話はよく聞かされました、父とテュール団長の師匠だと」

「個人としての力量もずば抜けていたが、お前の父とテュールを育て上げたことが奴の最大の功績だろうさ」


唯一の女性勇者ブリュンヒルデ、持った加護『引斥』を駆使し『閃光』の二つ名で戦場で活躍した人物。

父さんや団長からも、ブリュンヒルデさんの人間性、勇者としての矜持を見習えと言われ続けた。


「そういえばお兄様、会談後にテュールさんとお話されてましたよね?」


昨日とは違い、顔が赤く染まったミスティが乱入してきた、酒の匂いがすごい。


「あぁ、決闘を申し込まれたぞ」

「へぇ~決闘ですかぁ......決闘!?」

「つい昨日だ、立会人に父上とオアシスも居たぞ」


そんな重大イベント、1ミリも知らないんだが...昨日の父さんは普段と何も変わっていなかったのに...。


「結果は...どうだったのでしょうか?」


恐る恐る尋ねてみる、前回戦争時にも二人の対決はあった、だが不意の事故によりテュールの一方的な敗北で終わっている。

片腕というハンデを背負いつつも、人間国の最高峰に位置する強者。

魔王国最強にして、歴戦の猛者であり武の境地であるサクセション、その両名による対決。


語りだすサクセションの顔は、どことなく満足そうな表情を浮かべていた。


「俺の負けだ、はは、鈍ったものだな」

「え!?お兄様が敗北したのですか!?」


団長が捧げた20年という期間、それはサクセションに勝利するための20年間と言っても過言ではない。

傲慢な言い方になるが、団長には度々足を掬われそうになる、普通の人族としては異常な部類だ。


「決着は早かったぞ、奇妙な構えをしだしてな、背の剣に手を当て低く低く構えるのだ。我の最速を打ち込んだ瞬間、剣を撥ねられ首に届いていた。油断は一切無かったのだがな......話に聞くとお前が助言したらしいな、アーサー?」

「ま、まぁ...ですが、あのような形に昇華させたのは団長なので...」


団長への助言、といよりも子供ながらな疑問を投げかけたことがある。

『低く構えれば相手の攻撃を頭部に誘導出来る...そして背中に剣を背負えば防御に使えるから良いと思うんだ、ダメかな?』

名付けてアルマジロの型!......と提案するも弱そうな名前だと却下された。

正式名称『鼈甲』の型、固い甲羅で身を守り、素早い一撃で獲物を捕らえるスッポンをモチーフとしている......まぁアルマジロよりも強そうだ。

騎士は帯刀するのが基本だが、隻腕となったテュール団長には少々不便な部分があった。

背中に剣を担ぐことはこの世界ではあまり好まれない、というよりも背負っての戦い方が確立されていなかった。

テュール団長の研究開発により型自体は直ぐに確立された、それに低身長の者達にもリーチの差を補う戦い方という部分で需要が出来た。

だがまぁ、防御にも用いるために背中には通常よりも長い剣を背負い、尚且つ低姿勢で相対するのは尋常じゃなくきつい、団長ですら当初は5分と体勢をキープすることが出来なかった、ので。


「それにお前が考案した格闘術も一役買っているのだろう?」

「何を考案したの?もしかして...」

「レスリングだよ、下半身を鍛えるには最適だからね、それにやってみたかったし!」


不知火さんに教えてもらった技術、訓練方法、映像で見た試合内容を元にに作り上げたこの世界でのレスリング。人間国では結構人気があり、毎年国内で大会が開かれるレベルになってきた。

