VSアリアさん
「お前たち!遠慮なくかかって来い!軽ーく揉んでやる!」
魔導祭に向けた修行の一環として、俺とレヴィでアリアさんと勝負することとなったのだが、さすがはSランク、手加減されてるにも関わらず勝てる気がしない。
レヴィが俺の近くに寄ってきた。
「どうする蓮?遠距離攻撃はさっきみたいに打ち消されそうだし、かと言って近距離は当たる気がしないし・・・」
「そうだな・・・よし、俺あんまり遠距離得意じゃないからさ、レヴィが遠距離から攻撃、その隙をついて俺が接近するって形でどうだ?」
正直隙なんて生まれるとは思えないが、これくらいしか思いつかない。
「まぁ、やってみるしかないわね。接近、お願いね!」
「おう!頑張って隙作ってくれよ?」
「・・・善処するわ」
作戦が決まり、俺とレヴィは少し距離を取る。そしてレヴィは両手の全ての指をアリアさんの方に向け、そこから光の玉を作ったかと思えば、それぞれからレーザーが放たれた。
「まずは進路を限定させる!--放たれる十の光玉!」
広範囲に放たれたレーザーを避けるため、アリアさんは上空へと避けた。
そしてその地点に向かい、さらに攻撃を放つ。
「不視無光」
レヴィが右手をかざすと、そこから物凄く眩しい光が放たれ、視界を防ぐ。そしてその隙に第二陣を放つ。
「光陰如箭!」
光で弓を作り、それを超スピードで放つ。
アリアさんの視界は塞がっている。弓は超スピード。これは決まったか?そう思ったのだが--
「--ここかな?」
そう言い、アリアさんは右手を上に振り上げ、雷の膜を張り、弓を防いだ。
「・・・うっそ・・・!見えてねえのになんで?」
俺も当然驚いたのだが、何より驚いていたのが放った本人であるレヴィだ。
「・・・嘘でしょ?今の技、私の最高速度の技なのに」
動揺したことにより、光の目眩しが消えてしまった。
「ん?眩しいのは終わりか?じゃあ次はこっちから行こう」
そう言うと、高密度に圧縮した槍を作り出し、それを弓のように構え、捻りながらレヴィに向かってうち放った。
「お返しだよレヴィ!--旋回する雷槍の一撃・・・!」
「やばい避けれな--」
放たれた攻撃は、何故かレヴィの真横に逸れ、当たることはなかった。
「・・・あれ?なんで外れ--」
「--あんなん当てたら死んじゃうだろ?」
いつの間にかアリアさんはレヴィの懐へと入り込んでいた。強力な一撃を囮に使い、接近してきたのだ。
「--くっ!聖ぜ--」
「--遅い!纏型、雷神の一撃!」
レヴィが防御魔法を発動するよりも早く、雷の拳がその体に直撃する。
「--かはっ!」
まともに食らったレヴィは、勢いよく地面に叩きつけられる。
「おいおい、女の子がこんなに頑張ってるのに、王子様はなにやってんだ?」
着地したアリアさんが、徐にこちらを見てそう言う。
「隙を見て・・・なんてやめたほうがいい。それは実力が近い相手でないと意味がないよ。離れすぎていては只々全力を分散させるだけだ」
なんほどね・・・んじゃあ。
「悪りぃレヴィ!俺から立てといてなんだが作戦変更だ!一緒に攻めるぞ!」
「ええ!」
とはいえレヴィはすでに傷を負っている。俺が一段と頑張んねぇと!
俺はアリアさんに向かって正面突破を仕掛ける。実力が離れてんなら、せめてこちらの得意な土壌で攻めるしかない!
「おいおい、正面突破か?それじゃあ私には届かんぞ!」
アリアさんは掌に雷を集中させ、それを高速回転させ前方に放つ--
「雷神の寝返り」
威力は高そうだが範囲が狭い。これならよけられる!
俺は左に避け、攻撃を空かしたが、先ほどまでいた場所にアリアさんはいない。
「上だよ!雷神の一撃」
頭上から電撃が落とされる。
だが、これは予想通りだ!さっきのレヴィとの戦いを見て流石に同じでは食わねぇよ!
