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ヤのつく家の方ですか?

「--てな訳で、俺も出場することになりました」


「昨日の私の時間を返しなさいよ」


 魔道祭に出場することになった俺は、その旨をレヴィに伝えていた。いやね、俺だってこんな翌日掌クルンなんてするつもりなったよ。気付いたら腕を折られて曲げられてただけなんです。


「時間操作系の魔法使う人呼んできてよ。それ吸収すりゃ一発だ!」


「他力本願ね。呼んでくるなら蓮いらないじゃない」


 あ、ほんとだ。俺いらなかったわ。いっけねっ!


「まぁ良いわ。とにかくこれでスカウトしやすくなったし、メリットしかないからね」


 スカウトね・・・昨日そう言われて俺なりにイメトレもしてみたが、どうしてもしどろもどろになって通報される絵しか浮かばない。100回もイメージしたのに、変わったことといえば警官の顔くらいだ。


「あのさ、スカウトってどうしてもせにゃならん?誰かレヴィの知り合いとかで良い人いないのか?」


「なに?合コンでもするの?」


「違うわ!大体俺が合コンなんて開ける人間に見えるか?360度どの角度から見てもキョドッた俺しか見えないぞ!」


「なんで自信満々?!・・・冗談よ。蓮がそんなことしないって知ってるし」


「おいおいレヴィ、言葉がおかしいぞ!今使うべきは"そんなことしない"ではなく"そんなこと出来ない"だ!ここ、テストに出るから復習しとけ!」


「・・・あいあいさー。(こいつわざとかしら・・・)」


「まぁとにかく!知り合いとかいればわざわざスカウトとかいう羞恥心を煽るような行為をせずに--あっ、そういえばあの子とかどうなんだ?ほら、あのー・・・ダンジョン行った時に助け呼んだ子」


「ん?ああもしかしてカミラのこと?まぁ確かにあの子なら条件にぴったりだけど・・・」


 これは良いんじゃないか?そのカミラって子に入ってもらい、俺がディアスを勧誘(物理)すればパーティは4人、目標に到達できる。


「その子に入ってもらえないかな?確かに透明魔法とかだったよな、クエストとかですごい助かりそうだけど」


 レヴィは少し考え込み、頷いた。


「そうね、取り敢えず聞くだけ聞いてみるわ!」


「おう!頼むよ!んじゃ、あとの課題は勝つだけだな。正直同じBランクの奴ってどれくらい強いのか全然分からん」


「ピンキリって感じね。特にBランクはAランクにも引けを取らない人も混じってるし、逆にギリギリCを超えた人も多いから」


「ギルギリC超えね・・・そんな奴がほぼAランクの奴とぶつかったら終わりだ--あれ?ちょっとまて」


 よく思い出せ。俺のステータスどうだった?Bではある。だが俺の数値って確か・・・


「やべぇ、俺負けるかもしらん」


「急にネガティブスイッチに切り替えて疲れない?」


 不味いな、これじゃあディアスと戦う前に試合が終わる。アリアさんの修行で一体どこまで強くなれるか・・・ってかそもそもディアスはどうなんだ?あいつもギリギリなのではないだろうか。だとすれば結果はイーブンなのだがな。


「はぁ、もうちょっと実力の近い同士で戦わせてくれりゃ良いのにな。じゃないと若い芽が摘まれちゃうと思うのよ。どうですかギルドマスターの孫?」


「堂々とルール改正要求しないでよ。私そんな権限ないから!」


「分かってるって!冗談だよ冗談」


「ふん。・・・蓮、あなたギリギリBだって言ってたけど、今はどうなの?結構強い敵と戦って来て大分成長してるんじゃない?」


「そう・・・なのかな?もしかして今の俺、余裕でBランク優勝とか出来たりして!」


「聞き捨てならんのぉ!」


 聞いたことのないドスの効いた声。振り返ると、上半身裸の背中に斧を担いだめちゃめちゃごついおっさんが、腕を組んで立っていた。


 これはあれか、カツアゲ?カツアゲか?カツアゲ恫喝脅迫暴力。一体どれだ?


