ついに本番
目を覚ますと俺は何故か真っ白な空間にいた。当たりを見渡すと何もない。天井まで真っ白だ。というか天井がない。
もしかして・・・また別の異世界に飛ばされんのか?にしてもこういう空間って定番だよなぁ。ってことはどっかに美しい神様的な存在がーー
目の前にいたのは、メガネを掛け、髪をかきあげ、顎にだけ髭を生やした変なおっさんだった。
ーーチェーンジッ!!チェンジでお願いします!なんでこんなのに送られなきゃ行けないんだ!男でもいいけどせめてもっと神様っぽくあれよ!んだよその服!なんで下パンイチなんだよ!風呂上りの父親か?!
・・・まぁ父親見たことないんで知らないけどさぁ。
つうかマジで誰だこのおっさん?妙な既視感があるが父親ってのは大体皆なんとなく似てるもんだからな。・・・いや知らんけど。
ってかそもそもなんで俺はこんなとこーー
ーーと、ここで突如聴き馴染みのある声が空間にこだました。
「ーーん!蓮!こんなところで何してんの蓮!」
聴き馴染みのある声に呼ばれ、俺は起き上がる。
「はいはい今行きます!・・・ん?レヴィ?・・・あれっ?白い空間は?パンイチのおっさんは?」
呼びかけていたレヴィは、突然起きた俺にビックリしていた。
「ひゃう!!・・・びっくりした〜!急に起き上がらないでよ!あと何?パンイーーヴヴン!・・・そんな変なおじさんいないわよ」
・・・てことは何か、俺ってばこんな廊下のど真ん中みたいなとこで寝てた上、パンイチの知らねぇおっさんが出てくる夢を見てたと。・・・間抜け過ぎだ。新たな黒歴史誕生の瞬間である。
「・・・蓮、いきなり飛び出して行ったかと思えば何してた?まさかここで寝るために飛び出したわけじゃあるまい」
アリアさんの質問を受け、俺は必死に前後の記憶を思い起こした。
・・・えっと、確か俺はイカルガを探して飛び出して・・・その後イカルガを見つけて話をしてたら・・・そうだ!突然変な女性が登場して顔触られて・・・そっから記憶がない。多分あの人になんかされたな俺。
もしかして眠らせる魔法かなんか使えんのか?
「えっと、イカルガに会ってたら知らない女の人に眠らされました・・・多分」
「何その人?イカルガの知り合いなの?」
ん〜確かイカルガに対してなんか言ってたんだけど・・・思い出せん。重要なとこだろここ。なんでそう都合よく忘れるかなぁ?
「んん〜ん。多分喋ってたから知り合いではあると思うけど、詳しいことは覚えてないな。つか頭痛てぇ」
痛む箇所を触ってみると、小さいがコブが出来ていた。そりゃ立った状態でいきなり眠らされたらコブだって出来るか。にしてもなんだったんだあの人。今度会ったら慰謝料請求してやる!
「ーーって!こんなこと話してる場合じゃなかった!もうすぐBランクのトーナメント組み合わせ発表されるわよ!その後すぐ試合始まるんだから急がないと」
レヴィの言葉で思い出した。・・・そういえば次俺らの番じゃん。
俺は急いで立ち上がり、発表場所まで急いで向かう。
「アリアさんごめん!詳しいこと後で話すから俺行くね!応援よろしくー!」
「ちょっと、置いてかないでよ!ア、アリアさん行ってきます!」
「ああ・・・いってらっしゃい・・・。ったく、慌ただしい奴らだなぁ。・・・にしてもイカルガ・・・一体何者だ?--いや、今はとにかく弟子達の応援だ!考えるのはその後だ!さぁーて戻ろ戻ろ!」
こうして俺とレヴィは発表場所へ、アリアさんは観覧席へと戻って行った。
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発表場所についた俺達は、なんとかほんとギリギリで間に合ったようだ。全力疾走した甲斐があった。
「蓮、レヴィ。君ら何してた?ギリギリだぞ・・・しかも汗だくで・・・。これから戦うんだが、もしかして未来から来たのかい?」
ディアスにからかわれてしまった。
「はっ!未来から来れんならこんな時間ギリギリにこねぇよ!先知ってんのに遅刻しそうになる未来人って間抜けすぎんだろ!」
「全くよ。ったく、蓮があんなところで寝てるから・・・!」
「ぐっ!それは・・・」
言い訳のしようがない。眠らされたとは言え、俺のせいなのは事実だ。
「寝てた?!・・・君、ほんとに何を--」
『では、これよりBランクトーナメントを発表致します』
頼むから第1試合とかだけはマジでやめてくれよ・・・!じゃないとマジ負ける。
『第1試合、アシア選手対ネネッタ選手』
