【05話】その日俺は邂逅した
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「…あれ?ここどこだ?」
目を覚ますと、なんかいきなり知らない場所にいた。
暗い部屋がほんのり紫色に光っているような場所だ。
この短時間で2回目。
え、なにこれ?1回目も含めて夢?
いや流石にそうだよな。
だってこんな事現実に起こるはずが無いし。
「夢じゃないぞ。」
「え!?誰!?」
声がした。
他に誰かいる。
反射的に声の方向を向いた。
なんだアレ…
玉座のような所に誰か座ってる…
なんか変な黒いオーラが見える気がする…
暗くて顔はよく見えない。
でも圧が凄い。
何か分からないが、とにかくヤバイ、そんな気配だ。
その人物が、玉座から降り、こっちに歩いてくる。
ヤバイ!ヤバイ!!ヤバイ!!!
でもヤバすぎて足が動かない!
…
そしてその人物が目の前で足を止めた。
「よっ!」
「………は?」
軽い。
滅茶苦茶軽い声を投げかけられた。
だんだん暗さに目が慣れてきて、その人物の姿が見えてきた。
見た目は小さい女の子だ。
ただ、頭の左右から大きな角を生やしている。
亜人?魔族?よくわからないが、普通の人間ではなさそうだ。
「おぬし、ススムじゃな?合っているか?」
「…そ、そうだけど…え、君は何?ここは何処?」
まるで記憶喪失者のようなセリフ。
でも実際記憶喪失に近い状況なのだから仕方がない。
「ワシか?ワシはメイ!ダンジョンのラスボスじゃ!」
「………は?」
何いってるんだこの子?
ラスボス?
え、ラスボスが何でいきなり俺の前に?
意味が、本当に意味が分からない。
「この場所は、精神世界の部屋、といったところかのう。
そういう意味では、夢の中と近いのかもしれん。」
「精神世界…」
いやゲームの中なら、そのくらいの事はありえるか。
いうなら、わりと何でもアリだ。
「でじゃ。
この世界にお主を呼んだのは、ワシの仕業じゃ!」
「………は?」
3度目の爆撃。
滅茶苦茶な事を畳みかけてくる。
「…え、ちょっとまって、君が俺を呼んだ!?
何で!?どうして!?
いや理由とかどうでもいいや!
とにかく元の世界に帰りたいんだけど!」
「それはワシには無理じゃな。
お主はすでにこの世界に組み込まれてしまった。
もうワシにもお主を戻すことはできん。」
「………は?」
帰れ…ない?
現実世界に、帰れない??
この手抜き世界から帰れない???
「なっ…えっ…ちょ…ちょっと…
帰れない!?帰れないの!?
なんで!?
お前なんなんだ!?
人の事勝手に呼び出して、帰せない!?」
帰れない。
その事実が頭をパニックにし、目の前の子の肩を掴んで前後に振り回した。
「ちょ、ちょっと落ち着け。
いや言っても無駄かの。」
<<ベチンッ>>
デコピンで吹っ飛ばされた。
いや吹っ飛ばされたのだからもはやデコピンレベルの打撃ではないが。
「少し落ちつけ。
まず、帰る方法はある。」
「帰れる!?」
その事実だけで、少し聞く話を聞く余裕が出来た。
「うむ。
簡単に言えば、この世界の終了条件を満たす事じゃ。」
「世界の…終了条件?」
「もう気づいておると思うが、ここは作られた世界じゃ。
作られた一定の法則をもって、動いておる。
そして、終了条件を満たせば、この世界は役割を終えたと認識され、世界が終わる。
その時、お主は元の世界に開放されるんじゃ。」
「…その終了条件…っていうのは…?」
「ワシを倒すことじゃ。」
「…」
これは少し予想出来た。
自分で「ラスボス」と名乗っているわけだから。
当然「ラスト」なわけだ。
「じゃあ…君は自分を倒す相手を、世界に招き入れたってこと?
何でそんなことを。」
「理由は簡単。
退屈じゃったからじゃ。」
「………は?」
何いってんだこいつ。
退屈だったから自分を倒す相手を呼んだ?
生きる事が最優先じゃないのか?
いやそれよりも!
「お前!退屈しのぎに人を簡単には戻れない世界に呼び出したのか!?
何してくれてんだ!!!
俺の現実滅茶苦茶になるぞ!!!」
世界が終わるまで、どれくらいかかるかは分からない。
しかし数日、下手したら数か月、数年かかるのかもしれない。
その間、俺は現実世界からいなくなる。
確実に世界が狂ってしまう。
「だ、だから落ち着け!
頭を揺らすな!
この世界とお主の世界では時間の流れが違う!
この世界で長期間いたとしても、お主の世界では一瞬じゃ!
じゃからこの世界が終われば、ほぼ同じ時間に戻れるはずじゃ!」
「…ほ、本当に?」
「本当じゃ。」
そこまで言われて、やっと肩を揺らす腕が止まった。
「…分かった、とりあえず信じる。」
嘘かもしれない。
この場を収めるためだけの嘘かもしれない。
そもそもいきなり信用なんて出来るわけがない。
けれども、今は信用するしかない。
「うむ、少し落ち着いたようじゃな。
退屈しのぎに呼び出した事は確かに悪く思う。
ただちょっと事情を聴いてほしい。」
ラスボスは少しずつ語りだした。
「まず、ワシは作られた人格じゃ。
この世界が作られた世界なんじゃから、当然じゃな。
じゃが、いつの頃からか、ワシには自我が芽生えたんじゃ。」
「…自我が芽生えたAI…ってことか…?」
「うむ、お主の世界観での認識ではそれで間違ってないと思うぞ。」
シンギュラリティって奴か?
AIが自己改善出来るようになることで、爆発的に進化する、特異点とかだっけ。
「で、お主も見たと思うが、勇者。
あれもAIで動いておる。
自我は無いがの。」
それは何となく思っていた。
こちらの行動にちゃんと反応をし、返答を変えてくる。
ただ、それが後の行動に反映されないだけで。
「どうもあやつAIが少しおかしくての。
行動の改善がまったくされないのじゃ。
AIなら、良い事と悪い事を記録していき、最適な行動を取るはずなのにじゃ。
おそらくじゃが、記憶する部分が何かおかしいと思うんじゃ。」
「それは俺も思っていたんだ。
何度説明しても、全然状況が良くならない。
やっぱり記憶関係か。」
「結果、どうなったかというと」
「「無限ループ」」
ハモった。
ラスボスとの会談は続いていく。
突然の邂逅。
世界の仕組みから何故呼ばれたのか。
種明かしがかなり早いです。