鼈甲の型に活かされるのはもとより、体格に劣る人間国の兵士の素手による1対1の勝率の向上、時間稼ぎをできる点が優れていると判断されたためだ。

レスリングにはフリーとグレコローマンと呼ばれる二つのスタイルがある、この世界でも二つのスタイルを作った。

不知火さんに教えて貰ったフリーを元にした『不知火型』。

不知火さんの友人、雲龍さんに教えて貰ったグレコローマンを元にした『雲龍型』、決して相撲の土俵入りではない。

この二つのスタイルを修練に取り込んだお陰で兵士たちの肉体強化に一役買うことに成功した。


「アーサーはレスリングが好きだねぇ、私はプロレスにしか興味が無かったから」

「そりゃあもちろん!不知火さんも言ってたでしょ?『レスリングは無敵だ!』って、そりゃあやるしかないじゃん」

「ふーん、でもルールは複雑だし、試合に華が無いし、競技人口少ないし、重量級じゃ日本人は勝てないじゃん」

「言ったな!人間国では毎年大会が開かれる一大イベントになったんだから!それにきっと今だったら重量級メダリストも現れてる...はず!...だし...」

「......それって他に娯楽が無いからじゃないの?」

「うぐぅっ!?......だし...人気...だし」

「あぁっ!ごめんごめん、アーサーは頑張ったんだもんねー、えらいえらい」


プロレス交流が始まる事によって発生する未来が僕には分かる。

プロレスを見る→プロレスをやってみたくなる→レスリングが似てる→なんだよこれ全然違うじゃん。

どう足掻いてもこの未来しか見えない、華やかで客を楽しませるプロレスには絶対に勝てない、泣きたい。

......へこたれていては駄目だ!この世界でレスリングを普及させるんだ!無い知恵を振り絞れアーサー!頑張れアーサー!


「お前たちは本当に...似合いだな」


二人の口論を静かに聞いていたサクセションがぽつりと呟いた。


「どうだ、もうミスティを抱いたのか?」  

「ヴェッッッッ!??!?」「ブーッ!?!?!」


サクセションの突拍子もない問いかけに料理と酒を二人は噴き出してしまった。


「い、いいい、いやあのですね、そういうのは結婚してからの方がががが、やっぱっぱあぱりあの軽い気持ちじゃだだだ、ダメなんじゃないかなぁって.....」

「......別に私は良いのに...意気地なし」

「ひゅぅっ!?......うす...」


宴会中にも関わらず、気まずい時間が流れている。

はぁ...とため息をつきながらサクセションは語りだす。


「まぁお前たちであれば良い家庭を築くだろう、俺もこの20年で結婚し、子供が出来た、テュールの奴もそうだ、家庭を持つことによる意識の違いが、俺と奴との差を生み出した」

「俺は戦いにおいて死にたくないと思うようになってしまった、家族との別れが恐ろしくなったんだ。だがテュールは違った、子の未来を守るために死をも恐れず戦うようになった。それだけの差で俺は敗北した」


団長も常々言っていた『死ぬのは年老いた者で良い、次代に繋ぐことが俺たちの務めだ』と。


「それは...どちらも正解だと思います、どちらかが間違っているなどということは無いと思います」

「お前ならば強欲にもどっちも叶えそうだな、だが良い......アーサー」


すっと、真剣な眼差しを向けられた。


「ミスティを頼んだぞ、我が最愛の妹をな」


普段の強面が鳴りを潜めた、兄の顔だった、魔王ニルヴァーナにもこう返事した。


「無論です、お義兄さん」


がっちりと握手を交わす、ミスティはまーたやってるよ、と言わんばかりに酒を注いでいる。

大事なんだってこういう親族への信念の表明?というか決意を見せることが、分かってないなぁ。


「なぁアーサー!よかったらアタイも貰ってくれないかい!?あんた言っただろアタイのこと美人だーって」

「.......は?」


酔っぱらいグレイの乱入によりミスティの顔が真顔になった、心なしか周囲の温度も下がっているように感じるぞ!


「ちがっ!ミスティもグレイさんに似て美人なんですか?って聞いただけだからね!?」

「そんなこと言ってぇ~、初対面でアタイの胸を横目で見てたじゃないか」

「見て...!いや、すみません...見てました...おっきいなぁって見てました......」

「おお、丁度良いではないか、アーサーよ、グレイもどうだ?拗らせてしまって嫁の貰い手がおらんのだ」

「無理ですよ!第一重婚だなんてそんな不誠実な...」

「魔王国じゃ嫁を複数持つなんて当り前さ、ボウイなんて三人もいるんだぞ?」


えぇ...そうなの?人間国じゃ一夫一妻が基本だから複数だなんて...。


「グレイ姉様は駄目!ダメです!だめなんです!絶対!イヤ!嫌!やーやーなの!」


背後から両手両足尻尾を使いガッチリと固められてしまった、クラッチの固さが意志の固さを物語っている、ミシミシと骨の軋む音が体から鳴り始めた、絶命の時は近いのかもしれない。


「そ、そこまで言わなくても良いじゃないかミスティ...」


身内による拒絶の度合いが大きすぎてグレイもダメージを負ったようだ、まぁ奥さんを複数持つだなんてそんな不誠実な男にはなりたくないしな、だって勇者だもん僕は。


仕事の忙しさとポ〇モンが楽しすぎて更新頻度遅くなってすみません...。

気長にお待ちいただけると嬉しいです。

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