【02話】その日俺は謁見した
「ここはクラシクの城だ」
うん、城の入り口にはお決まりのように門番。
だけれども入ろうとする俺を止める気配はないし、田舎者帰れ!とも言われない。
果たして門番として機能してるのか…?
まー素通り出来るなら楽でいいや。
城に入るのにおつかいさせられるのも嫌だもんね。
…
「おー、流石に内装は豪華だな。
けどなんかサイズが小さい?外見と違うな。」
とりあえず目に入るのは、正面のデカい階段。
右側に教会と酒場、左側に宿屋と銀行…かな。
何でそんな物が城の中にあるんだっていう施設がテンコ盛りだ。
なんかもう全部この城の施設で完結しますよ!感をひしひし感じる。
「倉庫とか鍛冶屋も奥にある気がしてきた。」
この辺は定番なのできっとあると思う。
しかし宿屋があって良かった。
今後休める場所が…
<<バァン>>
なんて考えながら歩いていたら、宿屋のドアが勢いよく開かれ、中から銀色の甲冑で全身を覆った戦士が出てきた。
頭もフルフェイスで素顔が見えない。
いきなりの音にビクッとしてそちらを見る。
…
……
………
…………?
あれ?出てきたけど動かない。
…あ、そうか俺が動かないと世界が動かないのか。
凄いなこの世界。
全ては俺の1行動から始まる感じだ。
まさに不○議のダンジョン。
この動かない時間を利用して、考えるだけ考えて、正解の1行動を引き続けるゲームだからね。
「足踏みしたら動くかな?」
このジャンルあるある、足踏みすると1行動となり、世界が動く…はず。
…
あ、動いた。
甲冑マンは宿屋から城の出口に向かって歩いていく。
「…なんか凄いイベントな気がするが…話しかけてみるか…?
いやでも…流石に怖いな…
剣持ってるし…」
武器を携帯している人への接触。
そんなもの怖いに決まってる。
こちとら普通の大学生だぞ!
…
甲冑マンはそのまま城の外に出て行った。
…
「さて、色んな施設を見て回りたい気持ちもあるが、ひとまず二階に行ってみるか。」
気を取り直して、二階に進んでみよう。
おそらくここに王様がいるんだろう。
王様からダンジョンの話聞かないと先に進まない気しかしない。
…
階段を上がると、正面に玉座が二つ。
王様と王妃かな?
見るからにもう「THE・王様」という見た目の人が座ってる。
白髪に白く長い髭に赤い豪華な服、そして金色の王冠。
これで王様じゃなかったらなんなんだってレベルだ。
王妃は金髪の縦ロールで白いドレス。
…
「突っ込みてぇー。
滅茶苦茶突っ込みてぇー。」
ずっと思ってたよ、なんか全てが古い…って。
なんかもう街とか城とか王様とか、時代が古いというかスーパーでファミリーなハードでも古いって思えるくらい。
「レトロなテンプレか!」
我慢できなかった。
「そんで必要な物以外の物が少なすぎる。」
余計な物へのリソースがまるで使われていないというか、必要最低限な物しかないというか。
建物も人物も、あまりに遊びが少ない。
本当にゲームの世界かこれ?
流石に売れなくない?
インディーズゲームでももう少し凝るぞ。
「手抜き…」
その言葉しか出てこないよこの世界。
…
「あの、王様、こんにちは。」
「おお、我がクラシクの城によく来た。
何用か?」
「噂をお聞きしまして。
なんでもダンジョンの攻略者を募っているとか。」
「うむ、街の近くにダンジョンが出現してな。
モンスターが出てくる事もあって危険なので、対処する。」
「ダンジョン攻略すると対処になるんですか?」
「そうじゃな。
最奥のボスを倒せばダンジョンは消滅する故。」
なるほど、そういう世界観か。
逆に言えば1度しか攻略出来ないダンジョンなんだな。
というか街の人と違ってわりと普通に会話出来るな。
「では攻略した際の見返りは何かあるのでしょうか。」
「まず報奨金じゃな。
一年は遊んで暮らせる程の金貨。
それからダンジョン攻略時に生成される宝珠。
本来は国の物じゃが、今回は緊急性が高い故、これも報酬に含む。」
宝珠?
知らない単語が出て来たな。
教えてくれるかな。
「宝珠とは?」
「おお、宝珠を知らんとは、今までどのような生活をしておったのか?
宝珠とは、様々な奇跡を起こす宝石の事じゃ。
火を起こす、水を出すなどな。」
ちゃんと答えてくれる!
この王様は凄いしっかり作られてるぞ!
「宝珠は希少な物ほど効果が強い。
ダンジョン攻略時に生成される宝珠は基本一点ものなんじゃ。
希少すぎる故、危険。
だから基本的には国が管理するのじゃ。」
なーるほーどね。
それが報酬に含まれていると。
…これはもうあれだろ。
その宝珠が元の世界に帰るアイテムだろ!
「…ご説明ありがとうございます。
ちなみにダンジョンには何か特徴はございますか?」
「そうじゃな、まずは致死性が非常に高い。
深い階層に行く程モンスターが凶悪になり、トラップも多い。
そしてなにより、入るたびに地形が変わるのじゃ。
そのため、地図を作成しての攻略が出来んのじゃ。」
うーむ、あまりにも知っている。
知っているぞその作り!
不〇議のダンジョンだ!!
「それから、ダンジョンに入る際に『制限』がかけられる。
ダンジョンによって細部は違うが、基本的に体力や筋力等が一般人程度まで落とされるのじゃ。
それ故、達人がダンジョンに入っても攻略は出来ん。」
なるほど、『制限』のせいで毎回レベル1スタートになるんだな。
外でいくら鍛えても意味は無いと。
「故に非常に攻略が難しい。
ただ、ダンジョン内で死んだ場合、近くの城で自動的に蘇生されるのじゃ。
おそらくそういう『縛り』を設ける事で、ダンジョンの運用を可能としておるのじゃろう。」
うむ、やはり死ぬことにリスクは無い感じか。
死ぬほど死んで、死ぬことを死ぬ気で回避しろと。
…いや普通に死ぬことは恐怖ではあるよな…
どう考えても痛いし。
でもこれ…やっぱりやるしかなさそうだなー
宝珠とやらが帰るアイテムな気しかしないし。
腹くくるか…
「わかりました。
そのダンジョン攻略、私にやらせて下さい。」
「いやそれがの、今勇者がそのダンジョンを攻略しておっての。
ダンジョンには基本一人しか入らないようにしている故、他の者を入れる事は出来ぬのじゃ。」
「え゛っ!」
変な声出たわ!
まさかの展開!
俺が攻略するんちゃうんかい!!
「先ほどの通り、ダンジョンを攻略するとダンジョンが消滅する。
その際、ダンジョン内にいた攻略者以外の人も、文字通り消滅してしまうんじゃ。
じゃから基本的に攻略は1人でしか出来んのじゃ。」
「えぇー…」
じゃあ攻略者募集中じゃないじゃん!
街の人も王様も「募ってる」って言ってたじゃん!
ちゃんとフラグ管理してよ!
…
いきなり方向性を見失った。
この手抜きでダンジョン以外何もなさそうな世界で、俺は何をしたら良いんだ…
この世界独自のルールとか設定に踏み込んできています。
不○議のダンジョンルールと合わせて、色々複雑ですね。




