レヴィ対エトラ
Bランク2回戦第4試合開始前、対戦相手であるレヴィとエトラは話をしていた。
「いや〜レヴィちゃんと戦うとか、緊張すんな〜!同期だけど一緒に戦ったことないし」
「確かにそうね。いい勝負をしましょう!恩人だけど、手加減はしないわよ」
「ひひっ!当たり前だぜ!手加減とかしてきたらおいらめちゃめちゃ怒るからな!」
「(確かエトラは施錠魔法。とても珍しい魔法だけど・・・気をつけなきゃ)」
レヴィがもうすぐ始まる試合に向け、再度集中を始めると、エトラがふと呟いた。
「あっ、そういえばレヴィちゃんさ、蓮とはどこまでいったの?」
その質問にレヴィは一瞬硬直する。
「・・・ん?どこまでって・・・なにが?」
「そりゃ・・・付き合ったりしてんの?ってことだけど」
「つーー付きゃ!・・・そんなことしてないわよ断じて絶対にまんじりとも微塵とも!」
「ははっ!すげぇ早口」
レヴィはせっかくしかけた集中が完全に切れた。
「私別にそんな風になりたいとか思ってない。それに・・・彼にはアリアさんしか見えてないだろうし」
少し物憂げな表情を浮かべたレヴィを見て、エトラが不思議そうに答えた。
「ん〜、別にそんな感じには見えないけどなぁ・・・おいらの目が節穴なのか?確かに蓮はアリアさん大好き人間みたいだけど、あれって母親大好きと同じように見えるんだよな」
「・・・なに、慰めてくれてるの?別に大丈夫よ!今の関係も好きだし」
「ふ〜ん。レヴィちゃんってさ、なんで蓮がいいの?一応義兄弟だから分かるけどあいつ女の子にモテるタイプじゃないと思うんだけど」
「なんでって・・・いや、やっぱり言わない」
「えぇー!ここまできたら言ってよ!気になるじゃん!」
レヴィは何が思いついたように笑みを浮かべた。
「そうだ!私に勝てたら教えてあげる。ただ、絶対に教える気ないけどね」
「へぇ、良いねぇ!じゃあ一瞬で勝ってのんびり聞かせてもらうよ!」
悪戯な表情を見せたレヴィ。そしてそれに応えるように満面の笑みでOKサインを送るエトラ。
『2回戦第4試合、エトラ選手対レヴィ選手です!』
「おっ!呼ばれたぜ!さっさと終わらせようぜ、レヴィちゃん!」
「そうね、ぱぱっと終わらせましょうか。絶対教えてやんないから」
こうして2人は会場へと足を踏み入れた。
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時を同じくして選手専用観覧席にて。
「おっ!アリアさんじゃないっすか!こんにちは」
蓮とレヴィの応援のため観覧席へといたアリアに挨拶してきたのは、蓮の元パーティーで、義兄弟でもあるバルクだ。
「おおっ!バルクじゃないか!ほれほれ、こっちおいで!」
アリアさんはバルクを手招きする。
「まさか、アリアさんの方から誘導してもらえるとは思いませんでしたよ。蓮と初めて会ったあの日からは考えられないですね」
「あれはお前らが無理矢理勧誘したからだ。本来の私はそれはそれは心優しい聖母のような人間だぞ」
「ははっ!ほんとに聖母なら怒って魔法ぶっ放したりしてこないですよ!ーーほんと、あん時はすいません。俺が強くなることしか考えてなかった」
そう言ってバルクは軽く頭を下げた。
「別にいいよ。もう怒ってないし、それにこっちも感謝してるしね」
「感謝?俺なんかしましたか?」
「蓮を1つ成長させてくれた。お前達のパーティーに入ったことで確実にあの子は成長できたよ。それに、レヴィ救出のため尽力してくれただろ?お前が真っ先に行くと選択してくれなければ、私は愛弟子の1人を失っていたかもしれない。ほんとに感謝してるよ・・・!」
「・・・ふっ!やっぱこういうところ似てるんすね!あいつと」
「ん〜どうだろうな?あいつは私より口が軽いぞ。私がこんなことを言うのは認めた相手だけだ。しかしあいつは結構誰にでも言う。そういうところは全然違うよ」
