約束の報せ
--場所は再び医務室にて
「--改めて、お疲れ様!レヴィちゃん!」
カミラがすごいニコニコしながらレヴィに抱きつく。
「ちょっとカミラ!痛い!痛いたいたい!傷がー!」
うん。やっぱり百合は綺麗だな。なんというか清廉な感じがする。・・・あっ、そろそろ助けないと。すげぇ睨んできてる。
「おーいカミラー!どうどう」
俺は興奮しているカミラの手を叩き制止を促した。それでようやく気がついたのか、レヴィから離れた。
「おっとっと。ごめんレヴィちゃん!やりすぎた。抱きつくのは治ってからだよね」
どうやらレヴィも俺と同様、駆込み過ぎということで最低限の治療しかしてもらっていないらしい。・・・おかしいな、俺の時なんて最低限もなかったんだが。これはあれか?男女差別というやつだろうか。
レヴィはカミラのスキンシップにため息をついた。
「はぁ、出来れば過剰なスキンシップは控えて欲しいのだけれど・・・まぁ今回はしょうがないけどさ。--そうだ、私からも改めて言わせて」
「ん?何をだ?」
「ありがとう!2人とも。2人がいなかったら私、多分何も出来ないまま終わってた。カミラには嫌な役回りさせちゃったし、蓮には何もしてあげられなかった。だけど、もう大丈夫!私は私の目標を見つけたから」
ほんと、すごいよレヴィは。自分をしっかり見れて反省して、最終的に目標を見つけられたんだから。に対して俺はなんだぁ?洗脳教育的なのがあったっぽいとは言え、自分のことから目を逸らし続け、現状今は自分と向き合おう!あとレヴィを護りたい!くらいしか掲げられてない。なんなんでしょうねこの差は?
・・・にしても、俺が言えた義理じゃないが、レヴィもレヴィでずれてんなぁ。
俺はレヴィに顔を近づけ、指を指しながらこう告げた。
「あのなレヴィ。お前は2つほど勘違いしている」
「か、勘違い?・・・なによ?」
「まずその1!カミラに嫌な役回りをさせたって言うが、させたのはレヴィじゃない。俺だ。そもそも俺が不甲斐なかったからカミラはあんなことしてくれたのであって、レヴィはそこに責任は一切ない。微塵もない」
うんうん。とカミラも大きく頷いている。すごい大きいね、首もげるんじゃない?
気になるが気にせず話を続けた。
「んでもってその2!俺に何もしてあげれなかったとか言うが、それこそ何言ってんだ?試合中にも言ったろ?救われたって。叱って、泣いてくれて・・・すごい嬉しかったって。君の手をもう一度掴んで護りたい。確かそう言ったよな?もし忘れたんだったら何回でも言うよ。--君に救われた」
レヴィはしばらく呆然となっていたが、突如カミラの方を向き出した。
「・・・彼のこう言うセリフを雰囲気とかなくても言えるのってさ、ずるいよね?」
「うんうん、尚且つそれが天然産だってんだから、恐ろしや〜。蓮くん!君は思考待機を覚えようぜっ!」
なんだろうか、少なくともカミラには馬鹿にされてる気がする。ここまではっちゃけられると、俺と戦ってた時のカミラが別人なんじゃないかって思えてくる。まぁ本人だけどな。
「取り敢えず、誤解は解けたか?解けたらハイ。解けてなければイイエでお答え下さい」
「・・・うん。分かったよ--ハイ」
「よろしい!では怪我人はゆっくり寝とけ。じゃないと体がもたないぞ」
「蓮くん、君もだよ」
カミラは俺に近づき、肩をいきなり掴んだかと思えば、最寄りのベットに無理やり押し込んだ。
「えっ?ちょ、うわっと!・・・カミラいきなり何を--」
「あ・の・ね〜!君人のこと言えないの分かってる?取り敢えず歩けるくらいまでしか治してもらってないんだから、レヴィちゃんと一緒にゆっくり寝てなさい!」
とても最初に怪我人に抱きついていた人と同一人物とは思えないセリフだ。まぁ、言ってること事態はその通りだし、俺も寝るか。
「んじゃ、俺も寝るから、レヴィもちゃんと寝るんだぞ!いつまでも起きてたら先生に怒られるからな!」
「先生?まぁなんのことか分かんないけど取り敢えず寝るわよ。私も疲れて眠いし。カミラは・・・どうするの?」
レヴィはもぞもぞとベットに入り込みながら質問した。
それを受けたカミラは、指を顎に当てながら少し考え、こう答える。
「あたしは試合見学してようかな!アリアさん地味に置いてってるし、それに、将来仲間になるかもしれないディアスくんの試合も観ときたいしね!」
「そっか。じゃあその試合結果、俺らにも教えてくれよ?てか、今思うと今のとこディアスの試合一個も見れてねぇな俺。何やってんだ?・・・怪我か」
「OK OK!バッチリこのまなこで見てくるからね!んじゃあ行っきま--すうぉっと!・・・マスター?なんで・・・あっ、レヴィちゃんの」
カミラが出ていく直前、医務室入口から突然マスターが現れた。
「おっ、すまんのぉ。えっと確か・・・カミラちゃんじゃったか?」
マスターは長い髭を拵えながらカミラの名前を思い出す。
「は、はい!カミラです!レヴィちゃんといつも仲良くさせてもらってます!」
「おーおー!レヴィちゃんの友達!こりゃ無条件で100万ガスタあげちゃおうかの!」
「--何言ってるんですかマスター?話があって来たんですよね?それとも貯金切り崩しに来たんですか?」
同じく入り口からやって来たのは受付のマルロさんだった。なんだかすごく久しぶりだ。
