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光の弓

 レヴィと75%まで力を解放したルニア。それまでスピードで勝っていたレヴィだったが、現在のルニアはスピードがレヴィと同等、そして力はグニラレベルだ。


 レヴィは遠距離から斬撃を飛ばしてくるルニアに容易に近づけない。


「--やばい、どうやって攻撃当てよう?近づいたら直接やられるし、離れたら斬撃が飛んでくる。・・・考えろ私!とにかく相手の隙を作らないと!」


 レヴィは避けながら必死に思案していた。今自分が使える技の中で、この状況を打破できる方法を。そして思い出していた。今まで見てきた試合を。この中で使える技はないだろうか?と。


「あと2分か・・・悪いがそろそろ時間がないのでね。舞台の被害は考えないことにしよう」


 そう言ってルニアは、右手に持った木刀を左腰に添え、抜刀するようなポーズで構えた。


「何を・・・いや、とにかく止めないと--」


 その瞬間、レヴィはこの体勢に既視感を感じた。調度今までの試合を思い出していたからだろうか。とにかく、見覚えがある。そして何かは分からないが、とにかく避けなければと思った。


「--ッ!」


 レヴィは向かう体を無理やり停止し、上空へと避難する。それと同時に、その攻撃は放たれた。


「--グニラ、技を借りるぞ。凪払(なぎはら)い・全円(せんえん)--」


 ルニアは回転しながら木刀をあらゆる方向になぎ払った。これはグニラが蓮に見せた横なぎ一閃の技。放たれた方向に斬撃が飛来し、地面を抉っていた。


 今回それを全方向。グニラ並みのスピードで放てば方向ごとに隙間が生まれ、その間隙を縫って避けることが出来たかもしれない。だが、今回ルニアはレヴィ並みのスピードを出している。つまり--逃げ場などどこにもない。


 レヴィの勘は当たってはいた。だが、その勘の先を行かれたのだ。悔しそうな表情を浮かべながら、光のバリアを何重にも張る。


「嘘っ!ああもう!聖絶(せいぜつ)・5連!」


 斬撃がバリアを砕いていく。1枚、また1枚とレヴィとの間は埋まっていった。


 残り2枚・・・1枚--


「(まずい、このままじゃ--)」


 そして最後の1枚が砕け散る。多少のダメージは覚悟したレヴィ。だが、最後の1枚がギリギリ相殺してくれたようだ。


 ほっとするレヴィ。念のため全身にバリアを張りながら地面に降りた。その時、彼女は足元の崩れ具合に驚愕する。至る所に斬撃の軌跡が残り、箇所によっては蓮がよくやる足元崩しのように、崩落していた。


