聞いてない!
「--えっと・・・取り敢えず、パーティ結成っていうことで。改めて宜しく、レヴィ」
「ええ、こちらこそ宜しく、蓮」
俺とレヴィはパーティを組むことになった。だがここで問題が1つ。
「これからどうするの?流石に2人だけってのは・・・」
「確かに・・・男女2人だけってのは流石になんか言われそう」
「・・・なに言ってんの?クエスト行くのに2人だけだと危険だからよ。なに?もしかしてそういう目的で組んだの?」
まずい、天然でやらかした。先日レヴィがもしかしたら俺のことを好きなのかもしれないと聞いてから、変な思考に結びつくことが多くなった。落ち着け俺!そんな訳ない!女性が俺に靡くなんてある訳ない!!・・・言ってて悲しくなってきた。
「べ、別にそんなんじゃないし!ギャグだからギャグ!--で、大体何人位いればいいもんなの?」
「そうね・・・あと2人は欲しいかな。出来ればBランク以上で」
Bランクね・・・ディアス入ってくんないかな?でもな・・・その為には--
「ディアスと決闘ね・・・どうしよ」
「決闘?なに?あなた達また喧嘩したいの?」
レヴィが呆れた表情を向けてきた。
「違う違う!こないだディアス誘ったんだけどさ、その時にオレを倒せたらなって言われたんだよ」
「ふぅーん。まぁ昔のディアスならともかく、今の彼なら大歓迎ね。私にとっても恩人だし。でも決闘ね・・・来月の魔導祭で当たれば良いのだけど」
魔導祭・・・あぁ、なんかバルク兄貴とかが言ってた気がするな。実際どんな祭りなのか知らんけど。
「なぁ、前から聞きたかったんだけど、魔導祭ってなに?なにすんの?」
「・・・えっ?あなたなにも聞いてないの?出るんじゃ」
レヴィが慌てて驚いていた。なんだ?そんな驚くことなのか?
「聞いてないよ。てか出るってなに?みんな出店とかすんの?」
「ほんとに知らないのね。アリアさんも何で説明してないんだろ?まぁ今から説明しても遅いけど一応してあげる」
「おう!頼むよ」
「魔導祭っていうのは、簡単にいえばギルド最強を決める祭りよ。去年までは違ったけど、今年からはランクごとに分けられるわ。つまり、各ランク最強は誰かを決める大会ってこと」
なるほどね、天下一武道会的なことか。
「で、それの参加申し込み期限が昨日までだったのよ。てっきりあなたは出るのかと思ってたのに」
「まぁ別に俺は戦闘狂じゃないからな、戦わなくていいなら戦わない主義だ。大体なんか優勝商品とかあるの?」
大体こういうのは賞金とかが出るもんだが、現在俺は小金持ちだ。そんなに金に困っていない。つまりこの大会にそもそも出るメリットがあまりない。
「100万ガスタのみよ。まぁみんなお金目当てで参加する訳じゃないしね」
「ん?じゃあなにが・・・?」
「いろんな人と戦うことで自分のスキルアップに繋がったりする。まぁいい経験ってやつね!実際実践が1番の特訓になるし。・・・というのが表向きの理由」
「表向き?じゃ裏は?」
「出場しないと臆病者として同じギルドの人からバカにされまくるの。実際、去年出なかった人はものすごいいじり倒されて、ギルドにきただけで笑われてたわね。悲惨だったわ」
「なにそれ、小学生かよ!休み時間一緒にサッカー行かなかっただけでハブられたの思い出したわ!」
「まぁとにかくそういうことだから、あなたの性格的に出るのかなって思ってたんだけど」
「・・・締め切りいつだっけ?」
「だから昨日よ」
「・・・・・・終わったー!!もうやだ俺やだ僕嫌だ!戦いたいよー!戦わせろよ!」
「戦闘狂じゃない!・・・諦めなさい、もしなんかされたら私が庇ってあげるから!」
ううう、レヴィ〜!
俺は涙目になりながらレヴィの手をとった。
「お前ほんといい奴だな!大好きだぜ!」
「ふぇっ?!れ、蓮!いきなりなに言ってんの?!こ、ここここここんなところで告は--ちょっま・・・えっー!」
ん?どうしたんだレヴィのやつ、急に慌てふためいて。なんか恥ずかしいことでもあったような・・・・・・あったわ、俺だわ。やばい、天然ジゴロみたいなことしてしまった。これで違います!っていうのも流石にな・・・なんとか逸らすか。
「そ、そういえばレヴィは出場するのか?」
「えっ!え、ええ。出るわ。私は表向きの理由で出たいから。いい経験になるのはほんとうだしね」
よ、よし!なんとか逸らせたか?