----しゃあおらっ!とにかく最悪は回避!正直フラグDIYしちゃったかなぁとか思ってたけど流石運命様。そんなもんじゃぁ揺るがない。
『第2試合、グニラ選手対指宿選手』
んんっ!ニアピン!危ねぇ・・・!おいおい運命様、もうちょい余裕持たせてくれていいんじゃないか?何事も余裕を持つことが大事だぜ。
つてか、グニラって確か・・・
俺は顔を徐に動かす。その視線の先は妙に目立っている筋肉ダル--大男だ。
その大男は俺を見るなり哀れみのような視線を向けた後、もう俺の方を向くことはなかった。
このコンディションでいきなり優勝候補と激突って・・・なるほど、運命様が俺を1番にしなかったのはこういう理由ですか!ああそうですか!そっちがそうくるなら俺だって!・・・どうしようなんも出来ねぇ。
俺が心の中で1人劇場をやっていると、どうやら全ての組み合わせが発表され終わったらしい。
まとめると、俺が2試合目、レヴィが7試合目、ディアスが10試合目。そして俺が以前所属していたパーティであり、義理兄弟でもあるルニア兄貴は5試合目で、エトラは8試合目らしい。そしてーー
「お久しぶりっ!指宿君・・・・であってる?君があたしのことパーティに誘ってくれたんだよね?ありがとう!」
あっ、この子は・・・!レヴィ吸収の際にギルドに要請をして後に俺の黒歴史をまた1つ増やした原因の子。
「えっと・・・名前確か・・・カ・・・カミューラ?」
「カミラだよ!君、自分で誘っておいて酷くない?!」
「あっ、その・・・ごめんなさい」
心の底から出たごめんなさいだった。あの、ほんとにごめんなさい。名前間違えたことも勿論だけど正直この大会だけでも色々ありすぎてパーティとか、あとこの子誘ったことすら忘れてた。
「まぁいいけどね!間違えたとは言えニアピンだし。そもそも一回しか会ってないしね。それに、レヴィちゃんとパーティ組んでたからってので選んだんでしょ?」
「ああ、よく分かっーーってのは冗談で実は俺が君にもう夢中で一緒にパーティ組みたいなぁってレヴィにお願いしたんだよ!」
危ねぇ・・・!あと少しで天然最低発言かますとこだった。なんとか踏み止まっーー
「はははっ!だとしたら絶対名前間違えたらダメじゃん!爪甘ーい!!」
・・・あっ、ほんとですね。逆に最低になっちゃったよ。無神経というクズを隠すために節操がないというクズで上塗りしてしまった。馬鹿すぎるだろ俺。
「あの・・・ごめんなさい。その通りです。レヴィの知り合いだから気安く入ってくれんじゃないかって理由で誘いました。マジですいません」
情けねぇ、会ってまだ2回目で俺何回謝んだよ。
「ふぅ〜ん。レヴィちゃんから聞いてた通りなんだ・・・!」
半分殻の中に閉じこもっていた俺はカミラさんの言葉を聞き逃した。
「えっ、今何か言いました・・・?」
「ううん、な〜んにも!というかこれ以上喋ったらある女の子に殺されそうなので喋りませ〜ん!」
ある女の子?誰だそーー視線を動かすと一瞬でわかった。だって1人明らかに違うオーラ出してるもん。よく分からんがこれ以上話すなって顔に見える。取り敢えずこの件は置いておこう。俺まで殺されるかも知らん。
「えっと・・・カミラさん?」
「カミラでいいよ!仲間になるかもなんだし!敬語も要らない!」
「そっ、そうです・・・そっか。えっと、なるかもってことはまだ確定してないってことでいいんだよね?」
「うん。君のこともうちょっと知ってから入ろっかなってさ!戦ってるとこも見たことないし」
まぁそりゃそうだろう。言ってしまえば命を預ける間柄にならてばならないのだ。慎重な見極めは必須である。
「そっか。俺2試合目だからさ、そこで審査してくれ!まぁ負けるかも知らんが。・・・そういえばカミラさ・・・カミラは何試合目なんだ?」
「あたし?あたしは4試合目だよ!そっか〜グニラさんだもんね。まぁでも応援してるよ!だから私のことも応援してねっ!じゃじゃ!また後でね〜!」
そう言って終始ハイテンションのままどこかへ去って行った。
ほんと、嵐のような人だったな。
ーーよしっ!切り替えろ。俺が話し込んでいる間に既に第1試合は始まっている。つまりほんとすぐに俺の出番が来るかもしれない。気を引き締めねば。
俺は深呼吸をし、気を落ち着かせる。
そこから約5分後、第1試合が終了した。つまり、俺の番だ。
「ふぅ。ーーよしっ!いくぞ!」
俺は気を引き締め直し、入場口へと足を運ばせた。