「・・・恐ろしい技。油断して突っ込んでたら危なかった・・・!」


 強力な一撃を防いだレヴィ。しかし以前押されているのには変わりがない。


「(どうする?この状況から私が出来ること。私の中にあるものは--あっ、そうだ。これならいけるかもしれない)」


 頭の中で策を弄したあと、レヴィはある人物達に目を向けた。


「・・・よしっ!やってやる!」


「何か作戦が出来たようだが、私には通用--」


 レヴィは上空に光の球を作り出し、打ち上げる。


「ん?一体何を・・・」


夜明けの光玉(サンライト・オーブ)!」


 光の球は会場全体の影を退けるほどの輝きを放ち、その場にいる人間の視界を塞いだ。


「くそっ!目潰しか。だが・・・目が見えずとも場所は知れている。--ここだろう?」


 ルニアは光の球に向かい斬撃を放つ。飛来した斬撃により光は輝きを失い、会場に影が戻った。


「戻った・・・か。何が目的だったのかは知らんが、私がこの程度で動揺するとでも--ん?」


 ルニアが目を開けた時、目の前には誰もいなかった。視界を一周させるが誰もいない。背後は壁なのでいるはずがない。レヴィが完全に消えた。まるで透過したカミラのように。


「どこだ?光には透過する能力もあるのか?いや、であればもっと前にやっているはずだ。であればどうやって・・・」


 思案しながら視界を回していると、何やら近くでバチバチと音がする。なんだ?とより一層注意をしていると、いきなり足元の地面が音を立て崩れ始めた。


「なっ?!何故いきなり?」

 疑問が頭から離れぬまま、とにかく落ちるわけにはいかない為、別の場所へ移動しようと上空へ飛び上がった。しかし、その地点上空から、いきなり強力な光線が降り注いだ。


「ぐはっ!(次から次へと・・・一体なんだ?)」


 地面へと叩きつけられ、押さえつけられる。すると、降り注ぐ光線が徐々にその姿を変化させていき、ルニアを捕らえる拘束具へと変化した。


「さっきから・・・!なんだこれは・・・動けない」


「--堕天牢(だてんろう)。光で相手を拘束し捕らえる技。今まで早くて使えなかったけどようやく使えた!」


 突如何もない箇所から聞こえた声。その位置に視線を注視すると、徐々にその姿を現し始めた。


「やっぱりすごいなぁカミラは。こんなの、いや、これ以上のこと毎回やってるんだもんな。私にはこれが限界」


「な・・・今までどこにいた?--レヴィ!」


 今まで何もなかった空間から、突如レヴィが現れた。ルニアはどうやったのか理解できず、そこから声が出てこなかった。


「ねぇねぇ蓮くん!レヴィちゃんついに光の透過まで出来る様になっちゃったよ!どんどんあたしのお株が奪われていくんだけどどうしよう!」


 カミラは自身が出来る技を目の前で使われたことにより、再びあたふたしていた。


「大丈夫、あれも透過とかじゃないから」


「そうなん?あっ!さっきの・・・なんちゃら拳みたいに何かフォローしてくれる?」


「残像拳な。いや実際には虚像見だったけども。あれはあれだよ。・・・その・・・光をああしてこうしてグニャグニャって・・・・・・透過だな!ドンマイ!」


「投げ捨てた!」


 その答えをレヴィが解説してくれる。


「なんで?って顔してますね。思い出したんですよ、姿を見るには物体に反射しないといけないって。だから、出来るだけ薄っすーい光の膜を張って私の姿を反射させなかったんです。まぁすごい調整難しいから作るのに多少時間がいるんですけどね」


「・・・あの光の球はそういうことか」


「ええ。どうせあれを作ってもすぐに壊されてしまうって分かってたので、あっちを囮にしました。そして遠距離から魔法を放ちあなたの足元を崩した。これは蓮の常套手段ね。そして、上から魔法を放ち押さえつけ、動きを封じる。これはディアスから学んだ技。そしてこれが--私の技よ!」


 レヴィは自身の周りに光を放ち、それを4体の人型に変化させる。


 光の人形はそれぞれ弓を持ち、レヴィと連動し動きを始める。


「(これはまだ成功したことがない。だけど一撃で倒すにはこれしか・・・出来るか?行けるか?・・・いや、出来るかじゃない!やるんだ!ここで勝って・・・笑顔で2人のところに!!)放て!光の天使たちよ!--闇照らす神々の涙(ヘブン・ティアーズ)!!!」


 辺り一帯が光には包まれる。全ての影を飲み込むように標的めがけ放たれる。ルニアはガッチリ拘束され、動くことができない。


「くっ!(ここまでか・・・やはり悔しいものだな・・・負けるというのは。すまないバルク、エトラ・・・)」


 攻撃は直撃し、閃光と共に激しい爆発音が鳴り響く。砂埃も舞い、辺りには別の場所にあったのであろう土塊が散乱していた。


「・・・・・・(やりすぎたーー!!)」


 あまりの激しさに打ったレヴィが目を見開いていた。ここまでの威力になるとは思っていなかったらしい。


「やばい!どうしよう!生きてるよね?大丈夫だよね?とりあえず・・・ごめんなさい!!」


「--あくまでも試合中に頭を下げるんじゃない」


「・・・あれっ?」


 砂埃の中から、なんと魔法を直撃したはずのルニアが出てきた。しかし流石に手負いになっており、歩くのがやっとという感じだ。


「・・・まさかあれ食らって意識あるとか・・・ほんと何者ですか?」


「安心しろ・・・もう戦う気はない・・・。どの道解放(リラース)も切れたしな。これ以上戦えんよ」


「じゃあ・・・なんで?」


「なんで立ち上がったのか・・・か?そうだな、これだけ言う為だ・・・どうせなら優勝しろ。私と、エトラの分までな・・・!・・・分かったか?」


 ふらふらになりながらも、ルニアはレヴィを真っ直ぐ見据え、指差しそう言った。


「--ええ。勿論よ。安心して、私はもう迷わないから!」


 その言葉を聞いたルニアは、少し笑みを浮かべたかと思うと、ゆっくりと前から地に伏せた。


「はぁ。・・・・・・ありがとうございました。ルニアさん」


『この第3回戦第2試合を制したのは・・・レヴィ選手だーー!!』


 アナウンスを皮切りに、観客も歓声を上げる。蓮とカミラは走ってレヴィの元へ駆け寄った。


 同時に観覧席では、アリアとバルクが試合について話していた。


「--はぁ、負けちまったなぁ。おまけに約束まで破りやがってちくしょう・・・こりゃ、酒飲みながら説教だな・・・!」


 そう言いながらバルクは拍手を送っていた。


「実力的にはレヴィは若干劣っていた節がある。だが、勝負を分けたのは・・・仲間をの力・・・かもね」


 アリアは小さく微笑みながらそう呟いた。


 その呟きが聞こえたのか、レヴィはアリアの方を向き--今日1番の笑みを浮かべるのだった。







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