 そんなことを考えていると、突然レヴィが--


「あっ!お久しぶりです!グニラさん!」


「ん?・・・おお!レヴィか、久しいな!以前よりべっぴんなっとって気づかんだわ!」


 --えっ?嘘?知り合い?!もしかしてレヴィの家ってヤの付く家系の方・・・?


 そんなことを考えているのが顔に出ていたのか、「絶対碌でもないこと考えてるでしょ?」と言われた。俺ってそんな顔に出る?おかしいなぁ、中学の時同じ班員を褒め合う授業でみんな俺のことポーカーフェイスって言ってたのになぁ。俺も鈍ったか?・・・てかポーカーフェイスって褒め言葉なの?


「久々の再会を喜び合いたいところだが、今はそれよりこのガキだ!さっき余裕でBランク優勝とか抜かしとったのぉ。このグニラを差し置いてそんなもん出来ると思っとるのか?」


「しょ、しょんにゃきょちょにゃいじぇしゅよ!」


 ほぼ噛んだ。そんなことないですよ、たったそれだけの言葉でよくもまぁここまで噛めるものだ。異世界新記録ではないだろうか。


 それよりもこの人Bランクなのか?どう見たってA以上だろ?逆にその威圧感と体格でなんでB止まりなんだよ!なんか難癖つけられてる気分だ。


「そういえばレヴィ、なんでこんなガキと一緒におるんだ?雑魚が移るぞ」


「彼、私のパーティメンバーなんです」


 レヴィがそう言った瞬間、俺に向けるおっさんの目が、苛立ちから呆れのようなものに変わった。


「レヴィ、何か脅されとるのか?昔からのよしみだ、こいつをぶん殴るぐらいは出来るぞ」


 怖い怖い怖い怖い!なんで真昼間からこんな恐怖体験せにゃならんのだ?おっさんは知らんかも知れんが俺超小心者なんだぞ!脅しなんて、やったとしてもいつ報復されるか心配でこっちから謝ってでも解消しに行くくらいには小心者と言っていい。


「大丈夫ですよ!彼脅しとか出来るメンタル持ってないので!」


 正解。流石レヴィ、よく分かってる!ただ、あんまり嬉しくないのはなぜだろう。


「ふん!まぁ、レヴィが良いなら良いが。・・・おいくそガキ!」


「は、はい!・・・なんでございましょうか?」変な日本語になった。


「お前とは同じBランクグループだ!このグニラが叩き潰してやるから覚悟しておけ!いいな!」


 そう言っておっさんは帰っていった。


「あ"あ"ー!レヴィなんだよあのおっさん?怖えぇよ!」


「あの人はグニラ・リュドラ。結構古参な冒険者でお爺ちゃんとも仲がいいの。因みにBランク最強って言われてるわね」


「いやそりゃそうだろうよ。てかなんであの人Bな訳?体つきから何から何までA以上だろ」


「ええ、体は完全にAランクね。だけど、グニラさんはBから上に行けない理由がある」


「理由・・・?なに?」


「あの人・・・魔力がほとんど無いのよ。その上魔法も身体強化という地味なもの。ランクは魔力の大きさなんかも評価対象だからね、どれだけ体が出来ていてもそこがほとんど無ければ上には行けない」


「魔力が・・・!なるほどね、どんだけ強くてもランクが上がらないってか。なんというか、穴のあるシステムだな」


「まぁ、あの人レベルは例外みたいなものだけどね。それにしても蓮、災難だったわね。まさかグニラさんに目を付けられるなんて」


「一回戦で当たったらどうしよう?棄権か?降参か?敵前逃亡か?」


「全部殆ど同じじゃない!・・・あなたなら勝てるとか、そんな無責任で無謀でどうしようもないとこはいえないけど--」


「もっと言わないで欲しいことが筒抜けなんだが」


「とにかく、頑張るしかないわね、お互い!」


 そう言ってレヴィは拳を突き出して来た。


「・・・んまっ、そうだよな!当たるかどうかもわかんねぇ訳だし!取り敢えず、頑張れるだけ頑張るか!」


 俺はレヴィの拳に同じく拳をぶつけた。


 こうして俺たちは1ヶ月後の魔道祭に向け、決意新たに進むのであった。


 --その大会でいきなり心おられるとも知らずに。




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