「・・・なるほどねぇ。まいいや。そろそろ試合始まりますよ。レヴィの嬢ちゃんとエトラ、果たしてどっちが勝つか・・・!」
バルクは手を重ね、楽しげに笑う。それを見てアリアも同様の表情を浮かべた。
「悪いなバルク。この試合レヴィの勝ちだ!何せ私が鍛えたんだから」
「ははっ、その言葉の説得力すげぇな!だけどまぁ、エトラだって負けちゃぁいないですよ。何せ俺の弟だからな」
『2回戦第4試合、エトラ選手対レヴィ選手です!』
「おっ!やっとか・・・!そうだ、お互いどっちが勝っても恨みっこなしでいきましょうぜ!終わった後ギスギスすんのは嫌いなんですよ」
「ああ、そのつもりだ。お互い相手を尊重しながら行こうじゃぁないか」
2人は互いの手の甲を合わせ、無言の返答をした。
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レヴィとエトラはそれぞれ所定の位置につく。そして先程までの浮かれた雰囲気とは打って変わり、お互い選手になっていた。
『準備はよろしいですか?ーーそれでは、2回戦第4試合ーー始め!』
開始と同時に、まずはレヴィが動き出す。
「不視無光」
「くっ!眩ッ!」
掌から光を放ち、相手の視界を塞ぐ。そしてその隙にレヴィは攻撃を仕掛ける。
「恨まないでね!慈愛の掌!」
右手に光を集中させ、それをエトラに叩き込む。視界を塞いでいるため、簡単に避けられはしない。これで決まるかと思われたが、そう簡単にはいかない。
その攻撃は見えない壁に阻まれた。
「えっ!?なんでーー」
「筒壁。空気を筒状に固めて攻撃を防ぐ技だ。ーーんでもって・・・解錠!」
壁がなくなったことで、レヴィは勢いそのままエトラの元に押し出される。完全に空きだらけだ。
「見えてはねぇけど、さっきの音的に・・・この辺だろ!」
エトラは先程音がした方向から推察し、その位置に魔法を放つ。
「空盾」
空中に空気の盾を作り出し、レヴィは勢いそのまま頭からそれに突っ込んでしまう。
「ーーッ!」
その衝撃で思わず目眩しを解いてしまう。
「へへっ!やっと見えた!空中階段!ーーからの、逃れられない障壁!」
エトラはレヴィの上を取り、そして空気の壁をぶつけたことで、レヴィは地面に叩きつけられる。
「ぐっ!油断した・・・!」
「へへ〜ん!どうだ?おいらの方から強いだろ?」
自信満々に応えるエトラ。その自信から注意が少し散漫になる。
「・・・エトラ。あなた今日天罰が降るわ」
「天罰・・・?もしかして女の子と戦ってること?それは許してーー」
「あなたの罰は・・・私に油断したことーー」
そう言ってレヴィは手を振り下ろした。
「ん?何してーーってかなんか上眩しーー・・・えっ?」
エトラが上空を見上げると、大きな1つの光線が今まさに降り注ごうとしていた。
「神罰の光・・・!」
例えるのならサテライトレーザーのような光線。早く、重く、強い光線がエトラを襲う。
「-------ッァ!!」
激しい爆発が起こる。地面には丸く穴が開き、あたりには砂埃が立ち込める。
「・・・終わった・・・?」
「・・・・・・へへっ。勝手に終わらせねぇでくれよ・・・!頑張って耐えたんだぜおいら・・・!」
砂埃が晴れ、そこには怪我こそ負ってはいるものの、まだなんとか動けるらしいエトラが、無理した笑顔で立っていた。
「嘘・・・倒せてない・・・あなた、そんなに耐久力あったの?」
「い〜や。あんなんずっとくらってたら流石に立てないよ。だから、くらってる最中に施錠してなんとかことなきを得たんだ。それでも十分痛いけどな」
お互いがお互い少しの油断があった。それをお互い後悔する。
「(まさかあれで勝てないとは思わなかった。認識を改めないと・・・負ける)」
「(まさか、あんな仕込みしてたなんて・・・完全に油断したなぁ。今のままじゃ・・・負ける)」
もう一度向き直り、構え直す。
「私はーー」「おいらはーー」
「「負けない!!」」