「俺、レヴィのこと応援してるからさ!・・・あっ、でもディアスとかルニア兄貴、あとエトラとかもおんなじBランクなんなよなぁ。どう応援すりゃいいんだ?」
「まぁ、みんな応援すればいいんじゃない?どっちかだけしか応援しちゃ行けないなんて決まりないもの!」
確かに、レヴィの言う通りだな。
「よし!出れない分、せめて全力で応援するよ!あっ、そうだ!パーティメンバーの件どうする?」
そういうと、レヴィは顎に手を当て悩み始めた。
「本当なら2人とも出場して、戦った人を勧誘しようと思ってたんだけど。まさかの蓮が出ないってことだからね、これじゃあ予定の半分以下になるわ」
「ご、ごめんなさい。・・・でもなんで戦った人なんだ?会場にいる人片っ端から話しかければいいんじゃ・・・?」
「実際戦ってみないと分からないこととかもあるからね」
「ふぅーん。そんなもんなんだな。俺はいまいち分からんけど」
「仕方ないわよ、能無しだしね!」
レヴィは悪戯っ子のような笑顔でそう言った。
「ねぇ今違う意味に聞こえたんだけど気のせい?気のせいだよね?気のせいって言って!」
「とにかく、仲間探しはまた今度考えましょ!もういい時間だし今日はこの辺で解散しましょか!」
「そうだな、どうするレヴィ?また走って帰るか?」
そう言われたレヴィはあの時のことを思い出したのか、赤面し、大声を上げた。さっきのお返しだ!
「んな?!する訳ないでしょ!あの後1時間も怒られたの忘れたの?もういい!帰る!また明日!」
「おう!また明日!」
帰り際、相当動揺していたのか、レヴィは数回なにもないところでつまづいていた。
--俺も帰るか。
帰路に着き、アリアさんになぜ魔導祭のことについて教えてくれなかったのか問い質してみることにした。
「魔導祭?あれ?私説明しなかった?」
「されてないですよ、もしこれで俺が全ギルドメンバーからバカにされたらどうするんですか?俺メンタル弱いからすぐ泣くと思いますよ」
「そのすぐ泣く宣言はどうかと思うが・・・そうか、言ってなかったか。ごめん!正直言ったつもりだった!・・・それと、少なくとも出なくてバカにされることはないわよ」
「えっ?なんで?だって俺出ないんですよね?」
「この間私1人でギルドに行っただろ?その時に私の分と一緒に出してきた」
・・・はっ?なに?なんで?なぜ一報もなし?!
「あれは結構な修行になるからな!Sランクになるにはあれで勝ち進めるくらいには強くないといえん!--っていはいいはい!むほんで頬をひっはるな!」
確かに授業にはなるだろう。俺も強くなりたいし、出ろと言われれば出たと思う。だが一報入れるくらいはしてくれていいと思うのだ。俺は若干イラッとしたのでアリアさんの頬を無言で引っ張り続けた
「ごべん!あやばるから!」
俺は渋々ながら手を離した。
「痛ったーい!蓮あんたね!仮にも乙女の顔に無言でダメージ与え続けたりする?!せめてなんか言ってよ!無言は怖いわ!」
「あのさぁアリアさん?これからはなにかする前に連絡入れてくれないかな?事前に言ってさえくれたら基本的にアリアさんの言うことなら聞くと思うし。とにかく、事後がいやなの!自分が認知してない内に大変なことになりそうで!」
俺の読んでた異世界系だとそんなのが割とあった。知らないうちに面倒ごと背負い込んでる系主人公。異世界に憧れてはいたがそれは嫌です。
「分かったわ。ごめんなさい」
随分としおらしくなって・・・こりゃほんとに落ち込んでんなぁ。
「・・・よし!とにかく出ることは決まったので、これから1ヶ月間頼みますよアリアさん!俺、アリアさんに修行つけてもらうの楽しみにしてたんで!」
「そ、そう?ほんと!--楽しみなら仕方ないわね!そう言うことなら私が見るしかないわね!」
流石にこんなに一緒にいると扱い方が分かってきた。てか、なんだか懐かしいなこの感じ。やっぱり落ち着く。なんか実家みたいだ。
「それじゃあ来月の魔道祭に向けて、ビシバシ行くよ!目指すは優勝!覚悟は?」
「--とっくに出来てますよ!」
こうしてほぼゲリラ的に決まった魔導祭出場。同じBランク冒険者を倒し、優勝するため、修行が始まった。