俺は上体を起こし挨拶をした。
「マルロさん!お久しぶりです!元気でした?」
「やぁ蓮さん!ええ、おかげさまで。蓮さんの方も・・・・・・お変わりないようで」
「いやこれで変化なしって俺何?種族アンデット?」
「・・・で、話って何お爺ちゃん?多分だけど私がお願いしてたやつよね?」
レヴィは寝転がりながらマスターに問うた。マスターにこれが許されるのは世界中でレヴィだけだろう。
「おっ!流石レヴィちゃん。聡いのぉ。その通り、4文字について少し分かったことがある」
「4文字?何が?」
あの時その場にいなかったカミラは1人きょとんとしている。なんか可愛そうなので近くに呼んで説明してあげた。
「ふむふむ・・・ほぉ〜・・・なるほどなるほど・・・へぇ、蓮くんやあのイカルガくん?の魔法ってそんな珍しいんだ?」
「いやほんとに説明聞いてましたかね?多分珍しいって話で、今から聞くのはその結果なんですが」
「ありっ?そうだっけ?・・・まぁでもどうせレアなんだし、似たようなもんでしょ」
・・・適当ー。いやまぁそうなんだろうけどさ。こいつ変なところでリアリストだな。
「レヴィ、俺カミラのことよく分からん」
「安心して、私の中でもぼやけてるから」
よくしらないのに友達って凄い関係だな。まぁ友達ってのは全く疑ってないが。
「・・・で、カミラどうすんの?聞いてく?それとも試合行く?」
二者択一の状況に、カミラは頭を抱えながら足をジタバタさせていた。そしてそのうち回った。・・・可愛いなおい。
「う〜〜〜ん。どっちも、どっちも捨てがたい!ねぇ2人とも!どっちがいいと思う?」
「どっちって・・・蓮、お願い決めて」
「爆弾ゲームかよおい。そうだな・・・じゃあ試合行って、その結果を俺達に、この話の結果をカミラに伝えるってのでどうだ?」
二者択一を完璧ではないが達成しているこの折衷案、果たして--
「・・・・・・いい、いいよ!蓮くん頭いい!てなわけであたし行ってくるね!絶対ちゃんと教えてよ!伝え漏らしなしだかんね!--あ、マスター失礼しまーす」
そう言って、カマラは嵐のように去っていった。
「ほっほっほっ!元気な子じゃのぉ。若いうちは元気が1番!」
「で、お爺ちゃん。本題いつ入るの?」
「ん?おお、すまんすまん。マルロ、頼むぞ」
「はい、ではこちらで調査した結果をお伝えしますね」
こうして俺たちは今まで4文字魔法のものは俺含め5人しかいなかったこと。そしてそのうち2人も脳無しだったことから、4文字は脳無しの特徴なのでは?と言う仮説を聞いた。
にしても、イカルガが脳無し?他の人は見てないからなんとも言えんが、とてもじゃないが地球から来たとは思えない見た目だった。まぁ迷い込むのが地球人だけとは限らんのかもしれんが。にしてはあんなはっきり人間なのか?
それに・・・他の3人のことも気になる。リョウカにシオン。そしてローズ、ってのはいまいち分からなかったが、シンメイハヤマト、てのがもし真名は大和、とかだとすれば、この3人の名前は日本名だと推測できる。涼香に紫苑、それと大和。うん、しっくりくる。
ってことはやっぱりイカルガも脳無しで、転移者なのか?斑鳩と書くこともできるが・・・だとしてもやっぱり見た目の違和感が凄い。ほんと、よく分からん。
と、ここで俺は、マスターから質問をされた。
「して蓮くん。今の話を聞いてどうだった?何か分かったことなどあるかな?」
「分かったこと・・・まぁ少なくともイカルガ以外は俺と同郷かも知れないってことだけですかね。あと多分ですけどシンメイはってのは真の名前って意味だと思いますよ。俺の故郷にそう言うキャラ設定してるやつがたまにいるんですよ。厨二病って言うんですがね。男子の殆どが一度はかかる心の病です」
「ってことは今日のあれはその厨二病だったの?」
レヴィに食いつかれてしまった。・・・やばい、否定は簡単だがなんて説明しよう。実体験か?いやでもそれはなぁ・・・
「いや、あれはまた別の病だよ。厨二病はあそこまでにはならないから大丈夫」
「そうなの?大変ね、蓮の故郷の男の子って」
「そうなんだよなぁ。それもこれも、刺激されてしまうようなかっこ良すぎる作品がありすぎるのが問だ--(ちょっと待て、脳無しは自分がどこから来たのか分からないってことだったよな。これ以上話でいいものなのか?何か不味いから秘密にしてたのかも知れない。であればしゃべらぬが吉か?」)」
「ごめん、なんでもない」
「・・・そう・・・。」
レヴィは何やら怪訝な目を俺に向けていた。もしかすると被害妄想でそう見えているだけなのかも知れんが。
「うん・・・真の名前のぉ。コードネーム的なものか?まぁ良いか。そういえばレヴィちゃんはどこまで知っとったんじゃ?もしくは気付いておったんじゃ?」
「いいえ、別に私は何も。ただ気になったので聞いてみただけなんです。ここまで早く上がったのは予想外でした」
「なるほどのぉ。・・・うむ。いい情報を得た!早速帰って・・・そうじゃ、大事なこと言うの忘れとった」
「ん?何かを・・・」
「あと数日で、ここにモンスターが攻めて来る可能性がある。あの擬人化モンスターじゃ」
その言葉を聞いた瞬間、俺とレヴィに緊張感が走った。