「異類無礙!」
俺は魔法を吸収し、反撃に出ようとした瞬間、アリアさんは空気を蹴り付け、急降下してきた。
くっそ!だからなんで魔法無しでそれ出来んだよ!
「おごりや達成感は体を硬直させる!気をつけな!」
急降下の勢いを乗せた蹴りを食らった。そもそもの威力と相まってめちゃくちゃ痛い!
「雷神の--」
「--光陰如箭!」
止めを刺されそうになった瞬間、レヴィの弓で助けられた。間一髪だ。
「うん、レヴィは結構いい動きしてるね!サポートも出来てる。・・・に引き換え」
「ぐっ!」
くっそ!事実だからなにも言い返せねぇ!挽回しねぇと。
俺は再びアリアさんに突撃した。だがさっきと流石に同じではしない。
「レヴィ!俺の後ろからアリアさん狙ってくれ!!」
「えっ!う、うん!」
俺の横を通るように、レーザーがアリアさんを狙う。
これで動きを制限し、少しでも意識を逸らす!--に加えて・・・!
「雷神の一撃!使っての地割れ起こし!」
俺は魔法を直接ぶつけるフリをし、真下の地面に向かい放った。それにより、足場が崩れ、アリアさんの体制が崩れる。--今だ!
「新技--雷の押印!!」
掌いっぱいに雷を対流させ、それをエネルギーを保ったまま極小にする。そしてそれを相手の体に押し込む技。これならどうだ?せめて傷くらいは--えっ?
俺の攻撃はアリアさんの右手によって完全に防がれていた。
嘘・・・あれで動揺せずに完封するとか・・・どうやって勝つのこの人?
「・・・うん。悪くなかったぞ今のは!軽くあしらってやるつもりだったのに止めてしまった」
こりゃ無理か・・・?そう思った時、上空に影が見えた。--ああ、了解だ。
俺はアリアさんの手をガッチリと掴み、異類無礙を使用した。
「ん?これはなんのつも--」
「俺ごとやっちまえ--レヴィ!」
「ありがとう、蓮!--断罪する光の十字架!!」
レヴィが手を掲げ、その手から光が放たれた大きな十字架に形を変える。そしてそれを俺たちの元へ叩き落とした--
「--ふふっ!見事だよ2人とも!今ここまで出来れば上々だ!」
アリアさんがどこか嬉しげにそう言った。
何?ここからまだ何が出来んのか?だけど俺が繋いでる限り魔法使えな--
「蓮、悪いね!」
「んえっ?」
そう言ってアリアさんは俺の腹を割と強めに殴った。
「--ガハッ!」
急だったこと、そしてあまりの痛みに思わず手を離してしまった。
「あ"、やべ・・・!」
「お前たち2人に褒美だ!凄い技を見せてやろう!」
アリアさんはそう言うと、腕に魔法を集中させ、巨大な爪のある化物のような手を作り出した。
そして、その爪を十字架に向かい振り上げた。
「全てを裂く雷魔の鉤爪!」
その爪に触れた十字架は一瞬にして消滅した。そして何がおそろしかったか、それは--爪が切り裂いた直線状にあった雲が裂けたように見えたことだ。
「「・・・・・・えぇー」」
これはもう負けて悔しいとかではない。2人とも只々ため息にも似た声が出て出るのみだった。
修行の結果として、確かに何か掴んだ感じはあったが、それ以上のインパクトで塗りつぶされた。
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その後、アリアさんから総評をもらい、反省会となった。
まず俺は正面突破が多い、咄嗟の対応が出来ていない、そして集中を切りすぎとのことだった。ただ最後の方はだいぶ良かったとも言ってくれた。
レヴィは、全体的にサポート能力も高く、策を凝らしての戦闘もしていて高評価だったが、予想してない事態が起こったときの対応が遅れることを指摘された。
「--まぁここまで言ったが、総合的には悪くなかったぞ!特に最後の方はどちらも機転がきいて素晴らしかった!短い時間でここまで出来れば上等だよ!」
こうして、アリアさんとの決戦修行は終わり、3人で一緒にご飯を食べ、夜を明かした。その後も修行を続け、数日後--いよいよ魔導祭当日となった。




